ヨーグルトメーカーで低温調理は考えないほうが良いと思う

低温調理に興味のある方から、「どんな器具が良いでしょうか」と質問を受けることがあります。

これに関しては私はかなり細かくまとめて書いているはずで、どういうメーカーがどういう器具を出しているかも書いてあります。それを読んだ上でこういう質問をしてくるのっておかしいなぁと思っていたんですよ。でもその理由がわかりました。結局、日本ではちゃんとしたものが発売されていないからかもしれませんが(私はよくわかりませんが)、「ヨーグルトメーカーを買おう」と思いつつ聞いてくるのだということ。

ヨーグルトメーカーで低温調理は考えないほうがよいというのも何度か書いていますが、それしか無いのかもしれませんね。スロークッカーは全く違う調理器具ですし。

今回、あらためてこのことについて書こうと思った理由ですが、私もヨーグルトを作るようになって良いヨーグルトメーカーがないか探している内に、やっぱりヨーグルトメーカーで低温調理は駄目だと思ったから。

温度的には65度ぐらいまで設定できるようですが、

◯ 撹拌機能がないので微妙な温度設定の調理は出来ない
◯ 温度調節機能に信頼性がない
◯ ここが一番大事ですが、ワット数が低すぎる

素材を真空パックなりビニール袋に入れるなりして「湯煎」するわけですが、一度上部と下部の温度差を計ってみたら良いと思います。これは鍋にお湯を入れて火にかけてもそうですが、上下でかなりの温度差があります。ローストビーフを何度か作ればすぐわかるはずですが、例えばレア=ミディアムレア=ミディアムの温度差ってそれぞれ2-3度でしか無いんですね。それで出来上がりがまるで違う。温泉卵なんて1度の違いでまるで違います。

でも鍋を火にかけて温度を測ってみますと上下の温度差って2度どころの話じゃないんですね。これじゃ一体何をやっているのかわからないってことだと思います。ただネットを見てみますと「炊飯器の保温機能で作ったら大成功」みたいな書き込みが非常に多いですし、クックパッドでもそれは同じ。そういうレベルでよしとすると、レアとミディアムレア、あるいはミディアムの違いをきっちり作り分けるのは絶対に不可能なんですよ。運任せになります。またこう言っては語弊があると思いますが、その程度の違いはどうってことないと思っている人たちだからそれで満足しているのだろうと思うのです。

そもそも炊飯器の保温は70度前後ですから、55度-58度ぐらいでローストビーフを仕上げるのは至難の業だと思います。時間で調節するしか無く、そして外側は火が通り過ぎになる。つまり、そういう難しさ、不確定さがあっても良いのなら、普通に今まで通りオーブンを使えば良いってことなんですね。難しさはほとんど同じじゃないでしょうか。

でもばっちり狙ったものを作りたいから「低温調理」なわけですよ。たとえ大きさ、重量が変わろうが、形がいびつだろうが、肉の温度が冷蔵庫の温度だろうが常温だろうが、誰がやっても必ず同じものが作れて失敗はあり得ないところに低温調理の良さがあるんじゃないでしょうか。ただ単に「いつもよりか低温」なら良いと思うなら別にオーブンでもできるし、鍋、炊飯器、何を使っても出来るでしょ。

ヨーグルトメーカーで作るのもそういうレベルとさほど変わらないと思うんですよ。微妙な違いは出せないはず。

そして問題なのはヨーグルトメーカーの火力があまりにも弱いってこと。

私はそんなに弱いと知らなかったんですが、今回ヨーグルトがらみで調べてびっくりしました。25ワットとかそういうレベルなんですね(専用機は800~1200ワット)。これってロウソクに鍋を掛けているようなもんじゃないでしょうか。そしてヨーグルトを作るにしても40度ぐらいの温度に達するまでに1時間はかかると書いてありました。だから冷たいままヨーグルトメーカーにかけると時間のロスがあると。

40度になるのにそれだけ時間が掛かるのに、では60度にするにはどうなんでしょうか。

また、肉の熱の伝導率も考えないとならないわけで、中心部が60度に達するのにどのくらいかかるんでしょう。

理工系の頭脳を持っている人なら計算が出来るはずですよね。全体の容量が1200ccで肉が800ccで温度が12度だとしたら、芯温が60度になるまでどの程度の時間がかかるかシミュレーションは可能でしょう。(アホでジジーの私はさっぱりわからず)

また、お湯の温度は常に一定だとしても、素材の芯温が何度かは見ていてもわからないんですね。またたった25ワットしかないとすれば、冷たい肉を入れただけでお湯さえも狙った温度を保つことが出来ないかもしれない。

前に、ヨーグルトメーカーで低温調理をしている人のサイトを見て、おかしいんじゃないかと思ったことがあると書きましたが、その理由はまさにこれだと思いました。

どこの誰とは言いませんが「ヨーグルトメーカー、低温調理」で検索してみてください。いろいろ出てくるはずで、ブログ主は例えば63度で3時間とかやっていますが、出来上がりの写真を見たら、中心温度は50度にもたっしていないであろうことがわかりますから。

そしてそもそも63度ってどういう温度かわかりますよね。肉はミディアムを超えている温度です。赤みの色は全くないはずで、もちろんタンパク質が硬くなる温度を超えています。そんなローストビーフを出す店はきっと日本には無いでしょう。オーストラリアにはありますが。(笑)

これじゃ実験にもなっていないってこと。

オーブン使いに慣れている人でも芯温を必ず測る人がいるのはこういうことなんですね。ですから低温調理でも芯温を測る癖をつけるのが大事だと私は何度か書いています。でも慣れてくると「設定温度以上には絶対に上がらない」わけですから、どのくらい時間が掛かるのか経験でわかるようになれば芯温を計る必要もなくなるわけです。

すでにヨーグルトメーカーでやっていてこのブログの読者であればもうそんなことはお分かりだろうとは思いますが、もしこれという低温調理機がないのでこの際ヨーグルトメーカーでも買おうかと考えている方がいらっしゃったら、それは絶対にやめた方が良いと思います。(逆に設置場所とお金に問題がなければスチコンを手に入れるのがベスト)

低温調理ってこんな程度か・・・・で終わってしまうかもしれず、でも自分では何が悪いのかもわからず、美味しいものが作れない、あるいは「運任せ」になるとしたら、低温調理オタクの私としては非常に悲しいですし、こうやっていろいろ書いているのが全て無駄だということでもあるんですね。

低温調理に興味のある方は、是非きっちり温度管理が出来てパワーもある器具を手に入れて、1度2度でこうも違うのかというのを体験して頂きたいし、「いつでも」「何度でも」「重さや形がどうであろうと」「誰がやっても」「失敗すること無く」「狙ったとおりに作れる」面白さを体験して頂きたいと思っています。そしてそれが出来るようになって初めて「低温調理のスタートに立てた」ということだと思うのです。私もまだそのレベルでしかありませんが、温度管理が適当だとしたら「次はどうやろう」と考えても無駄だってことに気がついて頂きたいと思います。

Let’s enjoy Sous Vide!!

 

     
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