保守派から見た「安倍さんの功罪」を考えてみる

安倍さんが辞任発言をしてから安倍さんの人気が鰻登り。なんなんですかね。

直前までは「支持率の低下」が言われていたし、コロナも厚労省+専門家に丸投げで指導力を発揮という感じではなかった。雰囲気としては「辞任することになるんだろう」みたいな。

で、辞任発言をしたわけですが、「支持率の低下」が原因でもなく「体調不良」。これで流れが一気に変わった。安倍さんの宿敵と言って良いような朝日新聞の世論調査では「安倍政権を評価するが71%」。共同通信の「内閣支持率では56.9%」。これって何?

でも自分の中でも似たような変化があって、「安倍さんの時代は終わった」と思っていたし、安倍さんが出てきた頃に保守層が期待したことは何一つ実現できていないどころか、政治・官僚世界の改革は全く出来ないし、社会保障が目的だというとんでもない理由の消費税増税を二度もやるし、私は「もう日本は終わりだ」なんて思っていたわけです。自民党自体はもっと期待薄だし。

ところが突然の辞任発言で、「それでも安倍さんはよくやった」「他の人ではここまで出来なかったろう」と思ったし、世界の反応も凄かった。そして「ご苦労さまでした」という思いが強く出て、「安倍さんがいなくなったらとんでもないことになる」「やっぱり安倍さんじゃなければ駄目だ」と私の中での変化があった。

まさに世間も同じ様に感じていたのかもしれなくて、「安倍さんには文句が山程あるけれど、ま、良くやったよね。大したもんだ」と考える人が出てきたのかも。

朝日新聞の世論調査で「安倍政権を評価するが71%」って異常で、何かに付けて足を引っ張ってきた朝日が「安倍支持に転向した」ような感じさえある動き。

でも面白いのが、リベラル派の苦し紛れか「辞任してくれて有難う」の意味での評価だという声も出てきている。

安倍さんは確かに良くやったとは思う。でも期待していたことはもっと大きくて、その期待と比べたら全然駄目なんだけれど、「安倍さんだからあそこまで出来た」と思うのが私の本音。

この辺の評価って、「政権に何を望むか」でまるで違うはずで、「今日明日をどう生き延びるかに必死な人たち」は安倍政権を支持しないだろうし、でも就職がしやすくなった若者にしてみれば「安倍さん、良くやった」になるんでしょう。マクロで見た経済も間違いなく良くなったし、そして外交や安保に興味がある人も一定の評価はするんじゃないですかね。

でも辞任会見から2週間が経ち、落ち着いて、そして遠くから安倍政権とはなんだったか俯瞰してみると、日本はとんでもない方向へ行ってしまったという感じがなくもない。私達保守派が望んでいた日本とはどんどんかけ離れて行った。日米関係は今までにないような良好な状態だけれど、これは「アメリカ従属が決定的になった」とも言えるし、「国内に外国の軍隊が駐留し、多大な権限を持っている」という異常な状態に誰も違和感を感じない日本になったし、安倍さんは「東京裁判史観を完全に認めた」とも言えるわけで、そうでなければ世界の中で立ち位置がおかしくなるのだろうけれど、安倍さんが最初に言ったキャッチフレーズの【日本を取り戻す】【戦後リジュームからの脱却】とはなんだったのかと疑問が残る。

実際に安倍さんが推進したのは「アメリカ従属」であり、新自由主義を発展させ、グローバル化に乗って日本をどんどん進化(劣化)させた(私は過去も現在も一貫してグローバリズムに反対なのは書いてきた通り。あるべき姿は独立主権国家の並存を前提としたインターナショナリズムだと思う)。日本が今では世界で四番目の「移民受け入れ国」になったそうで、移民政策はめちゃくちゃ。海外から入れている労働者も問題が大アリだし、労働者そのものも「搾取の対象」になったり、外国人技能実習制度そものもが「奴隷制度」にも見えてくるようなずさんさ。

「アイヌ新法」にも私はかなり驚いたのですが、これは菅さんが指揮を取ったらしいけれど日本の歴史を大きく歪めることまで認めてしまったし、国内外の極左運動家が「国費で行われるアイヌ関連事業に大きく関与している」なんてとんでもないことまで起きている。また安倍さんは、長い間、財務省と戦ってきたのはわかるけれど、結局は歳入庁も作れず財務省の力は温存し、森友問題は、私は世間が騒ぐこととは違う意味での安倍さんが財務省に負けたヒジョーーに残念な大事件だと思っているんですよ。

マクロ経済としてはそこそこ頑張ったにしろ、ミクロ経済では問題が大アリで格差が広がる方向で動いてきたし、大企業優先で庶民は後という「トリクルダウン理論(富める者が富めば、貧しい者も自然に豊かになる)」というのもまやかしで、安倍さんの動きの裏にいつも「竹中平蔵」が見え隠れしているように感じていました。日本全体としての数字は大事にしても、格差を広げるばかりで有効な政策は打てていないように見えるのです。

構造改革も十分にできたとは全く言えないし、何よりも日本の最大の問題の一つである「天下り」もなくならず、既得権益の壁が大きく厚いにしても、「安倍さんは改革のきっかけを逃した」と思うわけです。これこそが安倍さんだから出来るはずだと思った内容で、他の名前が出ている総裁候補は従来の既得権益を変える気があるようには全く見えない。

そして私が大事にしたい「日本の原点」というのがあります。それは「自虐史観からの脱却」もそうだけれど、安倍さんのいっていた【日本を取り戻す】【戦後リジュームからの脱却】ってなんだったのかと思うわけです。教育現場や教科書認定の問題、少子化による学生減少があるから「外国人に奨学金を出して呼び寄せる」なんてことをいつまでも続けているし、孔子学園問題も同じで、それがまた中国問題と結びついているわけで、当然、経済(金儲け)を何よりも重視する親中派、親韓派を抑え込むことも出来ないし、日本は「意志のない国」に見える。だから尖閣問題も弱腰だし、いまだに「習近平を国賓として招待する話は消えていない」わけで、安倍さんって本当に日本を変える意志があったのか?と思うくらい。日本人は「白黒はつけない」のが私達の生活でも美徳とされているけれど、世界でそれが通じるとは思えない。

少子化問題、労働力不足は深刻で、だから「外国人を入れましょう」というのもわかるけれど、「外国人技能実習制度」の問題、闇は深く、あれって海外から見たら「詐欺」に見えるんじゃなかろうか。でも「日本で働きたい(学びたいではない)外国人」は多く、そこに「搾取の構造」が彼らを送り出す本国、そして彼らを働かせる現場も「研修制度」とは大違いの問題がいろいろあると指摘される。

なおかつ「外国人は比較的簡単に日本に居住できる」のも問題で、起業ビザを取るのも日本人に帰化するのも簡単。私はこれほど移民に緩い国家を他には知らない。アメリカの経済を支えているのは「違法移民達」だなんて嘘みたいな話もあるけれど、日本の経済産業の基盤もそれに近いような気がしますわ。ああじゃこうじゃと理由をつけて外国人移民を増やそうとするのは大問題で、各国の歴史や問題を熟慮した上での移民政策とは全く思えず。(マレーシアに移民政策を学ぶべきだと思う)

中には「経済が何よりも大事だろうよ」という人も多いし、確かにそれらは日本人の生活に直接関係があるから大事なんだけれど、「もっと根本的なこと」を彼は変えるつもりだと思っていたのだけれど、今になれば、彼の甘い言葉に乗せられたのかな、みたいな気もするわけです。私には「国家百年の計から見た安倍さん」は、ほとんど何も出来ていないどころか「現状追認」で、「目先のことだけを重視」したように思えてくる。

でも遠い先、未来よりも「今が大事だろう」というのもわかるのだけれど、私はそれは庶民の考え方であって、やっぱり政治家たるものは「どういう国を作るか」を基本にすべきで、目先の問題解決がうまいだけでは「どこに流れて行くのかわからない小舟に乗っているのと同じ」だと思うわけです。政治家にしか出来ないことはやっぱりあるわけで、そういう見方をすると、「安倍さんでも出来ないのか」と大きな落胆を感じます。

憲法改正もこれで無くなったと思うし、それを喜ぶ人、無頓着な人も多いのかもしれないけれど、私は憲法9条以上にあの「前文」を読んだだけで、「戦勝国に押し付けられた憲法」だと感じるし、「日本を無力化する」のが狙いだったのも明らかで、それは軍事のことだけではなくて、「日本人は世界の隅で反省しながら生き続けろ」という呪いにさえ私は思うのです。これは広島の原爆死没者慰霊碑に書いてある、主語の無い「安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませぬから」という碑文も同じで、非常に日本的な言い回しで、ホワ~ンとオブラートに包んでしまい、何が問題か、どうするべきかを有耶無耶にする「戦後日本の全てが見える」と思うわけです。そして私はそれが良いとは思っていない。

な~んてことを書けば、リベラル派は「反省が足りない」だの「右翼だの」「戦争を容認するのか」なんて言うのでしょうが、私にしてみれば「警察もいない、法律もないのと同じ今の世界で国家はどう生き延びるのか」を考えた場合、「世界が平和でありますように」と祈るだけ、話し合いで解決するわけがないのは【世界を見ればわかりきったこと】じゃないんですかね。それで解決するならウクライナ問題もチベット・ウィグル・南モンゴル問題も、そして尖閣も南シナ海も香港も台湾も平和であるはず。中東での戦争はなぜなくならない?アフリカで何が起きている?

「戦うこと」って大事で、でもそれは「殺し合いの戦争を意味するのではない」のであって、今の時代は経済も政治も科学技術もITもサイバー空間や宇宙、世論誘導、プロパガンダ、ロビー活動も各国は「戦争と同じ様に戦っている」わけで、それらも含めた「戦うことを放棄している日本」を私は感じるし(韓国との様々な問題も同様)、ニコニコしているだけで問題解決が出来ない日本はいつか世界の舞台から消えていくことを意味すると思っています。ま、そういう点では安倍さんは一歩進めたとは思うけれど、まだまだ問題は山積みで、それを積極的に解決しようとする政治家はいない。というかそういう政治家が政治の中枢には出てこれない。

特に日本人は「いつもニコニコ、優しいお金持ち」が好きだけれど、それを国家に求めて良いのだろうか。そういう意味では安倍さんは「今までとは違う韓国との付き合い方」をした初めての日本の総理大臣じゃないんですかね。でも私は、世界はも~~~~っとシビアだと思う。

ま、こんなことを書き出したらダムが決壊するかのごとく色々出てくるわけですが、「安倍さんは良くやったほうだよ」と思うのはちょっと横においといて「本来、何をするべきなのか」という日本の原点をいまだからこそしっかり考え、見据えていかないと危ないと思っています。

特に次期総理は「派閥を持たない菅さん」になるはずで、これはどうしたって「派閥間の調整が主な仕事になる」のは間違いがなくて、各派閥も積極的に動き出しているのは聞こえてくる。菅さんって我々が感じる「調整型の人」ではなくて、実は「決断、実行の人」みたいな評価があって(独断で動くとも言われる)、それは安倍さん以上だとは言われているものの、「好き勝手なことは出来ない総理」なのも間違いはないと思うんですよ。だから菅さんが頑張れば頑張るほど、「短命の内閣になる」可能性すら大きい。

保守派の私としては「本来どういう日本になって欲しいのか」を改めて考えて行きたいと思っています。経済もまぁまぁ、外交も安全保障もまぁまぁ、でもそこに「長期的展望がない」としたら、日本は糸が切れた凧状態になると私は思うし、今の韓国の混乱状態を見ると、日本も同じ様なもんだと思うわけです。

でも世界中がそうなっているとも思えるわけで、私達が持っているアメリカのイメージも近い将来には「白人が少ない移民国家」になってかなり変わることは間違いがないはずで、そこに「国全体の安定と発展、秩序」があるようには私には見えない。まだ次期大統領が決まらない今ですが、アメリカの民主党を見ていると、まさに日本の旧民主党系と同じで、過激な思想を持っている左派も取り込んで一体何をしたいのかが見えてこない。バイデン氏が大統領になった場合の副大統領の「カマラ・ハリス女史」は、日本の福島瑞穂をイメージするくらいのバリバリの左派。もしバイデン氏が大統領になり、任期中に何かが起きればハリスが大統領になるわけで、もしそんなことが起きれば、アメリカはもちろん世界の左傾化は加速され、大きく世界史そのものも変わるんじゃないですかね。もちろん左派はそうなることを夢見ているのかもしれない。

アメリカを見ても経済って何よりも大事だというのがわかる。食えなくなると「とんでもないこと」でも考えるしやるし、極左の支持も増える。恐ろしい世界だと思いますわ。

そういう意味で、格差も広がり、貧しい人が増えている日本で「朝日新聞の調査で【安倍政権を評価する】が71%」。「共同通信の内閣支持率では56.9%」ってわけがわからない。

過去にもよく紹介したユーチューブの討論番組なんですが、「桜チャンネル」というのがある。

ここは保守派の溜まり場と言ってもおかしくないのですが、安倍総理が誕生するときの世論の動きに彼らも大いに貢献したと思うし、バリバリの安倍支持者ばかり。でもそれは過去の話で、いつのころからか「安倍支持は出来ない」と言い出した。この理由は、私は今日、上に書いてきたことみたいなことが色々あるからなわけで、今回、「あえて安倍批判をしてみる」みたいな内容の討論がありました。

保守派の私でもちょっとこの動画の内容は過激に感じるし、理想論ばかりであるとも思うのですが、あえて自分の中を真っ皿にして彼らの話を聞いてみると、やっぱり大事なところがあるのも見えてくるし、それを私は見ていなかった、忘れていた、「安倍さんも良かったんじゃないの?」という【妥協】が自分の中に存在するのも見えてきました。

そして、かつてあの三島由紀夫氏が「日本の現状、将来」を憂いていたのを思い出します。「このまま行ったら日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或る経済大国が極東の一角に残るのであろう」と言った。彼は今を予見していたのだろうと思う。そしてこの傾向は加速するはず。なぜなら私達はそういう世界だからこそ安心感を感じるようになってしまったから。これってこうやってブログを書いたり、他の方のブログを読んでも感じるんですよ。これこそが日本人が好きな環境、あり方なんだろうと。

また世の中を変える、良い世界にするのは「教育」が大事だと思うのですが、安倍政権ではそれも壊してきたと。というか、安倍さんが悪いというより「それが世間の流れ」なんだろうと思うけれど、少なくとも「日本を取り返す」と言っていた安倍さんでさえ、日本を壊すように動いていたという指摘は注目する価値があると思いました。世の中の全てが近視眼的な「利益重視」で動いていて、これでは道徳も倫理観も、そして国家観も簡単に壊れる、失われると思いました。

安倍政権の功罪と日本の教育

パネリスト:
 大石久和(国土学総合研究所所長)
 施光恒(九州大学大学院教授)
 寺脇研(映画評論家・京都芸術大学客員教授・元文部官僚)
 浜崎洋介(文芸批評家)
 藤井聡(京都大学大学院教授)
 室伏謙一(室伏政策研究室代表・政策コンサルタント)
司会:水島総

またこれとは別に、安倍政権でどれだけ改革が行われたのかがよく分かる番組もありました。

実際に政権内で改革の仕事に携わっていた「原英史氏」とジャーナリストの「須田慎一郎氏」の対談。

安倍政権で何が変わったのか、問題は何なのか、今後はどうなるのかを今この時期に抑えておくのは大事だと思いました。この対談では「思想的な話」は一切なく、改革の現場の話が主体。

安倍政権の成果と宿題 菅政権で解決できるのか!?


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