プロの料理人からメールが来た~~~~~

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いやー、びっくりしました。

私はいつもわけわからない理屈をこねくり回しながら調理実験をしていますが、それに関してプロの料理人からメールが来たんですよ。

「あんたのそのやり方はメチャクチャでどうにもならない」

なーんて内容じゃなくて、その方は今、牛骨スープをどう作るのかで悩んでいたそうなんです。そんな時に私のブログを見つけてスロークッキングだとか低温調理に興味を持ち、非常に参考になったとのこと。

マジっすか? (笑)

私も飲食店の家に生まれ育ちましたから、それなりに知っていることってあるわけですが(でも調理に関してはほとんど知らない)、それって「今までのやり方」を確実に続けるというところに主体があります。今の時代は創作料理じゃなんじゃありますが、普通はそんなのは邪道で「何十年も掛けて作り上げた味をいかに守るか」が重要なんですね。というかこれが基本、原点であるのはどこも同じなはず。

でも時代は移り、お客の趣向も変わっていく中でどうするべきか。ここでどんな店でも悩んでいるはずで、もしもプロの方が私の自己満足の固まりでしか無い調理実験から何かヒントを得られることがあるなんて、私としてはこんなにうれしいことはありません。

そのプロの方は今悩んでいることがあるそうで、是非その詳細を教えていただきたいと返事を書きました。そしてそれを一緒にその方と悩み、私も実験をしてみたいと。

嬉しいなぁ、楽しみだなぁ。

いろいろやってみて、「お客の評価はばっちりだった」なんてたったその一言を私も聞いてみたいです。

実は最近、ベトナムのフォーに凝っていますが、それもフォーボー(牛のフォー)なんですが、これはスープが命なんですね。これの作り方をいろいろ調べるとやっぱり「フォーってストリートフードだろ?」なんて言えない奥の深さがあるのがわかります。極論を言えば、フレンチのコンソメスープのこだわり方に似ているような気がします。牛骨でも肉でもグツグツボコボコ煮れば良いってもんじゃないのね。

そして牛骨と言っても使う骨の部位でかなり違いがあるのもわかってきました。

私は「極上のコンソメスープをいただく」なんて上品なオヤジじゃなくて、どちらかというと塩っぱいのは苦手にしても「労働者風の味付け」が好き。(笑)

マレーシアの小籠包にしても鼎泰豊やマリオットの上海より、ドラゴンアイの濃い目な、そして野暮ったい小籠包のほうが美味しいと思うくらい。

そういうふうな方向で言うと牛骨は「肋骨」が良い味がでるんですね。これは粗野な味と思う人が多いだろうけれど、いわゆる焼き肉で言うと「カルビが好きかサーロインが好きか」みたいな違いがあって、肋骨はまさにカルビの部位ですが、同じ系統の味になるんですね。これって私には良くわかりませんが、肉の味は「脂にある」と私は思っていますし、和牛の和牛香と呼ばれる成分も脂にあるとのこと。だからオェってなりそうな霜降りを好きな人が多いんじゃないかと思っています。

で、その味が肋骨を使うとスープに出るんですよ。ところが洋食のレシピによく出てくる「マローボーン(骨髄がびっしり入っている骨)と呼ばれる大腿骨」とか、首の骨、関節ってそれぞれの風味が違うのが私みたいな素人でもわかります。また肋骨には脂とともに筋がしっかり付いていますから、しっかり煮込むとこれが溶けてゼラチンたっぷりになるのね。

だから私は肋骨で取るスープが好きなんですが、でも多分これはベトナム料理のフォーとしては本流から外れるはず。私は良くわかりませんが、ベトナム料理って脂、油を極端に嫌う料理に見えるんですよ。いろいろ作ったわけではありませんが、日本料理に近いような油、脂に関する料理文化があるような気がしています。だから私が最高に美味しいと思うフォーをベトナム人が食べたら、多分、オェってなるはず。(笑)

これは韓国風にしても同じで、私はパンチがあってゼラチンたっぷりのスープが好きですから、肋骨から取るのが好きです。でも本来はどうあるべきなのか、まともな韓国料理なんてこの何十年食べたことがありませんからさっぱりわからず。ただし、韓国料理のレシピ、作り方を見ていると、スープの取り方がちょっと理解できないところがあるんです。まず、骨でも肉でも流水に何時間も付けて血を洗い出すんですね。肉なんか茶色になるくらいまで。私はこれって理解できなくて、かつて良い素材が手にはいらない頃の「名残」じゃないかと思ったり。

そう思いながら洋食のレシピを見ると、「血も大事な素材」だなんて言うのが出てきて、料理にも寄るんでしょうが血抜きをしていない肉(そんなのあるの?)を好むシェフがいるとか。

また韓国料理や中華料理で結構やるボッコンボコボコに煮立ててスープを取るという方法を洋食のレシピでは見たことがなくて、そんなことをしたら雑味が出て台無しになると洋食のシェフがいうのもあります。

ただこの辺は私はへ~~とおもうだけで、その雑味ってどれを言うのかもわかりませんし、良いスープと悪いスープを飲み比べたこともありませんし、自分が美味しいと思うか否か、それしか私には判断基準がありません。そして尚且つ、私はグルメでもなければ、そもそもベロの性能がヨメさんや息子よりも劣っているのは明らかで、私自身が自分を信用できていません。(笑)

でもま、たかが牛骨のスープといえども、素材によって、また煮る前に焼くのか焼かないのか(一般的に洋食は焼く。韓国料理は焼かない)の違いがあるし、これは焦げ、つまりメイラード反応を利用するかどうかですが、洋食にはそもそもアジアのような調味料がなく、焼いて焦げを付けるのがまさに調味料だという考え方があるようす。焦げはメイラード反応ですが、これは醤油や味噌も同じでメイラード反応によってあの茶色の色、つまり焦げ色が付くとのこと。

じゃぁ、焦がさない+醤油を使うのと、焼く+醤油は使わないのと、逆をやったらどうかという発想も出てきますよね。つまり、焼かない韓国式で焼いてみるとか、あるいは和食で醤油を使うのが当たり前なのに焦げを利用してみるとか。またボコボコ煮るのが普通のスープを低温調理で長時間かけたらどうなのかとか。

私はいつも書いていますが、面倒だから最近は圧力鍋を多く使いますが(笑)、そうじゃなくて沸騰直前のコトコトという温度で長時間煮ると、まず見た目がまるで違うスープになるんですね。でもそれって乳化しているかしていないかの違いはわかっても、スープの基本的な味の違いまでは上に書いたように食べ比べたこともないしベロの性能も悪いので良くわかりません。(白濁した白湯スープ、綺麗な清湯は煮方で作り分ける。ボコボコ煮ると脂と水分がくっついて乳化して白くなる)(鶏の白湯は風味を飛ばさず雑味も出さず、乳化させるのはかなり難しいらしい。でもゼラチン、脚を使うと素人でも出来るとのこと)

ただですね、日本には土瓶蒸しという料理がある。中国でも壺料理があって、これのコンセプトは非常に似ているんですね。まさに低温調理。この考え方で野菜スープを作りますと、非常に上品で繊細な味になるのは私でもわかります。そしてもちろん野菜類は煮崩れするなんてことはなく、温度が70度ぐらいですと野菜のセルロースも壊れずにまるで生のような歯ごたえが残ったままの不思議な煮物になる。そして低温調理の場合は「風味が逃げない」のね。だから圧力鍋だとニンニクを一欠片入れようと入れまいと違いはわからないくらいに風味は飛ぶのに、低温調理だと蓋を開けた瞬間、ニンニクの風味がフワ~~~と出てくる。不思議ですよ~。つまり野菜の素材の風味も飛んでないわけで、土瓶蒸しってつまりこれのことなのかというのが理解できる。洋食で言うブレゼがこれに当たるのかと思ったり。

ま、何をどうするとどうなるかってのはいろいろやっているとわかってきますが、では「どれがベストか」ってのは私にはわからないわけです。これは私みたいにいろいろ実験して結果を見てはへ~~なんて感心するだけなのと、「こういう味を創りたい」というプロとの違いがあるわけで、私にはその定かな目標ってないわけです。あえて言えば「自分が美味しいと思う味」でしかなくて、それが料理として良いものなのか、あるいはプロの場合、その味で売れるのかが大事ですが、私の場合はそういうのは全く関係ない、自己満足の世界。

そんな意味でも、今日、メールを頂いたプロの方が、どんな味を目指し、どんな苦労、悩みがあるのか、それをもし教えていただけたら、一緒に実験してみたいと思うわけです。

楽しみだ~~~。

「京都に来ることがあれば是非お会いしたい」なんて言葉が最後にありまして、涙が出るほど嬉しかったです。

話題とそれますが、過去の料理習慣は横に置いといて、一体これからの料理はどうあるべきかと料理界の重鎮、そして科学者が集まる研究会があります。これって面白いし凄いと思うのは、「理由がわからないことはやらない」というプロ魂をあちこちに感じること。つまり「親方にそうやれと言われた」「うちの店はもう100年以上こういうやり方だ」なんてのは無視なんですね。一つひとつの行動に「何の根拠があるのか」を調べ、根拠が無いことはやらないという基本方針がある。また科学的根拠がわかればそれの応用も出来るわけで、例えば「煮る」「蒸す」「熟成」とかいろいろキーワードがありますが、これは中華、フレンチ、和食、イタリアンでもそれぞれ違うわけですよ。そういう同じ料理界でも違う分野の重鎮が集まって、お互いの特徴、違いを見つけながら、新しい一歩を切り開こうとするこの研究会って、門外漢の私でも出席したいぐらい。

関西食文化研究会

それと最近、面白いと思うのが、ハーバード大学で料理を学ぶってこと。え?と思うでしょうが、あのハーバード大学で料理の学科があるんですね。それの一般向けの講座がユーチューブに公開されています。流石ハーバードでややこしい数式が出てくる部分もありますが、それは飛ばして、料理の理論、理屈、新しい考え方を学ぶのは本当に面白いと思います。

45話あります。

 
 
 

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