牛骨スープとオックステイル

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本当に止まることの無い好奇心ですが、自分でも呆れるもののやっぱり面白いです。

昨日買ってきた牛骨でスープを作りました。

牛骨スープというと、まぁ牛骨のスープですが、これって洋食の基本であるブラウンストック、そしてそれの派生としてのデミグラスソースを作るのがまさにこれなんですね。そんなのは常識だと言われればそれまでですが、料理なんか別世界だったジジーに言わせるとこれって凄い驚きなんです。

自宅でスープストックを取ることはなくても市販品は買ってくるわけです。でも(鶏ガラスープは別にして)牛のストックをどうやって作るのかは私は知りませんでした。半端な肉を煮込んで作るんだろうぐらいに思っていましたし、デミグラスソースにしても半端じゃない面倒くささは知っていましたが作る手順なんか知らなかったわけです。

まさか牛骨スープが基本にあるなんて、嘘だろ?の世界。(笑)

ということでいろいろやってみようと思って買ってきたのが昨日の牛骨。それもただの骨じゃ無くて大腿骨の骨(首の骨も良いらしい)で骨髄がしっかり入っている骨です。

こんな骨。約2キロ。

牛骨スープで調べると、それこそレシピはいろいろで国によっても違う。でも洋食の基本的なものを作ってみようと思いました。

まず200度程度のオーブンで45~60分、これを焼く。でもここでまず引っかかります。我が家は私に備え付けのあの大きなオーブンを使う許可がおりていませんので、仕方が無く安物の私専用コンベクションオーブンで焼いてみました。骨には何もつけずそのままです。

60分でそれなりに焼き焦げが付く状態に。

これを焼いている間に一緒に煮込むミレポアを用意します。材料は三種の神器であるオニオン、ニンジン、セロリ。それにガーリックを足しました。

材料はこれだけ。

フライパンにバターを入れ、オニオン以外を炒めます。それもしっかり焦げ目をつける。この焦げ目をつけることをキャラメライズすると言うようですが、これが旨味になる。これってソースや醤油がなぜ茶色なのかも同じなんですってね(メイラード反応)。

大きな鍋に骨を入れ、野菜類も入れ、水を入れます。見た目はなんだか薄汚いですが、ま、そんなもんでしょう。

さてここで悩んだのは、本来ならここでハーブ類も入れるんですね。でも私としては素のままのスープに興味があったので使い慣れているベイリーフだけにしました。あとはパセリをステムごと投入。

これを強火にかけ、まずは沸騰するまで持って行きアクを取ります。

では次にどうするか。ここが問題。本来は弱火のシマー状態にして12時間は煮こむわけです。

12時間・・・・・・・・・やってられるか~~~~、そんなこと~~~~~、ということで圧力を掛けることに決定。でも最近、火を入れる意味を勉強すると圧力鍋を使いたくなくなるんですね。そんなことをしたら香り、旨味が飛んでしまうような恐怖があります。また素材の味が全部抜けちゃう。でもスープを作るということは素材からの旨味を引き出すわけだからそれで良いとしても、香りが飛ぶのは気になります。というのも以前、何の料理か忘れましたが、スパイスをこってり入れて圧力鍋に掛けたのですが、スパイスの香りがしっかり抜けちゃったのを経験しました。ま、科学的な理屈は証明されましたし納得しましたが、こういう素材の香りがどうなるのかはわからず。

でもま、良い物を目指すより、とりあえず作ってみるほうが大事ですから、あまり面倒なことはしないほうが良いかと。ということで90分圧力をかけてみました。

中身を全て取り出してスープを濾したらこんな感じ。野菜類も全て捨てますが濾す時には潰しません。出来れば透明なスープが欲しかったのですが、そもそも圧力鍋に掛けるのだったらそれは無理かもですね。

骨の髄もしっかりスープに溶け込んでいる様子。骨の髄の部分は空洞になっています。

本来はこれを急冷し、室温になったら冷蔵庫に一晩入れるんでしょう。ところがこんな量のスープを入れる場所は空いていませんし、かなりマメに油をすくって捨ててみることにしました。冷蔵庫に入れると次の日には上に油の層ができるはずで、その方が楽だし完璧ですね。

ここで味見をしてみましたが、なんら感激するような味は無し。まさに牛骨スープの味がするだけ。

そして、第二ラウンドですが、ここで本来なら肉の固まりを焼いて投入するわけですが、今回はごっそり買ってきたオックステイルを使うことにしました。

全部で2キロ以上ありますが、骨の部分が結構ありますし、オックステイルを作るといつも最後は争奪戦になりますので、ま、この量が多すぎるということはないはず。

この肉もフライパンでしっかり焼き目を付けます。胡椒を降る程度(塩は使いません)。やっぱりこの焦げが洋食のポイントなんですね。私が今まで考えていた「焦げ」と洋食の「焦げ」とはかなりイメージが違います。私の感じだと焼き過ぎ、焦げ過ぎが洋食の普通の焦げのイメージ。動画レシピを見ていると「それって焦げ過ぎだろ~~」なんて思うこともしばしば。

こんな感じで焦げ目をつけていきますが全部の量はこれの2倍。

焼きながら考えていたのですが、日本でよく言う「味を逃さないために焼きます」って本当に嘘、勘違いだと思います。ハンバーグとか炒めものならわかりますが、煮こむ前に焼くのは味を閉じ込めるためだなんて良く言うわと思います。お湯の中に入れて煮込んで味が出なかったらスープになりませんし、味を出し、そしてまた再びスープから美味しい味を取り込むから煮込みって美味しいんですよね。焼くのは「焦げ目をつける」のが一番の理由で、多分焦げの大事さを洋食で強調するのは日本以上ですから、その辺の意識が日本人には欠落しているのかもしれないと思いました。そして焦げ目をつけるのはまさに味付け以外の何物でもない。面白いですね~。

これを焼いた後にまたミレポアを炒めます。もちろんここでもしっかり焦げ目をつける。第二回目のミレポア炒めですが、今回はタマネギも入れますし、焦げ目がつきやすいような切り方にしてみました。

これから煮込んでいくわけですが、前の骨ならまだ良いにしてもここからは味作りが重要になりますから圧力鍋はやめようかと思いました。旨味が飛ぶようなことがあったら意味がありませんから。

と、思っただけでやっぱり圧力鍋(笑)。1時間掛けました。これって長過ぎるような気がしますし、肉を投入してからは煮込みすぎては雑味がでるそうなんですが、以前オックステイルを作った時に(圧力鍋)、時間が短すぎたような気がしましたし、トロントロンのオックステイルが好きなので1時間に決定。

え?食べるの?なんて言われそうですね。どうもかつてのフランスではこの肉は出汁を取るための肉であって、日本で言えば昆布や煮干しと一緒。それを食べることはなかったそうです。で、それは下男下女、使用人、小作人の口に入ったとのこと。そしてかつてはニンニクはそういう人たちが使うものだったらしいですね。そんな話を聞くと、私が食べているもの、好きなものはその手のものばかりだと思いました。住む世界が違うのか。(笑)

1時間後。

スープの色もそれらしくなってきました。焦げを作らないとこの色は出ないみたいですね。まさにブラウンソース。濁っているのは圧力鍋を使ったからだと思います。多分プロの世界ではこういうのは作らないのでしょう。それとも最終的に卵の白身を使えばコンソメみたいな透明できれいなスープになるんでしょうか。それもいつか実験したいと思っていますが。

本来はここで中身を取り出し、漉して、スープだけまた煮込んでいくわけですが、今回はそれを止めにしました。私としてはスープストックが大事ではなくていかにオックステイルを美味しく食べるかのほうが優先です。

まずは味付けは塩コショウだけにして、スープは漉して試食。ハーブ類はなかったのでネギを刻みましたがこれが大正解。やっぱり日本人はこれじゃないと(笑)。ちょっとパンチがほしいのでチリフレークを振ってみました。

毎度の自画自賛ですが、激ウマでした。こんな美味しいオックステイル(の元か)を食べたのは生まれてはじめてかも。

これを素材にしてこれから味付けをしていくわけですが、悩みます。このまま塩コショウだけで食べたほうが良いと思います。というかこれに濃い味付けをしたらもったいないと思いました。

でもですね、最初にわざわざ骨を焼いてスープを取った意味があるかというとそこは疑問。確かに味は濃厚になりますが、それをすることによって美味しさが倍増するわけでもない。でも美味しさは20%アップかな程度の感じ。でももしかするとその20%のためにやるべきことなのかもしれませんね。料理ってそんなことの積み重ねみたいな気がしないでもありません。

それと一つ気がついたことですが、オックステイルって結構脂が出るんですね。私はそもそも脂が嫌いじゃありませんが、こういう濃厚なスープでもし脂がギットリしていたらそれはそれは恐ろしい物になるだろうと思いました(ヨメサンが作るときには下湯でした後、脂肪を綺麗に取り除いてから煮込みます)。だからブラウンストックを作る時、あるいはデミグラスソースもそうですが徹底的に脂分を取るのだろうと思いました。これは私にしてみると新しい発見です。牛肉の煮込みだから脂分が多いのはあたり前ぐらいに思っていましたが、これは大きな勘違いですね。これは豚も同じで今後はこの辺に注意して作ってみようと思います。

で、骨のスープを取ったのがオックステイルとして不要なのかどうか。オックステイルにも骨が当然あって、そこからも髄が出ていますし、骨のスープとオックステイルだけのスープとかなり似ていると思いました。ということは骨のスープは無くても良い。

でも濃厚な味が欲しければ骨のスープも取るということなんでしょう。そんなことを考えながらユーチューブの動画を見ていましたら、オックステイル料理のレシピの中に、牛の骨(髄が入っているもの)を煮こむ時にオックステイルとともに1本入れるというのがありました。なるほど~~~ですね。

また私はトロントロンになったオックステイルが好きですが、そうじゃないほうが良い人もいるはず。またしっかり煮込めば肉は味の抜け殻になるわけですから、スープの味を取り込むにしてもオックステイルを美味しく食べるにはほどほどの煮込みが良いのかもしれません。そうなると濃厚なスープは作れませんから、では骨を入れましょう、あるいは骨でまずスープを取りましょうってなるんでしょう。あるいはブラウンストックを使う。あるいは味付けでデミグラスソースを使うってことになるんでしょうね。

まだオックステイルはたっぷり残っています。嬉しいなぁ。これも最終的には争奪戦になるのだろうか。 (笑)

最近韓国料理を真似ることが多くなりまして、それも元のレシピを自分の好きなようにいじるのですが、これが結構面白いんです。で、このオックステイルも韓国風にしてみようかと。でもコムタンスープみたいのじゃなくて、ユッケジャンスープの感じにしたら面白そうです。ユッケジャンスープにはワラビの乾燥したもの、タロイモの茎を乾燥したものを水で戻して使うのですが、そんなのも入手しましたし韓国産の美味しい粉末唐辛子をたっぷり入れて作ってみようと思ったり。コチジャンを入れて野菜も入れて豆腐も入れて、ユッケジャンスープ、チゲのアレンジのオックステイルなんてわけのわからんものも美味しそうです。

実は私はオックステイルスープにハヤシライスの元を入れるのが一番好きなんですが(笑)、それも捨てがたい。これをカレーにしても激ウマだろうと思うし、いろいろ想像するだけでも楽しくなるほど素材としての出来は良いと思います。

うーーむ、やっぱり下手に手を加えるとやっぱりもったいない感じ。美味しいものはシンプルに食べるのが一番かもですね。

美味しかった~~~~。ご馳走様~~~~。久々の大ヒットでした~~~~。

--------(後記)----------

今日は2015年3月5日ですが、この日記の「美味しいスープ」ですが、失敗だとわかりました。最近、スープを取るのに「圧力鍋を使ってはいけない」ことがわかりました。温度が高過ぎるのが駄目そう。この辺はまだ正確なことはわかっていないのですが、この日記の写真を見ても「牛骨」では白濁(乳化)しているのがわかりますが、その後、この色が消失しています。これは「酸化」「劣化」と同じことらしい。

乳化は水と油の混ざっている状態ですが、それを助けるのがゼラチンの仕事。ただこのゼラチンは高温にさらされると変性するのはわかっていて、「解乳化」(乳化状態が解かれること)が起きたのではないかと。

また野菜類も長時間高温で煮ますと、まずさが出てくる様子。

この辺りはまだ検証していませんが、この後に何度か同じようなものを作っていますが、全く美味しくありません。その理由は焼いていない、つまりキャラメライズしていないのが原因だと思っていましたが、韓国料理のコリコムタンやソルロンタンは焼かないのに美味しい。ここの差はなんなのか、それを今後検証してくつもりです。

 

 
    

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