中国はこの数年、自国を守るための法律を次々に作ってきましたよね。
その中でも酷いと私が思うのは「香港国家安全維持法」で、この内容が酷いなんてもんじゃない。
1.「国家からの離脱、転覆行為、テロリズム、香港に介入する外国勢力との結託」の4つを犯罪行為と定める。
2.国家安全維持法に違反すると最低3年、最高で無期懲役
3.香港の法律と矛盾する場合は国家安全維持法が優先される
4.裁判は非公開でおこなう可能性がある
5.中国政府は香港に国家安全オフィス(NSO)を設立する
6.中国が深刻とみなせば、海外にいる香港非居住者も対象となる可能性がある
7.香港警察内に新たに国家安全保障部を設立し、警察に多様な権力を与える
8.香港の行政長官は裁判官を任命できるが、国家安全を危険にさらす発言をした裁判官は任命されない
9.行政長官を代表とする新たな国家安全保障委員会を設立
10.香港政府は、学校、メディア、インターネットなどで市民への教育を要求する
引用:香港BS
要は「中国がやることを認め、決めたことを守れ」ということで、当然、中国本土と同様、批判も許されない。つまり今まで香港で行われていたデモは違法となり、デモ参加者を逮捕し、そして中国に移送され裁判が非公開でおこなわれるかもしれない「法的根拠」が出来たということ。
この法律がとんでもないのは、この対象に「世界、世界の人々」も含まれるということ(第38条)。
つまりですね、世界に住むすべての人が対象で、中国がやることに文句をつけたら【逮捕する】ということ。当然、日本に住む日本人も対象となる。これって内政干渉になるはずなのに、平気でこういう法律を作る中国。中国共産党は世界の国々の上に立っているような言い草。
そして「国防動員法」。
これって「国民総動員法」と言って良くて、「有事」の際、全ての国民(海外在住を含む)は、中華人民共和国の指示に従わないとならない。当然、「武装蜂起しろ」とか「インフラを攻撃しろ」はもちろんのこと、「情報を提供しろ」とか「社会を混乱させろ」という指示にしろ、それに従わないとならない。
つまり、世界中にいる中国人が「中国の兵隊と同様に行動することを求められる」ということ。どの国に住んでいようが、その国にどんな法律があろうが関係ない。
そしてこれは「中国内の外国人、外国企業も同じ」で、中国のために行動しないとならないし、指示に従わないとならない。
そして「国家情報法」。有事・平時を問わず、国内外を問わず、中国政府の情報工作活動への協力をする義務がある。
これってある企業の製品に仕掛けがしてあって、情報を盗み取れるようになっているなんて大問題になっているけれど(ファーウェイの通信機器)、もしそういう仕掛けがないにしろ、【そういう仕掛けを組み入れろ】と指示が出ればそれに従わないとならない。これは中国内に生産拠点を持つ日本企業とて同じ。
恐ろしいですよね。
そして最近、外国人が中国で勾留される事例が増えていますが、これはスパイ容疑。
これも酷いもんで、法的な勾留ではないそうで、外国政府が自国民を救おうと正規のルートで中国政府にアプローチしても駄目みたいなのね。(要確認)
そしてその手の勾留が最近、非常に増えていて、日本人も公称17人。アメリカ人は200人を超すらしい。
この中には実際にスパイ行為をした人たちも含まれるものの、全くスパイとは関係ないどころか、【中国と親密な関係のある人物、あるいは企業の従業員】が捕まっている。今、日本で騒がれている一人も「親中企業である製薬会社の役員」。
ややこしいのが「捕まった理由がはっきりしない」ところで、「観光のつもりで写真を撮った場所が悪かった」だけでも「スパイ容疑が掛けられる」、「中国に否定的な発言をした」だけでも捕まる。また「親中派でも、中国を知りすぎていると帰国させない」様な事例があるらしい。
ジャーナリストや評論家で「中国の批判」をする人は多いけれど、そもそも彼らを「反政府行動をしている」と中国政府が認定すれば、上に書いた法律で【海外在住でも違法で捕まる】ことになっている。もしも「自分は大丈夫だろう」と思って中国に行ったとしても、【中国で、あるいは帰国時の飛行場で捕まる】ことがあると。
そして新たにできた法律は、今までの法律を強化するような内容で、【告発をも奨励している】とのこと。
つまり、中国に進出している企業でも、従業員が「我社のXXXはこういう政府批判を吹聴している」なんて告発すれば捕まる可能性があるということ。あるいは観光で行って、ガイドが「この旅行者はスパイ行為をしている」と言えば捕まるのかもしれない。
まさかと思うけれど、「何をしたら違反なのかのはっきりした定義がない」のが大問題で、何でも起こりうる。彼らのさじ加減で決まるのは間違いがない。「禁止事項が羅列されていて、最後に【その他】という条項」があると。
だからジャーナリストや評論家で【もう中国には行かない】という人が多いし、中国に進出した企業も非常にナーバスになっているとのこと。
「何も悪くない」にしても【政治的な取引のために捕まえる】なんてことをやる国なのは誰でも知っているわけで、だからこそ日本の経済界は日本政府に対して「うまくやってくれ」という圧力をかけるんじゃないですかね。そしてまだまだ中国は儲かる。中国が無いとやっていけない企業も多いわけで、どうしたって日本の政治家は「親中派」になるんじゃないですかね。当然、そこに利権もあるんでしょう。
7月1日から、中国の「反スパイ法」が強化されて、とんでもなく中国はやばくなったという話。
こういう中国から国外に出ようとする中国人も非常に多いわけで、最近、【中国から日本に移住する中国人が激増している】というニュースもありますよね。
こういう動きを前から察していたのがまさにマレーシアで、中国の富裕層をどうにか獲得しようとMM2Hの条件を変えたのは間違いがないと私は読んでいます。タイも同様。
最後にジョークを一つ。
中国に行って、天安門広場で「習近平は大馬鹿だ!!!」と叫んだら必ず捕まると。
その罪状は「国家機密の漏洩」だそうで・・。
そう言えば、公の前で習近平の写真に炭でバツ印をつけた若い女性がいましたよね。当然、彼女は拘束されましたが、結構、長い間、音信不通だったのね。その彼女が突然、皆の前に姿を表した時の写真を見ましたがびっくり。まるで別人になっていた。
誰が見ても酷い拷問を受けたであろうことがわかる状態だったわけで、決して「改心した」ようには見えなかった。
こんなことをブログに書く私も、中国政府にしてみたら「邪魔者」なわけで、香港や中国に行ったら拘束されるなんてこともあるのかもしれませんね。私みたいな雑魚は関係無いにしても、中国共産党批判をするジャーナリストや評論家の多くは「中国、香港には絶対に行かない」という。
上に書いた法律によると、マレーシア在住だとしても違反者となるわけで、「中国と罪人引き渡し条約を締結している国」に行くのも注意が必要だという識者もいる。
ちょっと調べてみたところ、マレーシアと中国はその条約があるようですが、「政治犯は除く」ことになっていとのこと。
でも大きな運動やデモを主催して「中国共産党打倒!」なんて大きな声を出したらどうなるかわからないですね。
ま、「触らぬ神に祟りなし」ですが、私としてはやっぱり「異常だと思うこと」はブログに書いていきたい。