皆さんはどうかわかりませんが、私は牛にしても豚にしても、部位の名前は知っていてもそれがどの部分のどの肉か、そして「塊はどんな形でどう見えるか」というのを知りませんでした。鶏の場合は部位の種類も少ないですからわかりますが、豚や牛はかなりややこしいと思っていました。
でも外国に住むとそれじゃ駄目なんですね。日本語でなんというのかわかっていてもどうにもなりませんから。テンダーロインだサーロインだはわかるにしても、ではカルビは?ハラミは?中落ちカルビは?となると結構困るんですね。ましてやザブトンじゃイチボじゃなんてことになったらアウト。
それを英語で説明するにしても、そのものがどういう肉かわからない限り説明ができないわけです。日本食料品店で売っていれば、あるいは日本人がやっているような焼肉屋に行けば良いですが、日本語表記がなかったらアウト。あるいは肉を見て判断するわけですが、私は塊を見ても何がなんだかわかりませんでした。
ロースト用なんて書いてあってもそれがどの部位かもわからないわけですよ。しょうがないんで、それを食べて、これはこういうものだと思っても、でも次に買ったら何か違う。料理法や味付けは同じでもまさか出来上がりがまるで違う部位の違うものがあるなんて想像さえしませんでした。ですから美味しいと思った場合は、どのスーパーのどのロースト用という覚え方をせざるを得ませんでした。本人はどの部位を食べているのかもわからずに。(笑)
そんなこともあってネットで調べて、ある程度のことは覚えましたが、最近、自分で調理をするようになってやっぱりまだまだ自分の知識じゃどうにもならないと思うようになりました。
まず部位そのものを覚えないとハラミを英語でなんというか覚えても駄目だと思うのです。でも部位の勉強って簡単そうで簡単じゃないんですね。図で見て場所がわかっても、それが実際にどういうふうに「見える」かわからないと意味が無い。「これをください」ということもできません。
でも勉強していくと、自分が好きな肉は実は「横隔膜」であり、肋骨の骨と骨の間の肉であることがわかったり。(笑)
ですからユーチューブで肉を解体する動画を見て勉強してきましたが、今度は部位がわかってもそれがどういう部位かという詳しいことはまた別に調べないとわからない。かなり面倒なんですね。
ところが今日、結構わかりやすいのを見つけました。肉のプロが肉を切りながら「素人」に教える動画。こういう部位の理解が進むと、自分が手に入れる時に外人にどう説明したらいいのかがわかるようになります。
社会福祉法人が「どんまい」という障害を持つ人たちが集まるお弁当屋をやっているんですが、その研修風景です。前半は肉そのものに関してで、後半はそれの切り方とか注意点でダラダラしますが、私には非常に参考になりました。
豚肉に関してです。
また大雑把なことは知っているけれど細かいことはわからないという人向けのサイトも見つけました。例えば豚ですが、内もも、外もも、ランプ、しんたまとか。このサイトは牛に関してもかなり細かい部位の理解が進みます。それぞれの名称と「どんな料理に向くか」もわかりやすい。
九州肉食学問所
豚肉部位 – 九州食肉学問所(大分県大分市)
ここはかなり詳しいです。
東京都卸売市場
牛・豚の基礎知識 -畜産副産物
かなり細かいこともわかりますね。
前にも書きましたが、こちらのスーパーで「ショルダー」と書かれていても随分違う肉質のものがあるんです。でも私はそれら全て「同じもの」として考えてきました。だって細かいことがわかりませんから選び様も無いんですね。でもそもそも部位が違うのだから出来上がりも違って当たり前。これはバラ肉も同じで、普通バラ肉なんて皆同じだと思うじゃないですか。でもちょっと場所が違うだけで全く違うのは角煮を作ってみてよくわかりました。
プロのが美味しいのは、まず材料選びからして違うってことだと思うんです。でもそれがわかならければ全く頓珍漢なことをやりながら悩み続けることになる。
ところが最近、やっぱり勉強の効果でしょう。なんて書いてあるかではなくて「目で見てわかる」様になってきました。ですから、「自分が買うべき肉」をほぼ正確に選べるんですね。日本なら肉屋さんに「XXX用のをください」といえば済みますが、海外でそれをやると「彼らの常識の範囲」でしかやってくれないのね。「背脂(Fat back)」をくれと言っても、どうせわかりゃしないだろうと腹の脂も混ぜてきたり、ショルダーが欲しいのにリブの部分が多かったり。
こういうこだわりがそもそもこちらの消費者に無いのだろうと思います。だから売る方もそういう売り方をするのでしょう。
そしてわかってきたことは「美味しそうに見える肉」と「実際に美味しい肉」とは関係ないんですね。だからやっぱり部位がわからないと見た目で選んでしまって、「こんなもんかぁ」と思ったり。みなさんはどうかわかりませんが、私の場合はそんな感じでした。
でもどういう部位が、どういう風な料理に合って、それが切ってあったらどう見えて、塊ならどう見えるかがわかってくると、肉屋を歩いていて、肉を見るだけで結構わかってくるようになりました。これが結構楽しい。 (笑)