グアム料理なんて何があるのかと思うでしょ?
グアム料理、つまりチャモロ族の料理ですが、フィリピンの影響が強くあるような感じ。面白いのは彼らは「春巻き」を結構食べるんですが、それをフィリピン料理だと信じているのね。中国の料理だと言っても誰も信じない(笑)。そんな料理がいくつかあって、まぁ、南洋の文化が入り乱れているのが食べ物にも出ています。
グアム(チャモロ)料理と言っても南洋の島の料理ですし、いろいろ素材があるわけでもなく、また新鮮なものが「極端に」少ない島ですから、正直なところ「美味しい~~~」と思うものはなし。
たったひとつを除いては。
その「これは美味い!」と私が思うのは「チキンキャラグィン」。この語源は良く知りませんが、キャラグィンと呼ばれる和物があるんです。酢漬けの唐辛子、葱など、そしてこれがないと話にならない「ココナッツ」。メインに鶏を使うのをチキンキャラグィン。ビーフを使うものをビーフキャラグィン。また魚を使うものもあります。
チキンキャラグィン。
これが美味しいんですよ~~。そしてこれを食べるのに絶対にないと困るのが「フィナデニソース」。
万能ソースで、グアムではどの家庭でも冷蔵庫にこれがごっそり入っているのが普通。トマト、ピーマン、玉ねぎを刻み、醤油、ライムジュース、お酢で味付けされたもの。作りたてはおいしくなくて、最低3時間は寝かさないとダメ。
このソースは本当に単純なんですが、おかずが何もなくてもこれをご飯に掛けて食べるだけでも美味しい。ステーキだろうが魚だろうが、何にでもこれを掛けて食べるのですが、飽きるどころかもしこれがなかったらグアム料理は語れないんじゃないですかね。
で、美味しいチキンキャラグィンに美味しいフィナデニソースを掛けて食べるわけです。こんなに美味しい物がこの世にあるかと思うぐらい美味しい。不思議です。
ご飯は鶏で取った濃い目のストック+ココナッツミルクで炊きます。ココナッツ風味のチキンライスですね。この組み合わせは最高~~~~。
でもグアムに行ったり来たりしていた頃って温かい出来立ての料理を食べるのは稀で、固まった冷や飯(彼らは炊けたコメを混ぜない)にフィナデニソースだけ(チキンキャラグィンも無し)を掛けて食べるなんてことも普通にやっていました。でもそれでも美味しいんですよ。(笑)
チャモロ人には「皆で食べる」という習慣がないようで、皆で食べるのはパーティの時だけ。普通の日はご飯を作っておいてお腹が空いた人が勝手に食べます。それもなくなるまでそれを食べ続けますから、残っていれば二日目でも冷えたご飯、冷えて固くなった焼いた肉、なんてことも毎度のこと。それにフィナデニソースを掛けて食べるわけです。グアムも年寄りはフォーク・スプーンは使わずに手で食べるのが当時は普通でした。
ただ、グアムではマレーシアと同じでどの家庭にも「ドライキッチン」と「ウェットキッチン」があって、本来は(歴史的にも)ウェットキッチンが主なんですね。ここにはガス台もありますが、大事なのはバーベキューが出来るようになっているということ。焼き物は殆どここで作って、家の中のキッチンでは温めるだけみたいな。
ヨメさんは結婚する前に3ヶ月だけ私がいつも居候している現地人の家で一緒に過ごしたのですが、その時にグアム料理をかなりマスターしました。だからこのチキンキャラグィンもフィナデニソースもほとんど同じなんですが、「鶏の焼き方」が違うんですね。これって薪で焼くからまた格別な味が出るのであって、オーブンやフライパンで焼いてもダメなのね。でもこればかりはどうにもならず。それとフィナデニソースですが、ライムの味がちょっと違うんですよ。グアムのはレモンとライムの間の子のような、そしてちょっと甘みがある感じ。この味を出すのにヨメさんは苦労しているようですが、やっぱり違うのね。
私の人生を変えたグアム。今の私があるのも18歳の時にグアムを知ったから。ヨメさんはたった一度だけ、3ヶ月現地人の中で過ごしただけですが、ヨメさんもグアムが大好き。
だからヨメさんがこのチキンキャラグィン、フィナデニソースを作るときって「機嫌が良くて」、「あの若いころを思い出すような気分」の時なんです。だから私が「作ってよ」と言っても普段は知らん顔されます。
今日はなんだかテンションが高いようだけど、何があったんだろうか・・・。一緒に住んでいても全くわからず。(笑)
このキャラグィンやフィナデニソースってそれぞれの家庭で微妙に味が違うし、中に入れるものも違う。彼らはパーティが大好きで、ほぼ毎週一族の何処かの家でやっているような感じでした。料理もほぼ同じものしか出てこないんですが(笑)、家庭の違いを見るのが面白かったり。
ただ、これをレストランで食べた覚えがありません。どこの家でも必ず作りますが、それだけにレストランで出しても誰も食べに行かないんでしょう。そもそも私が入り浸っていた30-40年前のグアムって、外食なんて「絶対にしない」みたいな生活を皆さんしていましたっけ。旅行者は日本からゴマンというほど来ていましたが、当時は観光客相手の「現地料理の店」もありませんでした。今ではあるのかな?もしあるようでしたら、是非これを食べてみて欲しいです。
本当はですねぇ、もう一つグアムの最高の料理があるんですよ。こればかりはいくらパーティ好きの彼らでも大きなイベントが無いと作りませんでしたが、「豚の丸焼き」でレチョンバブイといいます。フィリピンでもレチョンバブイと言いますし、スペイン料理の名残があるのかもしれませんね。これも絶品で、バリ島のバビグリンと非常に似ている。本当に美味しい。でもグアム人が言う「最高の料理」はきっと「フルーツバット」、コウモリ料理のはず。でもこればかりはスープの匂いを嗅いだだけでも獣の匂いが凄くて私は食べたことさえありません。ヨメさんはトライしていましたが。(笑)
今、フト思い出しましたが、マレーシアはクアラルンプールに豚の専門店があって子豚の丸焼きを出していますね。エルセルドですが、グアムやフィリピン、バリ島の豚の丸焼きの美味さを知っている者から言わせると、あれって「かなりまずい部類」なんですね。でもマレーシアはインドネシア人も多いですし、隣はフィリピンですから美味しい豚の丸焼きの店があるんじゃないかと思っていつも探しているんですが、無い様子。場所は近くても歴史がまるで違うし、ましてやイスラムの国だから豚の丸焼きは少ないんでしょうね。中国人もやりますが、素材は同じでも出来上がったものがまるで違う。
グアム・・・、懐かしい・・・・。我が心の故郷。私の原点。
もし私たち夫婦に子供が居なかったら、まず間違いなくグアムに住んでいたはず。それほど我々夫婦はグアムが好きです。
一つ心残りなのは、私達を家族のように思ってくれていた彼ら一族と私の子供たちを繋げることが出来なかったこと。あの「世界ウルルン物語」みたいな世界を、そしてああいう純粋で幸せな人たちがいるのを子供たちに見せたかったし、次の世代でも私達と同じような繋がりを持って欲しかったのですが・・・。
私とグアムの関係、思い出はこのブログに「グアムウルルン物語」として書きました。興味がある方は検索するとすぐ出てきますので、是非読んでみてください。あの彼らとの出会いがなかったら、私達も今オーストラリアに来なかったかもしれません。