トランプ大統領になって私が気になること

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トランプ大統領になったら何がどう変わるのか。あちこちからいろいろな意見が出始めていますが、私が気になるのは「安全保障」のこと。経済的なことに関しては、私は一線を退いていますし、トレード中心に考えれば私は短期決戦しかしませんから、アメリカが、日本が、世界がどう動こうと全く関係なし。逆に波乱が起きればその方が私には追い風となります。

そして経済だとすれば気になるのは日本のみと言ってもいいくらいで、でもそれに関しては残念ながら「さじを投げている」と言っても過言ではなくて、今の政府、官僚、自治体、そして大企業、政治家、野党など、どこを見回しても「良い兆し」ってないと思っていて、目先の上下はあるにしても、長い目で見て日本が良くなるとはどうしても思えないのです。

発展に向かってそれぞれが根本的な大手術を受け入れることは出来ない日本だと感じるし、このままでは将来は無いと思っています。でもま、日本に基礎体力があるのは間違いがなくて、大きく伸びることはなくてもそこそこやっていくんじゃないかと思う程度。

ただし、安全保障に関しては「国の浮沈」に関係することで、かなり気になっています。今までの動きもそうですが、トランプ大統領になってから一体どうなるのか、それが気がかりです。

今の時点で非常に楽しみにしていることがあります。それは日ロ関係。

年内にどういう話が出てくるかわかりませんが、北方領土の返還、そして日ロの経済協力が進むだろうと思っているのですが、まずは歯舞色丹の2島が戻ってきたらそれはそれで一歩前進で、ぜひその線でも話を進めて欲しいと思うのですが、もしそうなったにしても大きな問題があるんですね。

安全保障です。それも日米関係。

日米安保ってもちろん日本全土が対象になっているわけで、駐留軍であるアメリカ軍にとって日本は彼らの庭と同じ。

ではもし歯舞色丹が戻ってきたらどうなる?当然それは日米安保の対象地域になるわけですよね。

さて、そこに自衛隊は駐屯するんでしょうか。基地は?この辺は日ロでどうにでも話はつくんでしょう。警察しか置かないという方法もあるかもしれない。

では米軍は?

まさか歯舞色丹にアメリカ駐留軍をという話は出ないにしても、あの空域、海域をアメリカ軍が我が物顔で動ける状態で良いのかどうか。またもし日ロで問題があり、歯舞色丹で何か起きたらアメリカ軍はどう動くのか。

この辺はすでに安倍さんはアメリカと大筋の話はしているのだろうと思うし、アメリカを無視して話は進められないはず。ところがそれはオバマ政権であり、安倍さんが先日アメリカに行ったときにあったのはクリントン候補。トランプ候補のことは無視した。

ま、防衛は自分でやれ、核武装も良いぞなんてジョークを言うようなトランプ氏ですから、歯舞色丹が戻ってきても「好きにすれば?」というかもしれない。

ということは?

当然、尖閣も同じだってことになるはずで、「尖閣は守ってください」でも「歯舞色丹は結構です」なんて言えるのか?

もし歯舞色丹に米軍が簡単にアクセスできる状態ならプーチン氏もロシア国民も冗談じゃないと思うわけで、でもアメリカに「尖閣だけは宜しく」というのも同じことになる。

ま、北方領土は無視するにしても、トランプ氏が「尖閣」をどう考えているのかはわからない。

当然、こんなことはアメリカもロシアも中国も想定しているはずで、トランプ氏が何を考えているのか、中国は必ず「様子見の行動を起こす」はず。

それは必ずいつか起きる。

その時に日本の取るべき行動は決まっているものの、アメリカはどう出るのか。今までと同じように「尖閣で何か起きればアメリカ軍が出動する」というのか。

でもそれってトランプ氏らしくないわけで、トランプ氏がそれを言ったら「嘘つきオトコ」と言われるんじゃないですかね。誰も住んでいないような辺境の、それも日本のためになぜアメリカの若者が命を賭けなくてはならないのかってのは、今までのトランプ氏であるならば必ず言うはず。日本の問題は日本が解決しろと。

だとすれば、じゃぁ歯舞色丹は?

私としてはもうアメリカはトランプ大統領ではないにしろ、日本を助けないというのを「日本の中枢は理解している」と思うんですよ。これはアメリカ軍の防衛綱領を見ても、有事の際にはアメリカは第一次列島線まで下がることになっていて、アメリカが中国と戦うことはあり得ないってのは常識じゃないんですかね。

でも「安保が~~」「約束が~~」「助けてくれるはず~~」という前提で日本は動いている。ところが日本もアメリカも当事者同士では話が付いている。あるいは暗黙の了解としてすでに合意があるのかもしれない。

これは想像でしかありませんが、日本の中枢はそれがはっきりしたからこそ「集団的自衛権」を重視しだしたのだろうし、あの時私が思ったのは「集団的自衛権はアメリカのため」ではなくて「日本がアメリカを繋ぎ、縛り付けておくため」じゃないかと書きましたが、今でもそう思っています。そして残念ながらもうアメリカは日本を助ける気はない、ってのが常識になっているのかも。だからこそその流れを止めるためにも安倍氏はアメリカ議会で「強い絆」を言うしかなかったんじゃないですかね。

その反面、アメリカの影響力の低下がはっきりしているから、安倍さんはここでプーチン氏と話ができるはずで、かつて日本がソ連と「まずは二島返還で」と合意しそうになった時、アメリカから横槍が入ったのを忘れてはならないと思うんです。

これは「ダレスの恫喝」という。当時のダレス米国務長官は日本の重光葵外務大臣と会談し、日本が2島返還で決着させるなら沖縄は永久に返還しないと言い渡した。

でもソ連は崩壊し、冷戦は終わり、アメリカは一極主義から多極主義へ変わってきて、当然、世界の警察はやめたし、やりたくても出来ない。

あの中国のメチャクチャな行動も見て見ぬふりをしていたオバマ氏だけれど、それも大きなアメリカの変化の流れに乗っていたってことですよね。でも世界的な影響を考えれば、アメリカが変わったのをはっきり世界に知らしめるわけにも行かず、自由航行作戦みたいなまるで意味のない動きをする程度。

これは中東でシリアを爆撃すると言って何もしなかったこと。またクリミアに関してもオバマ氏は口で騒いだだけで、制裁も適当なものでしかなく、これらの動きを見ていたロシアも中国も「アメリカは変わった」のを確信したんでしょう。だから隠していた爪も伸ばし始めたし、中国は南シナ海で我が物顔だし、ロシアは(アメリカが敵視していた)シリアとしっかり手を結んでしまったし、基地まで作った。もう未来永劫アメリカはシリアに手出しできない。それどころかアメリカは中東問題を解決できずに、イランとまで手を組んでしまい、サウジは梯子を外された格好になって、中東を安定させようとしているのか混乱させようとしているのかわけがわからず。

でも確かなことは「中東での影響力を持とうとしていない」ってこと。だから各国が自分の意思で動き出した。トルコのロシアとの接近もあの地域を大きく変えるきっかけになるはず。もしかしたらNATOにも大きな変化が出てくる時代に入るのかもしれない。

そしてそれは日本も同じで、「アメリカは口を出さない」と読んでいるからこそ安倍さんはプーチン氏と話が進められる。そして尖閣防衛の為にはアメリカは出てこないことに関しては諦めた。でもどうにか繋ぎ止める努力をしているけれど、相手がトランプ氏となったらどうなるのか。

今思い出せば、ロシアのクリミア併合のときに、オバマ氏から安倍氏に電話が入り「ロシアの制裁に参加してくれ」と要請されたのに、「考えさせてくれ」と安倍氏は答えたと。

日本には日本の都合があるわけで、アメリカの言いなりにはならないのは当たり前ですが、アメリカ大統領の要請に「考えさせてくれ」と即時言ったのは歴代の日本の首相のなかでも安倍さんだけだと言われていた。

逆を言えば、アメリカがイギリスと手を組んで「イラク侵攻」するときに、イギリスのブレア首相が小泉首相に電話を入れて「賛同してくれ」と言われ、小泉氏は何も調べず、何も考えず、「はい」と即答したと、当時の福田官房長官があとでバラしちゃった。

こういう話はなんてことのない話のようだけれど、ずーっとウォッチングしていると「何か大きな変化が起きている」ってのは見えてくるんですね。

そしてその変化はより大きくなってきている。だから安倍氏も動いたんじゃないですかね。集団的自衛権も、ロシアとの話し合いも一つの線でつながっていると感じます。

そしてそして次に出てくるのがトランプ新大統領。馬鹿みたいな話、実行不能なことばかりだけれど、彼の基本にある「アメリカの利益を最優先する」というところは嘘じゃないんでしょう。駐留経費を全額払えとか、撤退するぞとか、核武装すれば?なんてのはそれをそのまま聞けば「馬鹿か?」と思うけれど、これがアメリカ流、トランプ流の交渉術だとするなら、「布石である」ぐらいに考えるのは妥当だと思うんですよ。

でも私はトランプ氏は卑怯だと感じます。本音は言わないんですから。でも人心を捉えて大統領になっちゃった。

これって今までの政治家、リーダー選びとは大きく違っていると感じます。今まではそれぞれが自分の理念なり信条なり、計画、目標を明らかにして、「それを元にして選挙民が選ぶ」のが選挙だったと思うのです。政党選びも同じ。

ところが今回は「俺にやらせれば全てうまく行く」という話を選挙民が飲んじゃったのと同じだと思うんですよ。

でもねぇ、リーダー選びってのは結局そういうものなのかな、みたいな気もするわけです。会社のリーダーとて同じで、大事なのは「何をするか」「何が出来るか」ということ以上に、「問題解決能力」のはずなんですね。

世界は刻一刻と変化するなかで、「約束」というのがどれほどの意味があるのかと思うことがあります。大事なことは「約束を守る事」ではなくて、「何が何でも生き延びること」だと私は思うわけで、「この人なら」と思って選んだリーダーが、当初とは全く逆のことをやったにしても「それが結果的に良いこと」ならそれでよいってことですもんね。自分の理想なり信条に固執してそれを貫き通して沈没したら意味が無いわけですから。

トランプ氏個人としてもそう考えているんだろうと私は想像します。まさにそこがビジネスマン的で、「俺にやらせろ。それでうまくいく」と言えば済んじゃう。でも選ぶ方は真っ青で、一体本当に何をやるのかがわからない。

でもアメリカ国民はそれに賭けたってことなんだろうと思っています。誰もメキシコとの国境に壁を作ったり、モスリムは入国させないとか、日韓に核装備させても良いなんてそのまま信じるバカはいないでしょう。

でも「トランプなら酷い現状を変えてくれる」と思ったんじゃなかろうか。

そういう意味では「Change」だとか「Yes, we can」でその気にさせて何も出来ない人情家のオバマ氏よりか「実行力があると読んだ」んじゃないですかね。そしてチャンジするべきものはまさに今までの「政府、社会構造、価値観そのもの」だと気がついたんでしょう。いや、そんなことはわかっていたけれど、それを変えると言い、実際に変えられそうなのは彼しかいなかったのかもしれない。

トランプ大統領選出を予見できなかったマスコミも学者も専門家も今までの社会構造、価値観を守る側で、あのおかしな物の言い方をするトランプ氏を馬鹿にし、上から目線で見ていたけれど(私も同じ 笑)、一般大衆の中に広がる不満は見えなかったんでしょうね。というかそれを認めたくなかったんでしょう。イギリスのあれも同様。認めるどころか変化を嫌い、動きを押さえ込もうとしたけれど失敗したってことじゃないですかね。

私は実は今でも「田中角栄」が好きで、「実行力」を私は何よりも大事にしたいと思うタイプ。そういう意味で、トランプ氏には興味があります。

でもそれが日本にとって良いことかどうかはわからない。

ただ、日本は戦後、アメリカの影に隠れて生きてきた「70歳になっても自立しないひきこもり」と同じだと思うんです。でもトランプ氏はその日本を現実の世界に引きずり出すつもりであろうと思うし、それは日本にとって良いことだと思っています。

そしてそれはアメリカの変化という意味では既定路線であって、安倍氏はそれを早くから見抜いていたと思うのです。

ただ自民党の中にも頭の周りにちょうちょが飛んでいるような議員もいれば、反対のための反対しか出来ないところまで落ちぶれた野党、そしてまだまだ解決の糸口が見えない沖縄。そして日本の中で暗躍する反日勢力。

これからが日本の正念場だと思うし、どうにかこれを乗り越えて欲しいと願っています。

日本という国は2000年以上の歴史を持つ、世界でも稀な国で、中国みたいに「その土地の歴史があるだけ」という新興国とは訳が違う。歴史がある国というとギリシャが頭に浮かぶけれど、ギリシャとてかつて都市国家があっただけで、国としての歴史は浅い。

日本という国だけが世界で2000年以上生き延びてきたわけで、それは島国だったという利点もあるんでしょう。でも私は、日本にはそれだけの歴史を生き抜くための「知恵」があったからだと思いたいです。

どうなりますかね~~。

とりあえず、北方領土に関しては年内に進展があるだろうと楽しみにしているのですが、それに対して中国やアメリカがどう動くのか。また「トランプ試し」のために中国は間違いなく尖閣でなにかするだろうし、あるいはアメリカ大統領が変わる空白の時期に何か起きるかもしれない。

とりあえず、この数ヶ月はその辺に注目していようと思います。

それと世界の動きとしては「グローバリズムからナショナリズムへの回帰」が見えるわけで、これから行われるヨーロッパでの選挙でどんな結果が出るのか。あのイギリス、今回のアメリカ、みたいな流れが続くのかどうか。

ま、どちらにしても世界は大きく舵を切ったと私には見えます。

新時代の到来かな?

 
 
 

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