ペナンのリカさんのブログに興味ある記事がありました。
「賃貸契約書がないと口座開設ができなくなったCIMB」(ここをクリック)
スターヒルギャラリーのEnakというレストランでCIMBのスタッフとランチをした時にいろいろ情報交換をしたのですが、その中で、MM2Hの人も賃貸契約書がないと口座開設ができなくなったという話がありました。まぁこれは「原則」ということですので、いろいろ例外はあるようですが、他の支店ではもう絶対ダメみたいなところもあるので、やはりこれも支店や行員個人の力量によることもあるかもしれません。
私の場合はとりあえず現在の宿泊先(ホテルなど)を住所として口座開設し、賃貸契約書は後からでも良いと言われていますが実際はどうなりますでしょうか。
この動きはマレーシアにもともとある「居住者にしか銀行口座は開けない」ということの延長線上にあると思いますが、「この次」ですよね、問題は。
当初はコンドを借りるなり長期契約をして(個人間の又貸しはどうなんだろうか)口座開設をするのは難しくはないですが、その後ですよね。その主が毎年「間違いなくマレーシアの居住者である」ことをどうやって調べるのか。
私はいつも書いている通り「これは不可能」「すり抜ける手はいくらでもある」と思っています。パスポートの出入国記録を調べれば、「滞在日数」はわかるものの、それを誰がチェックして誰が判定をするんですかね。滞在日数が183日以内であれば、「居住者ではない」という目安になりますが、「ではどこの居住者なのか」までは調べない、調べようがないでしょう。ましてや「税法上の居住者」は滞在日数だけで判断は出来ませんから。なおかつ多くの国では「出入国スタンプを押さない」国が増えていて、滞在日数などはイミグレ以外に調べようがない。本人もわからないし、わかっていても「自己申告」が通用するはずもない。では国内に口座を持つ人の全ての出入国記録をイミグレが調べて国税庁に報告をするか?ま、そんな未来も来るのかもしれませんが・・・。
ここではっきり理解しておかないとならないのは、マレーシアの様に「183日以上滞在すれば税法上の居住者である」という決まりを持つ国は多くありますが(日本にはそれがない)、それは「183日以内の滞在なら【居住者ではない】」という意味じゃないんですね。
またマレーシアで「税法上の居住者」と決定したからといって、それすなわち「日本の非居住者」でもないのね。ここが重要なところだと思います。日本には日本の法律があってそれで「納税義務があるのか無いのか決める」わけで、他国でどうあろうと関係ない。(租税条約を「どちらで納税するか決める条約」だと考えたら駄目で、「どちらが第一課税権を持つか決める条約」と考えるべき)
一般的に「居住者・非居住者」の話になると、我々の場合は「日本の非居住者となるために」と考えますが、今回の場合は「マレーシアの居住者とはっきりする」のはどうしたらよいかという逆の見方が必要であるということ。それでCRSのデータがどこに行くのか決まるわけですが、ややこしいのは上に書いた「日本には日本の決め方がある」ってところ。でもとりあえずのところは「その国が居住者と見ているのか見ていないのか」ってのがCRSでは重要。
CRSにそれを報告する義務はその国の国税庁であるはずで、その作業をどこまで銀行に任せているのか。銀行はちゃんとやるのかどうか。MM2Hがあれば良いじゃん?なんて思っていのが、OECDでは「それだけじゃ信用できない」とはっきりMM2Hをリストに載せているわけですから、今のままで済むはずがないですよねぇ。
重要なのは「CRSで報告が回らないようにする」のではなくて、その報告を受けて国税庁が動いた時に「私は全く問題がないはずです」と証明できる状態を維持しないとならないってことじゃないですかね。
自分の金融資産がどこにどれほどあって、そこからどれほどの収入があるのかが表になっても構わない。納税するべきものは納税すると思えば何の問題もない。これが普通の状態ですよね。
ところが世の中にはマレーシアに限らず、世界中で「隠す」「脱税する」のが蔓延しているからこういうことになるんでしょう。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」
という時代の「終わりの始まり」が見えてきていますね。
私は良いことだと思う。
日本では増えてきた外国人による「健康保険の不正利用」とか「生活保護の不正受給」とかが問題になっていますが、それで国家が負担する(国民の税金)額よりも~~~~~っと大きい額が、「日本人によって脱税されている」のが実情じゃないですかね。
かなり前ですが、私に「自分がサラリーマン時代はガラス張りでしっかり税金は払ってきた。だから今、多少のこと(脱税、保険の不正利用))は許されるべきだ」と言った人がいるのを思い出します。
あの人は今頃どうしているんだろうか・・・。
これからの時代、仮想通貨も市民権を得て大きく動きそうな感じはありますが(ビットコインみたいなものとは別物)、それが主流になってくると「隠せない時代が来る」という人もいます。でもそれは大間違いで、資産の動きや所在ははっきりわかったところで、「その主がどの国の納税義務者か」という判定の難しさは将来も変わらないと思います。でも20年以内にはそういうのも解決する時代が来るのかな?当然、その時には「判定基準」がしっかりしていないと駄目で、日本みたいに「居所はどこにあるのか」みたいな「担当管のサジ加減」で判定が変わるようじゃお話になりませんね。
これの解決策の一つとして「脱税の時効を無くす。罰則を強化する」というのがあるんでしょう。アメリカはこの辺は厳しくて「無申告は時効なし」の様子(要確認)。だからバレた時には何十年分の税金+利子+重加算税のようなものを含めて払うことになりますから、ほぼ「破産は確実」となるんじゃないですかね。また、あのアメリカの歴史に名を残したギャングである「アル・カポネ」を捕まえたのは税務署だったってのが面白いと思います。
これからボーダーレスはどんどん広まるはずで、残念ながら「性善説」に立脚している法律ってまるで役に立たない時代になるんじゃないですかね。日本がそれの典型的な国で、未だに「健康保険証には顔写真もないので複数の人が使いまわし出来る」なんて馬鹿なことが起きている。そういうのも含めて、日本は外国人が多く入ってくる将来のためにも、そして日本人(及び、日本に納税義務がある外国人)の脱税防止策も強化されていくんじゃないですかね。
これを良いことだと言わずに何という? (笑)
でも日本って「全てが利権で動いている」と私は近年、非常に強く感じるわけで、特殊法人にも天下りにもメスを入れられず、規制緩和もめちゃくちゃで、それで「消費税増税する」って最悪の国だと思いますわ。弱い者いじめばかりしているのは間違いないと思う。でも馬鹿な理想ばかり言う左派政党にまかせたら日本はもっと酷くなると思う。