「トウモロコシで育てた鶏」を買ってみた & マリネの重要性

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なんだかスーパーに普通に売っている捌いてある鶏肉に納得ができなくて、骨付き肉を買ったりしている私ですが、やっぱりカンポンチキン、フリーレンジチキン、Air Chilled チキン、その他の鶏に興味があります。

だいたいなんとなくカンポンチキン、フリーレンジチキンに関しては違いがわかってきたのですが、先日、B.I.G.の肉売り場に「トウモロコシで育てた鶏」を発見。買ってみました。

丸々一羽です。

こんなシールが着いている。「Corn-fed」ですと。トウモロコシで育てたんですね。

これって牛肉で言う「Grain fed」みたいなもので、美味しいだろうと思ったのですが、結論から言えば、そんなに違いがあるかなぁという感じ。

ただし、「肉質が違う」のはわかりまして、それはこの鶏の個性なのか、それとも今回の調理法によるのか、そのへんがはっきりわかりません。

パックを開けてみますと、頭も脚も付いていました。

写真は頭を隠して撮りました。

私は鶏の丸ごとを調理するのが全くうまくないので、半身にすることに。

半身にする手順は、お尻から首に掛けて、背骨の両側にハサミを入れて背骨と首を取り除き、あとはひっくり返して胸側を上から押しつぶすと平らになりますので、それを二分割するだけ。

いらない頭、首、皮、脂を落とし、きれいに洗います。

まずこれを「マリネ」することにしました。鶏肉のマリネって「唐揚げ」を作る時には必ずやりますが、蒸したり焼いたりする時にしっかりマリネをすることは今までありませんでした。でも今回は「酒、塩コショウ」で一晩、冷蔵庫で保持。「マリネ液」に浸け込もうとも思ったのですが、今回はドライでやってみることに。干し魚、塩鮭やスモークサーモンを作る時にマリネ液に浸けたり、液には浸けずに塩(や砂糖)だけだったりと同じですね。肉も同じ。

次の日、これを「流水で洗い」、新たに「酒」をまぶして低温調理することに。

68度で2時間。その後、冷水に袋のまま入れて熱を下げます。

これをまた素材として揚げるなり焼くなり方法はいろいろあると思うのですが、素材の味がわかりやすい「蒸し鶏」と同じ状態で食べようかと。つまり、このまま食べるということ。

中華包丁で一口大に叩き斬ろうと思ったのですが、今回はそのままで食べてみることに。

タレは「ごま油+塩+ネギ+ショウガ」です。鍋でごま油を熱し、そこに刻んだネギを投入。ネギがしんなりしてきたら火を止めてショウガを投入。その後、塩を入れて味を調節。

鶏肉には乾燥しないようにごま油を刷毛で塗ります。また鶏肉は常温まで温度を下げました。

美味しかったか?

美味しいことは美味しいですが、感激する美味しさはなく、「良くレストランにある蒸し鶏」に非常に近いと思いました。

でもそれって私にしてみると上出来で、いつも「どうやったらあの柔らかさになるんだろう」と悩んでいましたから。

身が柔らかいんですよ。

なぜ?

トウモロコシで育った鶏だから?

これってその可能性があるのは「牛肉も穀物で育てたGrain fedの方が柔らかくて味がある」のと同じかもしれない。鶏肉の場合は目で見てもわかりませんが、牛肉のように「サシが入っている状態」かもしれない。

それとも、調理前に「一晩マリネ」したから?

私はこの日記の前の「ささ身が美味しかった」という実験でも、一晩、マリネして寝かしたんですね。だからそれが理由の可能性は非常に高いと思っています。

なおかつ、出来上がってから「紹興酔鶏」みたいに、紹興酒が主のタレの中に浸しておいたら、それこそ「食感も柔らかい海南チキン」みたいになるかもしれない。

私は今まで随分と考えられる方法はいろいろ実験し、レストランで出すような美味しい蒸し鶏を作ろうとしてきましたが、どうしても「あの柔らかさ」がでないのね。

でも調理前に「マリネする」。あるいは「調理後にスープに浸けておく」ことによって柔らかくなるんじゃないかという予想はしていて、その答えに段々と近づいているような気がしています。

でもそれは私の想像でしか無いし、プロは全く違うことをやっているのだろうし、「まずはマリネする」なんていう蒸し鶏のレシピは一度も見たこともありません。でも私は私の道を行く。(笑)

レストランで食べる蒸し鶏ですが、蒸し鶏と言いつつ、殆どは「茹でている」んですね。じゃぁ、私もと思ってお湯から茹でてもスープを煮出しちゃうみたいなもので、なかなかうまくいかない。低温調理をしても美味しいにしてもあの柔らかさは出ないのね。

でも私は思ったんですよ。レストランで鶏を茹でる場合、「普通のお湯をつかっているのではないのではないか」ってこと。つまり、「鶏のスープの中で茹でている」のかもしれない。そして出来上がってからはスープにつけて保存している可能性も高いのではないかと思うわけです。注文が来てから調理するはずもありませんし。そしてそれこそが、実はまさにあの美味しさと柔らかさの秘密なのではないかと。

紹興酔鶏は調理後、必ず紹興酒のタレの中に漬け込みますし、一般的な「マリネ」も味を乗せるだけではなくて、肉質も変わると言われている。

かなり前にブログに載せましたが、マリネに関してこういう研究結果があるんですね。

要約するとこういうこと。

○ 「焼く料理の場合」オイル系のマリネ(3時間)では(外国産冷凍輸入肉でも)、国産牛肉よりもよい肉質に改善されることがわかった。でもワイン系では変化がない。

○ 「煮込み料理の場合」ワイン系マリネ(3時間)では、国産牛肉やオイル系マリネ処理試料と比較して柔らかさ、味の好ましさ、総合評価について高い値が得られた。

マリネに関する論文の場所はここ ← クリック

1991年より食肉は自由化されたが国産肉と比較して、輸入肉は熟成されていないので硬くて風味が少ないことなどが日本人に歓迎されない理由としてあげられている。しかし、国産肉より安価であることから、家庭料理に利用される可能性はある。そこで、輸入肉の肉質を改善するためにマリネ法を検討した。本報ではフローズン(輸入冷凍肉)を用いて、オイル系マリネとワイン系マリネが肉の柔らかさにおよぼす効果の差異を調べてみた。

1) 焼く調理の場合ではオイル系マリネ処理3時間の試料の官能検査値は国産牛肉と比較して柔らかさ、肉汁性、味や匂いの好ましさ、総合評価とも高い値が得られ、この処理の効果が認められた。一方、ワイン系マリネ処理では効果は認められなかった。さらに、オイル系マリネ処理3時間の試料の理化学的性状では保水性が高くなり加熱後の重量は増加し、官能検査の肉汁性と一致した。物性値では針入度は高くなり、弾性率・強靱性・弾力性とも低値を示し、官能検査の柔らかさと一致した。これらのことから、フローズンの焼く調理用の肉は予めオイル系マリネ処理3時間行えば、国産牛肉よりもよい肉質に改善されることがわかった。

2) 煮込み調理の場合ではワイン系マリネ処理3時間の試料の官能検査値は国産牛肉やオイル系マリネ処理試料と比較して柔らかさ、味の好ましさ、総合評価について高い値が得られ、S1との間に有意差がなかった。さらに、物性値では弾性率・強靱性・弾力性とも低値で官能検査の柔らかさと一致した。このことから、フローズンの煮込み用の肉はワイン系マリネ処理3時間行えば、国産牛肉と有意差のない肉質に改善されることがわかった。

3) 挽き肉調理として最も利用されるハンバーグステーキ用の肉も予めオイル系マリネ処理3時間行うことによって肉質が改善され、国産牛肉製品と有意差のない製品ができることがわかった。

またマリネをキーワードにしていろいろ調べてみると、なんと「ステーキ」や「ローストビーフ」でもマリネは普通に行われていることがわかった。

これは見落としていたと思いました。

でも思い出せば、ゴールドコーストで多く売られている「ローストビーフ用に加工されたブロック肉」って、それには塩水や調味液などいろいろ注入されているのは知っていました。つまりこれって「マリネ液に浸す」のと同じなのね。でも「溶液を注入してしまえば、安定した製品が早く作れる」ってことなんでしょう。(世の中の安いハムも同じで、肉の重量の50%もの調味液を注入してあるものもあると)

このように「ガーリック&オニオン」でマリネしてあるものが売られていますが、肉そのものに様々な内容の溶液、調味液が大掛かりな注射器が並んだ機械で「注入」してあるのね。これがまさに安くて美味しくなくて硬い肉の「歴史もある」食べ方なんでしょう。

裏面のシールを見ると、肉に何が注入されているのかもわかる。

最近は魚にもこういう処理をするようになったらしい。怖い世の中になったもんだと思い回すわ。この映像の中に「鳥の胸肉」にも溶液を注入しているのがわかる。この多くの針で刺せば柔らかくなり、なおかつ美味しい胸肉になるんでしょう。

また「赤身の肉に油脂を注入する」にもこういう機械で出来るのね。硬い赤身肉が霜降り肉に変身する。その手の肉はマレーシアでも売っているのを確認しました。

こういう機械を使えば、塩漬け肉でも味付け肉でも自由自在。食品業界ではこういうことをやっているって我々一般は知りませんが、結構ドキってしますよねぇ。

この手の話はこの日記に詳しく書いています。(ここをクリック)

でも美味しいものを簡単に作れるなら良いとも思うわけで、自分でもやってみようと溶液注入用の注射器を入手していたのを思い出しました。

まさかこれを鶏肉に使うなんてことは想像もしなかったけれど、ロースト用の牛肉ブロックにもこれで溶液を注入していろいろ実験をしてみようと思う。

ただし、機械式のミートテンダライザーにしても、針をブスブス刺すようなことをすれば、「本来は表面にしか着いていない雑菌も肉の中に入る」わけで、「道具の殺菌と火の通し方には注意が必要」ってことですね。特に「低温調理に興味がある」場合は要注意。

低温調理の温度設定も、どういう肉なのか、肉の素性もわからずに、「私はレアが好きだ」なんて55度以下の温度を多用しているといつかひどい目にあうんじゃないでしょうか。

我々が住んでいるのは気温も湿度も高いマレーシアで、「食品の腐り安さ」も日本の比ではないことを忘れてはならないと思います。そして私達が買う食材は「コールドチェーン」で流通しているのかもどうか疑問なんですから。

そしてこの温度の表は、低温調理に興味がある人は頭の中にきっちり焼き付けておかないと駄目だと思います。

たとえばサルモネラ菌はどういう環境で繁殖するのか。

0-8度  増殖しないが死なない
8-15度 徐々に増殖する
15-30度 かなり増殖する
30-38度 激しく増殖する   ← ここがピーク
38-40度 かなり増殖する
40-60度 徐々に増殖する  ← 低温調理ではこの温度帯をよく使う
60度以上  5-10分で死滅する
100度   数秒で死滅する

温度に関して詳しく書いた日記はこれ(ここをクリック)。

 
 
 

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