乳酸菌やビフィズス菌のことを調べている内に、本当に世の中には恐ろしい数の種類があってそれぞれの特性や効能がちがうことと、最適な生育条件も違うのがわかってきました。
単一の菌しか使っていないのであれば、またそれが特殊な菌ではないとすればそれを複製するのは難しくないかもしれませんが、いろいろな菌が入っているようなヨーグルトの場合、自分がそれを培養してもその中のどの菌が増えているのかは素人にはわかりようがなく、元のヨーグルトと同じ菌が同じように増殖しているとは思わないほうが良いと考えるようになりました。
例えば有名なブルガリア菌ですが、今私が種として使っているヨーグルトにもそれが入っています。そしてブルガリア菌って大抵アシドフィルス菌とペアになっているんですね。
これには理由があって、アシドフィルス菌はまず増えだすと「蟻酸」を作り出す。そしてその「蟻酸」がブルガリア菌の増殖を助けるとのこと。つまりブルガリア菌だけで増殖させるより効率が良い。ヨーグルトを作るのに「蟻を入れる」という話を聞いたことがありますが、あれって冗談じゃなかったんですね。「所さんの目がテン」だったか実験していたそうです。蟻が出す酸を「蟻酸」という。
またヨーグルトの中の菌も飽和するとそれ以上増えないとのことで、その場所をどの菌が取るのかも考えないとならない。ある環境において特定の菌だけがどんどん増殖すれば他の菌は増えない。
こういうことをきっちり計算した上で企業は生産しているわけで、家庭で作るヨーグルトと同じレベルの生産方法なわけはないんですね。
だからXX菌がよいとかなんじゃかんじゃ言っても、それを複製することはきっと簡単なことではないのでしょう。
ビフィズス菌もそうで、ビフィズス菌は偏性嫌気性の細菌とのことで、空気に触れるとすぐに死滅してしまうとのこと。ですからビフィズス菌が入っている製品はパック時に窒素を充填しているらしい。また生産時でも牛乳の中の酸素濃度を調節して作るらしく普通の牛乳に種菌を入れてかき回せて・・みたいな方法ではうまくいかないらしい。
酸性度に関しても強い菌、弱い菌があって、最終的には自分が出した乳酸の酸性度が高くなると増殖もとまり自滅する。もちろん酸に強い菌だけが最後まで生き延びる。でもそれもいつか止まる。だからやっぱりヨーグルト作りは「固さ」でみるのではなくて「酸性度」を計るのが良いと。では酸性度が上る前の適当なところで増殖を止めてしまうと、その酸性度では死なない雑菌が繁殖している状態である可能性もある。ヨーグルトの増殖を途中で止めるのは衛生管理がしっかりしていないとヤバいのかも。
ケフィアの種菌を売っている会社が「再複製」を推奨しないのも当たり前といえば当たり前なんでしょうねぇ。
でもま、一般的消費者レベルでは見た目も食べた時も「ヨーグルトに間違いがない」ということで、何が入っているかは二の次ってことなんでしょう。ましてや「XXX菌」を食べだしたら調子が良くなったなんて「菌の違い」を我々は実感できないのでしょうから。
ヨーグルトオタクが世の中には結構いまして、特殊な菌を増やしたい、あるいはプロバイトティクスに興味があっていろいろやる人は多いようですが、自分がそれに成功しているのかどうかのチェックは簡単には行かない。
こういう趣味を持つと泥沼に入ることになると思いました。自分で結果をすぐに見ることが出来ないのですから。
できることは、元のものと「同じ味」かどうか。そして「酸性度が同じかどうか」。このぐらいしかできないんじゃないかと。固さはタンパク質によって違うし、クリーミーさは脂肪分によっても変わるし。またヤクルトみたいに柑橘系の風味をつけたり、増粘材、あるいはカルシウム添加でもしてあったら、我々には同じものができているかどうかなんか絶対にわからない。
ヨーグルトオタクは酸性度を計る器具を持つのは常識のようですね。そして元のヨーグルトと同じ酸性度になったところで増殖を止めるとのこと。なるほど~~と思いました。
プロバイオティクスに興味をもつのも良いですが、「自分がそれを食べたいのか」それとも「作ってみたいのか」。その辺をはっきり自覚するべきで、プロバイオティクスに重点があるのだとすれば、メーカーが出している製品を「広告のとおりであろう」と信じて食べるしか無いと思いました。
私みたいな欲張りは、「自分で作って」なおかつ「プロバイオティクスの恩恵にもあやかりたい」なんて思うわけですが、この分野に関しては「諦めたほうが良い」と思うようになりました。
ただ自分で作るにしても「なんだかわけがわからないけれど、美味しいね」というレベルで止めておくのが無難だと思いました。また少なくとも、当地オーストラリアでは糖質が低くてそして飲むタイプのヨーグルトは売っていませんから。
今日、ヨメさんに「どうした?ちゃんと飲んでる?」と聞いたら「飲んでるわよ。美味しいね~」とのこと。きっとこういうレベルで満足するしかないのだろうし、そうであるならブルガリアヨーグルトだろうがカスピ海ヨーグルトだろうがケフィアだろうがヤクルトだろうが、何でも良いってことなのかも。簡単に作れるものが(どういう菌でどういう効能があろうと)それがベストってことになるんでしょう。
で、それを飲んでいれば健康でいられると信じるしか無い。宗教ですね~~~~。
これでヨメさんの乾癬がちょっとでも快方に向かえば嬉しいのだけれど、そうは問屋は卸してくれないんでしょうね。
私は健康食品オタクですが、こういう効能がはっきりしない、即効性がないものって好きじゃありません。
でも健康食品に即効性があるものがあるのか?なんて言われそうですが、あるんですねぇ。私が凄いと思うのは「梅肉エキス」です。これは間違いなく血行が良くなるのか、疲れづらくなるのか、その効果は何度か実験済みです。それと「レシチン」。これも結構短期間で効果がわかった数少ない健康食品の内の一つ。