またタコの話かって?はい、タコ命なものですいません。
イイダコってご存知ですよね。あの小さなタコ。
タコ大好きオヤジなんですが、多分この10年、いや30年間の内にイイダコを食べた覚えがありません。イイダコもタコなのに何故?となるでしょうが、若い頃に釣り好きで乗合船に乗って良く釣りに出かけたんですよ。で、イイダコってのも東京湾名物の一つで、昔はいくらでも釣れたのね。その頃、多分一生分食べちゃったろうと思うのだけれど、美味しい~~って思ったことがないんですよ。当時は美味しい真ダコが市中に流れていたからかもしれませんが、あのちっこいタコじゃタコとしての歯ざわりは期待できないし、もう食べたくないとずーっと思っていました。
ですからオーストラリアに来て美味しいタコを見つけるのには随分苦労しましたが、でもどこでも売っているイイダコを食べる気は起きなかったんです。
最近、日本人の魚屋Real Fishで冷凍の水蛸を買ってきて、それを低温調理すると美味しくなるのは日記に書きました。でも1キロ40ドルです。地元の魚屋(チャリス)で売っている大きめのタコは1キロ25ドル。この差って大きいですよね。ですからチャリスのタコをどうにか美味しく食べる方法はないかと今まで随分実験してきたのですが、イマイチ。もうこれが限界かと思った時に、買いに行くと常に横に並んでいるイイダコのことが気になってきました。
数十年ぶりに食べてみようかと。
買ってきたイイダコはこんな感じ。東京湾でよく釣ったイイダコに比べると二回りぐらい大きいかな。綺麗に掃除がしてあってヌメリもありません。1キロ17ドルで結構安い。
とりあえずは茹でてみました。沸騰したお湯で約5分ぐらい。手のひらにチョコンと乗る可愛いタコになりました。
醤油をちょっと掛けて食べてみると結構美味しいじゃ~~~ん。味としてはもしかしたら一番かもしれないぐらいタコの味がします。でも歯ざわりがやっぱりなんか変。プリっとしないし茹でたタコの感じじゃないんです。結構フニャフニャしていて文字での説明は難しいですが、やっぱり私の好きなタコの食感はない。歯切れも悪い。
でも美味しいのだったら使い道はあるわけで、さてどうしましょう。
結構悩んだ挙句(笑)、洋風にしてみようと思いました。煮込みね。
まずは洋食といえば基本中の基本のミレポア作り。オニオン、ニンジン、セロリ。
フライパンにちょっと多めの油を入れてニンニクの刻んだものを炒め、香りが出てきたところでミレポアを投入。しっかり炒めます。で、こんな感じ(ちょっと焦げ目が出来るくらい)になったら適当な大きさに切り分けた生のままのイイダコを投入。
これをガンガン炒めて行きますとタコからかなり水が出てきてますが、タコに火が通った頃に冷蔵庫の中の余った野菜を適当に投入。とりあえずトマトと大きな大きなマシュルームを入れました。こんな大きなやつを5つ(笑)。
そのまま火を通していきますとトマトやマシュルームから結構水分が出て、スープストックを足す予定でしたが、それはパス。それをそのまま中火で煮込んでいきます。水分がそれなりに飛んだところで初めての味見。
うま~~~~~~~~~。なんなんじゃこれは?
どこかで食べた感じの味。そうそうまさにブイヤベースの味。調味料は何も入れていないのに、塩分もあるし甘みも十分でこんな美味しい洋食のスープは我が家では食べたことがないくらい。
でもこれで完成ではなくて、ここからパンチを効かせて味付けをしていくわけですが、こんな料理を作ったことも無いわけですからどうしたら良いのか全くわからず。最初の予定ではトマトペーストを入れて絡めようと思っていたのですが、なんとなくそれはパスして、食料庫の奥のほうで放置状態にあった「タンドリカレー」のペーストを入れることにしました。もちろん賞味期限切れですが私は(ヨメサンも)(グアムで慣れていますので)そんなのは全く問題なし。(ちなみに昔のグアムって酷くて、スーパーで売っている缶詰が錆びていたり、膨らんでいたり、そんなのを我々は平気で食べていました)
タンドリカレーってあのインド風味ってことですが、こういう瓶に入ったペースト状の物。
ただ全体に入れる勇気はなくて、小さな鍋に4分の1ぐらい取って、そこにこのタンドリカレーの素を入れ、2,3分炒めてみました。それがこれ。
美味しいことは美味しいのですが、タンドリの味が勝ちすぎて元の美味しさが隠れちゃっていました。この味にするなら良い素材を使い、手を掛ける必要は全くないはず。でもこれをご飯と食べたらかなりイケるのは間違いなくて、タンドリカレーそのものの味は結構辛くてレモングラスのパンチが効いていて良いと思いました。このペーストは使い道があるはず。(このペーストは糖質が100g中、1.5g程度しかありません)
でも今日みたいな美味しい素材にこの味付けをしたらもったいないのは間違いがなくて、だったらちょっとだけ風味付けに入れたらどうかと思って、ちょっとだけ入れて味見をしたのですが、まぁ、これなら良いかなという感じ。でも中途半端でどっちつかずみたいな感じもするわけで、今日の洋風タコ煮込みはブイヤベースの方向で考えたほうが良さそう。
じゃ、ブイヤベースってどんなハーブ、調味料を入れるの?
そんなことがわかるわけもなく、詳しいことを調べてみようと思いましたが、この煮込みの素材がかなり美味しいので、訳のわからんものを入れてそれを壊してしまうほうが怖いような気がしました。ということで後で食べるときには単に塩コショウ程度で味を整えて食べるつもり。せいぜいバジルでも刻んで乗せるか。ああ、コリアンダーも良いかも。
しかし、このイイダコはダークホースでした。煮込んだイイダコは3分の1ぐらいの大きさになってしまい、6センチぐらいあった頭は2センチ程度の子供みたい。思わず「坊や、お母さんはどこに行ったの?」と聞きたくなるぐらいで、鶏卵がウズラの卵になってしまったぐらいの違いがあります。でもその分、旨味がスープに出ているってことなんですね。それを考えると、今まで自分が作ってきたタコの柔らか煮って随分もったいないことをしたと思います。タコだけ食べて煮汁は捨てるか、あるいは炊き込みご飯に少量使うぐらいでしたから。でも本当はこの煮汁が大事なのかもしれませんね。
ブイヤベースの味と非常に似ていると思いましたが、海産物はタコしか入っていないわけで、次回、これにムール貝、エビ、蟹、魚の切り身とかそんなものを入れて同じように作ってみようと思いました。あああ、どこでも売っているシーフードミックスで良いかもしれませんね。でもタコだけは別に買い足した方が良いかも。
美味しかった~~~。ご馳走様~~~~。料理実験って本当に面白いです。
ちなみに血糖値ですが120.6mg/dlでした。高すぎるなぁ(贅沢言うな? 笑)。だって糖質らしい糖質はないのにこれですもんね。私としては110以内に抑えたい。でもま、考えてみれば小さなバケツ一杯ぐらいの素材を炒めて煮込んで水分を飛ばして味を凝縮させているわけですから、ちりも積もれば山となるの言葉通りなのでしょう。野菜スープも同じで、野菜だからと安心するとこういうことになるんですね。ましてや糖質の高い野菜を多く入れたらご飯や麺、パスタを食べるより糖質は多いということになってしまう。先日ヨメサンが作ってくれた幕の内弁当にはご飯も茶碗一杯分ぐらいはあったのに血糖値はさほど上がっていなかった(野菜スープだけ食べた時より低かった)という点はきっちり覚えておこうと思います。