世の中には面白いダイエット法がいろいろあって「冷や飯ダイエット」もその内の一つ。
温かいご飯ではなくて「4度以下に冷えた御飯」を食べると痩せるという。
この理由だけれど、ご飯が太る一番の理由は「澱粉」。これは「糖質」であって、糖質制限食ではご飯を食べないのはそれが理由。
ところが澱粉には「難消化性澱粉」というのがあるらしく、これはまさに字の通り、「消化しにくい澱粉」。もしお米の澱粉をこの澱粉に変化させることができたら「消化しづらい」わけだから血糖値も上がらず、デブになりずらい、あるいは痩せるということが起きる。
で、ご飯を冷やすと全部ではないもののこの「難消化性澱粉」が増えるらしい。
ということでネットでは多くのそれに関する情報が溢れていますが、私は学者の書いているものはまだ見つけていませんし、
◯ 普通の澱粉が難消化性澱粉に変わるメカニズム
◯ どのくらいの割合でそれに変化するのか
など、大事な部分が欠落してて、「難消化性澱粉になるから痩せるのだ」という「プロパガンダ」に近いような記述ばっかり。又聞きの又聞きばかりであって、そして面白いのは「それで痩せました」という実例を私はまだたったひとつも探せていないってこと。
つまり、体験談じゃないのね。
「痩せる話」を面白おかしく書いているだけみたいなもんで、私に言わせれば「ゴミ」としか言い様が無いです。実証もせずに書いているんですから。
ただ、この「ご飯が冷えると難消化性澱粉」が増え、ダイエットに効果的だというのは2004年の(あの権威ある)ネイチャー誌に掲載されたらしい。
せめて「これが効く」と書くなら、そして実証もしていないなら、このネイチャー誌の論文ぐらい転載しろっつーーの。(笑)
ま、そんなこともありまして、これが事実ならやってみる価値はありそうですが、実例がまるで見つかりませんので私は無視していました。もちろん真似するにも真似する相手がいないんですからどうにもなりません。
ところがですね、ちょっと前になりますが、このブログの読者から頂いたコメントに面白い情報が書かれていました。これを実験し、改良した論文が出ていると。
概要は、お米を炊くときにココナツオイルを入れ、炊き上がったら冷蔵庫で12時間冷ますと、カロリーが半分になるということが確認されたそうです。
食べるときに再加熱しても効果は変わらないそうです。
ココナッツオイルとともにお米を炊くと、ごはんに含まれるでんぷんが消化されにくいでんぷん(レジスタントスターチ)に変わるそうです。
冷やご飯も同じような効果があるということで冷やご飯ダイエットというのが存在しますが、ココナッツオイルと一緒に炊くと再加熱しても効果が変わらないところがすばらしいですね。
ポイントは
◯ ココナッツオイルを炊くときに混ぜる
◯ 冷や飯だけだと再加熱すると「難消化性澱粉」は元に戻るが、この方法だと元に戻らない
スリランカの研究チームが出した論文です。今年の3月のニュース。
New low-calorie rice could help cut rising obesity rates – American Chemical Society
この論文を見てわかることは
◯ ココナッツオイルである必要はなさそう。いわゆる「油」がその働きをする様子。
◯ 米にかぎらず、豆類やサツマイモでも冷やすと同様の効果があるらしい。
◯ (油を使う)炒飯やピラフではこの「難消化性澱粉」が多くなるのは知られていたこと。
◯ 油(このケースではココナッツオイル)を使い、なおかつ冷やすということで米のカロリーを半分にすることが出来た。
おもしろいですねぇ。
でももっと面白いのは、日本人はかつて「温かいご飯」を食べるのは朝食だけで、昼夜は冷や飯を食べるのが普通だったそうです。だから昔の日本人は太っていなかったという論を書くカウンセラーもいる。これって、一生懸命食べても栄養にならなかったってことですよね。(笑)
冷や飯を食べると脂肪が燃える : 石井苗子の健康術 : yomiDr./ヨミドクター(読売新聞)
ただこのカウンセラーの言う「痩せる理由」は「糖質制限」の見地から言っているんではないんです。この中に注目する点があるんですが、まず
現代の日本人を対象にした難消化性でんぷん質の入った朝ご飯を食べさせたグル―プと、そうでないグル―プに分けた研究でも、前者の方が脂肪がよく燃えていたことが確認されています。
そして「脂肪が燃える理由」としてこういうことを書いています。
難消化性でんぷんの特徴は、胃で消化されにくく小腸で吸収されずに大腸まで届くことです。いわば食物繊維のように働くでんぷんで、これが腸内細菌に分解されて、腸を守る「酪酸」とか、脂肪を優先的に燃やす「プロピオン酸」になる。
ただし、ココがポイントです。
私はもう整腸剤をいつも飲んでないとお腹の調子が悪くて、冷たいおにぎりを食べると胃もたれが激しくてたまりません。お腹は冷やすなと医師に注意され、家では腹巻きをつけているぐらいなので、冷や飯ではなくて温かいおかゆを食べてた方がよいのではないかとすら思ってしまいます。体脂肪は他の方法で燃やした方が自分の場合は健康にいいのではないかというのが結論。
最近、腸内細菌の研究が進んでいてこれはこれで面白いのですが(他人の腸内細菌を入れると体質が変わるとか)、整腸剤、つまり腸内細菌であるミヤリサン(宮入菌)とかヤクルト(糖分が非常に高い)を積極的に摂るのは良いことかもしれませんね。そしてこのカウンセラーは「油を入れて調理すれば【再加熱しても大丈夫】ということを知らないわけで、上のスリランカの論文と組み合わせると、面白いことが起きそうな気がしてきます。
カロリーが半分になっているのか、あるいはたとえ若干でも減れば面白いですし、油を入れれば「再加熱」しても大丈夫となればいろいろ調理法は考えられますよね。
でも残念ながらカロリーがどのくらい減っているのかを知ることはできませんよね。そういう測定器具があるのかどうかも知りませんが、少なくとも私は持っていません。
でも、消化されない、ということなら当然、血糖値の上がり方も小さくなるはずですので、血糖値測定器で計ってみれば嘘か本当かはすぐにわかりますね。
たとえ本当にカロリーが半分になっていたところで、血糖値が上がっているなら「全く意味が無い」ということになりますし。
その内、実験をしてみます。
教えてくれた読者の方にお礼申し上げます。m(_ _)m