「海外で命の次に大切な物」という日記(ここをクリック)で、永住権や国籍がないと国外退去になる可能性があることを書きました。
どうもこれに関して勘違いしている方がいらっしゃるようで、マレーシアの場合は「MM2H」を持っていれば大丈夫じゃないのかというご意見を頂戴しました。
私はMM2Hを維持するための決まりをよく知りません。ただ就業の自由はないのに仕事をしたらどうなるのか。イミグレに見つかれば、まぁ、強制的に国外退去になるんでしょう。これはどこの国でも一般的なのでマレーシアとて同じだと思います。
ただ、就業の自由は無くても、金儲けはできるわけですよね。つまり、不動産投資をしたり、その他の投資、あるいはネットを使って日本あるいは海外から仕事を受注したり、物品販売をする分には(ここは微妙かな?)良いと私は解釈しています。ただ就職ができないというだけ。つまり投資家として生きる分には問題がない。これはマレーシアの会社の株を持ち配当をもらおうが、自分で会社を立ち上げようが同じこと。
だからそうやって生活をしながらMM2Hを持っていれば、国外退去はないという考え方。でも起業や投資経験もない人にとって、あるいは若い子供にとって、海外で起業、投資すれば大丈夫ってどれだけの意味があるんでしょうか。また年金、保険(失業保険含む)がなくても全く問題がないのか。
まぁ、そういう技術的な問題じゃなくて、どうやって利益を出すのか、生活環境は自分にとっても子供にとっても問題がないのかとか、そっちの方が問題でしょ?つまり、利益が得られなければその地で生きていけないのはビザには関係ないわけで、また金があろうとビザがあろうと、その国を去ることを選ぶ人は多くいるわけです。
私が書いた国外退去は、国から国外退去を命じられるということと、自ら国外退去を選ばざるをえないケースの両方を意味しているわけです。
収入を得続け、それもいつも書いている通り3つのインフレに打ち勝てるほどに稼がないとどこかで辻褄が合わなくなりますし、また金銭的には問題がなくても親が、あるいは子供が環境に馴染めなければ帰らざるをえないのはオーストラリアだろうがマレーシアだろうが同じこと。そして、金もあって、環境に問題がなくても、ビザに問題があるケースも有る。永住権がないということは、その国にとっては常にお客様状態ということで、何か起きてもその国に助けてもらうことは出来ない。もちろん年金もない。失業保険もない。だから万が一のことが起きればやっぱり国外退去(自ら選ぶ)しかない。
そういうリスクをいかにコントロールするかが海外で生き延びるポイントであって、今現在、あるいは今後数年は大丈夫だろう程度の読みがいかに危険かということを私はいつもここに書いているわけです。
でも、周りを見ると、多くの人がどうにかやっているのがわかるし、自分も頑張ればどうにかなると思うでしょ?
10年も経つと良くわかるはずですが、周りの人たちの多くは入れ替わっているはず。あの楽しそうにしていた人たちは一体どこへ行っちゃったんだろうと思いますよ。生存率とか定着率ってかなり低いのがわかるはずです。いつか帰るつもりで来た人がいなくなるのは当たり前。でもここで・・・と言っていた人が消えていくってことなんですよ。
新たな道を選んでよりよい生活を目指している人もいるでしょう。でも「こんなはずじゃなかった」ってのが多いってこと。それは環境の変化であり、単なる気付きかもしれないけれど、家族のうちのたった一人がその地に順応できなければ帰らざるをえないなんてことが普通に起きるんですね。当然、生活費が稼げなければ出国するしかないし。帰りたくないのに帰った人の数ってゴールドコーストでも半端じゃない数です。また永住権があっても日本帰国を選ばざるをえない家族も決して少なくないのね。
大西さんのブログで面白い記事がありました。
インターナショナル・スクール高すぎ!まじで死ぬ ← クリック
この記事の中の、
これだけは言う
「子供は柔軟性があるから語学もすぐ慣れる」は嘘です
順応できた子供だけが残ってるのです。
私の周りも「日本人学校からインターに入って」
鬱で、引きこもりになった子供
順応できずに お父さんだけ残してお母さんと子供は帰国
そんな例がたくさんありますあなたが、感じるストレスは、子供も感じています
あなたが学校からもらった英語の連絡の手紙、英語での家族付き合い。
あなたは逃げられるが、子供は逃げられません。中途半端日本語しか話せないということは英語もそれくらいです それでもいいですか?
あなたもすごく努力しないといけませんよ子供以上に
これは本当に真髄をついていると思います。また、大西さんはインター校の授業料が高すぎと叫んでいますが、自分の子供が大きくなってその歳になったらもっと高くなっているってことなんですね。インフレって本当に怖い。でも多くの日本人はインフレの恐怖体験が無いからここの考え方が甘いと思うし、子が育つと恐ろしいスピードで生活費が上がることを想定していないようにも感じます。小学生なんてオマケですが中高になったら恐ろしく金が掛かるのが普通。大学なんて気絶しそうです。(日本だったら教育費は安い)
ですから、海外に出るのならそれも想定するべきで、でもやれるだけやって駄目になれば日本に帰れば良いという考え方でも良いと思うんですよ。多くの人はそうだろうと思います。
ところがですね、その地で育つ子供はそう簡単に、じゃぁ日本に帰りましょうってわけにはいかないってことなんですよ。これを想像するのも簡単で、もし自分が子供の頃、日本で普通に育っている時に、「オイ、これからドイツに行くぞ」と言われたらどう思います?素直に着いて行くか、いや、自分は日本に残りたいとか、簡単にはいかないのは想像できるはず。それと同じことが起きるんですね。(子供が現地に残ることを希望しても永住権がないとまともに生きていけない)
ですから、そういうことが起きても大丈夫なように子育てをするのが大事だってことをいつも書いているわけです。でも、うちは大丈夫だと思うでしょ?みんなそう思うのが普通なのね。だから何か起きた時の問題が大きくなるんですね。自分の心のなかを冷静に点検してみると、見たくないこと、知りたくないこと、考えたくないことを封印しているのに気がつく人は多いと思っています。
私は、親が好き勝手にやることに反対したことはありません。でも子供は別。また子供もその気でいるから、なんてのも真に受けたら駄目なんですね。小さいころの子供の言うことをそのまま信じる親はアホ。それでうまくいくなら親の苦労なんて無い。
大西さんが書いていますが、「あなたもすごく努力しないといけませんよ子供以上に」ってことしか難関を乗り越える方法はないと思うわけで、「もう無理、これ以上は出来ない」って思うことの数倍のことをやるぐらいの腹つもりが欲しいと思います。スポートでも仕事でも何でも同じで、楽しみながら生き残るなんてことは出来ないと思ってます。特にマレーシアの場合は、社会保障があてに出来るほどでも無いようですし、またそれを得るための永住権も普通じゃ取れないみたいですし、その分、もっと苦労するのは覚悟しないとならないんじゃないでしょうか。
だったら、いつか日本へ帰るという前提を持てば、あれもこれも楽しい良い経験ができるのかもですね。これはどの国でも同じ。下手に移住、永住なんか考えずに、日本を捨てること無くロングステイの延長で生きるのが一番賢いかもしれない。
一つ白状しますが、私たち家族は「オーストラリアの土」になるつもりで渡ってきましたが、子どもたちには「いつ日本に帰らなくてはならないかもしれないから、すぐ日本へ帰っても大丈夫な準備だけはしておくように」とずーーーーっと(嘘を 笑)言い続けて育てました。
我家の場合は、いかに現地に馴染むかではなくて、いかに日本と離れないかに重点を置いてきました。でも、そうやっても子供が日本を捨ててしまう可能性はなくならないし、子供が現地化していくスピードって半端じゃない。最初の難関は馴染めるかどうか。そしてその次に「馴染みすぎ」が問題になる。ちょうどうまい具合に保てるかどうかは親の責任。