イポーへの温泉旅行で有名な鶏肉料理を食べまして、いろいろ考えるところがあったので久しぶりに自分でも「蒸鶏」料理(実際には茹でる)の代表である「海南チキン+ライス」を作ってみました。
私は鶏好きで、なおかつ蒸鶏にはFall in love状態(笑)。ですから自分の家でもどうにか美味しいものを作ってみたいと悪戦苦闘した長い歴史があります。(笑)
低温調理オタクですが、そもそも低温調理に興味を持ったのも「美味しい蒸鶏」を作りたいから。
ただ今回は、ちょっと低温調理は横に置いといて、「一般的な作り方」を念頭に置いてやってみることにしました。
ただ「茹でる」場合は「味が出てしまう」のは当たり前で(低温+密封料理だとそれが起きない)、そこが気になりましたので、また今回は「ライス」も作るので、「まずはスープをしっかり取る」のが大事だと思いました。同じ茹でるのでも「お湯」から茹でるのと、お店でしっかり味が出たスープで茹でるのとは大きな違いがあるはずですから。
まずは鶏の骨(ガラではない)が大量にありましたので(でもいつも使うモミジ=鶏脚はなし)で、しっかりスープを取りました。そしてこのスープを使って鶏肉を茹でる。
私は胸肉が好きではありませんし、鶏は「胸肉、腿肉、皮」の丁度よい温度に大きな開きがある(これも蒸鶏が難しい理由の一つ)ので、今回は胸肉無しのメリーランドを使うことに。
スープを取るときにはハーブ、調味料類は一切いれませんが、茹でる時にいろいろ入れます。
◯ タマネギ
◯ ショウガ
◯ ニンニク
◯ (大事な)コリアンダー。(茎でもOKだし根があったらばっちり)
◯ ネギは入れ忘れ (笑)
沸騰したところに鶏肉を入れるのですが、本来、低温調理好きはこういうことはしないんですね(笑)。でも一般的にはこの方法が非常に多い。
投入後、すぐに火を消します。当然、温度は下がってきますが75ー82度辺りを常に保つように途中で火を入れたり。
その間にライスを用意します。
油をひいたフライパンに「ショウガ+ニンニク少々」を入れ、そこに研いでおいたお米を入れて炒めます。ショウガ、ニンニクの香りが出てくればそこで終わり。
またつけダレも用意します。
ネギを刻んだものに塩を少々。
これを「スリコギ」で潰します。これをやる中国人は決して多くないようですが、これをやったほうが美味しいと思います。
これに摩り下ろした「ショウガ、ニンニク少々」を混ぜ、そこに230度程度に熱した「油」(普通の油)を入れます。ジャバジャバジャバと凄い音が出ますし、跳ねますので注意。
今回はそれと「スリラチャ(唐辛子ソース)」と「自家製の青唐辛子を美味しい醤油に漬け込んだもの」を用意。
そうこうしているうちに鶏肉が出来上がります。今回は45分掛けました。ただこれが後で問題となる(?)。
鍋から取り出してすぐに氷水に浸け、粗熱を取ります。そして水分を拭き取ってから刻む。中華包丁を使いますが、叩き切るのは怖いので(笑)、切れるところまで押し込んだらあとは「包丁の背を叩く」ことによって腿の骨も簡単に切れる。
鶏肉の表面に「ごま油」をハケで塗る。
そしてスープだけしっかり煮詰めます。そしてそのスープで「ご飯を炊く」。
出来上がり。
自画自賛ですが、かなり美味しいものが出来ました。肉のテクスチャーもほぼ完璧。(胸肉があると、きっと固くなっているはず)
でも・・・味が・・・・。もうちょっと・・・・・。
鶏の味が弱いと感じました。でもそれがスーパーで買った鶏(ブロイラー)が理由なのか、それとも「茹ですぎ」なのか、この辺が私にはわかりません。(でもオーストラリアのブロイラーよりは遥かに美味しい)
またライスももう少し「鶏の味」が欲しいと思いました。ただ塩が足りないくらいでしたので、塩を若干増やせば「鶏の味」も前に出てくるんじゃないかと思ったり
ただ低温調理オタクとして考えると、茹でて、しかも45分は長すぎるんですね。いくら温度が75度前後だとしても45分も茹でれば「煮込み」と同じになって鶏の旨味はスープに出てしまうのが当たり前じゃないかと。でもイポーで食べた「もやしチキン」の柔らかさはそれなりに時間を掛けないと出ないはず。(ここは多分勘違いなんでしょう)
私が学んだ中国人の茹で方ですと、大体25分から30分なんですね。お店で注文しても出て来るのが30分以内ですから、長く茹でることはしていないはず。ここは大事なポイントかもしれない。
良く炊飯器や鍋で「蒸鶏」(って言い方も変だけど)を作る場合、お湯から茹でてなおかつ長時間その中に浸けておく方法を取るケースがあるようですが、私はこれでは美味しいわけがないと思っています。ただしスープが濃ければ話は別なのかもしれない。
結局、美味しいことは美味しかったのですが、失敗と言って良いと思います。
反省点としては
◯ 茹で時間を短くする
そしてやっぱり
◯ 鶏は「低温+密封調理」するべき
だと思いました。一般的ではありませんが、せっかく低温調理、密封調理の趣味を持ったのですからそれを活かすべきだろうと。
ただその場合、鶏の味も逃さず、肉のテクスチャーもほぼ理想通りに作れるのですが、スープがないんですね。茹でませんから。また密封調理だとすれば、そして腿だけだとすれば、私は72-75度をキープしますので、「ほとんど汁が出てこない」のが普通。だから低温調理+密封調理の場合、「ライスが作れない」ことになります。
でも今回みたいにスープは別に用意するとか、今回は濃いスープが残りましたので冷蔵庫に取ってありますが、これも冷凍して「ライス用に」使えば良いのかもしれない。
良かった点としては「腿肉だけ使った」というところ。
上にも書きましたが、一匹丸ごとって半端じゃない難しさがあるんですね。素人にはなかなかうまい具合に火を入れることは出来ないと思います。まず第一に上に書いたように、「腿、胸、皮」の丁度よい温度に大きな開きがあるってこと。つまり胸肉に合わせたら腿肉はまだ生みたいだし、皮なんかまず口にも入れたくない状態。
では腿肉に温度を合わすと胸肉はパサパサになる。当然、皮に温度を合わせたら全部がパサパサになる。
だから凝り性の人は茹でる前に熱湯を皮に掛けたりするし、また茹でる時に、「胸側を上にして」スープから胸肉が出ている状態で茹でる料理人もいた。これなら胸には火が入りすぎることはありませんから。
でも一般的にはそんなことはせず、「最大公約数」の温度で茹でるんでしょう。でもそれはプロの世界の話で、素人には難しいと思います。
だから腿肉が好きなら腿肉だけで作るのが簡単ということになる。
またマレーシアの鶏は「皮が薄い」のが普通で、厚みがない、つまり脂がすくないんですね。だから高い温度で脂抜きをする必要もないし、「皮は無視しても良い」と思っています。
温度の決定ですが、骨付きか骨なしかでも違っていて、骨がなければ70度前後が良い(腿肉の場合)と私は思いますが、骨付きだとこの温度では「骨から血が出る状態」なんですね。私は平気ですが、ヨメさんは「生だ~~~~」と騒ぎます。(笑)
でも70度を超えると血の赤身も消える。だから骨付きだと75度あたりが良いはず。
じゃぁ、骨を外せば・・って思いますが、鶏肉って骨付きが美味しいんですね。これは骨付きの場合、「肉が縮まない」からだと思いますが・・。
ま、鶏って凝れば凝るほどどんどん難しくなってくると感じます。でもプロはそれをいとも簡単にやってのけるから凄いですよね。
私としては低温調理オタクですし、低温調理器を使って温度をきっちり管理し、なおかつ密封調理の良さもあるわけですから、やっぱりその線で行くしか無いと思いました。
今回の味をベロが覚えている間に、得意の低温調理+密封調理で作ってみて比べてみようと思います。