野良犬的処世術(笑)

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野良犬的処世術があると前の日記(コメントかな?)に書きました所、それに興味があるという方がいらっしゃいましたので、触りだけ書いてみることにします。

私は野良犬のように生きてきたといつも書いていますが、これって自虐的でもなんでもなくて事実です。そして中小企業のオヤジだった私の父も、小さな商店を受け継いで経営していた母も同じ。そして親戚一同みんな野良犬です(笑)何十人もいる親戚の中でサラリーマンは一人しかいませんでした。

こういう野良犬の生き方って親子はもちろん仲の良い親戚の中でノウハウの交換が当たり前に行われるんですね。中には成功して何十億も稼ぐのもいれば、倒産するのもいる中で、一体どうしてそういう結果になったのかは決して「他人事」ではありませんから、かなり真剣に情報交換が行われてきました。

まず野良犬的処世術の一番大事なところはここで、人生好き勝手に生きるのではなくて、こういう周りにある現実を共有する、情報交換すること。これなくしては何も始まらないんですね。右も左もわからない者が思いつきで、あるいはやりたいようにやって生き抜けるほど世の中は楽じゃないですから。でもこれはサラリーマンでも同じで、大事なノウハウは共有されるし、それを部下に教えられない上司はバカですが、サラリーマンの世界って特殊だと私は考えていて、皆が仲間のようで実は敵でもあって、大事なことは仲間でも教えないところが多々あると感じています。でも野良犬の世界は横のつながりが密であると言えると思っています。

ただ生き残りも厳しいですからやっぱり「親族の中」でその情報って交換されていて、同業者とか友人間では「敵同士」でもあって大事な話はしない。

二番目に大事なことは、人間は長い間に必ず失敗することがありますが、その時に「再起不能になる負け方はしない」ということ。私の知り合い、友人で独立して頑張っていたのは多くいますが、これがわかっている人って意外に少なくて、「仕事は全力投球するもの」だと信じているのね。だから有り金全部つぎ込むし、金融機関から借金をする、友人知人から借りるなんてことを平気でする。これじゃ一度失敗したらそこで終わりか、再起するまでに5年10年楽に掛かっちゃうんですね。でも同じやり方をすればまた同じ結果になる。これに気が付かない人って本当に多いと思います。

だから極論を言えば「借金しない」であり、手形商売もしないってこと。今の時代は知りませんが、私の若いころは中小企業なんて手形商売が当たりまえで大手企業と取引をしてもそれは同じ。ところがこれが時限爆弾であちこちに金を貸しまくるのと同じじゃないですか。自分は大丈夫でも取引先がひっくり返っただけでこちらも多大な被害を被る。

でも手形じゃなければ注文が取れないとしたら、そういう仕事は諦めるしかないんですね。逆を言えばちょっと景気が良くなると「手形なら」ということで注文なんかいくらでも取れるんですね。ここで「売上倍増だ~」なんて素人は喜ぶ。「会社を大きくするのは実は簡単だという事実」を知らない人が多いのね(縮小するのは難しい)。そしていつか痛い目にあう。この手形を受け取ってはいけないのと同時に、自分も手形を振り出したら駄目なんですね。半年の手形が出せる状態なら、半年分の売上がキャッシュとして手元に残りますから、凄い儲かった気分になる(笑)。経理上はそうではないのですが、この精神的なものってどうしても隙を作るし(その金を投資にどうしても回したくなる)、それを乗り越えるのってかなり難しいと思います。借金が簡単な時代でもそれを喜んでは駄目ですよね。

我が一族は皆、商人の出ですから、こういう「現金商売」が基本。せいぜい末締めの翌月末払い。現金商売に拘る商人って多くいますが、それこそ何十年、何百年の歴史があるからなんですね。普通の人間だと「手形」、これは借金と同じですが、それをコントロールして大きくするのはかなり難しいことであって、大企業も同じですよね。だから「借りない」「貸さない」が基本の基本。

でも金がなかったらどうするのか。それは簡単で、投資家を募る(借金ではない)。これだけなんですね。他人の褌で相撲を取る。でも誰も投資なんかしてくれないよ、というのならその程度の仕事でしかないわけですよ。あるいは自己資本の中だけでどうにかすることを考えるしかない。

それでも失敗(倒産)して借金を作ることはありますが、ここで大事なことが2つあります。

一つは、迷惑をかける相手が必ず出て来るわけですが、迷惑をかける相手と、絶対に迷惑を掛けない相手と区別するってこと。本来倒産すれば債権者は一律に並ぶわけですが、倒産するのが見えた場合、守る相手は必ず守るってこと(法律的に良い悪いは別の話)。あるいは倒産するまで待たずに、プラマイゼロで誰にも迷惑をかけない時点で閉鎖する(これも難しい)。どちらにしてもこれが再起、再建の道に繋がる。私は逃げ足が早いですから、この仕事の将来性はないかも・・と思ったらすぐに撤退します。頑張りません。(笑)

もう一つは、ヨメさんが心得るべきことですが、我が家には一つの伝統があります。母がヨメに伝えることなんですが「ヘソクリを作り、その存在を絶対に旦那に教えないこと」です。

これは私のヨメさんも結婚した時に、私の母に呼ばれてこれを伝えられたそうです。(笑)

このヘソクリが再起の原資になるってことなんですね。これって出来そうで出来ないことでもあって、仕事をしていてどうしても資金がショートする時ってあるじゃないですか。あるいはどうしてもここで勝負したい時がある。そういう時に旦那は必ずヨメさんに聞くんですね。「うちにはいくら金があるんだ?」って。旦那は「チャンスは今しかない」と信じているし、ここでヨメとしては旦那に頑張ってもらいたいし、自分でもチャンスだと思うと「XXXXあるわよ」と言ってしまう。これが駄目なんですね。「ないわよ」とかあるいは適当な小さな額を言わねばならない。「お前、うちにはそれしか金がないのか?」なんて言われても動じてはならない。(笑)

うちのヨメさんも今では偉そうに言うんですよ。「ポケットにオニギリを持っていて、何かあった時にはそれを皆で分けあって食べる。これしかないと言いつつ、実はもう一つのポケットにもオニギリを隠し持つ。これがヨメの仕事だ」と。(笑)

こういうことは一度悲惨な状態を経験すると誰しも次はそうしようと思うはずなんですが、それじゃ遅いんですね。これはそういうものだと最初からしなくてはならないこと。

こういう基本があると、そこからいろいろなことが連想できるはずで、例えば「個人保証はしてはいけない」なんてもそれで、これは我が家ではたとえ親子でも兄弟でも絶対にしてはならない禁止事項で「家訓」でもあります。家を買うのに保証人が必要なんだけれど・・なんて話はよくありますが、それも絶対に駄目ってことです。

これが野良犬的処世術の基本の基本。

簡単でしょ?でも実際にやろうと思うとかなり難しいんですよ。でもここだけは絶対に守らないと、いつか本当にゴミ箱を漁る野良犬になってしまうし、再起不可能なんてことが簡単に起きる。

野良犬って裸で何も持っていませんが、世間に出て戦うときにはそういう状態で常に戦うのが基本なんですね。自分には何もないという背水の陣でしょうか。

ところがですね、ちゃんと自分の秘密基地は持たなければならないんですね。そこには食料も備蓄もおいて、家族もそこで「どんな環境になっても」生きていられる場所を確保する。また自分が傷だらけになってもそこに帰ればまたいつか元気になり、外へ出られるってこと。

多分こういう考え方って江戸時代、いやもっと昔から商人が普通に持っていた生き残りのノウハウのはずで、基本中の基本なんですね。何も難しそうには見えませんが実はこれを実行するのは非常に難しくて、どうしても手を出したい、背伸びしたい、ここで飛躍してみたいと考えることが常に出て来るのが人生ですが、それを許すと何百年続いた老舗でも簡単に潰れてしまう。当然、ゼロから築きあげるにしてもいつか砂の山が崩れるように、「こんなはずじゃなかった・・・」ということが簡単に起きる。

でも逆を言えば、これさえ守っていれば「よほどのバカでも(笑)」生きていけるってことでもあるんですね。家を継ぐ者がたとえアホでもこれだけ守っていれば家は潰れない。農家も同じじゃないですかね。土地にしがみつくのが当たり前で、転用じゃ有効利用じゃ考えだすと恐ろしいことになるのを良く知っているんでしょう。

現代の世の中は仕事も、金融の世界も複雑でいろいろ出来ますが、それは便利になったと考えるより、貧乏人から金を巻き上げる方法がいろいろ考えられた結果だと考えるほうが良いと思います。でも自分に自信があって、本当に天才的な知識と能力があるのなら、それを自由自在に使いこなして大きくなれるのは間違いがない。ソフトバンクの孫さんなんてそれの典型ですし、ホリエモンもそうでしょう。また多くの優良企業と言われる大手企業もそうだと思います。

ここで問題なのは、さて自分にはそれだけの能力があるのか?ってところ。

ま、誰しも夢を見てチャレンジするのは自由ですが、そこに大きな落とし穴があるんじゃないですかね。

だからチャレンジをするべきじゃないってことではなくて、そのチャレンジが失敗した時のことを考えて「安全な着地点を確保しておく」ことが重要であって、その着地点が確保できないことに手を出すのはチャレンジとは言わず、無謀な冒険としか言えないと思っています。でも世の中はそういう無謀なことでもチャレンジしろという風潮ですよね。私はそれこそが貧乏人から金を巻き上げるシステムだと思うくらい。でも「天才なら」あるいは「幸運なら」そこから何かを生み出していける。

これは商売や金儲けだけじゃなくて、マレーシアにロングステイじゃ、海外で子育てじゃってのも全く同じなんですね。世の中では良く「チャレンジが大事」「当たって砕けろ」と言う人がいますが、簡単に「砕けちゃう」のが人生で、やり直しができないこと、悔やむことって本当にたくさんある。

童話に「アリとキリギリス」「ウサギと亀」の話がありますが、あれこそがこの世の中の真実だと私は思っています。自然界で起きていることと我々の社会で起きていることは全く同じ。一体どうやったら長く生き延びられて、そして遠くへ行けるのか?

ま、若い時、あるいは独り身ならいろいろやってみたいと思うのはよくわかりますが、結局、最後はここにたどり着くのが人生じゃないかと・・・。ここを理解するのが「野良犬的処世術」の根本。

ということで、私が学んできた野良犬的処世術の基本だけ書いてみました。他にも持つべき理念とかいろいろあるんですが、又の機会に・・。

ま、生き方は生きる人の数だけあるわけですが、この基本を守ったからこそ我が一族は生き延びて来ました。父は二度の倒産に近いことを経験し(いや3度だ 笑)、私も危ないことはあったものの乗り越えられたのは、その教えがあったから。そして作り上げた形のあるものないものも含めて次の世代に渡していける。これは商人も農家もそれが普通なわけで「決して選ばれたものだけが生き延びるわけじゃない」。そのポイントを子どもたちにも伝えたいと思っています。また人生にチャレンジは絶対に必要ですが「飛べる範囲のことをする」ってこと、それだけなんですね。でも出来ることをするのはチャレンジではないわけで、先細りになってしまう。ここも大事なポイントですが、意味がわかりますでしょうか。

子供は社会に出てから学べば良いなんてとんでもない話で、大事なことは学校でも社会でも教えてくれないんですね。学校を含む社会が教えることは「所属するシステムの中で従順でよく働く労働者になる方法」だけだと私は思っています。日本の教育はそれそのもの。特に酷いのは「お金に関して」全く教えないこと。これって「危険物取り扱い」と同じで(笑)、きっちり教えるべきだと思うんですけどね~。それも幼い頃から洗脳みたいにして。

天才なら自分で道を切り開くことが出来るんでしょうが・・・。またサラブレッドにはサラブレッドの違う世界「帝王学」があるんでしょうが、私にはそれはわかりません。商人にも農家にも何百年、いや千年以上の歴史とノウハウの積み重ねがあるわけで、今のように進んだ世界だからといってバカにしてはならないと思います。またグローバル化なんてのに浮かれると大変なことになる。自分が勝ち組になれるという前提で良い所ばかりみたら危険極まりないのがグローバル化で、弱肉強食、格差の拡大。つまり貧乏人から富を巻き上げるシステムの集大成がグローバル化だと思うぐらいが調度良いと思っています。強いものがより強くなり、より多くの富を求める動きがグローバル化で、これが人間の幸せに通じるとは私には思えないのです。古いね~~~。(笑)

「やってみなくちゃわからない」のは事実ですが、「何でもありの生き方はギャンブラーの発想」であり、また世の中のカモになるだけだと思っています。

 
 
 

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