メルボルンの食レベルが高いのはわかっていたけれど、今回はまともに歩けない人が一緒だったのであちこち食べ歩くことはできずチト残念でした。
でもぶったまげるほど美味しい店があると長男に教えられ、行ってきました。チャイナタウンにある店でメルボルン一と言われる小籠包の店。混雑が半端じゃなく予約をしなければまず無理。そして予約は1週間先まで一杯という店。ただ閉店間際であるとか、1時間待ちを覚悟すれば入れる事もあるとのことで、我々は閉店1時間前の夜の9時半にどうにか予約を入れました。
噂通り本当に美味しかった。我が人生で食べた小籠包の中でも一番。小籠包は8個入りのセイロを二つぺろりと食べちゃいました。ああ、それと豚の角煮。これの脂の部分がそれこそゼリーのような滑らかさで味付けはさっぱりで、これも美味しかった~~。残念ながら写真も撮っていませんので興味のある方はレビューは他人様のを見てください。
Hu Tong Dumpling Bar ←クリック
この店はまたメルボルンに行く機会があったら是非行きたいです。
そしてもう一件、我々は日本食に飢えているのはいつも書いている通りですが、良い店を見付けました。まず何件か有名どころに行ったのですが最近の流行とでもいうのでしょうか、創作料理という名のごまかしを感じました。変化球ばかりで直球の無い料理とでも言うべきか、値段ばかり高くて満足できる店は無し。
そんな時にメルボルン在住の方のブログでメルボルンで唯一懐石料理を食べられる「あかとんぼ」という店があるのを知り、行ってみました。
あかとんぼ
かなり小さくこじんまりした店ですが、久しぶりに料理人の職人魂を見たような気がします。オーストラリアはどこへ行っても日本食材という点ではどこでも似たようなもので、この店も特別な食材があるわけでもないのですが、刺身一切れ一切れにもちゃんと仕事をしているという感じ。この店にも創作メニューがありましたが、何が何だかわからない創作ではなくて、ちゃんとメインの食材を主張した上での創作。こういうのは嬉しい。また料理を出すタイミングが絶妙。当たり前といえば当たり前のこういうことだけれどまずオーストラリアではあり得ないこと。
お刺身盛り合わせの写真。オーストラリアはどこに行ってもサーモンだけは無いことがないと言われるくらいなのですが、もう20年もサーモンばかり食べているともう見るのも嫌。ということでサーモン抜きの盛り合わせを頼みました。
この写真の一番手前にあるハマチかブリに見える刺身はKingFish、つまりヒラマサで、これはかなり出回っているし、結構美味しい。これが唯一の救いかな。
食事もさることながら感激したことが二点。
まずお手洗いなのですが店の外にあります。これはオーストラリアでは普通のことなのだけれど、たいていは鍵をもらい、他店と共有のお手洗いに行く。この店もお手洗いは外にあると聞き、せっかくの雰囲気が壊れるなと思いつつ裏口を出ますと、そこには日本を意識して造られた小径が続いていました。小さな明かりに照らされて、鹿威しこそ無かったけれど日本情緒たっぷり。こういうお手洗いをオーストラリアで体験したのは始めてでした。
夫婦共々この店が気に入りましたが、メルボルンを去る前の日に長男を連れて再び行きました。海外では当たり前のなんちゃって和食ではない和食とはなんなのか、職人魂、日本流のもてなしとはなんなのかを日本を知らない長男に見せたかった。
で、電話で予約を入れた時のことです。名前を言ったあとに電話番号を伝えようとすると、「先日ご予約を頂いた時にお電話番号は伺っておりますので・・・」という返事。これにはびっくりしました。常連でも何でもないただの旅行者に対するこの気遣い。オーストラリアの一般的な日本料理屋で働く人達の多くはワーホリと言われる日本の若者で、まともな仕事、ましてや日本的気遣いなどは全く期待できないのが当たり前。電話に出た女性はどういう立場の人かわかりませんが、少なくともこういう教育を徹底している店であるのはわかった。
海外の限られた食材でいかにまともな日本食を造るのかはどの職人も店も悩んでいるはずですが、口に入る物以外にここまで気を使っている海外の日本料理店は私は初めてかもしれない。またメルボルンに行く機会があるだろうけれど、次回も必ず行こうと思った。
こんな店がゴールドコーストにもあればなぁ・・・・・
うーむ、あることはあるんだけれど、その店のことは機会があったら書きます。
ちなみにオーストラリアで一番美味しいと思う魚はアルファンシノと呼ばれる魚。多分キンメの一種だろうと思う。焼いても煮ても、もちろん刺身でも抜群。一般的にキンメと呼ばれる魚はいるんだけれど、身はパサパサで皮はゴムの様。しかしアルファンシノは別物。今回これを探し回ったけれど市場にも無し。残念でした~。
オーストラリアではかなり前から本マグロ(実はミナミマグロ、ブルーフィンツナ)の畜養(子どもを捕まえて育てる)が行われていて、かつては大トロなんてのはどこでも手に入りました。
ところがある時期からそれらは全て日本のバイヤーに買い占められ、オーストラリア市場に出回ることは非常に希で、食べられなくなってしまいました。
天然のブルーフィンツナも獲れるのですが、それもほとんどが日本行き。市中に出回るマグロはキハダ(イエローフィン)ばかり。関西出身の人はキハダマグロが好みだと聞きますが、江戸っ子の私としてはキハダは悲しい。
ある日、友達である板前から本マグロが入ったと電話があってすっ飛んで店に行ったのですが、聞いてみたらそれはサメの食べ残しだとのこと。釣れたマグロの腹をサメが食いついたんですね。商品価値がなくて輸出できないから地元に回ってきたという筋書き。その腹の部分を食いちぎられた大きなマグロを地元の日本料理屋数軒で分けて買ったとのこと。
サメの食べ残しの本マグロ。美味しかった~~~。ってこの話、前に書いたっけか。