冷凍の水タコがいつでも手に入るようになって\(^o^)/なのですが、これをいかに美味しく食べるかの実験を繰り返しています。
ネットで調べるとまぁいろいろありますが、タコにもいろいろ種類があって火を通した時の変化が違うんですね。また生きているタコを浜で茹でるのと冷凍とはまた違いますし、沸騰してから5分だとか10分だとか、冷やすのは急冷、放置で冷ますなどいろいろで、さて果たして自分の手に入るタコはどう茹でたら良いのか全くわからず。
また水ダコを柔らかく美味しく食べるための調理法で特許を取った人もいたり(この日記を参照 クリック)、かと思えばそのすぐ後に、こっちのほうが良いとまた特許を取る人が出てきたり。タコの茹で方で特許が取れるのが不思議ですし、その内容はと見るとだれでもがやっているような内容。
そして目を世界に転じると、まぁ、色いろあるなんてもんじゃなくて、日本は単なる世界の一地域でしかないのがわかります。中にはタコを茹でるのに白ワインをボトル一本入れて、その他、様々な野菜やスパイスを入れ、そして茹で上がったら汁は全部捨ててタコは更に手を加えるなんて恐ろしい料理もあって、タコ一つからでも世界の広さを感じます。
で、魚介類に関しては日本人は生で食べることが多く、外国では火を通すのが圧倒的に多いわけですが、ただ火の通し方としては刺し身に限りなく近い調理法が欧米には存在していて、それが広く普及しているのもわかります。たとえば鮭を50度て低温調理をするとか。50度って手を入れたら熱い温度ですが、50度で調理をするなんて感覚は日本人には全くないと言って良いはずで、彼らは「刺し身は食べない」にしてもそれに限りなく近いようなものは食べているんですね。そしてその調理法は日本には存在しない。というか私は聞いたこともなければもちろん食べたこともありません。
タコに戻りますが、タコといえば真っ赤に綺麗に茹で上がっているのがタコという信仰みたいなものを私達は持っています。もちろんまるで火の通っていない生を刺し身で食べたり、シャブシャブがありますが、一般的ではない。
ではどう茹でるか?となれば、沸騰したお湯に足から入れて云々というのがほとんどで、タコの低温調理のことを書いている記事をネットでも見たことがありません。
ということで挑戦。 (笑)
昨日のローストビーフは57度で3時間でしたが、その調理中に同じ鍋に前回と同じくエクストラバージンオイルにまぶしたタコの足を真空パックし、1時間だけ入れてみました。
出来上がりはこれ。見ても違いはわかりませんね。 (笑)
美味しかったです。身は柔らかくて、でもイボイボのプリっとした感じが非常に良いと思いました。これはかなり良いかもしれません。
前回は68,9度で1時間でしたが、その時も「煮た」感じはなくてまさに茹でたタコそのもので美味しいと思いましたが、今回の58度の方がタコらしい(私の感覚ですが)、寿司屋で出てきてもこれなら文句なしという感じでした。私はタコの刺し身も好きで、湯通ししただけみたいな茹で方もするのですが(再沸騰するまで待たずに取り出す)、その場合は中心がネットリしたなんとも言えない美味しさがあるのですが、それってある意味、生っぽさであって敬遠する人もいるはず。でも58度で60分茹でたタコにはそういう生っぽさは皆無で、万人向けだと思いました。
問題は衛生上どうなのかということ。このブログでは低温調理のことを良く書きますが、低温調理をするからこそかなり注意をしないとならないのが衛生上の問題で、もしアタリでもしたらとんでも無いことになります。
サルモネラ菌に関して言えば、温度の変化でこういうことになっているそうです。
0-8度 増殖しないが死なない
8-15度 徐々に増殖する
15-30度 かなり増殖する
30-38度 激しく増殖する ← ここがピーク
38-40度 かなり増殖する
40-60度 徐々に増殖する
60度以上 5-10分で死滅する
100度 数秒で死滅する
低温調理でよく使う温度である55度から70度というのはこれで言うと「徐々に増殖する」温度域とダブっているのがわかります。つまり、長時間低温調理をすると菌が大喜びで大運動会を始める可能性すらあるということ。
ただこの辺も詳しく調べていくと55度でも1時間以上調理すると大丈夫だという報告もあります。
ま、結局は良くわからないということがわかるだけで、「衛生面には最新の注意をする」という自己責任でしかないのでしょう。ただ、病院とか学校の給食はこの辺はシビアで、魚や肉の内部温度が80度に達しなければいけないみたいな決め事があるようです。じゃぁ、刺し身はどうなるんだ?牛のタタキは?なんて益々わけがわからなくなるわけですが、最新の注意が必要なのに変わりはないと思っています。
それとわからないことがあります。タコを茹でるのにこの58度で60分が、普通に茹でるより美味しいとしても、さて「持ち」はどうなのか。これも大きな課題ですよね。そもそも普通に茹でたタコが冷蔵庫でどのくらい持つのか、悪くなるとどんな風になるのかさっぱり私にはわかりませんし、それとこの茹で方のタコとどういう違いがあるのかもわかりません。
ただ、その日のうちに食べるとするなら、この58度で60分というのは面白いと思いますし、日本料理のプロも一度試してみたら良いかもしれません。
でも大きな大きな問題がありました。このタコは美味しいと思うし、(ゆでダコとしての)歯ごたえは完璧と言って良いほどだと思うのですが、味が無いんですよ。いや、無いわけはないのですがイマイチ薄い。(笑)
この味が無いっていうのはオーストラリアの多くのものに共通することなんですが、これが茹で方によるものなのか、そういうタコなのかが良くわからず。
でも茹で方も関係しているであろうことが考えられるのは、「タコの柔らか煮」を作りますと、茹でダコではうまくもなんともないタコが美味しい「煮蛸」になりますから(ラブラドールのチャリスで売っているようなタコ)(どこにでもあるイイダコのことではない)。
この辺りは本当に難しいと思います。昨日のローストビーフもそうですが、焼いてこそ出てくる味があるんですよね。タコも同じかもしれません。
生ダコの入手ですが、カラーラの日本人の魚屋さんReal Fishで買えます。ここでは茹でたタコも売っていますが、タコオタクの方は(笑)、1キロ単位の生を冷凍したものを買うのが良いと思います。
Real Fish は年中無休。電話番号 07 5594 4224