私は長年、投資やトレードのことをネットで書いています。
インターネットが無い頃はパソコン通信でジャンル別の投資専用掲示板を3つ4つ持つサイトを運営していましたし、今でもこうやってたまにブログに書いていますが、そんなことをやっていると結構多くの投資家やトレーダーと知り合うんですね。またかつてはそんな仲間と定期的に講師を呼んで勉強会をしていたり。
そんな中で気がつくことがあるんですが、多くは投資・トレードを正業としている人が少なかったせいもあると思うんですが、どうも簡単に考えてるフシがあるんですよ。
投資・トレードですから、毎年どのくらいの利益率を叩き出せるかが大事なのはわかるものの、それしか考えていない人ばっかりでした。
というか、いかに利益を出すかが大事で、安定した利益なんか出せない人がほとんど。大負けして取り戻したい一心の人も少なくなかった。
中にはそこそこ安定して稼いでいる人もいたんですが、利益を出すことに一生懸命でリスク管理がしっかりしている人って少ない。何十年も株式投資をしているのに「損切りポイント」を決めていない人も多くいた。
万が一のことって数年に一度は必ず起こるわけですよ。それは世界的規模の暴落であったり、投資先が倒産したり、あるいは天災だったり、そして自分がとんでもない読み間違いをすることって必ず起きるのね。
でもそれは必ず起きるという想定をしていない人がほとんどだった。
つまり、そこそこ利益を出していても、いつの間にか消えていくってことなんですよ。
中には20代で自社ビルを建てちゃうとか、株の取引で数千万円をあっという間に稼ぎ出したとか、そんな話もあれば、いやいや私は大きな利は狙わないと着実に毎年10%目標でうまくやっている人もいた。
でもそういう人たちもなぜか居なくなる。
つまりですね、日頃うまくやっていても万が一のことが起きた時に耐えられないってことじゃないんですかね。万が一ってのは結構頻繁に起きているのに、なぜかその時を想定しながらやっていないのがわかる。株価が上がっている時にはニコニコして話すけれど、市場が波乱含み、下がってくると一切関係ない顔をする人って多いでしょ。そして大きな変化の時はかなりの確率でやられちゃう。
でも万が一に遭遇しても、逆に大儲けする人もいて、それは911の暴落時が思い出深い。また311の大震災でもヘッジ玉が大化けしてかなり儲けた人もいる。でもああいう事変で儲けたのを大きな声で言えないから普通は黙っていますが、そういう人もいる。これは今現在の動きもそうで、トレンドに忠実な人は「売り」でかなり利益を出している。でもこういう人はそれをまず言わないのね。世の中の人って「投資とは買うこと」だと信じているから「売りで利益をだす」というのがわからないし、そんな事をやる人は「なんだか変わった人」としか思わないからでしょう。
私は自分がトレーダーだというのはブログでしか言っていなくて一般生活の中では相場とか投資の話は誰とも一切しません。だから私がド素人だと思ってる友人も多くて、中には「株式投資は良いですよ」とうんちくを垂れる友人もいる。「金投資をしませんか?売買ポイントは私が教えますから」という人もいた(でもその横で奥さんが「何を言ってるのよ。金投資で6千万も損したくせに」ですと(笑)。でも私がトレーダーだと知っているある友人は会うと必ず言うんですよ。「どう?株は儲かってる?」って(笑)。私は株は一切やらないのは彼には伝えたはずなんだけれど、きっとトレードって「株を買うこと」だと信じているのね。多分FXとは何かぐらいは知っているんだろうけれど、先物じゃ商品じゃオプションじゃ、短期売買じゃ裁定取引じゃなんてのは全く知らないみたい。だから世の中で大きな下落があると私に「大丈夫?」って聞くんですよ。う~む、もしかしたら彼は私には言わないけれど、結構株を持っているのかもしれないと思ったり。
そもそも何かが起きたら大損すると決まっているわけでもなくて、それは大儲けのチャンスでもあって、またたまたまその時にポジションを持っていなければ自分には何の問題もない。また、世間が儲かった儲かったと喜んでいる時に、逆張りをして大失敗をするケースもかなりある。
つまり、万が一ってのは「自分に起きる万が一」であって、大震災が来たとかなんとかショックがきたとか、そういうことじゃないのね。
どちらにしてもその万が一ってのはいつか必ず起きるわけだけれど、その時にどう生き残るかを真剣に考えている人ってほとんどいない。どうしてなんですかね。長年やっているのに損切りが出来ない下手くそってトレーダーはいくらでもいる。何十年の投資経験があっても同じだから面白い。
これって私は中小企業のオヤジを長年続けていたけれど、その世界でも同じで、中小企業ってある商品、ある企画が当たるだけで会社が何倍にも大きくなるなんてことが起きるのだけれど、その逆も多くて、売れる商品、企画がないといつの間にか萎んで消滅してしまう。業界自体が悪くなると簡単に潰れる。面白いのは、そこそこうまく行っていた会社がいつのまにか倒産、解散してしまうことも結構起きるってこと。日頃うまく行っていて仲間内でも大したもんだなんて評判の会社があるとき突然、アウトになる。
これは投資やトレードと全く同じで、「万が一」が起きた時に立ち直れなかったってことでしかないんでしょう。そしてその万が一の理由はいろいろ。
つまり日頃の利益の積み重ねも大事だけれど、万が一を想定してどう生き延びるかを準備しているかしていないかの差じゃないかと思うんですよ。中小企業の場合は、ちょっと景気が良くなると会社を大きくするのは簡単なのね。でも縮小するのは段違いに難しくてお金も掛かる。精神的にもなかなか決断できないし。だから調子に乗って会社を大きくするとちょっとしたことで躓いちゃう。見通しが良くなくても「先手を打って縮小する」なんて中小企業の経営者は稀で、大体、行くところまで行ってしまってから慌てる。
一般的には、日ごろうまく行っていると有頂天になって、それが今後も続くだろうと思ってしまうのが心理。危ないと思っても期待のほうが大きいんでしょう。でもそうはうまくいかない。ちょっと給料が良い会社に勤めて気が大きくなって結構な額のローンを組んじゃうのと同じ。あるいはリンギットとは言わないけれど、高金利の外貨に投資したり、高利回りのジャンク債を買ってみたり。ちょっと良い思いをするとそれが今後も続くと思っちゃう。また他人のたまたまうまく行った話(人はうまく行った話しかしないのが普通)を自分にも出来ると信じちゃうのか。
私がリーマンショックで学んだことって大きくて、当時リーマン・ブラザーズの債券を持っていなかったのは本当にラッキーで、タイミングがタイミングなら買っていても全くおかしくない状況でした。他のインベストバンクの債券は持っていたし、それがたまたまリーマンブラザーズじゃなかっただけのような気がするんですよ。そしてあのリーマンブラザーズが潰れるなんてまさかのことってやっぱり起きるのね。特に私みたいに「償還まで持つのが普通のタイプ」は危ない。おかしいなぁと思っても手放しませんから。
投資も同じで、毎年順調に15%ぐらいの利回りで増やしていければ上出来なわけだけれど、ある日ある時、大きく負けた時にそこで立ち直れなくなる。普通、利益が出るとその大きな部分を使っちゃうじゃないですか。投資の利益は一切使わないで貯め込む人っていそうでいない。だから投資で毎年1000万以上は利益を出しているなんて、一般的には大した人でも、ある時、5千万の損を出した時にはその穴埋めをするキャッシュがないのね。そこでアウトになっちゃう。あるいはそれを穴埋めできても再起するための資金、資産が大幅に減っちゃうとか。結局、その万が一が原因で、大した人が普通の人になってしまう。
ここで大事なことは、一度でもそういう事を経験すると怖くなって何もできなくなるのが普通だってこと。それを教訓にして今後は・・なんてうまい具合にはなかなかいかない。再起って簡単にはいかなくて精神的に潰れるんですね。
それでも投資やトレードが「副業の場合」はどうにでもなるんですね。嫌なことはちょっと忘れて本業で頑張ろうと誰しもが思う。そしてそれでどうにか生きていけるし、また再起するチャンスは来る。私も同じでした。
結構、長い年数、投資やトレードの経験がある人でもそういう事って一生の間に数回はあるのが普通で、失敗したことが無いなんて人はいないし、また自分が失敗したことは記憶から消してしまう人も実は多い。何度も失敗した経験があるのに、良かった時のことだけ記憶にあって、「俺って結構凄い」なんて自信を持っている人はかなり多い。
でもねぇ、投資やトレードが本業になって、それでしか稼ぐ方法はない状況の場合はとんでもないことになるのね。
それを想定していない人が多いのが、こうやってネットで多くの人と知り合う中でわかること。
そこそこ副業でやっていて稼げた人は、早期退職とかマレーシアに行こうかなんて考える人も多いのだけれど、話をしているとやっぱり万が一を想定していないのね。今まで通り、ましてやもっと投資やトレードに時間が割けるからもっと稼げるはずだなんて事を言う人の方が圧倒的に多い。相場って「ちびちび稼いでどかんとやられるのが普通」なのに。
副業でやっていても万が一の時を生き抜くのは簡単ではないけれど、でもどうにかなるのが副業の良さで、でも投資・トレードが本業となったらもう逃げ道はないってことを考えないとうまくない。
こうやってブログをやっていると、今でも「月々100万円は稼げているので・・」なんて人もいるし、「30万も稼げれば十分生きていけるから・・」なんて人もいる。(月に500万クラスの人もいる)
確かにそれが未来永劫続くなら大丈夫なんだろうけれど、万が一のとき、その万が一の理由が世界情勢だろうが天災だろうが、個別の投資先の変化だろうが、自分の読み違いだろうが、それはいつか必ず起きるわけで、その時にどうするかの話を聞いてみると、返事らしい返事がないことが多い。つまり想定していないってことなのね。「俺はそんなヘマはやらない」と信じているのか。
私が思うに、こういうケースの場合、消えていくのは時間の問題だと思うのだけれど、実際にその人に何が起きたのかはよくわからないのね。ただいつの間にか居なくなるからうまくいかなかったんだろうというのがわかるだけ。
逆に「俺は馬鹿だ」「下手くそだ」と思ってるほうがうまくいくのに、俺は凄いと自慢げな人はいの一番に消えていく。
ブログを見ていても、うまく行っている人ってそれなりにいるけれど、なぜかいつの間にか更新がなくなったり、儲けていた話がいつのまにか話題に出なくなったりって良くあるパターン。
海外移住もそれと全く同じで、「\(^o^)/、\(^o^)/、\(^o^)/」みたいなことを書き続けていた人があるとき、突然いなくなるってことがあるでしょ。現実的な付き合いの中でゴールドコーストで25年間生活した中でもそういう人は少なくなかったです。それは金銭的な理由だったり、会社がうまく行かなくなったり、あるいは夫婦間の問題、子どもの問題だったり、理由はいろいろ。当然、彼らはロングステイで来たわけじゃなくて、一生そこに住んで骨を埋めるつもりだった永住組でもそういうことが簡単に起きる。
これって他の国へ行けば(あるいは日本に帰れば)良いじゃないかって言うほど簡単なことじゃないのね。日本で生まれ日本で生活している日本人が「日本で生活できなくなる」のと同じことなんですから。
でもそれが起きることを想定していれば対応や準備は出来たはずだと思うことも多かったんですわ。
なぜか人は「うまく行っているときを基準にして考える」のね。
どうも脳とか心ってそういうふうに出来ているらしいけれど、これを克服しないと自分が夢見た生活って「儚い夢」で終わる。
それと何故か自分はいつまでも元気でいると考える人も多い。病気や事故、そして歳をとったら自分も環境もどう変化するのか考えていないとか。
これじゃ、その時が来たら終わりってことじゃないですか。
でも夢を見られただけでも良かったと考えられる人もいるのかもしれないけれど、家族や子供がいてもそれで良いんですかね。
じゃぁどうするべきか?
そんなのは過去に起きたいろいろのこと、他人に起きたことでも自分に同じことが起きるかもしれないし、もしそれが起きたらどうするべきかちゃんと考えれば、今どうするべきかわかるんじゃないですかね。だから経験が浅くてもリスク管理がちゃんと出来ている人もいるのね。
万が一に遭遇した時に、「こういうことが起きたらもう無理」と諦めるのか、「短い間だったけれど良い経験が出来た」と自分に言い聞かせるのか、それとも今の自分には万が一のことに対処できないけれど、どうにかなる自分に変わろうと努力するのか。
だから投資にしてもトレードにしても「投資金額が少なく」「リスクも小さく」「利益はそこそこあって」「それを大きくする道がある」方法を考えないと駄目だと私は思うようになったわけです。好き好んでこの道を選んだわけじゃない。でも一般的な投資ではそんなうまい話は聞いたこともありませんが、トレードではそういう手法があるわけで、私がなぜ今のようなトレードスタイルに固執するかというのは、一般的なトレーダーのように「いかに利益を出すか」ではなくて、「いかにリスクを減らすか」が基本にあるから。チリも積もれば山となるという考え方で、回転を効かせて山が大きくなっても万が一の時のリスクはチリと同じに保つわけで、大損はありえない。だから資産運用するべき大本の資産は徹底的にリスクにさらなさい安心安全を重視して、利回りは二の次となる。なんとまぁ小心者のやり方で情けないとも思うのですが、これ以外に私には万が一の時に生き延びる方法は見つからない。
結局ですね、学生の頃から株式投資に手を染め、中年になって日経225先物を始め、そしてデイトレーダーになって海外もの専門になったわけですが、その間に私が理解したことって「いかに勝つかではない」んですよ。それどころかある程度やっていれば勝てるようになるのが当たり前で、大事なことは「大負けしない」「世界中が大波乱になっても巻き込まれない」「裸になることがあっても小さな資本で必ず復活できる手法」が大事だってこと。それだけを理解するのに何十年も掛かったようなもんです。
なーんて偉そうに書く私も実は「負け組」なんですよ。このブログで知り合ったトレーダーですが、しっかり儲けて家族で日本からシドニーに移住してきた人もいる。我が家と対照的。(笑)
私達はゴールドコーストの物価高、税金高、そして世界の低金利でどうしようもなくなって尻尾を巻いて逃げ出して来たわけです。オーストラリアの土になるつもりでオーストラリアに渡って生活の基盤も作り、子どもたちを育てて来たのにです。日本に住んでいる日本人が、日本で生きることが難しくなって海外に逃げるのと全く同じ。新たな素晴らしい人生を送るために国を出たわけじゃない。
でももうマレーシアから逃げるようなことは出来ませんし、もっともっと強くならないと駄目だと思っているわけです。マレーシアは物価も安く我々には所得税も掛からないけれど、世界の大半の人達は物価も高く税金も高い国で生活しているし、私の多くの友人知人は(私の次男坊も)あの高い物価で税金も酷いオーストラリアでそこそこ優雅にちゃんと生活していることを考えると、我が家は難民と全く同じだとしか言いようがありません。またマレーシアが好きで、マレーシアでご褒美人生を送ろうと思って来た幸せな人たちとは基本的なところで大きく違う。
今、まさに世界は私が経験したことのない激動の時代に入ったように見えますし、今までの常識、経験、知識はきっと通用しない時代になるはずだし、今まで築き上げた微々たる資産なんてあっという間に吹き飛ぶこと、あるいは大きなインフレでも来れば紙くずになるなんてことも十分考えられる。
でももう歳をとった我々夫婦が逃げ切ることは出来るだろうとは思うけれど、そんな消極的な人生を生きたくて今まで頑張ってきたわけじゃないし、逃げ腰になったら必ず負けるというのが私の人生で覚えたこと。
もっともっとやらねばならないことがある。頑張らねば・・・。ダボ家の反撃はマレーシアから始まる。(笑)
「このままでは終われない。まだ夢の途中、諦めない・・・」