放射線による被害を計るのは難しいとは思うのだけれど、こんな研究結果が発表された。
年間100ミリシーベルト以下の被爆量でも白血病の発症リスクが高まることを確かめたという話。追跡調査したサンプルは11万人。期間は20年。137人が白血病になった内、16%が被爆による影響と考えられるとのこと。
さてこれをどう読むのか。
まず白血病になった人の%は0.12%。1000人に一人。一万人に12人。普通はこんな程度の率なのだろうか。そしてその中の16%ということは1万人に二人程度。
年間100ミリシーベルトほどのところに居住する人はいなくて、このレベルは放射線の強い地域で働く人たちが浴びるレベル。日本では上限値が100ミリシーベルトから250ミリシーベルトまで引き上げられたのは記憶にある。
つまり、前の規制値であった年間100ミリシーベルトまででも危険だということなのだけれど、白血病に限って言えば、1万人に二人と言う数字。
これは微妙ですねぇ。誤差の範囲だという人もいるでしょう。
あるいは事実だとしても、ま、この程度ならしょうがないんじゃない?みたいに考える人もいるでしょう。
でもま、一般的には年間100ミリシーベルトまでは放射線による被害は特定できないとか、存在しないと言われているわけで、その点から見れば、これは新たな発見なのかもしれない。
ただ基本的には、放射線による影響に閾値はないというのが科学者達の大勢の考え方。
閾値がないとはどういうことかというと、ある一定の数値以下ならOK、それ以上はだめと言う数値が存在しないってこと。つまり数値が低ければ低いなりの影響が存在するってこと。
ただこれじゃ基準が作れないし、医学的にも放射線による被害の特定、断定が難しい100ミリシーベルト以下は安全と考えるという「決め」を作ったに過ぎない。安全であることにしましょうということ。
なんだか重箱の隅を突っつくような話にも聞こえるだろうけれど、子を持つ親の気持としては簡単に済まされることではないと私は思うわけで、線量が低くても胎児、乳幼児、幼子には影響が大きいのは確実なので気になると思う。ましてや食品、製品(これも問題視する必要があるほど線量が高いものが発見されている)や環境に放射線は満ち溢れていると言っていい場所が存在し、その地域は「時と共に拡大」しているわけだから心穏やかではないと思う。
でも恐怖を煽るなよ、ってか?
感情で判断する前に、まず、事実を知ることが大切だと思うわけで、良いことも悪いことも冷静に聞く耳、判断する力を維持することが重要だと思っています。我らが政府やマスコミのように「パニックを起こさせない」ことを第一義に考えるような人たちの情報を聞いて安心するのはアホだと思うし、子ども扱いするな!と私は苛立つわけです。
「大丈夫、大丈夫。心配いらないからね」と親は子に言う。それと同じ事を政府、大マスコミはやるわけで、それで安心する、あるいはそういう言葉を聞きたいと思う気持ちは誰にでもあるにしても、それは駄目だと私は思うわけです。癌の告知の問題と同じ。
1万人に二人。5000人に一人だとしましょう。
もし子供にワクチンを打たせるときに、5000人に一人は命に関わる影響があるとはっきりいわれたら、私ならそのワクチンを断る。でもそのワクチンを打たないことによって5000人の内50人は命に危険があるとしたらどうか。困るんですよね、これ。
でも放射線の場合は、その地から逃れる、あるいは放射線量の高い食品は食べない、物品には近寄らないとすれば、その影響から逃れることは確実にできるのだから、万難を排してその努力をするのは親の義務だと思います。
家もある、仕事もある、家族もいるとなると移住なんて簡単には出来ないし、移住したいと思っても動けない人の方がはるかに多いのでしょう。
諦めるという選択もある。
それでどういう結果が出るのかわからないけれど、実は私はリスクとは避けるものではなくてコントロールするものだと思っていて、諦めるでもない、逃げるでもない、第三の選択肢もあるんじゃないかと思っています。
ただ、子供のためなら自分の命を捨てても構わないと思う親はいくらでもいるわけで、私もその口なんだけれど(笑)、子の安全を確保するために失うものがどれほど大きくても、私は子の安全を確保したいと思います。
津波が来るぞ~、逃げろ~~と聞いて逃げて、あとで津波が来なかった場合、逃げて損したと思う人と、逃げて、津波が来なくてよかったねと思う人と二通りあると言われる。
私は常に後者でありたいと思ってます。
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すでに調べておられるかもしれませんが、以下、関連記事(英語)、元の論文、その大学ページでの紹介と思しきものを見つけましたので、シェアいたします。
関連記事
www.cbc.ca/news/technology/story/2012/11/08/chornobyl-radiation-leukemia.html?cmp=rss
元の論文
ehp.niehs.nih.gov/wp-content/uploads/2012/11/ehp.1204996.pdf
大学(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)サイトの紹介記事
www.ucsf.edu/news/2012/11/13087/chernobyl-cleanup-workers-had-significantly-increased-risk-leukemia
元の論文は(当然ながら)統計が駆使されていて私には細かいことがよくわかりませんが、要約(abstract)を読んだりする限りでは、「低線量でいままで明らかになっていなかった放射線量とがんの関係が初めてわかった」ということをメインに主張するような感じの論文ではないです。
それよりも、「以前には明らかでなかった慢性リンパ性白血病と低線量被曝の関係が明らかになった」という調子で書いています。(チェルノブイリの「以前」とは、広島長崎のことですが、大学サイトの紹介記事にあるように、日本人は、慢性リンパ性白血病に元々なりにくかったらしく、そのせいか、この病気と被曝との関係がわからなかったようです)
もちろん、大学サイトの紹介記事の冒頭にあるように「今回の結果は低線量被曝とがんのリスクの関係をよりよく定義する(有り体に言うと「低線量被曝のリスクについて見直す」ということでしょう)のに役立つかもしれない」というのは確かと思います。
なお、私は研究を仕事の一つにしていますが、医療分野ではないという前提で、割り引いて上のコメントを読んでいただければと思います。
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Shun Ishizukaさん、情報を有難うございました。