KLで自爆テロをやろうとしていた28歳(一説には27歳の元保険外交員)の男性を逮捕したというニュースがありましたよね。
日経にも出ていたのでこれが公式発表に近いんでしょう。
【クアラルンプール=共同】マレーシアのハリド警察長官は16日の声明で、首都クアラルンプールで自爆攻撃を計画していた28歳の男を警察が15日に逮捕し、テロを未然に阻止したと発表した。男は過激派組織「イスラム国」(IS)に所属し、シリアからテロ実行の指示を受けていたという。氏名は明らかにしていない。
声明によると、警察は11日にもクアラルンプール国際空港で23~28歳の男女3人を逮捕した。3人はISに加わるためシリアに渡航しようとしたところをトルコ当局に昨年11月に拘束され、マレーシアに向け国外追放されたとしている。
4人はいずれもマレーシア人で、治安関連法に違反した容疑で逮捕された。同法は容疑者を訴追せずに最大28日間拘束できる法律で、人権団体などからの批判が強い。
マレーシア、首都の自爆テロを阻止 :日本経済新聞
でもなんか変だなと感じました。あまりにも話しが「すんなりしてる」と。
The Malaysia Insiderには結構詳しく書いてあったのですが・・
The man arrested on suspicion of links to militant group Islamic State of Iraq and Syria (Isis) at a train station in Kuala Lumpur yesterday was a 27-year-old former insurance agent who was planning to stage a lone-wolf attack on an entertainment outlet, police sources said.
He had travelled 451km from the east coast state of Terengganu to Kuala Lumpur with instructions to carry out the attack at a popular entertainment outlet in the capital city.
The attack was to have been executed about 10pm yesterday, the sources added.
The man was arrested at the Light Rapid Transit (LRT) station in Jelatek yesterday evening. Police also seized a weapon, which the source said was a knife, and an Isis-related document.
Inspector-General of Police Tan Sri Khalid Abu Bakar announced the arrest on Twitter, congratulating the police unit handling the operation.
“Congratulations E8 CK (Special Branch) @PDRMsia for the arrest of a man suspected of having IS elements at LRT Jelatek. Weapon and IS document seized,” he said.
Police two days ago raised Malaysia’s alert status to the highest level following a terror attack in the Indonesian capital, Jakarta.
Khalid said Malaysia was now on “alert to the highest degree”, as terrorism analysts said the militant group Isis was now spreading its operations beyond the Middle East and Europe to Asia.
Khalid said after the latest attacks in Jakarta, security measures were increased in public places, such as shopping malls and tourist spots in Malaysia.
He also said precautionary action would be implemented at border areas to prevent possible infiltration by terrorists. – January 16, 2016.
– See more at:
Isis suspect planning attack on entertainment joint, say police sources – The Malaysian Insider
◯ トレンガヌ州から来た容疑者は「指示書」を持ち「首都KLの娯楽施設を攻撃する」つもりだった。
◯ JelatekのLRT駅で「昨日」逮捕。
◯ 容疑者は「ナイフ」と「ISIS関連の書類」を所持。
◯ 「昨日の夜10時(逮捕と同日)」に(テロ)攻撃はなされるはずだった。
◯ 警察は2日前に「最高レベルの注意喚起」をしていた。つまり逮捕は次の日。
また他のソースを見るとその容疑者の自宅から(自称)イスラム国との関連を証拠ずける物品、写真が出てきたとありますが、まず私が疑問に思ったのは
◯ これだけの大ごとなのに容疑者の名前は公表されていない。
◯ 大勢の人が行き交うLRTの駅でどうやってその容疑者を特定し、逮捕出来たのかが一切書かれていない。
◯ 彼が持っていた武器はナイフ(我々が想像する爆薬は無い)なのに「自爆テロリスト」と断定できるのか。
◯ 指示書を持ち歩くバカがいるのか。そもそもネットでやり取りをしていると考えるべきで「文書」なんか存在するのか。
◯ (自称)イスラム国から指示を受けたと、予定する時刻、場所を簡単に容疑者がペラペラとしゃべるものなのか。
◯ いやに事の運びがスピーディー。
これから考えられることは「ナイフを使って」「繁華街で大暴れしようとした」「指示書を持っていた」容疑者を捕まえたってことなんでしょうが、LRTの駅でどうやって彼を見つけたんでしょうか。内通する人がいてこの容疑者を待ち構えていたとしか考えられないですよね。まさか行き交う人達をいちいちチェックして「たまたま、ナイフと指示書を持っていた男」を特定出来たとは思えません。もしたまたまだとしたら、確率的には恐ろしい数のテロリストがウロウロしているんじゃなかろうかと。
でも私が感じたのはそういうことじゃなくて、
◯ (作られた)プロパガンダではないか。テロリスト予備軍と一般市民に対して。
◯ 最高レベルの注意喚起を受けた警察の二日後のでっちあげ、頑張っています、警察の能力のアピール。
一般市民に対する注意喚起という意味では大きな意味がありますが、なんだかしっくりしません。
またこれって、予備軍に対しては「よし、俺も行動を起こそう」という動機付けになるんじゃなかろうか。まさか警備が厳しいから見合わせようなんて思うものなのか。「人が集まるところは危険」というけれど、「まさかここで・・」と思わせる方がテロの効果は高いはずで、また人が集まるところはいくらでもあって、KLCCじゃ、ブキビンタンじゃ、パビリオンじゃである必要は全く無いはず。パリのテロがそうであったように、警戒が厳重なところにテロリストはわざわざ行くわけがない。
どちらにしてもマレーシアに危険はあると私は考えていて、「残虐な(自称)イスラム国」と「穏健で平和を望むイスラム教徒」という図式を持ちだして、「普通のイスラム教徒を危険視するべきではない」という論調は世界中で広がっているし、マレーシア好きの人もそういう論調を取るケースが散見されます。
でも私達が気をつけないとならないのは、やっぱり我々とイスラム教徒との間には微妙な温度差が「間違いなく存在する」ってことだと思っています。
前のブログに書きましたが、マレーシアでの意識調査を見てびっくりしたことがあります。
2014年のアンケート結果です。
米国のシンクタンク、ピュー・リサーチ・センターは国際的な意識調査を発表した。
イスラム過激派台頭に対する懸念が特にムスリム人口比率の高い国で高まっており、ムリスム人口が63%を占めるマレーシアでは「懸念していない」は24%にとどまり、「懸念している」が63%に達した。
「懸念していない」人がマレーシアには24%も居るってこと。
また
イスラム過激派を懸念しているとのマレーシアの回答率は、レバノン(92%)やチュニジア(80%)、エジプト(75%)などの中東諸国にくらべると低めで、インドネシア(39%)も含めアジア・イスラム国の危機感が比較的希薄であることが明らかになった。
国際テロ組織、アルカイダの拡大については、マレーシアでは32%が「好ましくない」と答え、「好ましい」との答え(18%)を上回った。
つまり、過激なイスラム教徒にシンパシーを感じる人たちは「マレーシアに」少なからず存在するってことですよね。これを無視して、「私の知っているイスラム教徒はみんな良い人たちばかりだし、(自称)イスラム国のあんなメチャクチャなことを支援する人なんていないわよ」という考え方が正しいのかどうか。これって日本人お得意の「平和ボケ」だと思っています。
そもそも(自称)イスラム国は彼らだけでメチャクチャやっているわけじゃなくて、世界中に彼らを良しする「膨大な数の支援者」がいるから今があるわけで、それを忘れちゃまずいと思うんですよ。
だから何だ?ってわけじゃなくて、イスラムの人たちを怖がる必要は無いにしても、油断も出来ないはずで、冷静にリスク管理を考えないとうまくないだろうって話し。少なくとも(自称)イスラム国は日本を敵国とし攻撃する、攻撃せよと宣言したわけで、それに呼応して「個人対個人」の動きが出ても全くおかしくはない。日本人が襲撃された事件がありましたが、その背後に何があるのかはわからない。つまり「日本人の家を襲撃する」ことだって有り得るってこと。また日本人に嫌がらせをして「自分はイスラム戦士」だと自己満足するようなのもいるかもしれない。
私としては「その時はその時と覚悟を決める」という考え方(笑)。また(テロにかぎらず)何か事を起こそうとする人はそれが行動、顔、目に必ず出るはずで、それを観察する習慣は持とうと思っています。今も持っていますが、それは海外では常識だと思う私。引ったくり、スリ、詐欺にしてもそうで、知らない人にでもニコニコヘラヘラする日本人の習慣、美徳は(特に)発展途上国、(誰が何を考えているかわからない)大都会では危ないと思っています。
上に書いたアンケートに関してとかその他もろもろを書いた過去の日記はこれ。
マレーシアって安全なの? | dabo_gc
国際テロ組織、アルカイダの拡大については、マレーシアでは32%が「好ましくない」と答え、「好ましい」との答え(18%)を上回った。 …
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在マレーシア日本国大使館から注意喚起のメールが来ました。このようなメールは在馬日本国大使館のメルマガに登録していると逐一届きます。メルマガに関してはこちら(クリック)。オンラインでの登録はここから(クリック)。
クアラルンプール市内におけるテロ被疑者逮捕に伴う注意喚起
「刃物による無差別殺傷」も念頭に事件事故への警戒心を持ちましょう1 最近の情勢
マレーシア国家警察は、1月15日(金)、午後10時ごろ、セティアワングサ都市交通駅(LRT Setiawangsa)において、28歳のマレーシア人を、ISとの関連及びテロ攻撃企図に関する容疑で逮捕したと発表しています。犯人は、逮捕されたときにナイフを所持していたということです。マレーシアでは、国家警察長官が「警戒態勢を最高レベルへと引き上げ、ショッピングモールや観光地などにおける警戒措置を強化する」旨述べるなど、治安当局による警戒体制を強化しているところです。
東南アジア地域では、昨年8月にタイ・バンコクの繁華街で爆弾事件が、同年9月にはフィリピン・ミンダナオ島ダバオ州の観光地で外国人誘拐事件が、本年1月14日には、インドネシア・ジャカルタで爆弾テロ事件がそれぞれ発生していることから、在留邦人・短期滞在者の皆様には、治安情勢の把握ともに事件事故に遭遇しないように判断し、行動するようご案内して参りました(参考:海外安全情報「ジャカルタ中心部における爆弾テロ事件の発生に伴う注意喚起」)。
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo.asp?infocode=2016C0162 特定場所にこだわらず警戒心を保持
一方で、1月15日に一部報道が、クアラルンプール市内の欧米系の住民や観光客が多く集まる場所等が「テロの危険がある」として名指しされたことについて、国家警察長官が、「曖昧な情報を不用意にソーシャルメディア等で拡散しないようにして欲しい」と呼びかけるなど、テロに関する様々な噂や憶測が流布している状況を認めています。一部報道で名指しされた場所は、かねてから当館が「テロ事件の発生も念頭に置いて行動すべき場所」としてご案内している、
○ 大規模商業施設(ショッピングモール)や有名な観光地
○ 欧米観光客や欧米系住民が多数参集する地区
に該当します。
つきましては、皆様におかれましても、特定の地名や場所にこだわることなく、日頃から報道や大使館からの注意喚起等をご確認いただき、各種事件・事故に巻き込まれないようご注意下さい。3 刃物を使用した殺傷事件に関する諸注意
15日に逮捕された犯人は、ナイフを所持していました。
そこで、ナイフや山刀(パラン刀)といった「刃物を使用した無差別殺傷事件」に関する注意事項を以下のとおり紹介しますので、皆様におかれましては各項目を確認し、事件に遭遇しないために何に注意する必要があるのかご検討下さい。(1) 刃物を使用した殺傷事件の特徴、
ア 凶器を使用した際に音が出ないので、周囲の人々が気づきにくい
イ 銃器や爆弾と異なり一回の簡単な動作(切りつける、刺す、突く)で殺傷が可能
ウ 胸部や腹部あるいは頸部など、負傷箇所によっては一回の切り傷や刺し傷が致命傷となることがある
エ 温暖高温地帯では軽装のため、寒冷地よりも負傷程度が深くなる傾向にある
(2) 被害防止の着眼点
ア 注意と警戒-犯人との遭遇・接近を避ける-
自分の周辺にいる人々の動静に注意を払い、殊更に近づいてくる人物がいたら、「ひったくり」や「すり・置き引き」の可能性ともに、「刃物による殺傷の可能性」も考慮する
イ 不審者の早期発見と速やかな現場離脱
繁華街や待ち合わせ場所など人の往来が激しいところで、周囲の雰囲気と異なる人物、例えばリュックサック等に手を入れて周囲を見回している者や、ポケット等に手を入れたまま落ち着かない様子を見せている者などを認知したら、速やかにその場を離れる
ウ 「距離(間合い)」の確保~相手の攻撃圏内に入らない
○ 万一、犯人と遭遇してしまった場合には、不用意に振り返らず、相手と正対しながら距離を取る
○ 持ち物や周囲にある物を投げつけ、相手を近づけずに視界を遮る
(3) 「事件に遭遇しない」ことが一番の対策
ア 刃物所持者への対抗は困難
刃物を持った者に素手で対抗することは、訓練を受けている者でも非常に困難。
一般人には「距離(間合い)」を確保することも容易なことではない
イ 「もしも被害に遭遇したら」の励行
外出時に様々の場所で「もしこの場面で刃物を持った暴漢が表れたらどのように対処できるか」を想像し、脱出ルートを考えておく
ウ 動きやすい服装と移動しやすい靴を選ぶ
「走って逃げる」、「階段を駆け上る・降りる」可能性を考慮した外出準備をする5 その他
銃乱射事件や爆弾テロ事件に対する備えについては、繰りかえしとなりますが、平成27年12月22日付けの領事情報「銃乱射事件及び爆弾テロ事件に関する注意喚起-日頃から警戒と備えを怠らないようにしましょう」にて、ご紹介していますので、ご一読下さい。
http://www.my.emb-japan.go.jp/Japanese/ryoji/Alert%20on%20Mass%20Shooting%20and%20Terrorist%20attack%2022122015.html
また、外務省海外安全ホームページ( http://www.anzen.mofa.go.jp/index.html )
には銃乱射・爆弾テロ事件等への対策を列挙したパンフレット等
(http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pdf/counter-terrorism.pdf )を掲載していますので、併せてご参照ください。平成28年 1 月 20 日 在マレーシア日本国大使館