「海外旅行者保険」に救われた それがなかったら半年で300万円以上の出費

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マレーシアに限らず海外に住んでる方々は「保険」をどうしているんですかね。

我が家ですが、オーストラリア時代はそもそも社会保障が異常なほど厚い国で医療費はほとんど掛からない。でもその場合、私立病院や医師を選ぶことは不可能なのでアドオンの保険に加入しました(これも今は義務化されてる様子)。その保険料も驚くほど高くはないので、ま、オーストラリアでは安心でした。

さてマレーシアですが、保険に入るしかないんですね。海外オタクの中では「クレジットカードに付随する海外保険」を利用したり、日本の国民健康保険に入っていれば海外の治療でも日本で請求すると支払われたり(でも完璧ではない)、日本に帰って治療を受けるという人も多い。

でも家族で海外に住み、そこに軸足を置いて生活するのにそういう方法が良いとは思えず、やっぱり保険に入るしか無いと考えます。

これには二通りの方法があって、

◯ マレーシアの保険に入る
◯ 海外旅行者保険に入る(日本、あるいは外国の保険)

それぞれ一長一短があって、問題は年齢なんですね。若いときには保険料の負担は大したことがないけれど、65歳を過ぎると結構な金額になる。ましてや70を過ぎ、80も過ぎなんてことになるととんでもない保険料になる。(年間、一人100万円以上なんて当たり前)

ですので我が家は昔から使うことが多かった「海外旅行者保険」を選びました。これって内容はかなりよくて、交通費、通訳経費、救援者費用など諸々のものがカバーされているし、死亡時にも保険はおりるし、その他、紛失物だの自分の過失で何か壊したり、他者を傷つけたりしてもおりる。帰国後の日本での治療もOK。ま、この辺は一般的な海外旅行での諸々をカバーする保険で皆さんもよくご存知のはず。

これを家族3人で入って2年契約で、保険料は一人一年換算で約40万円。海外に在住したままでも加入が可能。

これに入っていたおかげで本当に助かりました。

今回、心臓冠動脈のカテーテル治療+ステントの手術を受けましたし、去年の7月には血尿が止まらず、結局、前立腺の手術を受けましたが、CTスキャンだ飲み薬だ診察だの全てトータルすると300万円は超えているのにほぼ全額、保険でカバーされました。支払ったのは「入院時の差額ベット代RM500(約15000円)」だけ。

ただし問題もあるのね。

◯ 一つの病気で保険がカバーするのは一度だけ。そして180日までとなっている。つまり慢性病や再発は駄目だし、長期入院しても180日以降はカバーされない。つまり、私の場合、今後、前立腺、脂質過多、高血圧、心臓関連で具合が悪くなっても、もう保険でカバーされることはないということ。

◯ 2025年度から保険料が大幅アップ。2025年7月以降、69歳以下は年間約50万円で、70歳を超えると年間100万円を超える保険料となる。つまり我が家の場合だと3人で1年、250万円以上の保険料となってしまう

これに関してはいろいろ考える必要があって、事故や怪我は良いにしても「病気」に関してはなんらかの事を考えないとならない。でもマレーシアの保険も年齢が上がると「加入できない」とか「とんでもない額の保険料になる」のでなかなか難しいところ。

ま、世界的に見ても【日本の健康保険が凄すぎる】わけで、それを当たり前として考えるとかなりうまくないんですね。海外では病気になっても医者に掛からないとか、持ち家を売らなければならないなんてのが普通に起きるわけですが、私達もそれと同じ状態になる。

つまり「全額自費でもやっていける自信があるのかないのか」が焦点となる。

私の姉も今マレーシアに住んでいますが、その前はかなり長い間アメリカに住んでいました。ところが「医療費が半端じゃない」のね。当然、保険に入りますが、昔から大手企業に努めているとかなら良いのですが、そういう履歴も無くアメリカに住む外国人が保険に入っても「保険料も非常に高く、その保険料さえ払えない」なんてことも起きるのね。いわゆる「病気になっても医者に行かない」なんて嘘みたいな事が起きるわけで、アメリカにはそういう人達が多くいるのは報道されていますよね。

そういう事も含めて「アメリカに嫌気が差した」のが姉で、永住権を返上してマレーシアに渡ってきたわけです。で、マレーシアではマレーシアの保険に加入しています。

だからオーストラリアみたいに社会保障が充実している国で「永住権を持っている」ならかなり助かりますが、MM2Hのような「長期旅行者とほぼ同じ」状態で長く住むのは難しいと思います。そして永住権を持っていても社会保障が薄い国だと意味がない。

「老齢年金で海外に住む」なんてのは、私は夢の話だと思っていて、現実はかなり厳しいはず。下手すりゃ「保険料だけ」で年金が全て飛んでしまうことも起こりうる。

だから「具合が悪くなったら日本に帰る」ということなんでしょうが、それは「旅行者と同じ」だから出来ることであって、マレーシアでもどこでも「その地に根を張って家族も養う」となったらこの保険料、医療費が大きくのしかかってくるのは間違いがないと思います。

ちなみに私の母は2019年に具合が悪くなり(当時92歳)、パンタイ病院のICUに入院し、結果的に亡くなりましたが治療費は約1千万円掛かりました。さて、これをどう考えるか。年齢的に「保険に入ると驚くほど高い」ことから、母は保険に入っていませんでした。

日本に帰るつもりでいても、救急車で運ばれて即、入院なんてことは事故でも病気でもあるわけで、そういう時でも病院では「支払い能力」をチェックするし、それがないとなったら放り出されるわけです。母のケースでも「毎週、支払いを求められた」のですが、お金が足りない、ちょっと待ってくれと言えば、【退院ですね】となる。

歳を取ると「大金が掛かるような病気になったら諦めて、病院に行かない」という老人は多い。私の父もそのタイプなんですが、本人はそれでOKでも家族はそれじゃすまない。【でも保険もない、お金もない】となればどうしようもないわけで、救える命でも見殺しにするしか無いことは起きる。(日本では多分そういうことはない)

病気ならまだしも、大怪我だったらどうします?

その時の家族の気持ちを【シミュレーション】することは重要だと私は思っていて、「ではどうするべきか」「自分はどうあるべきか」を考えて人生設計する必要があると思っています。

私の母が2019年、クアラルンプールのパンタイ病院で亡くなったときも、「お金がなかったら入院は不可能」だった。だとすると「家で段々と死に向かっていく母を放置するしか無い」わけだけれど、海外住まいだと「それを受け入れるしかない」ことも起きる。きっとそれは「世界の常識」なんでしょうが、自分にそれが受け入れられるかどうか。

こういうことからも、このブログでは「永住権が重要だ」とか「住む国選びも重要だ」と書き続けるのはそういうことなんですね。日本に住んでいるのと同じ様な考え方で海外に住むと恐ろしいことが簡単に起きる。私は「海外生活は地雷が多い」と思いますし。

また最近は「永住権の重要性」を理解している方が増えていると思いますが、【永住権があれば良い】と単純に考えている部分もあるようです。永住権というのはどこでも「ほぼ国民と同じ権利」があるわけですが、そもそも【社会保障が大したことがない場合】は「好きなだけ住める」「就労の自由がある」程度の利点しか無いじゃないですか。

私はやっぱり「セーフティーネットが重要」だと思っていて、それは「医療・保険制度」であり、「失業保険」であり、「(日本で言う)生活保護」や「諸々の補助金」であったり、そういうセーフティーネットが駄目な国の永住権を持って住んでいても【安心】がありますかね。ここのところは「若くて健康で仕事もできて収入も十分にある」というのを前提に考えたら駄目だと思うんですよ。

そういう意味では日本って半端じゃなく凄い国なのがよく分かる。日本に住んでいると「当たり前」のように思いますが、海外と比べると私は【日本って福祉国家か?】なんて思うくらい。

このチェック方法は簡単で、「もし自分や家族の一員が人工透析が必要となっても、そのまま家族でその地に住み続けられるか?」「会社が倒産したり、事故や病気で倒れても家族の生活は維持できるのか?」です。

国の援助なんか受けたことはないというのは「若くて元気な内は当たり前」で(私もそう)、でも誰しもいつか歳を取り、長い年月の内には自分も家族も重篤な病気になったり事故にあったりする可能性はあるわけで、やっぱりそういう時に頼りになるのは「国の社会保障の厚さ」であって、それがなかったら「失意の中なのにその国から出るしかなくなる」ことも考えないと。自分や家族が大病に罹って仕事もできない、半身不随や寝たきり、大きな障害を持つようになって「その国から出るしか無い」ことを想像してみてください。泣く泣く日本に帰るんですか?

「海外生活を楽しむのは若い内だけ」と割り切ってしまうのも良いと思っていて、【歳をとったら日本が一番】というのは事実だと思う。

今、フト、ロサンジェルスに住む友人を思い出しました。日本人の女性で一人暮らし。私より年上でそろそろ「施設に入る」ことを考える年齢なのですが、持ち家を売ろうがどうしようが「その経費を払えない」と嘆いています。永住権を持っていますが、アメリカ政府からの援助は何もない様子。

そういう意味では「アメリカの永住権を持っていても生きるのは大変」なわけで、【永住権取得が重要なのではなくて、その国の厚い社会保障、保護を受けられるのか。そもそも厚い社会保障制度があるのかないのかが問題】なのがよくわかるはず

老後の一時期を海外で過ごす場合は、「飽きたら帰る」「問題が起きたら帰る」で済みますが、子供もいて根を張ってその地で生きる場合、やっぱり「社会保障が厚い」「就労の自由が保証されている」「医療のレベルも経費も問題ない」「セーフティーネットもある」ような環境でない限り、何年、何十年も家族とともにそこで生きるのは難しい。というか「長い年月の間では想定外のことが必ず起きる」という想定が重要だと思います。

ま、その時には引き上げるさと考えるのも良いでしょうが、では次にどこに行ってどう住むのか。自分はそれで良いにしても、子供まで振り回されてそれで良いのかって話。

さてさて、これから我が家はどうなるのか。

ダボ一族は【老人ばかり】ですし、もしこれにシドニー在住の次男坊家族が合流するとなると、彼らもMM2Hを取れば良いね、なんて簡単な話じゃなくなるわけです。

私達家族はマレーシアに来て6年になりますが、私が「マレーシアに移住した」と【移住】という言葉を使わないのもそれが理由。住んでる感がないのね。地面に足がついてるとも思えない。ただただ長期出張に来て、【砂上の楼閣】に住み続けているという感覚しかない。

当然、【この地に骨を埋めるつもり】なんてことは絶対にない。

やっぱり日本ってなんだかんだ言っても凄いと思う。ま、オーストラリアもそうだけれど(社会保障の厚さは日本以上)。

結局、「税金が高い」ってのはそういうことなんですねぇ。

「税金がゼロ、税率が低い」と喜んでも、その分、自己負担しなければならない諸経費がごっそりあるということでしかない。ま、法人の場合は違うでしょうが。

 

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