ヨメさんが珍しく「肉を食べたいからローストビーフを作ってくれる?」ですと。
これって簡単に言うけれど、「ローストビーフに合う肉」を探すのって簡単じゃないのね。
それぞれの家にはパターンがあると思うけれど、我が家はオーストラリアの牛肉に慣れすぎたのか、日本人が言う「A5の和牛がベスト」なんてことは全く考えないんですよ。というか、すべての料理、食べ方に合う牛肉なんて存在しないわけで、私は「A5信仰」は否定したいくらい。つーか、美味しい肉はそれなりの食べ方があるんですよね。それは安い肉も同じで、それを美味しく食べる方法はいくらでもある。
で、ローストビーフですが、我が家でこれを作る時って牛肉をがっつり食べたい時ですから、まず「高い肉」って駄目なわけです。我が家には「美味しければ高くてもしょうがない」という考え方は一切ありません。またローストビーフなら基本的には「脂肪分が少ないほうが美味しい」と思う。でも安い肉は味もさることながらパサパサでどうにもならない。だからもも肉やランプ肉の和牛あるいはWagyuがあれば面白いんですね。サシがしっかり入っていないほうがいいし、でも適度に脂があって、部位からして価格的にも安い。
でもそれらを見つけるのはかな~~~~り難しい。「探しても無い」と思うほうが良くて、「たまたま見つかることに期待する」しかないんですね。
だから突然「ローストビーフを作って」なんて言われてもねぇ。
あれを食べたいこれを食べたいとあまり言わないヨメさんが言うんだから、「美味しい~~~♫」なんて言うような物を作りたけれど、無理。
ただし、100点満点にどれだけ近づけるかにこだわるんじゃなくて、「70点で良いじゃないか」と思うとグンと選択肢は広がるのね。
それがこの手の肉。オーストラリア産アンガスビーフの「リブアイ」のブロックです。
価格もこなれている。キロ単価RM79.9で重量は2.35キロ。価格はRM187.77。
リブアイでキロ単価RM100以下って、昨今のマレーシアでは非常に珍しいはず。もちろんわけのわからない「安い肉」はいつでも存在しますが、わたしはやっぱりそういうのは候補にしません。でもこの肉は「オーストラリア産」「アンガスビーフ」「リブアイ」「冷蔵肉(冷凍じゃない)」ですから素性としては文句なし。売っている店(Jason’s@BSC)の信用度も高い。
でも一応、脂の乗りをチェックします。サシが全く無いとか、そのくせ脂肪がばっちり着いているものもありますから、我が家に合うか合わないかのチェックは必ずします。基本的には「サシが入りすぎていたら見逃し」です。がっつり食べたい時に「サシが多い肉」はすぐにオェッとなりますから。だから逆を言えば、和牛のA5のリブアイがあってもそれをローストビーフにしたら、「一切れ二切れ食べたらそれで十分」ってなってしまうのね。そもそも全く脂肪分がない肉を使うことも多いのがローストビーフだから、若干、サシが入っている程度が一番良いと私は思う。
なーんて選び方をしていると、キロ単価がRM250とかそんなふうになるのが普通なんですよね(B.I.G.)。でもこの肉みたいに、キロ単価がRM80なんてのもある。それは「Jason’s@バンサショッピングセンター」の肉屋です。この前もこれと同じ肉を買ってローストビーフにしたらかなり美味しかったので(キロ単価がRM80とは思えない)、同じような肉が売っていたら良いなぁと思ってわざわざJason’sまで行ってきたわけ。
バンサショッピングセンターって「高い」イメージがありますが、肉売り場は全く逆でコスパが良い肉を置いているのね。その点、B.I.G.は客の足元を見ているなぁと思うような変に高い肉ばかり。
我が家ではこんな程度のサシ、脂身がある牛肉がローストビーフには一番合っていると思います。全くの赤身そのものである「もも肉」「ランプ肉」って結構ローストビーフで美味しく食べるのは難しいと思います。だからそういう部位なら和牛、Wagyuが良いのね。また脂分が少ない肉は「調理温度を低めにする」のがお約束。「ミディアムレアでも硬すぎる」なんてことが普通に起きますから。でもその場合は低温調理時間を長くするとかいろいろ手はあるわけですが・・。
マレーシアに来てから付いた変な癖があります。それは「肉はまず水道水で洗う」ってこと。(笑)
肉、特に鶏肉は買ってきたその日でも、ヌルヌルすることがありますよね。あのヌルは私は「細菌が繁殖している状態」だと考えていますので、必ず洗って落とします。また水道水をあえて使う理由ですが、水道水って「それなりの消毒・殺菌効果」はあるんですよね。それがあるから水道水として使えるわけで、カルキが全く入っていなかったら危なくてしょうがない。でもそのままも気になるので、我が家では料理に使う水は「浄水器(パナソニック)」を通して使います。
我が家ではまず塩コショウ、ガーリックパウダーなどをその時の気分によって塗り込みます。
そしてそれを真空パック。
これを低温調理するわけですが、その前に「表面を焼く」ことはしません。この理由は前に何度も書いていますので、興味がある方は検索してみてください。
そして低温調理。今回も前回美味しかったのと同じ57度で、時間は4時間。この温度も「肉によって変える」のが基本。もし脂身がない、サシも全く無いようなもも肉だとしたら55度。逆に脂身が多ければ58度ぐらいにします。なぜそうするのか?やってみればすぐにわかるはずですし、そこは自分の好みで変えれば良いと思います。
出来上がりはいつ見てもまずそ。(笑)
これを本来は炭火でしっかり焼きたいところですが、それは無理なのでバーナーで焼きます。フライパンですとこれだけの大きさのブロックをしっかり焼くのは難しいし、それはオーブンでも同じで、下手をすればせっかくの低温調理なのに「中までしっかり火が通ってしまう」ことが起きるのね。だから見ながら調節できるバーナーを私は使います。
これを10分程度寝かしてから、切ってみます。ここはいつでも一番ワクワクしますね。低温調理だから「いつも同じものが出来る」わけでワクワクドキドキする必要もないんですが・・。(笑)
ソースは「低温調理の時に肉から出たジュース」「赤ワイン」「醤油」「オイスターソース」「ケチャップ」「砂糖」を混ぜて作ってみました。これもその時その時の気分でいろいろですが、ローストビーフのソースに拘って手をかけることは私はしません。面倒だから。(笑)
また我が家はそれぞれ好きな食べ方があって、息子みたいに「醤油とワサビ」が好きなのもいるわけです。ヨメさんはいつも私が作ったものにちょっと手をかけて自分の好みに合わせています。でもやっぱり40年以上料理を作り続けている主婦ってすごいですね。どうやったらこんな味になるんだろうなんてことを簡単にやってのける。でも私はヨメさんにその作り方を聞きません。「あんた、こんなことも知らないの?」なんて恐ろしいことを言われたくないから。(笑)
と言いつつ、今回は「ブラックペッパーソース」で食べたいという思いが強かったので、それは作らずにブラックペッパーをかなりしっかりふりかけるだけにすることに。
う~~む、美味しい。狙いは「70点の出来」なのは上に書いたとおりですが、「70点が目標とすれば、十分合格点」の出来です。(笑)
今回は前回と違って肉の重さが2.3キロ。3人で嫌というほど食べてもまだ残る。(笑)
明日は冷たい状態で食べてみようと思います。ローストビーフサンドイッチも良いかもね。
ローストビーフって「気に入った肉」が見つかれば、家で作ったらコスパ抜群なんてもんじゃないですよね。今回もさほど美味しくもないレストランのローストビーフ一人前の値段で、3人が死ぬほど食べても食べきれない量が作れる。そして火の入れ方も味付けも自由自在。外食で美味しいと言われるものを食べても「自分の趣に合っているかどうかは別問題」で、ソースがちょっととか、火の入れ方がとか、あともう一息、残念なんてことが当たり前に起きますよね。でも自分で作れば、「自分にとっての100点」が作れる。
そしてその為に必要なものは「低温調理器」。ヨーグルトメーカーとか炊飯器の保温機能でどうにかしようと思う人が多くいるようですが、すぐに「これじゃぁ・・」となるはず。とりあえず「ある道具を使う」のは良いと思いますが、低温調理をしたいがためにヨーグルトメーカーを買うなんてのはお金を捨てるのと同じだと思います。今は安い低温調理器もいろいろ売っていますから、是非「専用機」を手に入れたら面白いと思います。
低温調理器があれば、ヨーグルトはもちろん、甘酒だの納豆だの発酵ものも簡単に作れますから。また鮭やタコの低温調理も面白い。
でも低温調理器という名が付けば何でも良いかと言うとそれも大間違いで、大事な機能が付いていないとあとで後悔するのは間違いなし。どういう機能が大切かというのは、随分前(2014年)ですがまとめたのでちょっとそれを読んでみてください。(低温調理のまとめ 理論、器具、ノウハウ)
低温調理って本当に面白いですよ~~。
そして何度も書きますが、「セレブご用達」みたいなバンサショッピングセンターですが、なぜかJason’sの肉はB.I.G.よりもこなれていて良いと思います。ビレッジグローサーには無いようなものばかり。やっぱり西欧スタイルの店は「肉が充実している」と思います。Jaya Grocerも掘り出し物みたいな肉があったり。
安さ追求なら、バンサビレッジのすぐ近くにある「TMC」が面白いと思います。ここの客層はいかにもマレーシア人という感じのローカルが多いスーパー。マレーシアには各国から牛肉が輸入されていて、TMCにはブラジル産があったりインド産(水牛のはず)があったり、値段は「驚くほど安い」と思います。私はまだ買ったことがありませんが、「見るからに安っぽくてまずそう」なんてことは全くないし、絶対にトライすべき肉だと思います。ブラジル産を馬鹿にしては駄目で、あの辺の国々は欧米以上に牛を食べる文化があるんですよね。でも私達に合うかどうかはわからないにしても、美味しさ追求のステーキではなくてミンチにするとか、煮込みにするとか、あるいはローストビーフなら問題がない肉だろうと想像しています。
またどうしても「本物の」和牛、Wagyuに拘りたい方は、Wmartが良いと思います。ここでは本物のA5和牛があって(アンガスビーフもある)、多くのスーパー(Lot10含む)の肉売り場みたいに「和牛ではないただの国産牛を和牛として売る(日本なら犯罪)」なんてことは絶対にない店です。そして価格はスーパーより安い。Wmartは大手の輸入卸業者のアウトレットです。Wmartに関してもブログで何度か書いていますので、興味がある方はこのブログの「検索窓」を使って検索してみてください。
最近、大手の牛肉を扱う商社がアウトレットを持っているのがわかりました。店はスバンの方にあるのですが、そのうち行って見る予定。この会社が扱っている牛の種類、部位の豊富さは驚くほどなんですが、アウトレットにどの程度のものがあるのは行ってみないとわかりません。私はもしかすると「この店に行けばなんでもある」可能性が高いと思っています。行ってきたら報告を書くつもりでいますのでお楽しみに。