つまりリスクを取ってそこから積極的に利益を得ようとは全く考えておらず、しかし(多くの方が無視する)「インフレ」には負けないのとそれにプラスアルファが少々あれば十分という考え方。逆を言えば、たとえ表面的な額は(低金利時代で)大きく増えることがなくても、「目減りだけは絶対に回避したい(為替差損が出ることも加味して)」という考えかたです。
では必要な生活費などはどう稼ぐかと言うと、それは「仕事で稼ぐ」という考え方。そして余力は資産の方へ回して増やすという世界中の人が普通にやっているのと同じ。もしも資産運用で生まれる利回りを生活費として使えば、「額面上の数字は減らない」にしても、間違いなくインフレ分だけ目減りしますし、2年、3年では目立たなくても10年20年となれば、「昔ならもっと安く買えたのに、今の値段では到底手が出ない」というものが身の回りにとんでもなく増えているのに気がつくはず。
「だから資産は【インフレを加味して増やす】ことが何よりも重要」
この考え方でこの二十年はやってきたわけですが、ここのところのパフォーマンスは過去に比べるとかなり良くなっています。
やっぱり大きいのは
「マレーシアに居住していれば所得税がかからない」
ということに尽きる。この所得税がゼロであるという言い方は正確ではなくて、我々のような「海外から収入を得る」「(マレーシア国内でも)金利等の所得である」ケースにおいてはってこと。当然、マレーシア国内で働き給与を得るとか、事業を起こしてそこから利益を得る場合には課税される(保有ビザに関しては別の話)。
どの国でも「収入の種類によって税率が違う」のが普通で、一律に話すことは不可能にしてもこの種の所得に「課税されない」ってのは非常に稀で、それは「タックスヘイブン」か、あるいは「香港・シンガポール」も確かその様になっているはず(要確認)。
ただ「投資から得る所得」に関しては「損するときもある」わけで、それを加味して税率が低いケースも有る。これは日本もそうなっているんじゃないですかね。だから大きく稼いでも、一般的な所得税のように50%を超えることはない。
逆に、そういう所得でも「総合課税」でごっそり課税する国もあるわけで、それがオーストラリア。今は以前とはかなりかわってきたけれど、前は「ちょっと稼いだだけで50%の課税」がある国だった。
これって私にしてみると「罰金」に感じるわけで、たとえ社会保障が充実しているにしても、その社会保障は「収入に関係なく受けられる」わけで、「リスクが大きな仕事から得た所得にも同じ様に課税する」っておかしな国だと思いますわ。
日本の場合はよく知らないのですが、「分離課税」で25%ぐらいですか?「利子所得」に関しては所得税15%プラス地方税5%のトータル20%の「源泉分離課税」ですよね。だからかつての高金利時代に「大きな額のキャッシュ」を持っている人は莫大な利益を享受できた。(注:海外で定期を作った場合は【総合課税】となる。ここは重要)(日本に住民票を残し、日本の居住者としてマレーシアに住む場合、定期預金などから生まれる所得は当然、日本に申告しなければならず、それをしなければ「脱税」だということ。そしてその場合の課税は総合課税となる)
この%ってオーストラリアに比べれば高くないような気がしますが、現実的に「税金」がこういうレベルだと「資産を増やすのはかなり難しい」はず。
「儲けたのだから税金を払うのは当然」という考え方は、まさに当然で、それを否定しようと思っているわけではありません。ただし
「儲けても生活費がかかり、それは損金参入されない」
これも当たり前のことですが、これがあるから一般的にはどれほど頑張っても資産を増やすのは簡単にはいかない。だから「税金を払っても有り余るほどの【所得を得る】ことが無い限り、資産って増えない」。オーストラリアみたいに税金が高い国だと「お前たちには絶対に稼がせないぞ」という国家の意思があるぐらいに思ってしまう。(笑)
例えば日本でも100の所得があったとして、そこに課税されて手取りは70になったとする。でも生活費が70であれば、資産はいつになっても増えない。それどころか「インフレにやられる」。これもまた当たり前のことですが、「税金とはそういうものである」というのを当たり前だと考えてはならないと思うんですよ。でも誰もここの問題に疑問を感じないのが普通。
資産を増やす方法は3つしかない。
◯ 生活費を減らす
◯ 税金を安くする
◯ 所得を増やす
合法的に、そして誰にでもできることは生活費を減らすことぐらいで、税金を減らすことはほぼ不可能で(所得が多い人は事業で借金して金利分の控除を受けるという方法があるにしても)、無理やりやればそれは脱税。また所得を増やすのも簡単にはいかない。
でも「海外に出ても【同じ収入が得られる場合】は「海外に出れば解決する」わけですよね。
まさにマレーシアは「その手の所得がある人に取っては【タックスヘイブン】であるわけで、マレーシアはタックスヘイブンのカテゴリーに入る国ではないけれど、私はタックスヘイブンだと思っています。
なおかつ「マレーシアに渡れば生活費も抑えられる」となれば、「資産を増やす3つの方法の内の2つは解決」してしまう。「住む場所を変える」だけでそれが起きる。
でも「海外に住むって・・・」と多くの日本人は考えるはず。それは今の日本人は内向きだからそう思うだけのことで、かつては「海外に出稼ぎに出る」なんてのは「地方の村から都会に出稼ぎに出る」のと同じ様に行われていたはず。
北海道から東京へ居住地を変えるとか、横浜から鹿児島へ移るとかするのと、「マレーシアに居を移す」のとどれほどの違いがあるのか。その壁になるのは「言語」ぐらいなもので、しかしそれも「中学で習う英語ができる」のであれば大きな問題とはならないと私は思う。「環境や生活習慣の違い」は、時間が解決するんじゃないでしょうか。
日本にいる時には100の収入で、手取りは70。生活費は70で【資産は増えず】【インフレにやられるだけ】であったにしても、
「マレーシアに居を移すだけで、手元に残るキャッシュは大きく増えて、そしてそれをまた投資に回せば【雪だるま式】に増える」
あるいはカツカツで生きていた人でも【余裕が生まれる】ことが起きる。
これは企業も同じで、今の時代、世界を相手にする企業は多く、本社を香港などの法人税の安い国に移すだけで純利が増える。かつて日本の法人税が高い頃、ホンダの本田宗一郎氏が「これ以上、法人税を上げるのなら、ホンダは海外に出る」と言って大騒ぎになったのを思い出します。この構造は今も同じで、企業ばかりが優遇されているような「法人税を安くする」ことが起きる。
日本の市民派、理想主義の左派政党は「金持ち(企業)にしっかり課税しろ」というけれど、それをやれば「金持ちは躊躇なく海外に逃げていく」ことが起きるはず。当然、海外から日本への「新規流入は減る」はず。
海外の資産家や海外企業で働くエリート達は「日本で働くのを嫌がる傾向」があると聞きました。日本の税制では「居住者の全世界所得に課税され、海外で【贈与・相続】が発生した場合、全く関係のない日本に高率の税金を払う必要がある」からですと。実際に、かつて日本で働いていたオーストラリア人がオーストラリアで発生した【相続】(オーストラリアでは課税されない)で、「日本に相続税を払いたくない」と主張し、問題になったことがあるのを思い出します。(これに関しては特例が今はあるはず)
あの日産のカルロスゴーン氏もあれだけ長い年月、日本と関わりを持っていたのに「日本の非居住者」であるステータスを維持し続けた意味はここからもわかりますね。
この辺の日本の税制も今後いろいろ変えていかないと、「世界の資産家が自ら日本に来て、真剣に起業をすることは起こらない」んじゃないですかね。また日本が「外国人を増やす」にしても「金持ちは日本の税制のために来ない」ことが起きる。でも資産も収入も少ない人なら何の問題もないから、そういう人たちしか入ってこないことになる。
「つまり、香港、シンガポール、あるいはマレーシアと逆のことが日本には起こる」
ま、日本の場合は「安く使える労働力が欲しいだけ」だから構わないんでしょうが、将来的に「金持ちが嫌がる国のまま」ってのは良くなくて、「安い労働力を得るつもり」が「底辺層の外国人に食い荒らされる国」になるんだろうと思うし、もうとっくにその兆候はでているはず。私としては「世界の資産家、起業家が日本に来て、生産性の高い日本人労働者を活用する国」(日本も生産性を上げることに真剣に向かう必要あり)になって欲しいと思いますが、それは夢のまた夢でしかないんでしょう。でもそれを狙ってその方向に動いているのが香港やシンガポールやマレーシアであって、長い年月が経つと「かつてここに日本という経済大国があった」なんて時代も来るのかもね。
マレーシアは「ロングステイ先」として注目が集まっていますが(今は下火になったにしろ)、実はトレーダーとかノマドの人たちがかなり増えているのはビザのエージェントさんの話やネットを見ていても感じます。これって統計には出てきませんが、馬鹿にできない大きなムーブメントじゃないかと私は思うし、今後もそれは増えるんじゃないですかね。この動きは前からあったわけで、大物は「香港」「シンガポール」そして「ドバイ」を拠点とする個人も少なくなかった。近年、有名になった「秒速で1億を稼ぐ」と言われるまだまだ若い「与沢翼氏」がそうですね。そして「村上ファンド」で有名になった「村上世彰氏」も日本から出た。でもそれは氷山の一角でしか無い。
つまり「老後を楽しむ」ということから「資産を増やす」ことにマレーシア滞在の理由がシフトしつつある、みたいに私は感じています。ま、シフトと言ったら言い過ぎでしょうが、その動きは間違いなくある。今現在の日本の「年収一億円以上稼ぐ個人」の内56.4%がトレーダーってことは、「日本に住む必要はない」人も多いはずで、「海外脱出予備軍」となる。これは年収1億以上じゃなくて、数百万でも同じことで、「無税、かつ生活費が安い」となれば、「海外に出ない理由はない」ということになる。これに該当する日本人って今の時代、かなり多いはず。
その対象国としてマレーシアはかなりの利点がある。それは「生活費が安い」(香港、シンガポール、ドバイではそうはいかない)、「税金がかからない」、そして「居住ビザが簡単に手に入る」(普通、他国ではこういうことはあり得ない)。
「居住ビザ(MM2H)を維持するのに【制約がない】のと同じ」
これは「MM2Hの取得が比較的簡単であること」につけ加えて、「維持するのが簡単」という点も特筆すべき点で、極端な話、「マレーシアに全く住むことがなくてもビザの維持が可能」で、こういう居住ビザって他国にはほとんど例がない。フィリピンの永住権が比較対象になるケースもあるけれど、「税制上の特典は無い」ことを考えれば、そして今日の話題を中心に考えれば、フィリピンは対象にはならない。それどころかフィリピンはアメリカと同じ「属人主義の税制」であり、アメリカの様に「永住権を持っているだけでどの国に住んでいても本国への納税義務がある」のかもしれない(要チェック)。少なくとも「フィリピン人」は日本に住もうがマレーシアに住もうが、フィリピンに対する納税義務は消えない。(日本は「属地主義」なので、海外に居住すれば「日本への納税義務はなく」「居住地で納税するのみ」)
これって「老後を楽しむためにマレーシアに来た」という人でも「生活費が安い」「無税であるから」それが成り立つはずで、もし生活費が高く、課税もされるとしたら、そしてビザの取得が難しく、維持も簡単ではないとしたらマレーシアに渡ってくる「ロングステイヤーは激減」するはず。
極論を言えば「マレーシアが大好きだから」という人も、「マレーシアの物価の安さ」「無税であること」「MM2Hという使い勝手の良いビザ」が好きだと言っても過言ではないかもしれない。
こういうのを考えるだけでマレーシアってしたたかというか、どうするべきかわかっている賢い国だと思います。そうやって「来て欲しいターゲットを絞り込み」「来やすい環境を整える」。これって昔からマレーシアの地政学的なことも含めて「外国、外国人を利用するノウハウの蓄積」があるんだろうと思います。なおかつ「安い労働力を使う」のもうまくて、「基本的に【永住権は出さない】」なんて凄すぎる。「契約が切れれば帰れ」という基本がある。この辺を日本は学ぶべきで、「外国人を利用したい」のがミエミエなのに、「人道的にああじゃこうじゃ」と日本が将来的に困るであろう法律を作ってしまう。
ただここで重要だと私は思うのは、
「多くの人は【日本の非居住者になること】を簡単に考えているフシがあるということ」
海外に出て「日本の非居住者」となれば、日本の税制に縛られないわけですが、ちょこっと海外に出た程度、放浪するような生き方では「日本の非居住者としては認められない」ってこと。でも「海外に出れば大丈夫」と簡単に考えて「東南アジアをウロウロする」ような人がネットの中でも目立つようになってきた。
この件に関してはこのブログでしつこいほどに書いてきたけれど「海外に半年以上住んでいれば、日本の非居住者となる」と単純に考えている人が多いってこと。でもそれはありえないのね。
「日本から出て【海外をあちこち放浪していれば、日本への納税義務はなくなる】なんてうまいことは起きない」
ま、この辺を詳しく書くと、また過去の記事とダブりますから書きませんが、少なくとも「他国の居住者となりその国に納税義務がある形」は最低でも取らないとだめだと私は思うし、それは基本中の基本だと思います。つまり、「居住ビザ」を取り、「183日以上居住すること」は絶対のお約束で、観光ビザだけであちこちフラフラしているのは「住所不定」と同じで、日本の居住者とみなされてもしょうがない。
たとえば、大金持ちで年間10ヶ月を豪華客船に乗って世界を回っているとするじゃないですか。この人が「日本の非居住者」となるかと言えば、ならないのね。
「要は【海外長期旅行】では【日本の非居住者】にはならないってこと」
日本には「183日ルール」そのものがまず存在しないし、「海外に半年以上出ていた」のはひとつの目安にはなっても非居住者の十分条件にはならない。法律的にどうなっているのかといえば、「居所はどこか」という非常に曖昧なものがあるだけ。
ではどうすればよいのかですが、ひとつの考え方として、「私はロシアの居住者と見られることはない」という例を考えてみればわかるはず。つまり私は「ロシアに行ったこともない」「ロシアに家族もいなければ財産もない」「ロシアでは一切所得も発生してない」「ロシアの居住ビザも持っていない」「マレーシアに居住ビザを持ち、年間330日以上住んでいる」ってこと。
このロシアという部分を日本に置き換えてみれば、「非居住者と認めてもらう」ためには何が必要か見えてくるんじゃないでしょうか。これもまた極論でしかありませんが、日本には「居所がどこあるか」というのが「居住者・非居住者の唯一の判断基準」であり、「では居所とは何か」の説明もないってこと。つまり、当局がああじゃこうじゃと理屈をつければそれが通ってしまう確率も高いということ。
これは、これまた何度も書いていますが「武富士の巨額贈与事件」を見ればわかるはず(約1330億円の課税)。(私から見れば日本の非居住者としか思えない)武富士の長男が日本の居住者か非居住者かというところが焦点なわけですが、結果的には最高裁で武富士の長男は逆転勝利をし「非居住者である」と認められましたが、第二審では「居住者である」と司法は結論を出した「重み」を無視してはならないと思うのです。
ま、そんなことも頭の片隅に入れておかないとならないほど、これはややこしい問題であって、「世界を放浪していれば日本に納税する義務はない」なんてのは世の中を知らない、そして自分に都合のいいように法律を解釈する人達の夢物語でしか無いんじゃない?
この辺を簡単に考えていると、いつの日か・・・・・・