なぜ人は損するのか

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人はなぜ損をするのか。相場の話ですが、それに関して私の考え方を書きます。

まず、相場。為替でも株でも日経平均先物でも良いですが、物の値段、価値って上がるか下がるかそのままかしかないですよね。それなのにどうして80%以上の相場参加者が損をするのかとても不思議でしょ?上がる方に賭けるのも下がる方に賭けようとも、確率から言えば50%と言っていいはずです。でも80%以上の人が負ける。まして本当に儲けている人は1%程度だろうと言われている。変ですよね。

どうしてこういうことが起きるのか?私の考えとしえは、「負けるように人間が出来ている」ってことなんです。

皆さん、プロスペクト理論って聞いたことがあるでしょうか。リスクを伴う決定を我々がするときに、心理はどう動くかという理論です。

例えば、こういう質問があったらどうします?Wikiから引用しましょう。

質問1:あなたの目の前に、以下の二つの選択肢が提示されたものとする。

選択肢A:100万円が無条件で手に入る。
選択肢B:コインを投げ、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない。

質問2:あなたは200万円の負債を抱えているものとする。そのとき、同様に以下の二つの選択肢が提示されたものとする。

選択肢A:無条件で負債が100万円減額され、負債総額が100万円となる。
選択肢B:コインを投げ、表が出たら支払いが全額免除されるが、裏が出たら負債総額は変わらない。

まずこれらの質問の答えを考えてみてください。貴方ならどうします?どちらの質問もAを選んでもBを選んでも確率からいうと同じことですよね。でも私だったら質問1はAを取り、間違いなく100万円をゲットします。では質問2はどうするか。これって結構悩みます。間違いなく負債を半分に減らしたほうがいいのはわかるけれど、ここはギャンブルをして負債ゼロを狙ってみたくなります。

これに関してwikiではこう書いてあります。

質問1は、どちらの選択肢も手に入る金額の期待値は100万円と同額である。にもかかわらず、一般的には、堅実性の高い「選択肢A」を選ぶ人の方が圧倒的に多いとされている。

質問2も両者の期待値は-100万円と同額である。安易に考えれば、質問1で「選択肢A」を選んだ人ならば、質問2でも堅実的な「選択肢A」を選ぶだろうと推測される。しかし、質問1で「選択肢A」を選んだほぼすべての者が、質問2ではギャンブル性の高い「選択肢B」を選ぶことが実証されている。

ここで大事なことは

「この一連の結果が意味することは、人間は

1 目の前に利益があると、利益が手に入らないというリスクの回避を優先し、

2 損失を目の前にすると、損失そのものを回避しようとする傾向がある

ということである。」

その説明としては、質問1の場合は、50%の確率で何も手に入らないというリスクを回避し、100%の確率で確実に100万円を手に入れようとしていると考えられる。また、質問2の場合は、100%の確率で確実に100万円を支払うという損失を回避し、50%の確率で支払いを免除されようとしていると考えられる。

では私からの質問。

質問1:あなたの目の前に、以下の二つの選択肢が提示されたものとする。

選択肢A:100万円が無条件で手に入る。
選択肢B:コインを投げ、表が出たら300万円が手に入るが、裏が出たら100万円支払う。

300万円をもらえる可能性があるならBを選びたくなりますよね。でもこれの期待値も上の質問と同じで100万円なんですね。負けて100万払うのはバカみたいですからやっぱり私はAを選びます。

ではこれだったら?

選択肢A:100万円が無条件で手に入る。
選択肢B:コインを投げ、表が出たら400万円が手に入るが、裏が出たら100万円支払う。

どうします?100万円上乗せです。これでも負けて100万円払いたくないですから、確実に100万もらったほうが良いような気がします。でもここで、当然Bでしょうという人もいるはず。なぜ?それはBの期待値は150万だからです。さぁ、貴方はどちらを選びますか?

もしこの質問が一回だけならAを取ってとりあえず100万円確保しようという考え方は良いと思います。では、これを10回続けてできるとなったらどうですか?それでもAを選びますか?コインの表が出る確率が50%だとしたら10回の内、5回は400万もらって5回は100万の支払。トータル1500万円になる。Aより500万増えます。

うーむ、あまり例がうまくないなぁ・・・・。

とにかく人間の心理は「ギャンブルをせずに確実な利益を選ぶ」傾向があるのがわかります。と同時に「負債が減らせる場合は平気でギャンブルをする」

これを投資に当てはめてみると、

○ 利益がちょっと出たらそれを確定する。

○ 損が出てくると、それを取り戻したい欲望が強く働き、危ない賭けにでる。つまり値が戻る事を祈って放置する。いわゆる損切りが出来なくて塩漬けをするアレです。

どうです?これ自分そのものだって思いませんか?私もそうです。

面白い図をインターネットの中で見つけました。

グラフの横軸は損失と利益。縦軸はそれの心理的価値です。心はどう判断するかというグラフ。

このグラフの損失ー400のところを見てください。価値はー100です。400も損してどうすりゃ良いんだ、このやろーーってな感じですね。

では利益の+400を見てください。なんと価値は+50でしかない。ちょっと嬉しいな、で終わり。

つまり400儲けた喜びより、400損する方が心理的には大きな問題だということ。

こういう働きがありますから、とにかく損をしないことばかり優先してしまのでしょう。で、それが結果的により大きな損を招く。利益が出たときはそれを失うのが怖いから早いうちにそれを確定してしまう。でも損が出たら放置して値が戻るまで待つ。

つまり我々の心理の動きは、

「利益は小さく、損は大きく」

動かすように働くってことなのでしょう。

私はこの心理こそが負ける原因だと思っています。投資方法、投資基準はいろいろありますが、その手法が違っているのだろうとか、もっと経済の勉強をしなくちゃならないとか、そういうこととは関係ないんですね。

自分自身が負けるように行動しているってこと。

面白い例がいくらでもあるのですが、相場の先行きの予想を聞かれて、「私は多分XXXXXなると思う」なんて言うでしょ。これが結構当たる人がいるんですよ。そうなると、周りの人は、あの人は凄いとか結構儲けているんだろうね、なんて話になるのですが、実は当の本人は全然儲けていなかったりする。

あるいは、証券会社の売買シミュレーションをやっているときには勝てたのに、実際に売買したら全く勝てないというのもよくある話ですが、同じ理由。

そしてもう一つ。これはマージャンでも同じですが、小額を賭け(投資)しているときには結構勝てるけれど、大きく勝負したときには必ず負ける。

これっていかにもマーフィーの「車を磨くと雨が降る」的なジンクスのように思えますが、もうみなさんお分かりのように、心理がじゃまするんですね。特に大きなお金が動いているときは頭の思考回路は完全にストップしますから、心理、本能、そんなものが前面に出てしまいます。

私もこれは何度も経験していて、小さくやっているうちはOKでも、大きく増やした途端、自分が自分でなくなってしまうことに気が付きます。手に汗をかくし、酷いときには息を吸い込むことは出来ても吐けなくて呼吸困難に陥るほどです。アドレナリンが大量放出しているのでしょう。

中には常に平常心を保てる人っているわけで、そういう人たちはまさにアドレナリンのコントロールの仕方を知っているんですね。主に武道をやっていたような人たち。こういう人たちは相場もうまいんじゃないかと私は想像しています。

どちらにしても人間の心理や、あるいはそれをどうにか押さえ込んでも投資金額によって人間が変る(これってまさに人の器の大きさだと思っています。私はこれが非常に小さい)。これが事実であることをまず認識することこそが、相場で儲けるための第一歩だと私は信じています。

自分の心理や特に深層心理は自分の味方のように誰しも考えがちですが、実はそれこそが一番の敵、ライバルであると言っても過言ではないと思います。

敵は内にあり!

ではどうするか?これはそんなに大変なことじゃないと思います。まず

1 気持ちのまま売買するのをやめる。
2 売買ルールを決める。
3 特に損切り(ロスカット)は完璧にやる。
4 利が乗っても慌てて降りない。

この4つだけでまるで違う世界に踏み込めると私は思っています。まさか買うか売るか鉛筆を転がして選んでいるわけではないでしょうし、それなりの根拠を持っているはずですから、勝ち組の仲間入りが出来るはずです。

世の中には本当に相場上手がいます。そういう方がどういう売買基準を持っているのか聞いてみると、それこそ相場の初歩の初歩の入門書に書いてあるような手法だったりすることが結構あるようです。

私もテクニカル分析ではかなり時間も金も賭けて研究し、普通は使われない指標を繰ってみたりいろいろやりますが、それで利益が増えるかっていうとそうでもないんですね。

売買サインが出ても、それを信じられなくなるんです。これがまさに今日話している心理の動きです。

だから、売買ルールを決めたらその通りに動く。何が何でもそうすると決めないと駄目だと思います。

また、上にもちょっと触れましたが、それこそ単純な移動平均線だけでやっている人も少なくない。グランビルの法則という基本中の基本がありますが、もしかしたらそれだけでもちゃんとやれば利益が出るようになるのかもしれませんね。

私もなんだかんだテクニカルの理屈を捏ね回したところで、やっていることはトレンド追従型の押し目買いが基本ですから、グランビルの法則だけでやっている人とさほど変らないかも。

ま、どちらにしましても、相場に勝てないのは自分の心理のせいだということに気が付かない限り、どれほど統計や経済を学ぼうと、凄い評論家の話を聞こうが、何百万払って相場の大先生に読み方を習おうが駄目だと思います。

今日は何でこんなことを書いたのかというと、これもノックイン債のからみです。

普通より大きな利息が欲しい。でも危険は冒したくない。普通はここで高利回りの債券なり元本保証を選ぶはずですが、その利回りでは満足できない場合、この際、多少のリスクは取ってみようかと考えるようになるはずです。で、ノックイン債。ジャンケンの勝つ確率は2分の1。でもノックイン債の勝率はずーっと高い。

ここで安心しちゃうのでしょう。でも負けるときには買ったときの利益を吐き出すどころじゃすまないってところを「見てみぬ振り」をしてしまう心理が働くのだろうと私は思っています。

そして今日書いたプロスペクト理論ですが、これも数値で表せるようです。そういう理論をとことん知っているのがデリバティブ設計者であるはずで、なんとなく客が選びたくなるにはどの数値をどのくらいにしてという科学的根拠を持って様々な商品を設計しているのだろうと思います。

売買ルールを決めるのが大切ですが、ではそのルールでやれば本当に利益がでるのかどうか。そのルールで売買したらどうなるか、過去のデータでテストすることが可能です。(バックテスト)

当然これで利益が出るようじゃないと困るわけですが、これもなかなか簡単には行かないんですね。私は売買ルールを決めなくてはいけないと言いつつ、裁量、つまりチャートのサインに関係なく自分の思惑で動くこともあります。ただ裁量で出撃はしませんが、撤退の時には自分の勘を結構頼りにすることもあります。ま、それもチャート上でサインとして出るように理論的には作れるはずですが、私にその能力はなし。

ただ、複雑なサインでもそういうサインをチャートに組むのを仕事としている人、あるいはフリーウェアとして公開している人、手間賃ぐらいで作ってくれる人がいますので、そういう人に頼むと段々と自分が欲しいものに近づいていくかもしれませんね。これの行き着く先に何があるかというと、コンピュータを使った自動売買です。自動売買している人は結構いると思いますが、なかなかこれも難しそうです。でも、チャレンジしてみる価値はあり。PCは恐怖も欲も持っていませんから指示通りにちゃんと売買してくれるはず。

ま、この世界は奥が深いですが、一番最初の登竜門とでもいいましょうか、第一の関所は自分の心理とどう向き合うかって事だろうと思います。

損させるのは自分自身の心理であるということ。

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それともう一つ大事なことを書き足しておきます。

前にもちょっと書きましたが、例えば円高になっているとします。そうすると多くの人は「いつ円高は終わるのだろう」って考えます。これは私もそうですが、これもまさにプロスペクト理論に則った心理の動きなんですね。株でもなんでもそうですが、ここまで下げれば(上がれば)次に反転して逆の方向へ動くはずだ。それはいつか?まだかまだかと待ち続ける傾向があると思います。

乗り遅れることが嫌なんですね。今更って思ってしまう。これも本能だと思います。だから逆にみんなが買いだーーと騒ぐとそれに思わず乗ってしまう。アフリカの群れる動物達と同じですね。ある集団が動き出すと全体がそれに追従する。これって理屈ぬきにそういう風に人間も出来ているんでしょう。

だから相場も飛び乗るのは結構できる。でも乗り遅れたと思ったときには今からじゃもう遅い、次に反転して動きが変るときに出撃しようって思うのでしょう。でも天井も底も見極めることなんか簡単じゃないし、天井も底も後になってわかることなんですね。

ではどうする?

下がっていたら、いつ下げが止まるか考えるんじゃなくて、下げるほうへ自分が乗り遅れかもしれないけれど乗るのが良いと思っています。

よく、株は安く買って高く売れ(高く売って安く買い戻せ)と言いますが、そうしないと利益が出ない当たり前の話で、でもそれはなかなか簡単にはいかないと思うのです。

で、私の考え方は「安ければ売り叩け。高ければ買い上がれ」

なるほどと思った人はお人よしです(すいません)笑。この考え方で底値で叩き売ったり、高値で飛びついたり、そんな経験をしたことがある人は少なくないでしょう。でもこれもまたプロスペクト理論で説明できるんですね。みんなが売っているのに売らない自分は変だ、人と違うことをやっている自分じゃだめだと思いつつ、我慢に我慢を重ねて、もう我慢できないと思って出撃、売ったところが底、買ったところは天井。良くある話です。要は我慢なんかせずにさっさと行動に移せばいいだけだと思います。で、間違えたと思ったら即、損切り。それだけのこと。

どちらにしても欲望と恐怖がわけのわからない行動を起こさせるって事でしょう。

欲望も恐怖も捨て、自信さえも捨てて無の境地ってのが一番なんでしょう。それが出来れば相場は簡単かもしれない。前の日記にも書きましたが、相場師だったオヤジの口癖です。

「相場は簡単だ。自分をコントロールできれば・・・」

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