尖閣に棚上げ論はあった

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安倍さんが総裁になり、安倍政権ができたバックグラウンドに尖閣、竹島、北方領土に対する海外の動きによる日本国民の苛立ちがあると私は思っていますし、それが切っ掛けで日本はどうあるべきか、国防とは?安全保障とは?と普通の国民がさほど気にしなかったことを考えるようになったのは非常に良いことだと思っています。

特に血気盛んな若者が反応し、また主婦層までもそれを言い出し、あの秋葉原の街頭演説の盛り上がり様がそれを表していると思ってます。

その後、この数ヶ月でインターネットを中心に保守思想がどんどん広がっているし、中韓に関しての理解も深まり、また日本の絶対的な守護神であるアメリカも実は日本をうまく食ってきたし、今後もそのつもりなのが見えてきた。TPPとは何かを考えるとそれも良くわかる。

ま、アメリカのことはプラザ合意、日米構造協議、年次改革要望書の歴史を見れば一貫して何も変わってないのがわかるし、湾岸戦争、イラク侵攻をつぶさに観察していればアメリカの本性も見えるわけで、今更TPPで驚くほどのことでもないのも明白。

だからアメリカのことはちょっと横に置いといて、保守思想の広がりは私は良いことだと思うのだけれど、でもここのところ、やっぱりおかしいんじゃない?と思うことが多い。

つまり、人間ってやっぱりややこしいことを理解しようとせずに、簡単にわかること、理解しやすいこと、信じやすい方向へ動くだけだというのがはっきり見えるような気がするんです。ヘイストスピーチに代表されるあの運動家達も、言いたいことはわかるけれど異常さがある。また隣国が何か言い出すと、叩け、潰せ、あいつらはバカだの、やつらの肩を持つNHK、朝日は潰せだの、単純思考が広まりだした危険を感じます。

尖閣問題にしてもそうで、今では多くの国民が尖閣は日本の固有の領土であり、中国はあの地域の海底資源があるのがわかってから突然領土だと言い出したり(国内法で尖閣を領土と決めた)、いやいや、尖閣は中国の安全保障の意味で重要地点であり、太平洋に出て行きたい中国としてはどうしても手に入れなければならない場所なのだとか、ま、悪いのは中国で、棚上げ論なんて存在しないし、日本の領土なんだからどんどんやれという意見が急速に広まってきた。

それって本当にそうなんでしょうか。

太平洋戦争も同じで、あれは自衛の戦いであった(マッカーサーも後にそう証言している)、アジアの欧米による植民地の解放のための聖戦であったと真剣に言う人も増えてきた。

私としてはこういう動きはおかしいと思っていて、今まで振り子が左の方に寄っていたのが元に戻るのはよいのだけれど、その反動で右に行き過ぎているようにも感じます。日本の右傾化は隣国だけじゃなくて欧米でもそういう見方は強いはずで、あの戦争で日本を美化する日本人が増え、他のアジア諸国は日本を賞賛しているとかの「嘘」もどんどん広まっている。

私は右か左か、1か100か、善か悪かみたいな極論は間違っていると思っていて、自分自身の体験からも「いろいろな見方がある」とするべきだと思っています。そうじゃなければ、自国の歴史を書き換え、自国を美化するのに一生懸命なあのファンタジー国家と全く同じに見えます。

つい最近も尖閣に関する過激な(本人はそれが当たり前だと思っている)言動に接して本当にびっくりしました。

私は尖閣に関しては棚上げの密約はあったと考えています。そのことに関しては前の日記にも書きましたが

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密約はあったという学者の論理も満更外れていないと思います。この動画を参照。

また周恩来と田中角栄の話の中で、周恩来は棚上げを言い出したけれど、それを田中角栄はイエスと言わなかったとされていますが、ではノーと言ったのか。私はそこに注目したいと思います。日本人なら、返事をしないのはノーであると誰でもがわかることですが、周恩来はそれをどう受け止めたか。また、結果的には日中友好で握手をしたのだから、普通なら田中角栄は棚上げ論を認めたと言って良いと思います。この辺りの空気の読み方も日本式でイエスといったものとされておかしくないという常識があるはず。

でも今になって、棚上げ論に賛成したことは無いと言う。これって日本式だとしても卑怯な言い方だと思うわけです。

でも、周恩来と田中角栄の間にはその話がなかったとしましょう。では、1997年の日中漁業協定ではどうだったか。この時の話を持ち出す保守派の意見を私は聞いたことがありません。つまり、話題にしないということによる情報操作だと私は思うわけです。保守もやり方が汚いと感じます。

その内容はというと、それも日記に書きましたが

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日中漁業協定の第6条(b)に

北緯27度以南の東海の協定水域及び東海より南の東経135度30分以西の水域(南海における中華人民共和国の排他的経済水域)を除く。」

とあります。そしてこの地域こそが尖閣の場所。ここを除外したんですね。つまり漁業協定は尖閣の海域では通用しない。さて、この事実をどう読むのか?日本側から言えば中国はここでは操業できないと考えるのが順当だろうけれど、中国にしてみれば好きにしてよい海域と考えるかもしれない。どちらにしてもはっきり決めなかったことは「棚上げ論」と言われても仕方が無いと思います。先送りしたわけですから。

ところがこの漁業協定の取り決めのとき、時の外務大臣である小渕恵三大臣が中国に書簡を送っている。

その書簡の名は「漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の協定第6条(b)の水域に関する書簡」

内容は

本大臣は、本日署名された日本国と中華人民共和国との間の協定に言及するとともに、次のとおり申し述べる光栄を有します。

 日本国政府は、日中両国が同協定第6条(b)の水域における海洋生物資源の維持が過度の開発によって脅かされないことを確保するために協力関係にあることを前提として、中国国民に対して、当該水域において、漁業に関する自国の関係法令を適用しないとの意向を有している。

 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。

                     1997年11月11日東京で
                        日本国外務大臣小渕恵三

日本国駐在中華人民共和国
 特命全権大使 徐敦信閣下

この書簡からは誰が読んでも、「尖閣において中国の漁民が操業しても良い」、としか読めないはず。また「自国の関係法令を適用しないとの意向」と明記してある。

それなのに、漁船の衝突事故の時に船長を逮捕してしまった。ま、細かいことを言えば、あの逮捕は違法操業とした逮捕ではなくて、容疑は公務執行妨害。では何の公務執行だったのかというと「違法操業を続ける漁船に対する、日本領海からの退去命令」。

これは誰がどう見ても、「日本の領海で違法操業する漁船が退去命令を聞かずに、それどころか日本の巡視船に体当たりしてきた」ということになる。

では中国から見たら?

小渕大臣が「漁業に関しては操業しても良い。日本の関係法令を適用しない。」とした約束の反故になる。

これが良いとか悪いとかは別にして、これが事実であるということは認めなくてはならないと思うわけです。

つまりですね。保守派は何でも中国が悪い、韓国が悪いと言うけれど、日本にも落ち度があるってことなんですね。田中角栄しかり、小渕さんしかり、あるいはその間にいろいろ機会があったにも拘らず問題を先送りしてきた。これは中国からもそう見えるわけで、先送りとはまさに棚上げだということじゃないでしょうか。

最近はNHK、朝日新聞、フジテレビを糾弾する保守派が増えていますよね。売国奴だの解体しろと言う人も少なくない。確かに大マスコミに偏向報道はあると思うし、特に中国に関しては提灯持ちか?と思うくらいへりくだっているし、中国の問題点をはっきり指摘もしない。まるで中国のマスコミのように感じることがあります。これって放送法違反でもあるわけで、中立が求められているのにコメンテイターには反日と言われる学者や評論家を良く使うし、保守派は少ない。

これをどうにかしなければならないと騒ぐのも必要だと思うけれど、どうしてこうなるのかってところを飛ばしちゃうまくないと思うんですよ。

つまり、日本と中国の間には「日中記者交換協定」があるってこと。お互いの国に記者を駐在させる場合の約束事ですが、これの内容を要約すれば

1. 日本政府は中国を敵視してはならない
2. 米国に追随して「二つの中国」をつくる陰謀を弄しない
3. 中日両国関係が正常化の方向に発展するのを妨げない

これを遵守しないと駄目だという約束。つまり中国に不利になることには触れないということ。

だから天安門事件も、チベットやウイグルに関することも真実を報道しないし、報道する場合は国内の異分子の暴動という形にしかならない。台湾に関しては一貫して中華人民共和国の一部という考え方。NHKはこれは「政府の意向と合致している」というくらい。

これも嘘で、政府は中華人民共和国の意向を重んじるとは言っても、中華民国の扱いに関して賛同したわけでは無い。でもま、中華民国とは国交もないし、NHKの言い分が正しいような情報操作がまかり通ってしまう。朝日に関してはどこの国のメディアだかわからないくらいで、そもそも南京大虐殺、慰安婦問題にしても、この話を造り広げた張本人が朝日そのもの。

この「日中記者交換協定」って大事なのはわかります。それを結ばなければ記者活動が出来ないわけだから。でも産経新聞はこれを結んでいない。

そもそも誰がこんな日中記者交換協定なんてバカな協定を持ち出してきたかと言うと、なんとそれは田川誠一元衆議院議員。彼が仲間と北京入りして決めた話だと聞いています。彼は朝日新聞出身。しかも労組委員長。これが自民党の議員だったんだから酷い話です。後に離党して新自由クラブ結成。そしてこの時に一緒に離党したのがあの河野洋平なわけです。

河野洋平との繋がりは深く、河野洋平は田川誠一の義弟にあたる。

人脈が見えてきますよね。バリバリの親中派なのもわかる。河野洋平は日中友好議員連盟所属であり、日本国際貿易促進協会会長で中国投資の口利き役の親分。そして日韓議員連盟顧問。

結局こういう連中が彼らの立場でいろいろ動いて取り決めをしてきて、また彼らが狙うものとマスコミ、経済界と繋がって政治も動いていると言うことを私達は理解しないとなら無いと思うんです。

中国が、韓国がと言う前に、彼らの利益を代表して動く獅子身中の虫が日本の中にいるということ。これがあるから中国も韓国も動きやすいわけで、民主党に至っては国家安全委員長がかつて韓国に行って慰安婦問題を掲げる反日団体のデモに参加するという酷さ。元社民党の党首の福島瑞穂は、従軍慰安婦の生き証人として渡ってきた韓国の老人達に、ああ言いなさい、こう主張しなさいと事前にレクチャーしていたのもバレた。

つまり私が言いたいのは、中国や韓国を責めるまえに、日本国内をどうにかしないとどうにもならないんじゃないかということなんです。

親中、親韓が悪いわけじゃなくて、何を信じ何を望もうか勝手だし、そういう政治家を選ぶのも勝手。ただ彼らが自分達の都合のよいように裏工作さえもすることは見逃すべきじゃないと思うんです。でもま、政治とはそういうものだと言われれば、はいそうですか、と言うしかないんだけれど・・・・・。

ま、外交とは内政問題であると私は言いたいわけです。中韓を叩いたり文句を言っても無駄。元凶は日本国内にある、あったという事実をまず見つめたいと思います。そして私が気がかりなのは、安倍さんは党内に強い基盤がないってこと。そして今、また親中派が動き出しているとのこと。自民党はやっぱり既得権益、経済界と繋がってそこから抜け出ることができないのね。安倍さんとてそのうちの一人。

また尖閣問題に戻りますが、これはそもそも中国と日本の問題じゃなくて、台湾と日本の問題なんですね。中国は台湾は自分の一部とするからでしゃばるわけですが、元の尖閣問題は日台問題。

そして、沖縄返還の時に尖閣も一緒に返還されたということですが、これも一方的な見方で、昔からいざこざ、意見の違いはあったわけです。それなのに日本は我が国固有の領土だと言って領土問題が存在することを否定する。アメリカから沖縄が返還されたときに、アメリカは「統治権、施政権の返還であって、領有権ではない」と言っているんだから、その辺を無視するのもうまくないと思います。アメリカが現在、尖閣の領有権に関しては何も言わないのは一貫している。

とにかく保守だからと言って、自分達は正しい、間違えているのはあいつらだという決めつけ、美化、自画自賛はやめたほうが良いと思います。最近特に多くなってきた、アジアの多くの国は日本を賞賛しているという話。どこの国もそういう人はいるし、全く違うことを言う人もいる。これも多面性がある話なわけで、いくら自虐史観に疲れたからと言って、自分に都合の良い情報ばかり集めてそれを繋げて自画自賛、正当化に走るのは幼稚としか言い様がないと思います。そもそも、賞賛されたいという感覚がガキ丸出しだと思います。

私はマッカーサーが「日本人は12歳の少年と同じ」と言った発言が忘れられません。ただ、これは『民主主義の成熟度について「アメリカがもう40代なのに対して日本は12歳の少年、日本ならば理想を実現する余地はまだある」と述べた。』とされていて、日本人を馬鹿にしたのではなくて日本人の可能性を言ったとのこと。私にすれば冗談じゃなくて、それを信じる、信じたい日本人がやっぱり能天気なお気楽にしか思えません。当時日本では「日本人は未熟であるという否定的意味合いのみが巷間に広まり」とありますが、こういうマッカーサーの子供を引き合いにした喩えを聞いて否定的に取らない方がおかしい。ここにも日本人の自虐史観から脱皮して美化、正当化したいという思い、幼児性、甘い期待が見れると思います。

マッカーサーはまさにそういう日本人を12歳と言ったのだと私は解釈しています。そして日本は全く成長していない。マッカーサーが生きていたら、同じ事を言うかもですね。「君達はいまだに12歳だけれど、可能性はある」と。

広島にある原爆死没者慰霊碑の「過ちは繰返しませぬから」という文章にも違和感を感じます。過ちって誰の何を言っているのか?それをはっきり議論できない日本に真の平和が訪れることは無いはず。もし日本人に過ちがあるとして、その過ちを繰り返さないために、理想論に走りファンタジーの世界に逃げ込むとしたら最悪。これも12歳の発想。

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