このようなタイトルのニュースがありました。
「タイで優雅な年金生活」の夢が破綻、大惨事も
私達家族はわけありでマレーシアに来ましたし、タイへ渡るという選択肢は最初からありませんでしたが、興味は前から持っています。
でも今現在、このようなことになっているとは全く知りませんでした。
「タイは物価が安く、日本より優雅な生活ができる」という空想の夢物語は、数年前のお話。今、タイでは物価が高騰し国民生活を直撃、大きな問題となっている。
特にバンコクは深刻で、想像以上に激しい物価高騰で年金生活者の日本人高齢者は生活難に陥り、「リタイアリッチ」の夢は「リタイアプア」の現実に取って代わった。
今更日本にも帰れず、夢打ち砕かれ、身寄りのない異国で孤独死するケースも珍しくなくなってきた。
例えば、バンコクでラーメンを注文した場合、数年前であれば200バーツ(約700円)ぐらいだったのが、今では300から400バーツ(約1000円から約1300円)と、2倍近くにまで跳ね上がっている。
バンコクでもお馴染みの和風居酒屋や和食レストランでも、お酒が入ると1人当たり平均、2000~3000バーツ(約7000円から約1万円)もする。
しかし、日系スーパーで買い物をすれば、「日本では、1袋400円のみかんが800円(10個入)、1個90円のりんごが200円、1匹100円の秋刀魚やいわしが500円、豆腐や納豆も1パックが300円ほどで、1回の買い物に毎回最低1万円はかかる。物価安で日本より優雅に、とタイに来たが、日本より苦しい台所事情に直面している」(70代の大手商社リタイア夫婦)という。
いやいや、どれも「マジっすか?」と思うくらい凄い。物価が高いんですね~~。マレーシアの物価も上がったと言われていますが(私にはわからない)、これほど高くは無いですよね。和食店の食事でもお酒込みで一人5000円以内なんてのはどこでもあるし(そうでもないか 笑)、買い物の度に最低一万円掛かるなんてこともないし。
彼らの中には貧困から地元のスーパーで万引きをしたり、日本人を騙して食いつないでいる貧困のどん底の暮らしを強いられている人もいる。
「当座のお金に困っていて、少し貸してもらえないか。銀行口座には日本の留守宅の家族がもうすぐ、入金してくれることになっていて、すぐにお返しします」
当惑していると、「日本人なら助けてくれてもいいだろう」と態度を豹変され、怖い思いをしたそうだ。最近は、タイ人から見ても身なりの貧しい日本人が街を闊歩しているそうである。
これにくらべたらマレーシアはまだまだ大丈夫そうですね。地方都市へ行くともっと安く平穏に暮らせるところもあるみたいだし。
ただ私にしてみると「時間の問題かな」みたいな気がしないでもありません。
今では「高い」の当たり前のシンガポール、台湾、香港も私が若い頃は「嘘だろ?」と思うくらい物価は安かったし、移民として渡ったオーストラリアも、私が情報収集を始めた1980年代の終わり頃は「家族四人で、家を借りて子供は学校に行き、月に15万円」という現地情報を見たことがあります。
いくらなんでもそりゃないだろうと思って1991年に渡りましたが、案の定、その時点では15万円で生活なんてとんでもありませんでした。とは言うものの、サーファーズパラダイスというゴールドコーストの中心の街、そしてその中でも一番賑わっている通りにあるコンドミニアムで、眺望は抜群、海は歩いて1分の「これ以上の良いポジションはない」と言われるそこそこ大きな3BRでもレント代が月に15万円しなかったのを覚えています。(バラーとかアランガ)
ゴールドコーストでは実際に物価は安いと思いました。また「部長クラス」の手取り収入が300万円以下(一般的にボーナスも退職金もない)の世界ですので、当時は何を買っても「日本より安い」と思いました。土地付き一軒家でも「ウォーターフロント」(当然プール付き)が2000万円以下の物件があった時代。(今では1億以下で見つけるのは難しいはず)
でもあれから25年。オーストラリアは一人あたりのGDPも世界トップクラスになりましたし、物価の高さは恐ろしいほど。でも当時の物価の安さは、今の人には信じられないはず。
そもそも、「日本だけがデフレ」で世界の主要国はどこもインフレ、そしてGDP、一人あたりのGDPもどんどん伸びて、日本だけが取り残されたんですね。
だから日本人は「インフレの怖さを知らない」と言って良いと思うんです。
いやいや、俺だって田中角栄時代の狂乱物価を知ってるぞという人もいるでしょう。でも当時は「インフレとともに自分の収入も上がった」んじゃないですかね。
「収入や資産は増えないのに物価だけはどんどん上がる」という恐怖を味わった日本人は少ないはず。
だからどうしたって「将来の読み」が甘くなる傾向があるんじゃないかと思うわけです。(だからインフレ率程度の利回りで資産を回し、なおかつそれで生活すると【あっという間に簡単に破綻する】。)
ジジババはもうこれから30年生きることはなさそうですし、早ければ10年以内にその時が来ちゃうかな?なんて思うくらいで(笑)、「遠い将来のことを心配する必要はない」のかもしれない。
でも40代、50代でリタイアしちゃった人たちは「まさかと思う将来に出くわす可能性」はかなりあるんじゃないでしょうか。
ましてや年金もない、保険もない、社会保障がないとなると・・・・・。就労の権利もないMM2Hみたいなビザは「長期観光ビザ」でしかないと言うのはそういうことなんですね。
思い出すのは何年か前ですが、私の友人がKLの日本人会館へ行ったときの話。
初老の日本人男性が、あの入り口の事務所のところで「泣きついていた」とのこと。
「もう生活できない。お金もない。何か仕事は無いだろうか。助けてもらえないか」と。
オーストラリアでも似たような事はあって、「幸せな時期は短かった」と言っても良いと思います。永住権を持って移民として渡った人が多くいましたが、私もそうですが多くは「起業ビザ」と言われるものだったんです。つまり、オーストラリアで仕事をするという約束で取ったビザ。
これも「勤め人」じゃ駄目で、「内需拡大」「輸出貢献」「雇用拡大」が見込める仕事じゃないとビザは出ませんでした。(時期によってそのビザの制約はいろいろ)。
ですから起業なんてしたこともない人たちも起業するケースが多かったんです。夢ばかり膨らませて「ワイン農場を買収」、「セキュリティー会社を買収」なんて友人もいたし、早期退職で多めに退職金をもらった技術者が「ソフトウェア開発会社」を興したり。
ま、そういう人たちがどうなったかなんてのは簡単に想像ができると思いますが、私が知る限り、今でも企業を経営している人は二人だけです。(ゴールドコーストね)
飲食店をはじめた人も何人かいましたが、今でも残っているのは一店舗だけ。ただし派遣で来た板前が居残ってビザを取り、自分で店を開いて今でもやっている店は数店舗ある。
多くの人たちは「早ければ半年」「長くても5年程度」で消えていきました。移民、永住者として渡ったのにあっという間にオーストラリアを去らなければならなかった。
でも帰れた人はまだ幸せで、「今更、どの面下げて帰るのか」ってな人もいて、かなりのお金持ちだったのに仕事に何度か失敗して、最後は離婚して一人寂しく安アパートで亡くなっていたのが見つかったり。この人は私のオフィスの近くに居て、暇があるとオフィスに遊びに来て泣き言を言う(本当に泣きながら)人でした。
あるいは、矢沢永吉がゴールドコーストに投資して60億円以上の詐欺にあった話をご存じの方もいらっしゃるでしょうが、ウン十億持ち込んでやったこともないのに「不動産開発」に手を出してケツの毛羽まで抜かれた人とかそんな話はいくらでもあります。
そして「日本人が日本人を食うケース」も当然あるのね。「ゴールドコースト~~♪」なんて舞い上がっている人たちはいくらでも次から次へと渡ってくるわけですよ。そういう人たちにうまく取り入って詐欺をしたり。これはかなり多かったはず。不思議だったのは、相手が「弁護士」でもないのに平気で大金を送金したり預けたりというケース。マレーシアでも平気でMM2Hの業者に「定期用のお金」を振り込む人が多いって、一体何を考えているのかって思いますわ。数年前に1千万ぐらいのキャッシュが強奪された事件がありましたよね。業者がそのお金を持っている時に「強盗に盗まれた」。あれも「裏」があるんじゃないかという噂があった。
ですからタイの話を聞いても「どこも似たようなもんだな」としか私は思わないのです。
そしてそれは「マレーシアでも起こるはず」と思っています。
このようにブログをやっていますと、見ず知らずの方からメールを貰ったり質問、相談もあるんですよ。そして時々思うことは「こんなに世の中を知らない人が存在するんだ?」ってこと。本当に「箱入りジジババ」っているんですね。
ただ年金生活者は「危ない話には乗らない」「美味しい話に乗りたくても乗れない」ってことがあるんでしょう。それってある意味、非常に良いことで、危険な目に合うこともないのかもしれない。でも下手にスケベ根性を出すとしっかりやられるんじゃないですかね。
これは不動産投資も同じで、それこそ不動産こそ一番やられるケースが多いのはゴールドコーストでもそうだったし、タイでも同じじゃないんですかね。
でも実際に「儲けた人」もいるから始末が悪いんですね。二匹目、三匹目のドジョウを狙う人が後を絶たない。
有り余ったお金を投資して「俺は世界中に不動産を持っている」なんてニヤニヤして幸せに過ごせる人もいるんでしょう。でも「もう少し収入が欲しい」なんて賃貸物件に手を出すような人が一番危ないのは世界共通じゃないですかね。
それでも「やる」と思うのであれば、「信頼できるプロ」を探すしかありませんが、どうやって見つけます?ネット?(笑)
面白いのは、その道のプロだったとしても「海外に出るとおかしくなる」ってのが普通なのね。
昔、私の友人で日本から派遣されていた公認会計士と飲んだときの彼の言葉が忘れられません。
「みんな、成田を飛び立った瞬間、人が変わるんですよ」ですと。(笑)
誰しも夢や希望を持っていて、特に「海外居住」に対しては「何とも言えない満足感」があるのはわかります。
でも頭に血が上っている状態って長くは続かないし、最初のうちの感動は「日常の出来事」に数年すれば変わってしまうし、「舞い上がった状態」で余計なことを考えると、「早々に撤退しなければならない」のはまだ良いくらいで、「その後の老後生活」に支障をきたすなんてのは「世界のどこでも、古今東西、当たり前に起きていること」だというのは心に留めておくべきじゃないんでしょうか。
でもそれさえもどうでも良くなっちゃうのが「舞い上がり状態」なんですよね。
自己責任と言えば自己責任ですが、「舞い上がっている人たちを【カモ】だと狙う人たち」がいるのも間違いがない。
でもま、何があっても「良い経験をした」と思えればそれも「良い生き方」なのかもしれませんね。
冷静に考えれば回避できることっていろいろあるわけですが、「舞い上がる」のが楽しいから困ってしまう。
二日酔いで気持ちが悪くなった次の日の朝、「もうあんなに飲むのは止めよう」なんて何度も思うんですよね。