子供は国際人?

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海外で子供を教育する人は決して少なくないですが、なぜそれを選ぶ?と聞くと、「子供を国際人にしたいから」という言葉が返ってくることが多いです。

国際人ってなんなんでしょうか?

海外で育てば国際人になるんでしょうか?

私はひねくれているのだろうと思いますが、この国際人に育てるという考え方はどうにも納得がいきません。というか、そもそも国際人という言葉が好きじゃありません。そんなカテゴリーは世界のどこにもないし、何か国際人という素晴らしい人種がいるような、そう思わせるような意図的な誘導というか、そういう雰囲気を持つこの言葉が嫌いです。

私には二人の息子がいます。長男が3歳、次男が1歳の時にオーストラリアに渡ってきましたが学校はずーっと現地校です。長男は今大学生でメルボルン。次男は大学院生でシドニー。まだ社会人ではありません。

この二人の息子達は国際人に育ったのか考えてみますと、まるでそんなことはありません。まぁ、国際人という定義が私の中にはっきりしたものがないので国際人かどうかはっきり言えるわけもないのですが、良く巷で言う、一つの国にとらわれない考え方を持ち、言語も複数操るという点だけではその通りかもしれません。しかし二国間の橋渡しをするとか、日本のこともオーストラリアのことも理解できているのかというと全く違うと思います。

彼らは中途半端な変な日本人です。日本のことも良くわかっていません。オーストラリアのことも良くわかっていない、非常に中途半端な連中に私には見えるのです。言語に関しても同じです。現地校に通って友達も現地人が多いとどうしても日本語がおろそかになり、下手をすると片言の日本語しか話せない(読み書きは当然小学生レベルになる)日本人に育つことは知っていましたので、我が家では日本語教育に力を入れて来ました。だから現地育ちとしてはまぁまぁの日本語レベルですが日本育ちの日本人に比べたらはるかに劣っています。

では英語はどうでしょう。二人とも未だに苦労している様子です。こちらで生まれ育ったのと同じようなものでも育つ家庭環境が英語ではないので(自宅では英語禁止。テレビも日本語のみで育てました)オーストラリア人と同等とはいきません。

言語って文化そのものなんですよね。ただ話せれば良いってものじゃない。そういう意味で、いわゆる二世三世の英語とは違っています。

ハーフの子供がこの10年どんどん増えていますが、彼らとて両親双方の文化と言語をそのまま受け継げるかというと話はそうは簡単ではなかろうと私は想像しています。

海外で育つ、あるいは教育を受けたら何か得があるのでしょうか?

それは間違いなくあると思います。彼らは常に複数の文化や価値観にはさまれてカルチャーショックを受けている状態だと思いますし、その中でどう生きていくか、日本にいたら考えないで良いことを常に考えながら生きていますから、そういう意味で幅のある人間に育っているとは思います。

でもそれだけ。

就職ですが、日本においては海外で育った、海外の学校を出たというのは、下手をすると逆に就職が難しいという面もあるようです。帰国子女たちが日本でも苦労している話は良く聞きます。また現地での就職でも、たとえば日本語が話せるから何か良い仕事につけるかというとそれはほとんど関係ないはずです。ガイドとか日本人相手のビジネスならいいかもしれませんが、一般的な職業につく場合、日本人であること、日本語がわかることが有利になることはなさそうです。

逆に通訳などバイリンガルであることを生かそうと思っても、通訳レベルで要求される日本語や英語はかなりハイレベルで、海外で育ったから、海外の学校を出たからどうなるってことでもないようです。旅行ガイドレベルなら大丈夫でしょうが。

つまり、日本でもどこでも同じですが、所詮言語は出来て当たり前の最低条件であるわけで、中途半端な言語しかわからないとしたら全く使い物にならないことになるはずです。やはり社会が要求しているのは専門性のようで、言語で勝負するなら徹底的にそれを追求して高度な言語を操る技量が必要だと思います。

でもそれがないなら他の専門性が要求されるわけで、海外で育ったこと、ちょっと外国がわかる程度、海外の学校を出た程度では返って社会の競争には負けそうです。

私の知り合い、そして子供達の友人の中で、大学進学は日本を選ぶケースも多々あったのはそれが原因だろうと思っています。永住権を持ちオーストラリアに永住し、そこで生きていこうと決めて渡って来た子供達が日本の大学を選ぶって面白いでしょ?

それだけいくらこちらで育ってこちらの学校を出ても、中途半端な日本人ではやっていくのが難しいことを知っているからだと私は思うのです。また、反面、帰国子女枠をうまく使いますと、こちらでそこそこの成績を残していますと早稲田慶応、上智あたりに入るのも比較的簡単なようで、その線を狙う子供達も少なくないようです。

このようなことを書くと、子供を海外で育ててもいいことがないよと言っているようにきこえるかもしれませんが、決してそうではありません。実際に私は子供達を連れてきたことに後悔はないし、こちらの大学を選んだのも大正解だと思っています。

ただ、子供を海外で育てる、海外の学校に行かせることそのものが何かいいことであろうと考えるのは、それはきっと自分が持ち続けている海外コンプレックスの表れでしかないんじゃないかと思うのです。英語しかり。自分が若い頃に英語で苦労をした親は、子供達が流暢に話す英語を聞いてうっとりしている姿を見ることがあります。こういうコンプレックスを持ったまま子供の将来を考え、安易に海外で育てれば、海外の学校に行かせれば、と考えるのは子供にとって迷惑な話かもしれないと思うのです。

親は満足しても子供本人は全く違うことを考え、親が考えもしなかった問題に直面しているのかもしれません。でもそれを親は気が付かない。

昔、田舎の人が大都会にあこがれることがありました。東京に行けば何かがある、夢がかなう、そんな妄想を持って大都会にでてきた人は多くいたと思います。でも、現実はまるで違った。

それと同じで、海外に行きさえすれば何かあると考えるのは妄想かもしれません。

日本には日本の常識、価値観、ルールがあるのと同じに海外にもそれがあるはずです。海外でやっていくにはそれを理解し、そしてそれに適応できる人間でない限りはじき出されるだけのはず。

子供とて同じで、それなりに適応し、社会が求めるものを持っていない限りそこで生きていくのは簡単ではないと思います。では日本に帰るか?実際にそういう子供も少なくはなく、だからこそ、あえて日本の大学を選ぶ子供達が多いのではないかと思うのです。彼らは現実を良く知っているのでしょう。ぼーーっと夢を見ているのは親のほうかもしれません。

これは自分が海外に移るという意味においても同じことが言えると思うのです。小さい頃に外人を見てびっくりし、生まれて初めてハワイに行ってびっくりし、いつか海外で生活してみたいと夢見た人は多いと思います。でも現実はその夢見たものとは違うかもしれない。

後先短い大人が何を夢見ようと良いと思いますが、それに子供達を引き込むことが果たしていいことかどうか、ここは思案のしどころだと思います。子供本人が自分の意思でしっかり考えて海外に出ることを望むなら良いですが・・。

でも、私が子供達をつれてきたこと、そして私そのものもこちらに渡ってきたことに後悔はありません。でも当初考えていたものとは全く違ったってことです。(笑)

海外に渡ったら青い鳥がいるんじゃないかと夢を追うのも良いですが、万が一の対処も考えておかないとならないと思うのです。その精神的、あるいは経済的準備がないと簡単に崩壊するかもです。

駐在も同じでしょう。表立った問題になることは少ないと思いますが、駐在員、特に家族が精神科にかかる割合が高いという事実も無視できないと思います。

家族で幸せを見つけるために来たのが、来たことが家庭崩壊の原因になったなんてことも決して少なくないのは私も見てきました。もしかしたら我が家にもその要因はいまだにくすぶっているかもしれません。夫婦関係ね。(笑)

日本にいたら問題にならないようなことが家族内で問題になってもめることは何度も経験しました。それって日本にいても同じだよという人もいるかもしれませんが、私はそうじゃないと思います。誰も知る人がいない海外、文化も価値観も違う海外に住む場合の精神的不安定さってのは誰でもあると思いますから。でもそれがあるからこそ、海外に出て家族の結束が強まったというのはあると思います。我が家はそのパターンだと思っています。嫁さんは???ですが。

でも、やろうと思ったらやることが大事で、やらなかったことに後で後悔するくらいなら、やって後悔する人生の方が良いと思います。私の子供達も子供の頃からいらん苦労をしてきたはずですが、まぁ、それも人生勉強できっと彼らの血肉になってくれることを信じています。

でも海外に出る、子供を海外で教育するのは良いことだ、子供達は国際人に育つという論調が多いのには、それってちょっと違うんじゃないの?って思うわけです。

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