やっぱり和牛は美味しいですよね。
でも我が家では【本物の日本の和牛】を食べることは年に数回しか無い。
でも【日本のインチキ和牛】や【オーストラリア産Wagyu】は時々食べます。
和牛とWagyuは違うのか?
和牛は日本語でWagyuは英語ですが、【和牛=Wagyuじゃない】んですね。
日本では「和牛」という場合、ちゃんと【基準がある】わけで、【日本の牛だから和牛と呼ぶわけではない】。
日本の牛は「国産牛」と呼ぶ。ここを勘違いしている人が多いので注意。
和牛と呼ぶには基準を満たしていないとならない
和牛と呼ぶには以下の基準を満たしていないと和牛とは呼ばないし、もしこの基準を満たしていないものを【和牛】として表記したら【不当表示】となる。
和牛とは
○ 黒毛和種、褐毛(あかげ)和種、日本短角種、無角和種の「四種類の牛か、その中で交配した牛」のみ。
この4種類の牛と他の種類の牛(たとえばホルスタイン)と交配して生まれた牛は【交雑牛】と呼ばれる。F1、ハイブリッドがこれ。
ちなみにご存知のように、松阪牛とか近江牛、伊万里牛などは「ブランド名」ですが、オーストラリアのWagyu(ハイブリッド)で「Matsuzaka」という商標登録されたものもあるんですよ。これもマレーシアに入っているのを見つけたことがあるんですが、これって「マツザカミート」に間違いがないわけですから、これを聞いた日本人は「松阪牛」と勘違いする。そしてなおかつ、マレーシアには「ノンハラル」ですが、本物の「松阪牛」も入っているのね。前に松阪牛のランプを手に入れて食べたレポートを書いたことがありますが(ここ)、ややこしいですね~~~。
Wagyuという定義はない
Wagyuという定義はありませんから、「どんな牛でも【これはWagyuだ】といえばそれでオッケイ」なんですね。なんの問題もない。
でもそれって詐欺に間違いないわけで、そこまでする業者はいないんじゃないですかね。
でも上に書いた「4種類の和牛との交雑種」、つまりF1、ハイブリッド牛を「Wagyu」と呼ぶのはマレーシアでは一般化している。でもこれは法律違反でもなんでもない。
そして「オーストラリア産Wagyu」はほぼこのハイブリッド牛と思って間違いがない。でも「Wagyu」であっても【和牛ではない】わけです。(近年、オーストラリアでは「本物の和牛」の飼育が始まり(Full Bloodという)、それもマレーシアに入ってくるようにはなっています)
和牛ではないこのハイブリッド牛をWagyuとして売るのはマレーシアでは全く問題がないわけですが、日本語で「和牛」と表記するとインチキになるわけです。ややこしいですね。でも海外ではそれは罪にならない。
レストランや販売店はこの微妙なところを突いてくるわけで、「日本語で和牛」と書いてあると私達は和牛なんだと思ってしまいますが、【実は交雑種】であることが非常に多い。
これの何が問題かというと、「どんな肉なのか全くわからない」「価格の比較もできない」、「和牛をお安く提供しています」という店もそれが本当なのかもわからない。「和牛だと思って高いお金を払わされているかもしれない」(スーパーの肉売り場ではこれに注意)。そして本当に真面目に良い肉を安く提供している店もわからないってことですね。
まじめにやっている人たちがこのインチキな世界で埋もれてしまうなんてとんでもないと思うんですよ。
どうやって見破るか
和牛の場合は一般的にA5とかA4とかの「グレード」が付いていますよね。これは「和牛のみに付けられるグレード」。和牛との交雑種(ハイブリッド)にはこの等級はつかない。
ちなみにこの等級は【美味しさを表すのではない】んですね。簡単に言えば最初の英数字は【肉の歩留まり】の等級であり、次の数字は【サシの入り具合】でしかない。つまり【A5=美味しい】ってのは錯覚でしか無いってこと。
アルファベットの部分は歩留(ぶどまり)等級といい、これは「その牛からどのくらい商品となる牛肉が取れるのか」を評価したランクです。いわば生産性の評価ですね。AからCの3段階があり、Aが最高ランクです。
一方、数字の部分は肉質等級といい、これは「牛肉の色沢」「牛肉の締まりときめ」「脂肪の色沢と質」「脂肪交雑(脂肪の入り具合)」の4つを総合的に評価したランクです。1から5の5段階があり、5が最高ランクです。
引用:肉の手帖
このサイトを見るとわかりやすい。
2019/02/06 追記 日本食肉格付協会様より多くの貴重な追加情報および画像をご提供いただき、記事の追記・…
つまり、「A5とかの等級が表示されていれば【ほんものの和牛の可能性は高い】」ということであり、高価な和牛に等級をあえて表示しないケースって何か裏があると読んだほうが良いはず。
そして肉屋、あるいはレストランの店頭に「ブロックを置いて見えるようにしている」ケースがありますよね。そのブロックを見ると【シールが張ってある】のが普通で、そのシールを見るとそのブロック肉がなんなのかがわかります。
例えばこれですが、赤丸のところに注意してください。
「和牛、宮崎県産」「Wagyu A5等級」という文字がわかりますよね。これなら本物の日本の和牛だというのがわかる。
さてこの次が問題。これをよ~~く見てください。
「国産牛 鹿児島産」、そして等級が書いてあるべきところに「Kyushu Beef」とある。これは【和牛ではない国産牛】ということ。
そしてもう一つ。これもよ~~~~~~~く見てください。
これには和牛とは書いて無くて「国産牛 宮崎県産 交雑種」、そして等級のところには「Wagyu F1」とある。つまりこれは【和牛ではない交雑種】であるというのがわかる。
日本から入っている「日本の牛肉」にもこの3種類があるってことなんですね。
そして「マレーシアではどれもWagyu、あるいは和牛と称して売っているケースが多い」ってこと。「日本の牛」には間違いがないにしても、「日本の牛だから和牛」というのは間違えだということを知らない。あるいは知っていてもとぼけているのか。
こういうインチキと言って良いようなことは「超有名な日本の小売店舗」、「有名日本料理店」も同じように行われているってこと。ましてや「Wagyu」という表記だけの場合はオージーWagyuもあって何がなんだかわからないってことなんですね。
またオーストラリアのWagyuには(マレーシアでは)「MB6」とか「MB8/9」とか書いてあることが多いですがこれはオーストラリアの基準で、日本の「サシの入り状態」を表すのとおなじ。
でも「日本からの和牛、ハイブリッド」ではこの等級はつかわない。「Japanese Wagyu MB9」というのはありえないわけで、本来は「Japanese Wagyu A5」としたいのに和牛ではなくてハイブリッドの場合には(勝手に)MB9とか表記するかもしれない。
店員もわかっていないのが普通
私としては和牛を買う時(ほとんど無いにしても)には高い買い物になりますから【本物を買いたい】わけです。当たり前ですよね。
だから良くわからない時には店員に聞くのですが、店員がそもそも「和牛とは何かを知らない」のが普通。
ダボ 「Is that REAL Japanese Wagyu?」
店員 「Yes, Sir.」
ダボ 「That seems like Hybrid.」(F1、交雑種のこと。これは和牛ではない)
店員 「Yes, yes, that’s Hybrid Wagyu.」
なんてわけのわからないことをいう店員もいます。「ハイブリッド和牛」というのはこの世に存在しないんですね。「これは混血の純血種です」というのと同じ。でも「ハイブリッドWagyu」は存在し、オーストラリア産のWagyuの多くはそれ。また日本産でも「Wagyu F1」と呼ぶのもある。でも「和牛」じゃないわけです。
私としては、和牛でもただの日本の国産牛だろうとハイブリッドだろうと「美味しければ構わない」んですよ。そして日本ならこの3種は明らかに価格は違うわけで、マレーシアでもそれぞれ値段が違うのなら、つまりハイブリッドや国産牛が安いのなら、私はその方が良いと思うくらい。別に最高のものが欲しいわけでもなくて、安くて美味しいなら万々歳ですから。
でもただの国産牛やハイブリッドに【本物の和牛と同じ様な高いお金は絶対に払いたくない】んですね。またただの国産牛を「本物の和牛だと信じて食べる」ような自分ではありたくないんです。「この和牛、高い割には美味しくないね」なんて馬鹿みたいじゃないですか。
ここで大事なことを書きますが、こういうややこしい商品の場合は「信用あるお店で買えば良い」って思うじゃないですか。でも牛肉に関してはそれは駄目で、誰しもが知っているKLCCにある日系の超有名店で「ハイブリッド。交雑種の牛肉」を【これは和牛です】と【日本人の販売員がそう言う】から困るのね(今は知らない)。なおかつ値段はとんでもない値段。
ただし益々ややこしくなりますが、「A5和牛」が絶対美味しいわけじゃなくて、産地や仕入れのタイミング、ロットによって違うのは当たり前で、「和牛ではないハイブリッドのほうが美味しかった」なんてことも普通に起きるわけで、そういう意味での「店を選ぶ」のは大事だと思うし、要は自分が満足できればそれで良いってことなんですよね。
まとめ
結論を言えば、マレーシアの「和牛」「Wagyu」表示や説明は全く信用できないってこと。
「Wagyu=和牛ではない」ということ。(中には本物の日本の和牛もある)
でも注意してみているとわかるし、これも「慣れ」なんですね。そのうち、雰囲気でわかるようになってきます。
私が今の時点で、「間違いの無い本物の和牛」を「安く買える」と思っているのは一軒のみ。「Wmart」というスーパーで、これは「Unifrozen」という輸入卸の直売店。
また肉は「ブロックで買う必要はない」し、「これを500グラム」なんて買い方も出来る。そして薄切りにもしてくれる。ただし彼らは「一番薄いのは2ミリ」というんですが、これじゃしゃぶしゃぶにはちょっと厚いじゃないですか。だからしゃぶしゃぶ肉がほしい時には「1ミリにしてくれ」というと頑張ってそれに近づけてくれてちょうどよくなる。(笑)
このお店は信用できると思う理由の一つとして、私はハイブリッドでも国産牛でも「いろいろあって選べるほうが良い」という考え方があり、【ハイブリッドは扱わないの?】と売り場の責任者に聞いたんですよ。するとその答えは「当社は【本物を扱うのがポリシーだ】」ですと。嬉しいこと言ってくれちゃうじゃないですか。それから私はこの店のファンになりました。
でも「本物の和牛を扱う」というのはある意味、「マレーシアの流れに反している」とも言えるんじゃないですかね。ここは元々輸入卸問屋ですが、仕入れに来るプロたちは「ハイブリッド、国産牛でも、本物の和牛じゃなくても良いから、安くて良いものが欲しい」というのが本音じゃないんでしょうか。私もそう思うし。(笑)
マレーシア全体で見れば売れ筋は和牛ではなくてハイブリッドのはずで(Wagyuとして売れるし)、この店も変化していくかもしれませんね。
その他、本物の和牛を安く買うルートはいくつかあるんですが、大きなブロックじゃないと駄目(4,5キロはある)とか、一般的ではないので割愛します。
私としては、本物の和牛より、ハイブリッドなりただの日本の国産牛を手頃な価格で買えるほうが嬉しい。でもいまだに「この店!」というほどの店を探せていません。もし読者の方でオススメがありましたら、是非、教えて下さい。
あああ、肉にはうるさい私の父(&姉)ですが、通販で買えるこのお店を気に入っている様子。
Hungry now? Order your next meal online from Honest Butcher …
フェイスブックはここ。
通販のリストはあまり当てにしないで、フェイスブックの情報が新しいし、気になるものがあればWhatsappで聞いてみるのが良いとのこと。
私はまだここから買ったことがないのですが、和牛のパテ、ショートリブ、ショルダー、焼肉用の肉等が面白そうなのでそのうち買ってみようと思ってます。(高い肉は興味がない 笑)