「鶏の水炊き」を真剣に作ったら激ウマだった~~

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皆さん、鶏の水炊きって家で作りますか?

私はそもそも鶏の水炊きをよく知りませんでした。スープが白濁しているあの手の水炊きはヨメさんが福岡出身ですから九州に行った時に何度か食べましたが、あまり印象に残っていません。他に美味しものが多すぎたからかもね。(真っ白で濃厚なスープの水炊きは関東では珍しい)

ところがマレーシアに来て、Lot10にオープンした「博多水炊き とり田@Lot10」で食べてびっくりしました。半端じゃなく美味しかった。鶏の白湯スープが美味しいのなんの。

となれば家で再現してみたくなるじゃないですか。

それから家で何度試しましたかね。でもうまくいかないのね。そもそも色が悪かったり、鶏臭さがあったりで、「鶏肉、鶏ガラなどをしっかり煮込めば出来る」なんて簡単じゃないのがすぐにわかりました。

とり田のスープ。鶏の脂(黄色)が浮いていますが、スープそのものは純白でめちゃ美味しい。

最初にこのスープを「塩コショウ」だけで飲むのがお約束で、これが激旨じゃないと次に進まないわけで、この白湯スープが何よりも大事だと思う。

ところがですねぇ、家で作るとこんな感じなんですわ。

見た目も最悪で臭みもある。

煮込む時に「生姜やネギ」その他の野菜を入れれば良いと思うかもしれませんが、それじゃ駄目なんですよ。この鶏の白湯スープって「鶏の旨味だけ」で作るのが重要で、野菜類を入れるとその味が出て、違うものになっちゃうのね。でもダボ流は「日本酒だけは入れる」ようにしています。

何度試行錯誤をして実験しましたかね。でもま、どうにかこのレベルまでには出来て、美味しさもまぁまぁになってきた。

ここで私の実験はお休みしました。100点では無いにしろ、美味しいスープが作れるようになりましたし、これを基本として水炊き全体もそこそこなものになりましたから。でも、問題がなくはなくて、もう少し濃厚なスープにしたいとか、中に入れる「鶏肉がイマイチ」なのをどうにかしたいという課題は残ったまま。

それから年月が経ち、その間、「博多水炊き とり田@Lot10」にも2,3度行きましたが、いつ行っても暇な店で、「料理の内容も味も【段々と落ちている】」のを感じてがっかりしましたっけ。オープン直後とはかなりの違いを感じました。

そんな時に、「博多水炊き とり田@Lot10」は【撤退した】というニュース。まぁ、しょうがないなと思いました。

私としては「美味しい水炊きをどこで食べれば良いんだ?」という問題が残りました。家で作っても中途半端。本家の「博多水炊き とり田@Lot10」も段々と味が落ちて、挙句の果ては撤退なんですから。

今回、気まぐれと言ってはなんですが、日頃、調理実験をするなかで学ぶことは多く、その蓄積された知識や経験を元に「鶏の水炊き」に真剣に挑戦してみようと思いました。

これまでにわかっていることは

○ 圧力鍋を使わない。使うとしても最初の30分は蓋をせずに煮込む。

鶏の白湯スープって最低でも4時間、長ければ9時間は煮込むわけで、どうしたって「時短」をしたいと思うじゃないですか。だから「圧力鍋を使う」のを前提に考えてしまいがち。

ただ他の料理でも同じで、圧力鍋を使うと「美味しくない」のはわかっていました。この最大の理由は「蓋を締めて煮込む」ことによって「臭みが回る」ってこと。間違いがないと思います。でも臭みが出るのは煮込み始めが多いのも気が付きまして、圧力鍋を使うなら、最初の30分~1時間は「蓋を閉めない(圧力はかけない)」のが有効なのも気が付きました。

それと圧力鍋って高温になりますし、「煮出したくない成分も出てくる」のだろうと思っています。

でも圧力鍋が駄目なわけもなく、やっぱり「使い所」ってのがあるんだろうと思いました。逆を言えば「煮込み料理には何にでも使えるわけでもない」ということだと思っています。

○ 鶏を綺麗に掃除する。

鶏によっては黄色い脂がしっかりついていたりしますし、背肝や血も含めて「きれいに取り除く」のも重要。この時、ケチケチしないで切り捨てることも覚えました。(笑)

○ 下茹でをしっかりする。

これも重要で、しっかり下茹でをしたら「大事な美味しさが出てしまう」と考えがちですが、ここもケチらないのが良いと思っています。

これらの3つの基本を大事にして、かなり真剣に作ってみました。

圧力鍋は使わず、こまめにアクを取りました。浮いてくる脂も今回はしっかり取ってしまうことに。

7~9時間は煮込むつもりでいたのですが、スープの出来上がり具合、具材の崩れ具合をみて、このへんで良いだろうと5時間で煮込み終了。

最終的には、真っ白で雑味もない、美味しい白湯スープの出来上がり。この色、香り、味は今までにはない最高の出来上がりでした。

ただ時間的に夜中に近くなってしまったので、粗熱を取り、冷蔵庫に入れて、本番は次の日の楽しみに。

この乳白色のスープを見たヨメさんが、珍しく「美味しそう~~、明日が楽しみね」ですと。いつもの「ったく、何を作ってるんだか・・」みたいな雰囲気はありませんでした。(笑)

次の日ですが、冷えたスープは「ゼラチンが固まって」まるでヨーグルトみたいになっていました。まずはそれを土鍋に入れて・・・。

一切、味付けもしていない、そして煮込む時には「生姜もネギの青いところ」も入れていない、でも「日本酒」だけは入れた素のままのスープの味見をすることに。

塩コショウと青ネギの刻んだものを入れて飲んだのですが・・。

美味しい~~~。ヨメさんも息子も大絶賛で大喜び。悩んだかいがありました。試行錯誤を何度もしましたが、それが報われた一瞬。

その後は具を入れて水炊きとなるわけですが、私の楽しみはここで終わりと言っても良いくらいでした。私はこの白湯スープに何よりも興味があるし、このスープに「ほんのちょっとの野菜」を入れるだけで【味が大きく変わってしまう】のね。これじゃいつもの「鍋物」に限りなく近づいてしまうわけで、私としてはあまり面白くない。

ただ今回使った鶏肉ですが、いつものスーパーの鶏ではなくて専門業者から買ったものですが、これもあえて「骨付きをぶつ切り」にして、なおかつきっちり「湯通し」もしたのですが、これがかなり美味しかった。

でも「骨付きのぶつ切り」って簡単じゃなくて、家にある「大きめの出刃包丁」「中華包丁」でも駄目で、かなり苦労しました(まな板を一つ駄目にしました)。でも「骨も叩き割れるチョッパー」「刃の厚い中華包丁」は我が家にあっても良いかもしれないとLazadaを検索してみたり。(笑)

やっぱり骨付きのほうが美味しいと思いました。多くの人は「骨からも出汁が出るから」と言いますが、私はそれは違うと思っています。そもそも骨から出汁が出るほど煮込みませんし、でも骨付きが美味しいのは【身が縮まないから】なのは間違いがないと思っています。また湯通しもしっかりしたのも良かったと思います。

今回の鶏肉は大正解でした。鶏そのものがスーパーのものと違うのね。かなり大きめで、脚はこんな感じ。

上下を切り離しましたが、ドラムスティック(下肢)もかなり大きくてしっかりしているのがわかりますでしょうか。

私は「スーパーで売っている鶏」って【かなりの小型】だと思っていまして、人間で言えば中学生ぐらいですか。だから柔らかいし、家で使う分には大きさもちょうど良いのかもしれませんが、私としては「もっと育てて、身もしっかして味も強いもの」を探していました。人間で言えば、二十代半ばぐらいでしょうか。(笑)

今回の鶏肉はまさにそれで、でも肉が硬いことは無く、歯ごたえはちゃんとしていて美味しかったです。

そもそもスープ用に買った鶏、ガラもスーパーで買ったものとは違っていました。

今回使ったスープ用の鶏ですが、

○ 鶏ガラ 2つ
○ もみじ(鶏の足) 1キロ
○ ヒネ鶏(卵を産まなくなった鶏)1羽

いつもはヒネ鶏ではなくて「手羽」を使うのですが、「博多水炊き とり田@Lot10」のスタッフに聞いた時に「鳥を丸ごと使ってスープを取っています」というのが頭から離れませんでした(そういえば具に使っているかなり美味しいと思った鶏肉も特別のものではない普通のブロイラーですと)。でも普通の丸鶏を使うのもなんですし、「スープには最適」と言われるヒネ鶏は売っていないんですね。でも今回買った専門業者はそれを売っていたので、始めて使ってみました。

かなりの量です。でもテレビで「鶏スープが売り物のラーメン屋」の厨房を見た時に、「こんなに大量に使うのか」と思いましたし、我が家で作る白湯スープがイマイチなのは「鶏ガラなどの量」にも関係があると思い、今回は大量に使ってみました。

ちなみにその鶏専門店って激安で、ロットが大きいのが困る(最低1キロみたいな)のですが、鶏ガラは2つでRM4.6、もみじ(鶏の足)が1キロでRM6.13、ヒネ鶏が一羽でRM10.22という価格。他に色々買いましたが、全部で9キロ、総額RM97でした。鶏レバーなんて1キロでRM2.04。安すぎて怖いと思ったのですが、全て「冷蔵」で新鮮だと思いました。

ですから、スープの材料費は21リンギ程度、骨付き鶏肉は2キロで25リンギ。もしかしたら野菜のほうが高いかもしれない。(笑)

またもみじ(鶏の足)ですが、これは非常にゼラチン質が多いので白濁した「白湯スープ」を作る時には必要な物。ゼラチン質が油分と水分を結合し(乳化=マヨネーズと同じ)して白くなるのね。ゼラチン質が乳化剤として働く(マヨネーズの場合は黄身のレシチンが乳化剤)。だからもみじ(鶏の足)を使わない場合は、同じくゼラチン質が多い「手羽」は白湯スープには必須となるはず。

面白いと思ったのが、煮始めて1時間経った頃に「ヒネ鶏」の肉の様子を見たところ、「これほど硬い鶏肉は始めて」と思いました。まぁ、カチンカチンでこれを食べろと言われても絶対無理だと思うぐらいの硬さ。一時間も煮込んで硬い鶏肉なんて、皆さん、経験あります?

世の中では昔から「若鶏」が珍重されて来ましたが、こういうことなんだろうと思いました。歳を取った鶏は「スープに使うしか無い」と言っても言いすぎじゃないんでしょうね。また家で飼っている鶏を「潰す」時も、若鶏を潰すようなもったいないことはしなかったはずで、歴史的には「人間は硬い鶏肉を食べていた」のかもしれないと思いました。だからこそ「若鶏」という能書きがつく鶏が珍重されたのだと思いました。

でもスーパーで売っている鶏肉は「若すぎる」と思うし、日本の料理番組を見ても「日本で使う鶏肉のほうが大きい」のがわかります。

でもま、今回、かなり良さげな「鶏肉専門店」を見つけたので、その問題は解決。この店に関しては別の日記に書くつもり。

ところで今回の水炊きに用意した野菜はこれら。すべてMr.Lowのショップカーから買ったもの。値段は高いけれど、モノは良いと思う。今回の水炊きは多分、野菜のほうが材料費が高い。材料費の総額は100リンギは掛かっていないかも。(笑)

鍋の出来上がりの量は4-5人前はあるはずで、コスパ抜群どころの話じゃない。材料費は全部で2500円ぐらいなんですから。

調味料は「旭ポンズ」「青柚子胡椒」「赤柚子胡椒」、それと小ねぎを刻んだもの。後は「明太子」と「お新香」。

それぞれが小さな鍋(あの韓国のやつ)に好きなように盛って、好きなように味付けをして食べました。

今回の調理実験ほど満足を得られたことはかつてありませんでした。本当に美味しかった。

でも始めて買った「鶏肉専門店」の鶏が良かったのも間違いがないと思います。その店との出会いが嬉しいです。

さぁて、これにて私の「鶏の白湯スープ」を使った水炊きの実験は終了。もし家族からリクエストが有ればまた作ろうと思いますが、今の私の興味は次のものへ移っています。

鶏も良いのが手に入るようになりましたし、この次にやりたいのは「鶏の清湯スープ」です。濁りのない透明で綺麗な「黄金色の鶏コンソメスープ」です。

これって私の中では「白湯スープ」と対極にあって、白湯スープってのは豚骨スープに似ていて、ある意味、雑で粗野な感じがあります。でも清湯スープは上品でそして繊細な感じ。

だからきっと美味しい清湯スープを作る方が難しいと思っているのですが、是非それに挑戦したいです。

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