私は長期投資は下手くそで、だから長期的には「投資で儲ける」という概念は捨てて「財産保全」を第一に考えて債券に集中しているのは何度か書いている通り。利益らしい利益を作るのは「短期投資」でしかできない。
でも世の中の多くはこれと全く違うことを考えていて、短期では利益が上がらない、あるいは収入は決まっているから、「溜めたものをうまく運用する」のが投資だと信じ込んでいる様子。莫大な資金を運用する機関投資家ならわかるんですよ。でも我々みたいな市井の雑魚投資家も機関投資家みたいなことを考えているのが私には不思議なんです。
ま、人それぞれだから勝手にやればよいのですが、私は「長期投資をするしかない」「積極的に考えろ」という論調が巷にあふれているのは非常にうまくないと思うんですよ。特にファイナンシャルプランナーやファイナンシャルアドバイザーはほぼ皆同じことを言う。こんな長期投資が難しくて将来が読めない時代に入ったのに株式投資を勧めるネット情報を見てなんかおかしくないか?と思ったのでこれを書いています。
私は「将来のことは絶対にわからない」というスタンスでいますが、「わからない」にしてもいろいろレベルがあると思うんですよ。少なくとも明日明後日に日本が凋落して世界の表舞台から消えていくことはないと思うけれど、10年後はわからない。
またアメリカのトランプ氏ですが、ここまで世界の経済秩序を変えようとするなんて誰が想像したでしょうか。でも彼は彼が言った通りのことを着実に進めているわけで、理想論を言っていただけのオバマ氏とは随分違うのはわかるけれど、まさかここまでやるとは想像さえ私はしませんでした。
でも考えてみれば、トランプ氏が秩序を変えようとしているんじゃなくて、秩序を変えたのは中国であるという考え方もあるし、中国を抑え込まないと世界は大変なことになるという考え方に私は賛同します。
人口が多く、国土が広いだけだったかつての中国はポテンシャルはあるとは誰もが考えたし(それさえ否定的な評論家も多かった)、ソ連も崩壊し、中国に援助、協力の手を差し伸べて豊かになれば憲法の上に共産党がある独裁政治も変わるだろうと誰しもが期待した。そして世界は「自由と共存」を元に発展するだろうと。
かつての日本もそうで、中国には負い目があったにしろ経済発展は良いことだとそれこそ「大地の子」でもわかるように経済の根源である「鉄の生産」を日本が指導したし、大国のインフラ整備には不可欠な新幹線技術も惜しげなく中国に渡した。これは目立つところだけれど、大小様々な援助が中国に向けられ、そして中国が育つ過程に自社が関われば自社にも半端じゃないメリットがあるはずだと世界中の経済人が考えたはず。
でも中国は皆が考えたような発展の仕方はしなっかった。天安門事件の頃と全く変わっていない。(ちなみに天安門事件はなかったことになっている。そしてそれに朝日新聞、NHKも追従するという異常な状態)
日本を侵略国と言い続けるくせに、中国は南モンゴル、チベット、ウイグルに「明らかな」侵略を続け、それどころか民族浄化政策を取り続けている。でも世界はこれに目をつぶって放置。それどころか「一つの中国」だと台湾は必ず取ると世界に宣言をし、挙句の果ては九段線などという身勝手な線を南シナ海に引き、とんでもない広い海域を中国の領海だと主張し、実効支配しようとしている。(中国は尖閣だけでなく沖縄さえも日本の領土ではないと主張している)(沖縄の翁長知事はアメリカには文句たらたらだけれど、中国の驚異、尖閣の問題には当事者でありながら一度も言及したことがない異常な知事)
オバマ氏はこれを黙認したわけだけれど、今ではとんでもない広さを埋め立て、オバマ氏との「軍事化しない」という約束も簡単に反故。大型爆撃機が離着陸できるように整備しミサイル配置まで進めている。
そして経済の名のもとには世界各地、中国から遠く離れた地域にまで手を伸ばし、援助という名の莫大な資金を貸し、それが返済できないとなればその国の港湾など見返りに取ってしまう(当然軍艦も寄港できる拠点とする)という荒業を続ける。なおかつ経済援助も中国企業が乗り込み、中国人が働き、地元にはお金が落ちない方法を取る。そして地元には不釣り合いなインフラと莫大な借金が残る。
発展国には莫大な資金をバックにして、その国のキーになるような企業を買収し中国資本傘下に取り込み、逆に中国に進出する外国企業には不当な条件を突きつけ金と技術だけはかすめ取るようなことを平気でやる。
文化の名のもとには世界中に孔子学院なるものを設置し、プロパガンダと情報収集の拠点とし、中国の影響力を世界に広めた。そして数十万人と言われる留学生、研究員はありとあらゆる世界の中枢に入り込みそこで得た技術やノウハウは中国に「不当に」持ち帰ることもやってきた。
私にしてみればなんでここまで世界は中国のやりたい放題を放置するのかと思っていたわけですが、この数年、風向きが変わってきたのは間違いがなくて、中国がいかに狡猾に世界侵略を進めているのかが言われるようになったきた。
これはこれで私は良いと思ったし、世界は中国を利用して儲けることばかり考えてきたけれど、このままでは中国が世界の中心になり、中国の常識が世界の常識になる兆候も多くが理解するようになって、中国に対決するべきだと思っていたわけです。
そんな時にトランプ氏が動き出した。
私にとっては大歓迎。そもそも中国の大躍進の原資はまさにアメリカとの貿易黒字なんですから。
でも今まで中国とうまいことをやって甘い汁を吸おうとした世界からすると、この動きは好ましくないわけで、アメリカの相手は中国だとしてもそのとばっちりは必ず受けることになるんでしょう。
特に中国と深い関係を築いてきた国には打撃も大きいはず。すでに中国は今までとは逆に「世界にばら撒いていたお金」を回収に入っているようで、また節操のないお金の使い方のもほころびが見えてきて、飛ぶ鳥落とす勢いだった企業が破綻寸前にもなってきた。先日、トップがフランスの観光地で(謎の)転落死をした中国海航集団も同様。
この中国海航集団なんていう飛行機会社のことをしらない日本人は多いと思うけれど、海南島で始まった小さなLCCがどんどん大きくなり投資と借金を繰り返し半端じゃない巨大企業になったんですね。誰でもが知っているヒルトンホテルの株式を30%近く持つ筆頭株主。またドイツといえばEUだけではなくて世界に知れた優等生ですが、ドイツ国内の最大銀行であるドイツ銀行ですが、これがまたこのわけのわからない中国海航集団と関係が深く、ドイツ銀行の筆頭株主になった。これってマレーシア発のエアーアジアが日本の三菱UFJ銀行の筆頭株主になるようなもの。
こういう中国企業っていろいろあって、世界のキーになる産業のキーになる会社の株を買い占めてるのね。オーストラリアも酷いもんで、オーストラリア最大の牧場も中国資本に買われたり。有名な大企業が買われ続けた。
これらの原資ってやっぱり中国の対アメリカ貿易黒字なわけで、ここに変化が起きると世界も大きく動くことになる。そしてそれはもうすでに始まっているのね。だから今まで「中国経済は崩壊する」と言ってきた評論家も「とうとうその時がきた」と言うようになった。10年前から崩壊すると言い続けた評論家は「いつになったら崩壊するんだ?」なんて馬鹿にされていたけれど、今回だけは今までとは違う動きがある。
中国海航集団が筆頭株主となった天下のドイツ最大の銀行、ドイツ銀行の株価を見てみましょう。
これって高い株価がちょっと下がったっていう動きじゃないのは「数値」を見ればわかるはず。
週足で見るとこれだけ下がっている。2010年には80ドル近かった株価が今では11ドル。ドイツ銀行ってリーマンショックはうまく逃げた様なのですが、その後、ギリシャリスクのときに失敗し、そしてイギリスのEU離脱騒動時にヘッジファンドに狙われてまた急落、その後は天下のドイツのメガバンクがここまで叩き売られるようになった。
これに中国が関わっていると言いたいのではなくて、世界は波乱含みで推移していて、優等生のドイツでもこんなことが起きている。そこに来て、中国に大きな変化が起きるとしたら、中国とべったりだったドイツに今度何が起きるかちょっと考えてみるのも良いと思うんですよ。そしてそういう動きは世界に伝播するはず。
マレーシアも中国に大きく依存して育った国だから、中国になにかあるとかなりうまくないんじゃないですかね。
マハティールさんが返り咲いて不正を暴くことに一生懸命なのは素晴らしいことだと思うのだけれど、私はナジブ氏個人の問題より「中国との関わり」が気になるんです。政府系ファンド「1MDB」も中国が関わっていたし、ナジブ氏が何をやったかは今後明らかになるにしても中国が裏にいたのはほぼ間違いがない。莫大なお金が動く「大型鉄道プロジェクト」もそうで、それが数日前に「中止」決定したのもさもありなんと思う。
そしてジョホールでの不動産開発も同様で、当初の夢のような計画に大きな陰りが見えてくるんじゃないですかね。
マレーシアの株式市場の暴落も半端じゃない。
リンギットの対米ドルも一気に下落。
本家の中国はと言うと、上海インデックスも急落。
中国元も続落。
ま、為替に関しては中国元安は貿易戦争にはプラスに働くし、中国そのものが国家として切り下げをしたいはずだとは思うものの、それは国内的にはよろしくない。
気になるのは、この本格的に動き出した「米中貿易戦争」ですが、どう決着が付くのかという点。
関税引き上げはアメリカにとっても首を絞めることになるはずで、中国からの輸入品が減ることはあるのかもしれないけれど、アメリカ人の負担は増えるし、国内で代替品を製造するようになるとも思えないし、中国以外からの輸入で補えるとも思えず。
トランプ氏は経済理論も何もわかっていないと言う人は多いけれど、私は「肉を切らせて骨を断つ」ことをトランプ氏は考えているように思うんですよ。またそういう気構えで居ることを中国に理解させるのは重要で、そのやり方ってまさに北朝鮮にやってきた方法と同じじゃないかと。
でも中国って変われるんですかね。
中国が変わらなければならないところっていろいろあるわけで、国内法も変えないとならないんでしょうし、当然、ありとあらゆる分野で「自由化」は迫られるはずで、それの行き着くところは「習近平独裁政治の終焉」ということになるし、一党独裁制にも大きな影響があるはず。
でもトランプ氏はそこまで考えているはずだと思うし、トランプ氏と中国が手をつなぐということがあるとすれば、それは中国の黒字の大幅縮小であり、今、これまで以上にお金が必要な中国にとっては受け入れられないはずで、やっぱりこれって単なる「貿易戦争」では収まるとは思えないんですよ。
どちらかと言えば「トランプ氏にやられっぱなしの習近平」という図式は中国国内向けには非常にうまくないはずで、こういう時に何をやるかと言うと韓国が日本叩きを始めるのと同じ様に「国民が外に目を向けるようにする」のは毎度のこと。
それもあるから、アメリカは「米海軍のミサイル駆逐艦2隻が台湾海峡を通過(昨日のニュース)」なんてことをやるんでしょう。3月にアメリカで成立した「台湾旅行法」で高級官僚の相互訪問を促進するようにしたのも、対中国包囲網の下地作りだったはず。
まぁ、中国の問題点やアメリカと今後どうなるかなんて書いても書ききれないし、わからないことばかりですが、少なくともこれを「貿易戦争」と見たら駄目だと私は思うんですよ。
極論を言えば、「貿易から始めた【対中戦争】」だと言っても過言じゃないかもしれない。
戦争というと実際に実弾を打ち合い、ミサイル攻撃等を想像してしまうけれど、それって「戦争の一部」でしかないと思うんですよ。経済戦争も同様で、撃ち合い殺し合いだけが戦争だと思うと世界の歴史を読み間違えるんじゃないですかね。中国が考えているのはまさにそれだと私は思っていて、中国は「戦わない戦争」を世界に仕掛けていたのは間違いがない。それに見かねたアメリカが動き出したってことでしか無いんじゃないですかね。
では実際の殺し合う戦争が起きるかと言うと、それはあまりにも考え方が飛躍しているとしか言いようがなくて、殺し合いってのは一つの手段、あるいは結果でしかなくて、そこまで至らずに勝敗を決めた戦争って歴史上にいくらでもあるんじゃないですかね。
日本が1941年にアメリカから渡されたハル・ノートも似たようなもので、あそこで日本が屈服すれば「日米戦争の決着」と言って良いはずで、別に真珠湾攻撃から戦争が始まったわけじゃないという認識を私は持っています。
でもあえて言葉を変えれば、戦争という言葉を使うほど米中の摩擦が大きくなるかと言うと、そこも疑問。北朝鮮には脅かしが効いたにしても、大国中国に対して「やるならやるか?」みたいなことはやっぱり言えないはず。でも評論家の中には「中国ほど戦争が嫌いな国はない」という人もいて、中国は過去においてもまともな戦争をしたことがないと。ただいざこざを起こしそれを利用して相手に勝つという戦略を取るのは得意で、「喧嘩をしたことのないヤクザ」と揶揄する人もいる。そして「強い相手には【したて】に出る国」とも言われていて、日本は「相手を思いやる国」だから日中問題で日本が常に劣勢になる理由とも言われている。なおかつ日本は敗戦国で、「全ての責任は日本人が持つべき」と教育され、それを信じる日本人が多いからなおさらでしょう。
ま、米中がややこしいことになったのは間違いがなくて、これが他の国、日本にどういう影響があるかですよね。
日経225の動きを見てみます。
目先の波動は間違いなく下げトレンドに入っていますが、長期で見ると急落しているようには見えない。
これって私には今回の米中貿易戦争を「対岸の火事」として見ているのか、「影響は少ない」と見ているのか、としか思えないのです。
今までの常識から言うと「トランプ氏はやりすぎ」であって、彼独特の「パフォーマンス」かもしれないし、落とし所はそのうち見えてくるだろうなんて気がしないでもないのですが、「中国の傍若無人なやり方はもう許さない」とするならば、そしてアメリカが近年向かっている「世界の多極化」を推し進めるためには「歩調を各国が合わせる」ことが重要で、「アメリカの凋落のすきに勢力を大きくする」という中国の野望を許すのかどうか。つまり多極化ってのは「アメリカはリーダーから降りる」という意味ではあっても「他のリーダーに任せる」という意味ではないってことじゃないかと。中国の今の方針は「アメリカの多極化を妨げている」という言い方ができるんじゃないですかね。
少なくとも、中国は自由化を進め、通貨も変動相場制を導入し、国際法に従う国でないとリーダーとして認めるどころか、仲間として受け入れることも出来ないってことじゃないかと。でもそれは中国にとっては「一党独裁の危機」となるわけで、習近平はソ連の崩壊を思い出すんじゃないかと。
なんだか私には、今の中国って「東アジアに勢力を伸ばし続けていた戦前の日本」とダブルところがあって、その国にとっては「正当でそうなってしかるべきこと」でも他国にはそうは見えないみたいな。
どちらにしても、今の米中問題は単なる「貿易戦争」と見ては駄目だと思うし、これがどう発展するのか、収束するのかはわからない。殺し合いの戦争にまで発展することはないにしても、これをトランプ氏が納得するような形で収束させるためには、中国は体制維持もできなくなる危険性があるわけで、簡単には終わらないはず。
でもそれでも「トランプはパフォーマーでしかなくて、米朝会議みたいに中途半端なところで終わるんじゃないか」という声が評論家の中からも聞こえてくる。
そうなんですかね。
私は前にも書きましたが、米朝会議、その後も、北朝鮮に甘いように見えるトランプ氏のあれは「彼の作戦」だとしか思っていなくて、お坊ちゃまの顔を立てながら実はこちら側に引き込んでやるべきことやるしかなくなる方向へ持っていこうとしている様に見えるんですよ。ある意味日本と同じで、アメリカの懐の中に取り込まれた日本はアメリカに反旗を翻すなんてことは出来ないじゃないですか。同盟だの日米蜜月だのというのは日本的なお人好しの発想でしか無くて、アメリカ無しには生きることが出来ないほどに牙も爪も抜かれ、反論さえ出来ないまでに飼いならされてしまった。
でもそれって中国がアジアやアフリカなどの小国に対して行っている戦略と全く同じで、日本みたいに小国の発想しかできないと、米中のような大国の戦略は見えないんじゃないかと思うんですわ。
どちらにしても、私は今回のことを簡単に考えると非常にうまくないと思っていて、でもとんでもない想像を絶する様なことが起きるとも思えなくて、わからない、としか言いようがない。
つまりですね、こんな時に長期投資が出来るかって話し。(笑)
上の中国元の下落ですが、これは「下落の始まりでしか無い」という評論家もいて、一理あると思うわけです。
今の日経225も下落中ですが、「対岸の火事」「どうにかそのうち落ち着くだろう」なんて動きに私には見えるわけで、本当にそれで良いのかどうか。
でも明日明後日のことはだいたい予想出来ても、来年の今頃どうなっているかは誰にもわからない。
少なくとも、理由はなんとあれ、「下げトレンドの時に買いポジションを持っていてはいけない」というのが大原則だと思うわけです。これがそのうち戻るのか、それともこれが大きな下落の予兆なのか、それは誰にもわからない。予想するのは誰にでも出来ますが、その通りになるのかどうかは誰にもわからない。でも買いポジションを保持するとなれば、それはやっぱりギャンブルとしか言いようがないと私は思うし、こんな時期に「株式投資を考えろ」なんていうファイナンシャルプランナーは「カモを呼び込んで仕事を増やしたいズルいやつ」にしか見えないんですよ。あの世界は欲の皮が突っ張った金亡者が常に入ってこないと成り立たない世界ですから。
そして彼らは「長期投資」をすすめるのね。
買ったら売らずに持ち続けろと。
投資とはそういうものだと信じる人が多いのも彼らのプロパガンダが成功しているとしか言いようがなくて、要は「あんたたち、絶対に売らずに買い支えてね。安くなったらまた買えば、取得値の平均値は下がるよ」というのと同じ。彼らが売り逃げるときにも買う人が居ないと逃げられないのを忘れてはならない。
ああ、それとですね、私は日本の将来に悲観的です。でも一つの望みを安倍さんに持っていました。彼は日本をどうするべきか知っていると思っていましたから。
でも6月の「骨太の方針」を聞いて、やっぱり駄目か・・と思った。なぜか日本中、「財政再建が最も重要」だと信じ込んでいて、「増税すべき」「財政出動なんかとんでもない」「国債の発行も極力控える」という考え方が主流。それの主役は私は財務省だと思っていて、彼らの信条、プロパガンダで日本が動いてしまっている。でも安倍さんは今までがそうであるようにその財務省とは反対するような動きをしてきたし、でも安倍さんがやりたいことが出来るほど自由じゃないわけで、今回の「財務省の大失策」は財務省を黙らせる良いチャンスだと思っていたんですよ。それどころか、これをきっかけにして財務省解体、歳入庁を作るとか、そこまで行けばよいのにと思っていたのですが・・・。
結局、総理と言えども自分の意志で全てが決められるわけでもなく、巷では「安倍一強」なんて言いますがあれは外野がそういうだけであって、安倍さんとて自民党内部はもちろん諸官庁と相談し、合意を取らないと何も進まないんだろうと思うんです。それでも安倍一強だと自民党内からも声がでるってことは、いかに安倍さんとは違う考え方を持っている勢力が強いかってことじゃないかと。
実際に、次期総理候補として人気がある石破氏とか小泉ジュニアの経済論を聞いてみると、こいつらアホかと思うくらい無知に感じます。でも財務省にとっては嬉しい人たち。
私が近年政治の世界を見て感じることなんですが、多くの人、政治家も官僚を買いかぶっているんじゃないかということ。確かに優秀な人達が多くいるのは間違いがないとは思いますが、「彼らをうまく使うのが政治家の役目」であって、「うまく使えば日本は良くなる」と考えているフシがある。ところが実際はそうではなくて、官僚には「持っていきたい方向性がある」わけで、それにノーを突きつけ、それじゃなくてこうしろと彼らを説得し、その方向に動かす力がある政治家は存在しないのだろうと思いました。
だから安倍さんがやろうとしていることなんて全く理解出来ないし、「どの官僚に聞いても駄目だと言う」なんてことを多くの政治家は思っているんじゃないかと。あるいは官僚に背を向けられると何も出来ないと思っているのか。要は政治家が勉強していないし、他人任せ(官僚任せ)ってのが日本の政治なんだろうと思うんですよ。それでずーっとやってきた歴史があるけれど、官僚は力をつけ、彼らのやりたいように国を動かすようになり、それに反対する政治家は追い落とすことを考えるし、それに同調する反対派の政治家や他党の政治家はごっそりいる。
それでも安倍さんは良くやってきたと思うし、官邸の権力を行使しなければ何も動かないままなのに、それをすれば批判され、モリカケみたいに「何かあったはず」だといつになっても決着しない「疑惑」だけで動いている始末。この動きに官僚も同調するわけで、あのスケベオヤジでなおかつ法律違反の天下りを先導し隠していた前川氏みたいなインチキ男が称賛される。
この官僚の力の強さと、それを利用する他の政治家の前では安倍さんも無力なんだろうなと私は思うわけです。そもそもアベノミクスだって成功も失敗も無いと思うんですよ。三本の矢ですが、どうにか反対を押し切って金融緩和はしたけれど、財政出動はできないし、今回みたいに大雨でめちゃくちゃになる日本なのに「国土強靭化政策」も金が掛かる、公共事業は悪だと金を使わせない。消費税増税分は目的税として使うはずだったのに、いつのまにか返済に半分くらい回されている。これって安倍さんが言っていたことと真逆だけれど、これを押し通そうとする勢力を安倍さんは押さえつけられないのがはっきりわかる。
6月の骨太の方針もそうで、まさか消費税は再度延期は言えないにしても大きな減税を言うかと思ったらそれもないし、プライマリーバランスに関してもお茶を濁したようなことしか言えなかった。
これじゃ日本は萎むだけで「赤字を減らそうとして国を滅ぼす」方向にしか行かないと思っています。でもそれが財務省のプロパガンダにしてもそれを信じる、あるいは言うことを聞かなければならない政治家や学者、経済界の要人もいて、だからこそ財務省の強大な影響力を削ぐためにも歳入庁を作るべきだとおもうのですが、そんなとんでもないことに賛同する人は経済界の中でも少数派。私にしてみれば歳入庁の設立に反対する理由なんかないと思うのに、皆が反対する。
官僚はもちろん、政治家も自民党も他党も「自分の生き残り」に一生懸命で、本当に日本の将来を考えているとは思えないんですよ。
ったくも~、と思っている矢先に、また文科省で息子の裏口入学なんて昭和の時代を彷彿させるような珍事が起きるし、でもまさにあれは官僚の本性が見えた事件のような気もするんですよ。
バカでも良い、でも「国士」がいれば国は発展すると私は思っていて、自分や自分の所属する組織を大事にする天才(市民派ってのもそれと同じ)がどれほど居ても国は滅ぶと私は思うわけです。
とまぁ、そんなことを考えていました。