いや~~、嬉しいなんてもんじゃありません。
先ほど長男から電話がありまして、内定書をもらったとのこと。私が勧めていた、今、日本で急成長中のインターネット関連企業です。これから世界展開を目指しているECね。
しかしこんな簡単に決まるとは思っていなかったので、なんだか拍子抜けしています。このブログでも次男はどうにか決まったものの、長男は苦戦中と書きましたが、苦戦というのは私がそう思っていただけのようです。初めてアプローチした企業から内定が出ちゃいましたし。
長男はどういうわけか日本企業で働きたいと前から言っていたのですが、海外在住の場合、一般的な日本の子女と同じ方法で就職活動は出来ないわけです。ただ、帰国子女や日本人に限らず海外から人材を取りたい企業は海外でのリクルート活動をしています。
有名なのがボストンキャリアフォーラムで、アメリカのボストンで大きなイベントが開かれ、そこに多くの日本企業、海外の子女が集まり、面談をするという形。これは日本でも開かれており、またオーストラリアのメルボルン、シドニーでも開催されて、長男はそのメルボルンのフォーラムに参加したわけです。
これって面白いシステムになっていて、普通、各企業にレジメをだすのでしょうが、この場合、本部のシステムにレジメをアップロードし、参加企業がそれを見て、気になる学生に個別にアプローチをするという形。
と同時に、そのフォーラムが開催される会場で、学生側が各企業のブースを訪れて話をするというシステム。
ですから、一番気になるのは、どこの企業がアプローチしてくるかってこと。どこもアプローチしてこなければ会場で各企業のブースを回って自己アピールしないとならないはず。それが本日開かれました。
長男の場合、数日前から数社の企業からアプローチがあり、スカイプで面接をしていました。また昨日ですが、ある財閥系の商社から是非会いたいと夕方に電話があり、夕飯を食べながら面接というのもあったようです。
で、今日、私が面白いと思うと長男に勧めていた企業から夕飯を食べようと誘いを受けたらしく、その場で内定、数時間後に日本の本社から内定書をもらったとのこと。
これっていわゆるとんとん拍子ってことですが、たった二日前には、一体どうなるんだろう、どこからもお呼びが掛からなかったらどうしようと悩んでいたわけで、この話の進み方、スピードはまるで嘘のようです。
ところが人間ってずーずーしいもので、どこからもお声が掛からないだろうと半分諦めの気持ちがあったものの、内定をもらったらもらったで、他の企業は?というのが気になってくるんですね。
まさかと思った財閥系の商社もそうで、ボストンでもう一度会って話をしようという別れかたをしたらしく(つまり今回決めるほど欲しくは無いってことなんでしょうが)、その他、世界的大企業のコンピュータ関連会社の一次面接もパスしているようで、今後、他にどんな会社からどんな話が入ってくるのか気になるようです。
ですから10月のボストンにも行くつもりのようです。でもボストンは規模も大きく多くの企業が参加しますが、学生はそれこそハーバード、MIT、スタンフォードとか、あるいはヨーロッパからも優秀な学生が終結するのでそれはそれは競争も激しいはず。
ま、とりあえず私も興味がある企業から内定が出たので嬉しいですが、それ以上に今回嬉しいと思ったのは、この2日間で長男がガラリと変わったこと。
我が家は商人、中小企業の出ですから、やっぱり目線が低いのは私にも自覚があります。天下国家のことを考える前に、どうやって食うの?どうやって女房子供を養い、一族を助けるのか。どうしても出発点がそこになります。
とは言うもののそれは原点で、それが出来ない大人にはなって欲しくありませんからそれなりの教育をしてきたわけですが、でも逆に、大きな夢、ロマンを子供達に持たせるという面では非力であったと思います。長男のモチベーションの低さはそれに関係していると私としての反省点もある。
ところがこの就職フォーラムが切っ掛けで企業を詳しく調べ、またその企業の人たちと会う中で、そういうロマンを彼はしっかり感じ、見たようです。単なる儲ければよいというだけじゃなくて、存在意義、目的意識、理念、仕事の流れの底にある企業コンセプト。そういうものがやっぱりしっかりした企業にはしっかりした物があるのを理解したようです。
これは商人や中小企業でも同じですが、やっぱりインパクトが違うのでしょう。
特に財閥系の商社の人事部の人との話には感銘を受けたようで、やっぱり目線が違うとしきりに関心していました。やっぱり男として自分の生涯を賭けるだけのロマンと出会えないのは悲しいことで、それが今までの長男だったのだと思うのですが、今回、そういうロマンを持つ人たちと出会い、何かが長男の中で動き出したのを感じます。
私は大きな組織が好きじゃないし、その中に埋没してしまうような生き方を子供達に勧めたくないわけですが、でも組織を否定するわけじゃなく、それどころか組織で動くからこそ大きなこともできるわけで、それなくして国はもちろん世界が動いていかない。またある意味、戦争と同じで、経済活動に勝つことが自分の祖国を良くすることであり、自分の大切な人たちの生活を守ることでもあるはず。
長男はそういう目線を今まで持つことができなかったのに、今回、多くの第一線で働く人たちとの関わりの中でそれを感じたようです。
そういうのって普通に生活していれば普通にわかることなのでしょうが、オーストラリア、それもゴールドコーストのような皆が好き勝手に生きているリゾートで育つと、個人個人がどうすれば楽しく生きることができるのかとか、そういう小さな考え方に染まるのだろうという気もします。周りには大企業がなく、いわゆる世の中に影響を与える企業、仕事というのがわからない、身近に感じることがないのでしょう。
長男は今頃になって、組織として動いてそして世の中を動かす面白さに気がついたのでしょうが、でも反面、まさにそれは戦争と同じで、一個人としては特攻隊として消えていかなくてはならない運命を背負わされる立場もあるわけで、また、所詮、自分は一部品でしかないと気がついたときの落胆、俺が居ないとこの会社は駄目になる、なんて思っても決して会社は駄目にはならない現実。そんなのもいつか知ることになるのだろうと思います。
で、気がついたら定年退職、なんてね。
私としてはこういう当たり前の流れの中で生きるために子供を世に出したとは思いたくないわけで、でも今の彼らのやる気を削ぐ必要も無いわけで、当分はこのまま見守っていようと思います。
ま、どちらにしても、どうにか長男も次男も、社会人として歩き出すスタート地点にやっと立てたということ。
私としては親の役目はこれで終わりじゃなくて、やっと半分ぐらい終ったところという感じかな。でも肩の荷が随分下りた感じはなんともいえないくらい心地よいです。
神様に感謝。
余談ですが、お父さんは何をしている人かと聞かれて、「相場師です」と答えたらしい。馬鹿だよね~~。(笑)