肉に焼き目をつけると肉汁がでないというのは嘘【備忘録】

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肉に焼き目をつけると肉汁がでないというのは間違いだとこのブログでも何度か書いていますが、それが実際に間違いであると書いてある書籍があるのがわかりました。

「マギーキッチンサイエンス」というベストセラーの本があるらしいのですが、その中にそれが書かれているとのこと。

マギーキッチンサイエンス ―食材から食卓まで― / Harold McGee  著 香西 みどり 監訳 北山 薫 北山 雅彦 訳 | 共立出版

私としては「焼く」場合は、肉汁が出ないこともあるだろうと思っていました。ステーキやハンバーグがそれで、最初にしっかり焼き目を付けないとジュルジュル肉汁が出続けるイメージを持っていました。今でもそうじゃないかと思うくらい。(笑)

ただ、煮込みの場合でもそうだと書いているプロがいるのをあちこちで見て、それは違うだろうと思ったわけです。中学生レベルの科学でもわかるはずで、焼き目をつけようと水の中で煮込んだ場合、どうしたって肉汁は出るし、また溶液の味は素材にしみる。その作用があるから「煮込み」がなりたつわけで、焼き固めた肉を煮込んだら「肉汁は出ない」し「味もしみこまない」なんてことがあるわけがないですよね。

このマギーズキッチンサイエンスという書籍ですが、中身を若干読むことが出来るようになっていて、その該当部分がネットでも読めるようになっています。

肉の表面を焼きつけると肉汁が逃げないってほんと?  ← クリック

若干引用させてもらいますと、こんな感じ。

焼きつけの意味

調理法の説明でよく使われる表現に,「肉汁が逃げないように肉を焼きつける」というものがある.1850年頃,ドイツの高名な化学者ユストゥス・フォン・リービッヒによって考え出されたものである.その数十年後には誤りであることが証明されたにもかかわらず,今もプロの料理人でさえこれを信じる人が多い.

リービッヒの考えは,あっという間に料理人や料理本の著作者の間で人気を博し,そのなかにはフランスの高名な料理人オーギュスト・エスコフィエもいた.しかし,1930年代に行われた簡単な実験によって,リービッヒは間違っていたことが証明された.

肉の表面に形成する皮が水を弾かないことは,多くの人が経験から知っている.鍋やオーブンの中,あるいはグリルの上で肉がジュージューと音を立て続けるのは,水分がしみ出して蒸発し続ける音である実際には水分損失は肉の温度と比例するので,高温で焼きつければ低温の場合よりも肉の表面は乾燥してしまう.ただし,焼きつけることによって肉の表面で褐変反応産物が生じて風味は増し(p.751),この風味が唾液の分泌を促進する.リービッヒやその後継者たちは,肉汁を閉じ込めるという考え方は間違っていたものの,焼きつけることで肉をおいしくするという点では正しかった.

結局焼くのは「メイラード反応」を起こさせて(焦げる)、風味をつけるということ。

そして低温調理オタクとして抑えておかないとならないことは、味を逃さないように焼くのが意味が無いのは同じですが、下手に焼くと「密封調理」であるからして、その「焦げの風味が回り過ぎる」ってことなんですね。ここは非常に重要だと思います。(オーブンでも低温調理は可能だけれど、その場合は別)

それとはまた別の話ですが、フランス料理で言う「ブレゼ」の科学はこれまた面白くて、(焼き目は別にして)水で煮れば素材の味は水に出ていく。ところが水ではなくて「濃い調味液」などの場合は浸透圧の関係で「素材の味が外に出にくい」そして「味は付く」ということらしい。

ここも大事なところだと思うわけで、真空パックするときに素材だけなのか、調味液も入れるのか、あるいは水を入れるのかで「最終的な出来上がり」が変わるってことですよね。

この辺は私は実験途上で、今の段階は「素材に火を通す」ことだけしか考えていません。ですから「その後」鍋で煮るなどして料理としての味付けを考えるパターンです。でもこれでは真空調理としての低温調理の良さを出せていないってことなのでしょう。

でも濃い味のスープなりと一緒に低温調理すれば、少ない量で、素材の味を逃さずに味付けができるってことになる。

プロがスチコンを使って「鯖の煮込み」を作る映像を見てびっくりしたのですが、醤油などの調味液がほんのちょっと一緒に真空パックされているだけなんですよ。それで味がつくのか?と思いました。

でもそれに間違いはないのでしょうし、なおかつ普通に煮込むより素材の味が残っているということなんでしょうね。

これは私にとってはこれからの課題で、実際にやってみないとなんとも言えないところですが、低温調理の場合、普通に煮こむような「調味液」の考え方とは違う知識を持たないと駄目なんだろうとは思っています。

この映像を見て、こんな程度で味がつくの?って思いました。低温調理というか「真空調理」です。

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