牛肉探しは私の趣味なんだか仕事なんだかわからないくらい、いつも探していますが、ちょっと最近、気になったことがありますのでそれに関して。
マレーシアの通販で売っている牛肉の中でオーストラリア産の「Meltique Beef」が段々増えているのが良くわかります。皆さんご存知の「鮮魚」で有名な「Ikejime Fish」でもこの肉を売っています。
これがどういう牛肉なのかわかって買う分には良いのですが、【安い!】と知らずに買うとちょっとまずいかもしれない。
このMeltique Beefって赤身肉に牛脂を機械で注入して作った「霜降り肉風の加工品」なんですね。
この件に関しては前にも書いたことがあるのですが、最近、流通が増えてきたようなのでまた書こうと思いました。
この様に作られる【加工品】です。
古いエントリーが表示されているかもしれないので、是非、「投稿日」を確認してください 読者の方の情報から、オーストラリア牛…
これが駄目ってわけじゃなくて、もとを辿ればこれはフランス料理のテクニック(piqué ピケ)として歴史があるものを、今風に工場で作って広く流通させているだけのこと。
日本でもこの手の牛脂注入肉や決着肉(小さな肉をまとめてくっつける)がかなり長い歴史があって、イヤに安い「サイコロステーキ」って昔からあったじゃないですか。あれがこの手の加工品。
この技術がどんどん進化して、見た目にはわからないようなのが売られているのね。
当然、これに飛びつくのは飲食店で、日本でもかなり前から問題になっている。こういう加工品であることを明示せずに普通のステーキとして売っている店って結構あるのね。
私もゴールドコースト時代に、日系スーパーで「イヤに安いサーロインがあるなぁ」と思って買ってみたことがあるんです。もう20年くらい前かもしれない。
これがですね、美味しいんですよ。全くおかしな肉じゃなくて、食べただけでは「牛脂を注入してある加工品」だとはわからないのね。
「いいじゃん、これ」なんて思って一時期そればかり食べていたときもあった。(笑)
ただ、ある時、肉を見ていたときに、「不自然さ」を感じたのね。サシの入り方がなんか変。でもその当時は、まさかオーストラリアでそういう加工品が売られているなんて想像さえしませんでした。
でも、おかしいなぁ・・と思って調べたら、牛脂注入肉だとわかったわけです。でも当然、それを売っていた日系スーパーではそういうふうに明示しておらず、普通の肉と並べて売られていたのね。
「安くて美味しければ全く問題はない」という考え方もあって、私もそう思うのですが、【騙された感】があるのね。ちゃんと明示してくれればよいのにと思いました。
最近の技術は凄いようで、見た目ではわからないのが多い。というか、通販の画像を見るとそう思う。
例えばこんなの。
Lazadaで「Meltique Beef」で検索するとそこそこ出てきます。
それぞれを見てみると、中には「牛脂注入肉」であると説明しているものもありますが、そうでないものもある。
そして、画像ですが、「普通の肉の画像」を使っているとこともあるのね。これは私は詐欺行為だと思う。
例えばこれ。
でも後ろめたさがあるのか、現物の写真も載せているのね。牛脂注入肉はこういう風に見えるのを覚えておくのは大事かもしれない。
上のユーチューブ動画を見ると恐ろしいと思う人も多いと思いますが、そもそも「ハム」の殆どが「様々なものの注入肉」なのね。
だから、牛肉というより、「牛のハム」と考えて食べればよいわけです。
でも本物の肉に見えるハムってないわけで、ま、「美味しくない肉を美味しくする新技術」と言えばそのとおりなんでしょうが、これで飲食業界はおかしなことになっている。
この動画は2007年のものですが、技術はどんどん進化して良いものができているのね。そしてそれがオーストラリアで作られマレーシアにも渡ってきているってこと。
Meltique Beefのオーストラリアの製造元。(日系らしい)
そこの画像ですが、偽物感がない素晴らしい出来上がり。
逆に、「安くて美味しいステーキ」を食べたい、加工品でも構わないという考え方があるわけで、そう思う人は「Meltique Beef」で検索すれば、見つけることは簡単。Ikejime Fishでも売っている。
気になるのはマレーシアの飲食店で、「安くて美味しい」という評判の店ではどんな肉を使っているのか。このMeltique Beefはハラル認証も取っているので、マレーシアの飲食店に広く普及しているかもしれない。私が飲食店のオーナーだとしたら、ステーキに限らず、牛肉はこれって決めてしまうのもありかもしれないって思いますもの。でも加工肉だと明記せずに売れるかというと・・・、難しいですね。
お客もわかっているなら良いと思う。
この手の「加工品」の問題点は、衛生上の問題点でもあって、「きっちり焼かないと危ないかもしれない」ってこと。
肉の雑菌は「表面についている」のが普通で、肉の内部にはいないと。だから表面はしっかりやいても「中はレア」なんてのがあるんですね。日本風のタタキも同じ。
ただもしその肉が「注入肉」であったり、「決着肉」であった場合、「肉の内部にも雑菌が入り込んでいる可能性がある」わけで、「レアが好き」とか「さっと炙っただけが美味しい」なんて言っていると危ないかもしれない。知らずに「ユッケ」にして食べたら怖いですよね。
ところで、上に「ハムもいろいろ注入されている」と書きましたが、日本で「雪印食品の偽造問題」が起きましたが、ハムやソーセージもややこしいことになっているのね。肉よりも重いハムがなぜ肉より安いのか?不思議といえば不思議ですよね。(だから良いハムはメチャ高い)
それに関して書いた日記はこれ。
安いハムやソーセージがどんな肉を使い、どういうふうに作られているのかわかる。ブライン液を肉の重さの50~100%も混ぜ込んでいると。フライパンで焼くと水が出るのはそのせいだとのこと。高いハムやベーコンって焼いたときに水が出てパチパチ跳ねないんですってね。私は知りませんが。(笑)
古いエントリーが表示されているかもしれないので、是非、「投稿日」を確認してください 最近はご無沙汰していますが、手作りソ…
この技法って業界内では定着していて、オーストラリアで売っている「ローストビーフ用のパッケージ」は全て「注入肉」と言って良いくらいで、私も随分食べました。
こういう肉が多くオーストラリアでは売られています。針がごっそり付いている機械でブスブスと刺して、美味しくない赤身の肉に「ブライン液を注入している」のは間違いがないわけですが、それを食べる時には考えないことにしていました。
メチャ安くて美味しい。(笑)
パッケージの裏を見ると内容物(Ingredients)が書いてありますが、よくよく見るとゾッとします。肉そのものの重さは81%ですと。あとは水やその他諸々。
この手の肉をローストビーフにしても、「色」が普通のブロック肉と違うのですぐわかります。赤味が強いのね。
ま、肉の加工品っていろいろあって、私達はいつもそれを食べていますが、様々な現代病の原因はこういうことにもあるのかもしれませんね。
私がソーセージの自作を始めたのはこれが理由です。またローストビーフ用の肉も、ちゃんとしたブロックが売っているのなら、それを使おうと思う。
マレーシアに来たときに、ローストビーフ用の「わけのわからない肉」は売られていないので安心しましたが、ステーキ肉では多く流通しているのかもしれない。
私はまだこの肉をスーパーや肉の専門店で見たことはありませんが、時間の問題かもですね。きっちり客に「油脂注入肉だ」「加工品だ」というのがわかるような売り方をしてくれれば良いのですが・・・。
とにかく、ブランド名は「Meltique Beef」なのでそれはちょっと頭の片隅においておいたら良いかも。
ああ、そうそう。このテクニックは、今ではなんと「魚」にも使われているそう。開きね。「このアジ、脂が乗っていて美味しいね~」なんて思ったらこの手の開きかもしれない。
世界には「脂が乗っていない魚」なんていくらでもいるわけで、このテクニックをうまく使えば業者は一財産、簡単に作れるかもね。(笑)
そう言えば、「赤身のマグロ」に混ぜるだけで「トロのようになる【トロミユ】という添加物」がマレーシアで売っているのにはびっくりしたっけ。「中トロ風味、大トロ風味、思いのまま。原価を押さえてトロ風味が味わえるので利益率も抜群」というのがこの添加物のウリ文句。
ま、「安くて美味しい」というのには【ウラがある】のが今の時代なのかもね~~。