次男坊から電話がありました。
「オヤジ、アカウントに金がないから円を売れないんだよ。どうしよう。」
と言う電話がありました。
「お前何を言ってるんだ?アカウントって何だよ。」
「オヤジには言ってなかったっけ?FXのアカウントを持っていて円を売りたいんだけれどお金が無いの。」
「へー、そんなことしてたのか。ところでどうして円を売りたいんだ?」
「日本の経済はやばいし、政治は混沌としてるし、地震があったでしょ?円チャート見てよ。今凄い事になってるよ。」
「ちょっと待て、お前そんな理由で円を売るのか?」
「そうだよ。駄目なの?」
「お前さ~~、それで儲かると思ってるのか?」
「・・・・・・・・・・・」
次男坊がこんなことを言い出したのは初めてです。まぁ、トンチンカンだとは思いますが、彼が実経済との関わりを考え出しているということは非常にうれしいと思いました。今までの彼は興味対象と言えばエグザイルであり、WOW(オンラインゲーム)であり、カラオケ、カジノ、彼女ぐらいであったのが、円を売りたいなんて言うようになったんですね。まぁ、周りには金融をやっている学生ばかりのようですし、世の中の話題が出たときに、「ふーーーーん、そんなことが起きたんだ。」だけじゃなくて、それに対して世の中がどう動き、相場もどうなって、それに自分も関わったらどうなるのか、そういう話が彼の周りで起きつつあるのを想像しました。
内容的には子供丸出しですが、これがスタートでどんどん実社会を経験し、金融の世界を理論ではなくて現実として受け止めだしたことに頼もしさを感じました。
次男坊はまだ二十歳ですが、私が相場に興味を持ち出したのもこの頃でした。彼が進む道は金融関係、それも今は大学院でリスクコントロールを専門に勉強しています。きっと2,3年で相場の動きに関する知識、それに対する対処策など完全に私を追い越すであろう事を期待しています。楽しみだ~~~~~~。
でもその後、チャートを見てぶったまげました。一体何があったのかと思うような動き。5分足のチャートです。
これは30分足。クリックすると大きくなりますが、この2,3時間の間に突然動きました。何があったんでしょうね。ニュースを見てみると日本でかなり大きな地震があったとのこと。為替が動くほどの地震?
次男坊との電話の中で、地震は売りなのか?という話も出ました。次男坊は「当然、売りでしょう。」と言いましたが、そうでもないと私は言いました。
都市機能や経済に大きな影響がある場合はその通りですが、単に地震を「破壊」と考えた場合、それは「買い」でもあると思うのです。何百、何千億円という内需に繋がるから。他人の不幸でこういう話はなんなんですが、漁夫の利を得る企業も数多く出てくるはず。
また、次男坊に話したのは、動きを決める要素が為替にはあまりにも多すぎるということ。それは経済であり、政治であり、金融であり、海外情勢であり、貿易実需であり、ヘッジファンドやビッグプレイヤーの動きであり、それは当然自国の問題だけじゃなく、為替は他国との相対なわけですから、他国のそれらの事情が入り組んで決まるのが為替。相場の中で一番難しいのが為替。お前のひらめきでどうにかなるような世界じゃないぞと伝えました。
しかしチャートを見てて、面白い場所があるとは思いました。それは上のほうのチャートの赤矢印の場所です。こういうパターンは目をつぶって出撃してもかなりの確率で勝てる場所。
でもいつも言うように、こういうのが出た瞬間に自分が出撃できる状態にあるのかどうかとなると、まず無理なのが実情ですね。いつ出るかわからないお化けを24時間、毎日チャートを見ながら待つ事なんか不可能ですから。
でもPCの自動売買だとこういうところで出撃する事は可能ですね。PCが勝手に注文を出してくれる。赤印の4本手前に大きな陽線がありますが、こういう場所では一気に出来高も増えてますし、それに反応して出撃する売買ルールを組んでるシステムも多いんじゃないでしょうか。だからこそ、一斉に買いが入ってああいう動きになるんでしょう。
でもよくよく見ると、上げ幅は端から端までも50銭にも満たない。うまく取れて20銭が良いところだと私は思います。たった20銭って思うでしょ?1万ドルで2000円ですから。でも10万ドルで2万円。50万ドルで10万円。デイトレーダーの多くはこんなやり方をしていると思うのですが、50万ドルの売買でも投資金額は100ー500万円程度なんですね。普通に考えるとそんなにレバレッジを掛けて大丈夫か?って思うでしょうが、短時間に動く小さな波を取るにはそうしないと採算が合わない。
でも怖いですよね。今日のような動きはちょっと欲を出したらすぐに反落してマイナスが出る。次男坊のように、凄いことになっているからとノコノコ着いていったら高値を掴まされてすぐに反落。
小作人脱出大作戦では、世の中が大きく動いているときには一切出撃しない決めがあるのはこういう理由です。なーんも無いときには小さな山がいくつもいくつも続きますよね。上下に揺れても突然大きく動くなんて事はあり得ない。そういう時に細かく取っていくほうが安全。大きな魚を釣り上げるより、誰も見向きもしない小魚を小まめに捕まえたほうが収穫高は上がるというのが私の基本です。これも逆転の発想で普通の人はそんな事を考えないようです。世の中の情勢を読み、上だの下だの好きな事を言っています。まぁ、それで大魚を釣り上げた話はあまり聞きませんし、それで財を成したという人も私の知り合いにはいません。
評論家や経済学者のように世の中を分析すれば為替がわかるようになると思うのは、私は幻想でしかないと思います。そもそもそれでわかるなら、どうしてトヨタを初め、世界の名だたる大企業が、それもプロ中のプロを集めている彼らが為替で大損するんです?彼らにできない事がどうして自分に出来ると思うんです?
昔から株でもそうですが、相場を張る人たちと話をしていて思う事があります。彼らの多くは儲けようとしているのではなくて、「未来を当てる」ことに専念しているということ。こういう自分自身の矛盾に気が付かない限り、相場で儲けるのは「絶対に」不可能だと思っています。逆に世の中の手法を研究していくと「将来の読み」には関係ない手法が存在するのがわかります。私としてはそちらのほうに分があると思っています。私のやり方はそれらの中間みたいな感じかなぁ。
昔、相場の手法を仲間で集まってよく勉強会をしたのですが、その時に私の手法に付けられた名前が「こま鼠戦法」でした。皆に冷ややかな目で見られましたっけ。当時は日経225をやっていたのですが、難しかったです。波は少ないし、呼び値は10円だし、10円20円の利益を抜くのに大変苦労しました。どんどん増えるのは手数料で、一番儲けたのは証券会社なのは間違いがありません。私は日経225では結局トータルでは勝てませんでした。
でもこの手法が悪いとは全く思わず、日経225には合わないのがわかりましたが、では日経225にどう合わすかという様に考えなかったのは前にも書きました。その頃に、こりゃ駄目だ。海外に出ようと初めてアメリカの証券会社に口座を開き、世界の先物市場に目を向けました。
もうかなり前になりますが、生まれて初めてシカゴCMEのE-miniをやったときの感激が忘れられません。恐々売買しましたが、何度売買したでしょう。3,4回かな。最小限の枚数で売買して、初日の戦績はトータル800ドル弱でした。
「良し!これなら天下を取れる!」
って思った瞬間でした。(笑)
でもねぇ、やっぱりそうは簡単には行きませんでした。その後の苦労も結構長かったです。でもいつも書いているように、ドイツ市場のBundに出会って私の人生は変わりました。神様からの贈り物だと本当に思いました。
そのBundに出会ってからの話ですが、これに関していつも書こう書こうと思うのですが、筆(キーボード?)が進みません。
まぁ、要点を絞れば、Bundはやり易い。かなりいい線行くはずです。ただこれも相性の問題かも知れずはっきりしたことはわかりません。ただ、やっていく中で分かった事ですが、結局自分の前に出てくる壁は自分という人間の「器」なんですね。欲と恐怖のコントロールの難しさ。ある程度までは行ってもそこから先に進めない自分があるのを発見しました。
ああ、人間の器ってこれを言うんだなってのがわかりました。まぁ、自分は大きな器じゃないのはわかっていましたが、それをはっきり見せ付けられると悲しいものがあります。
でも今では家族を守れる自分であれば、それ以上のものは望むまいとも思います。
いやいや、それは嘘で、こんな小さな自分じゃない。もっと上にいけるはずだという思いもあるし、歳をとると余計それを感じるようになりました。これで終わりたくないと。
KLに行って落ち着いてからまた再出発します。
しかし日本から続々とニュースが入っていますが、かなり酷いようですね。インターネットや携帯も繋がらないという連絡も来てますが、都市機能が麻痺したなんてことはないのでしょうか。火災も起きているようですし、日本が無事であることを切に願います。
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日本の地震がこんなに酷かったなんて想像もしませんでした。それも広範囲で。
神戸のような大惨事にならなかったのが不幸中の幸いだと思いました。
ところで、円の動きですが(こんなときに不謹慎だなんて言わないでくださいよ。これはこれ)、これまでとは逆にドルが売られていますね。不思議な動きだ・・・
ただ波動としては一日ずれましたが、順当に下げ波動が出てきたとも見れる。ピタリと型にはまることはありえませんが、動きには「調和」というのがあって、そのリズムには、今日のような出来事があってもそれを超えるような「何か」が奥に存在するのが見える良い例だと思います。
型としては下値抵抗線に挑戦しに来ると見るのが妥当でしょうが、サイクルが短くなっているのが見えます。これは煮詰まってきてる証拠で、方向性の無い上下が横横に続いて結果的に一点に収束していくパターンかもしれない。どちらにしても大相撲で言えば見合っていて立会い直前のような形。その後、大勝負が始まるのが普通で大きな方向性が出てくるのがよくあるパターン。チャートからはその時期は来週の終わりから再来週の中ごろがその時になると読めて、その頃に世の中で何かが起きると一気にその動きが加速する。でもそんなパターンに嵌る教科書的な動きは中々無いと見るのが妥当で、結局どうなるかなんてわからず(笑)。でも大筋でまとまっていくからチャートは面白い。
今日の米ドルの円転ですが下げ波動が出る前に出来たので一応成功。でも地震の前なので82円台後半。もしかしたら3分の1じゃなくて全部替えても良かったような気がしています。
気持ちとしては上に行って欲しいですが、長い足で見れば下げトレンド中なのは間違いが無く、逆張りの考え方を私は排除しています。だからドル売りはしてもドル買いは無し。でも84円超えに挑戦してくる動きが出てきたら、またそこで作戦変更。実はそれを願ってます。
アガッテクレヨォ