マレーシアの国力

マレーシアが目覚しい発展をしているのは間違いがないのですが、私はひとつ気になることがあるんです。マレーシアの国力というか経済力というかそれを生み出すマレーシアという国の構造です。

労働力は安いバングラディッシュやミャンマーからの借り物。家庭を維持するために必要不可欠なメイドはインドネシア、フィリッピン等からの出稼ぎに依存。そして同じようにかなりの人数のExpatsと呼ばれる外国人の知的労働者(日本人駐在員もこれ)が産業を支えている。そして、私は国力の基本とは製造業であると昔から考えているのですが、その製造業は他国から誘致したもの。

じゃ、マレーシアそのものってなんなの?って思うわけです。

つまりマレーシアそのものが不動産業みたいなもので、海外から店子を呼んで発展したモールみたいなもの。そのインフラも海外勢に作らせる。上と下の海外勢から(言葉は悪いけれど)ピンはねをして利益を出す構造だと思うんです。

これって日本とはまるで違うわけで、GDPがどうだとか、貿易高がどうだとか、それらを同じように比べることに意味があるのか、あるいは単純比較でいいのか私は疑問を感じるんです。もし出来ることなら、マレーシア国内でそのGDPを作り出している海外からの出稼ぎ組み別に数字を出したら面白いと思うし、それで初めてマレーシアという国が見えるんじゃないかと思うんです。

工業化が進んでいるとか製造業が発展しているとか、それって「マレーシアという地にある外国企業」の力が大きいわけで、では長い間に技術移転も行われて、マレーシア独自の産業としてちゃんと成長しているのかどうか。

その辺を考えますと、私が知っている限りのマレーシア国民、あるいはマレーシアに働く日本人達のマレーシア人論から、マレーシアが自国の力として他国の技術やノウハウをどんどん溜め込んでいるようには思えないのです。不動産業なんだから、店子は店子であって、彼らの技術やノウハウをモールのオーナーが自分のものにする必要はないと言えばないわけで、きっちりしたインフラ整備、そして店子が喜ぶような優遇税制なり、規制緩和をするのがオーナーの仕事。

このモールの売り上げを見て、それがそのモールの実力だと考えていいのでしょうか。例えば我々の使っているPCの心臓部であるインテルのCPUですが、マレーシアでかなり大量に作られ世界中に輸出されているものの、これをマレーシアの実力と捉えるべきかどうか。

また、日本企業は誘致をされるほうであって、マレーシアは誘致をする方。こういう形が完成していて、ではマレーシア企業が他国に誘致をされる側に立てるのか。

そういう意味で、韓国や中国とは随分違うように感じます。韓国や中国では間違いなく技術の移転が起こって、国内企業もどんどん育ち、日本企業を脅かすようになった。また、彼らは自らの力で他国に輸出し、自ら他国へ出て行く実力をつけている。私にはどうしてもマレーシア企業が韓国、中国の企業のようになっているとは思えないんです。不動産業に特化しているような感じ。その上に胡坐をかいているような感じ。プミプトラ政策がまさにそれそのものなのかも。

マレーシアがそういう構造であるという前提で考えた場合、マレーシアに対する一般人としての投資の考え方も変わってきて当然だと思うんです。

私が不動産投資、特にマレーシアの不動産投資に関して興味がないのはそういう一面もあるんです。これはゴールドコーストも同じで、不動産バブルがゴールドコーストにこの20数年の間、何度かありましたが、中心部のコンドミニアムに関しては決して実需に支えられたものではなかった。だからどんどん売れている、値上がりも凄いといわれた時代でも、夜になると真っ暗なコンドミニアムばっかり。

いわゆる日本で言えば、熱海とか、あるいは北海道のニセコ、あるいは各地の別荘ブームと非常に似ている。そもそも実需がないんですから、ブームが去ると恐ろしいことが起きるのは我々は経験として十分わかっているわけですよね。ゴールドコーストは今その状態。

ただ、これから開発が進む地域であるとか、実需が間違いなく増えると思われる地域、物件、それはクアラルンプールで言えば、広がる住宅地の物件なら良いですが、私が自分で買うとしたら買いたいと思うコンドは完全な別荘みたいなもので、実需の広がりが見込めない物件ばかり。

確かに不動産ブームではあるけれど、不動産にもいろいろあって、何でも買っておけば良いってもんじゃないのはこういうところからもわかる。ただ、夜は幽霊コンドみたいなところでも市場の動きにつられて動くところはあるのでしょうが、私が欲しいと思うような物件はたいした値上がりをしていないのが現状です。でも、バブルがはじける、世界に何かが起きるといの一番に値下がりするのがこの手の物件で、この手のコンドを買うメリットを私は感じないのはそういう理由。

それとどんどん豪華なコンドが出てきますが、これらに投資するのは駄目だという否定的な考え方もマレーシア投資家の中では常識化している様子もマレーシア人のブログなどを見ていると見えてきます。つまり、賃貸に出しても借り手がいないという現実。この手のコンドを借りるのは上に書いたExpatsと呼ばれる外国人で、いくら儲けている大会社の社員だろうが、月に10000RMを超えたら極端に借り手が減るとの事。大使館の上級公務員でもこの辺が限度だと聞いたことがあります。でも、最近の高級コンドは10000RM以上で貸さないと利回りが低いような高額物件が出てきていますよね。

ま、10000RMは大げさにしても、5000RMを超える(賃貸料で貸さないと妙味が無い)賃貸物件ってどんどん竹の子のように出来ていますが、一体そんなに需要があるのか。つまり、日本円にして安く見える2500万円のコンドでも賃貸物件としては高すぎるんじゃないですか?そうでもない?(私は土地付き住宅には全く興味が無いので、それに関して考えることもしません)

で、実需は海外勢のExpats頼みであるとう高級コンドの現状、そして上に書いたようにマレーシアという国そのものがそういう構造であることを考えますと、長い目で見たマレーシアの将来がそんなに良いものには見えてこなくなりました。つまり、国そのものが外国依存。これは貿易立国のそれとはまた意味が違うわけで、内需でさえも外国依存であるというのはそれそのものがかなりのリスクになるんではないかと思うんです。日本でも外需じゃ、いや、内需だと騒がれた時期がありますが、両方とも海外依存だとしたらどうです?

海外企業誘致ではタイは競争相手でしょうし、またこれからベトナムが大きく伸びてきそうですし、またあるいは世界の大きな変化の波に強い国家構造には見えないということ。これはまさにリーマンショックでも垣間見ることは出来たはずで、Expatsが大量に国外に出て行ってしまうと外需だけじゃなくて内需も大きな打撃を受ける。また外国企業も撤退、あるいは他国へ移転となるリスクを常にはらんでいるわけで、自国の産業そのものが育っていないのはうまくないんじゃないかと思ったり。自力で稼げる構造じゃないんですから。日本がそうだとしたらゾッとしません?

でもま、それは日本とて同じかもしれなくて、海外に出なければならない事態になれば、それが自国産業だとしても海外勢だとしても同じことなんでしょうかね。

とは言うものの、最近、アメリカでもUターン企業が増えていると言いますし、日本ももっと円安になれば大きなUターン現象は起きるでしょうし、帰ってくる企業を自国で持っているか持っていないかというのは大きな差に思えるんです。

そんなことない?関係ないかな。

ま、どうなるかはわからないにしろ、こういう風に考えると日本って本当に凄い国なんだと再確認できます。韓国に出、中国に出、そしてアジアに出て、つまり誘致される立場であって、技術移転もする方。受ける側じゃない。そして空洞化が進んでいるというけれど、日本を支える技術力を持った中小企業はまだまだ多く存在し、この20年はたまたま調子が悪かったけれど、日本が持つポテンシャルの大きさって半端じゃないと思いました。

結局、国としては景気が悪いけれど、日本が持つ海外債権は世界最大だというのはこういうことなんでしょうね。

日本に取り残されている労働階級はこれからももっと悲惨なことになると思いますが、海外に出れば儲けられる企業の多さって日本が世界でもダントツなのかもしれませんね。町工場レベルだとなかなか世界に飛び出すのは難しいでしょうが、そういう時代が来たら面白そう。

これは私がいつもこのブログに書いていることですが、それこそ洗濯屋だってパン屋だって、世界に出たらいくらでも勝負できる場所があると思ってます。日本には技術プラス、真似のできないサービスがある。

もう30年以上前ですが、キュウエイカン氏が、日本に輸出する製品がなくなったとしても、どこにも真似のできないサービスを輸出するという道が残っていると言っていましたが、こういうことなんだろうと今になって納得です。

そういう見方でマレーシアを見ると、めざましい発展と言っても、その中身に日本のような厚みを感じないのです。単に誘致企業が増えればGDPも上がるんですから。ただ、アジアの小国として、不動産業態のような産業構造にして他国を利用して自国内でも儲けるというビジネスモデルというか、国家経営モデルって良く考え付いたと関心しています。ただそのモデルでの発展は日本の今までの発展とは全く異質のものであって、単純に数字の伸びとか大きさでマレーシアを判断するとうまくないんじゃないかと思いました。

将来性を考える時も同じで、その特殊性を無視するべきじゃないように感じます。

そんなの関係ない?

     
「にほんブログ村」のランキングに参加しております。是非、応援のクリックをお願いします。

にほんブログ村 海外生活ブログ マレーシア情報へにほんブログ村 海外生活ブログへにほんブログ村 海外生活ブログ ゴールドコースト情報へ