低温調理で温泉卵は68度で30分

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最近、低温調理というキーワードで飛んでくる方が増えています。

まず最初に実験するのは温泉卵が良いと思います。我が家は68度で30分(私は67度の方が良い)ですが、これがうまく作れて、そして何回やっても同じものを作れる確認をする。と同時に、温泉卵が出来る理屈を一緒に覚えるのが良いと思います。この辺の理屈をしっかり覚えると、では肉ならどうするのかとかわかるようになるはず。

ただ単に、何度で何分という覚え方をすると応用が効かないと思います。

タンパク質が固まる温度の理屈がわかってくると、今まで作ったことのないものでもどうにかなっちゃうようになると思います。

まずは「炊飯器の保温」で低温調理を始めるケースが多いと思いますが、炊飯器も突き詰めていくと保温の温度がちょっと高め(多くは70度前後)であることから、結局は時間で調整しないとうまく作れないという壁に「すぐに」ぶち当たるはず。この難しさはオーブンを使う難しさと同じで、特に調理する量が変わった場合、いつでも同じ仕上がりで作るのは簡単ではないのに気がつくはずです。ですからやっぱり、低温調理機を手に入れるのが良いと思います。

またスロークッカーも低温調理機の一種のような気がしますが、これは全くの別物で、温度調節ができないものが普通ですし、温度そのものではなくて、「時間を掛けて温度を上げていく」という調理器で結果的には90度以上の温度に達してコトコト煮る調理器。その時間の調節がLowとHighであって、ここで温度の調節ができると勘違いしてしまうことがあると思います。私がそうでした。

本来ならLow,HighではなくてSlow,Fastと表示するべきですね。スロークッカーとはまさにスローでクックする調理器でしかないはず。中には温度調整ができるものもあるようですが、温度の正確さ、お湯を使うとすればそれが循環しないとホットスポット、コールドスポットが出来て(真冬のお風呂みたいなもの)、素材全体にうまく熱を伝えることが出来ないんですね。

こういうことも「温泉卵」を作るだけですぐにわかってきますから、温泉卵で経験を積むのは良いと思います。

そして温度は結構微妙だというのもわかるはずで、温泉卵ですと同じ30分でも67度と68度というたった一度の違いでも出来上がりが変わってきます。だから水は循環しないとダメですし、温度調節がきっちり出来る器具じゃないと「温泉卵」でさえも安定して作ることが出来ません。

それと落とし穴ですが、料理用の温度計の誤差ってかなり大きいこと。これに関して調べてびっくりしたのですが、2度程度の誤差は当たり前でプラマイ5%の誤差なんてのもある(精度の高いものはかなり高価。それでも誤差がある)。体温計の誤差がそんなにあったら大変なことになりますが、その感覚で料理用の温度計を考えると、どうしてうまく出来ないんだろう?なんてことも起こりうるんですね。

私の調理器具はANOVAという製品ですが、1.5度くらいの誤差があるのに気がつくのに結構時間がかかりました。^^

キャリブレーション機能はついていますから調節は出来ますが、それが出来ない器具の場合、実際には何度なのかを把握しないと微妙なところで失敗することになると思います。ローストビーフにしても二度違いますと全く出来上がりが違うはずです。正確な温度なら綺麗なロゼになるのに(我が家では57度前後)、2度低かったら真っ赤か。あるいは2度高かったらミディアムに限りなく近いミディアムレアという感じになるはず。

その辺を甘く考えますと、狙ったものがきっちり作れないとか、作るたびに出来上がりが違うなんてことも起きますし、ましてや炊飯器の保温機能で作るのは「偶然」を期待したものでしか無いのがわかるはず。ローストビーフとローストポークでは温度を変えないとなりませんし(ポークの温度は高め)、同じ鶏でも胸肉ともも肉では調度よい温度にかなり大きな差(5度程度?)ありますので、大雑把な温度調節しか出来ない器具ですと低温調理の良さは引き出せないと思います。

我が家のANOVA。最近似たような製品が出てきているようですが、この独立型のタイプが一番良いと思います。ポイントは温度が正確であること。強制的に対流を作るタイプであること。そしてこの器具そのものに発熱部があること、だと思います。

低温調理に関してはまとめたページがありますので、是非それを御覧ください。ここ(クリック)

鍋にセットしたところ。

RX100-

68度30分の温泉卵。

RX100-06047

黄身はこんな感じ。私はもっと柔らかいのが好きなので67度30分が良いと思います。68度の硬さはヨメさんのリクエスト。(笑)

でも66度ですとかなり柔らかいと感じます。

RX100-06048

低温調理は本当に面白いと思います。大きな肉の塊を買ってきてパーティを開くなんて時でも、何の心配も無く、きっちり美味しいローストビーフが出来るはず。何回作っても、あるいは大きさがオニギリ大だろうが2キロの塊だろうと、完璧なものが作れるはず。そして火入れが難しい鶏肉も素晴らしく美味しいものがいつでも失敗なく作れるって凄いことだと思います。

私もまだまだ実験の繰り返し中ですが、何か面白いアイデアでもあったら是非教えてください。

あ、そうそう。海外にお住まいの方で「生卵」を食べるのが怖い方にも低温調理はばっちりで、60度で10分程度でしたらサルモネラ菌は問題ないはずですし、見た目は白身がちょっと白くなる程度で生卵と殆ど変わりがないはずです。あるいは64-66度程度にまで温度をあげますと、黄身がねっとりして「生卵より美味しい」と思います。

また洋食で使うポーチドエッグみたいな硬さは75度で13分程度が一番良い出来上がりになると思います。ポーチドエッグも作ってみるとわかりますが、面倒なんてもんじゃないですよね。でも低温調理なら一度に20個でも簡単に作れますし、失敗なし。

こんな感じ。

卵かけご飯が好きな方は是非これで食べてみてください。私はこれの方が濃厚で何倍も美味しいと思います。まして私は生卵の白身のズルっとする感触があまり好きじゃないのですが、これなら問題なし。

ちなみにこの動画ですが、この通りだと駄目で、お湯から出した後はすぐに冷却しないと(55度以下まで)どんどん火が通っちゃいます。

--------(後記)----------

コメントで「ヨーグルトメーカーで低温調理をする実験」を紹介して頂きました。有難うございます。それを見て「大事なことがある」のを思い出しましたのでここに書き足しておきます。

「芯温を計ってみる」こと。これです。

設定した温度と、芯温がそれに達する時間がわからないと「調理不足」になることが多発します。低温調理は「火が入り過ぎない」ところに良さがあると思っていますが、「火が入っていない」のではお話になりません。時間が長い分には「ホールドしたのと同じでより美味しくなる」ケースがあるわけですから、まずは「芯温が設定した温度に達しているのかいないのか」ここのチェックが重要ですね。

炊飯器の「保温」を使った低温調理が難しいのもここで、ローストビーフだとすれば56~58度の範囲で仕上げるのがベストだと私は考えていますが、時間が短ければその温度に達しない。また長すぎれば70度前後という「かなり高い温度」になってしまうわけで、そこは時間で調節するしかなくなるんですね。つまり「オーブン」を使うのと同じ難しさがあるということ。

ネットには「炊飯器の保温で作ったら激ウマだった」みたいな記事が多いですが、これは「たまたま」うまく行っただけだというのがわかるようにならないと先には進めないんじゃないでしょうか。多分、炊飯器を使った場合、火の入れ方が足りない、あるいは火が入り過ぎを経験するはずで、それを「料理とはそんなもんだ」と思ったら駄目なんですね。

「誰でもいつでも【最適なもの】【同じものを作れる】という低温調理の利点」を炊飯器では活かすことができないということ。

温度調節が出来るヨーグルトメーカーの場合ですが、「ワット数」が高くないはずですから、水と冷たい素材で目いっぱいにしたヨーグルトメーカーには「肉料理」は重荷であろうという発想が必要だと思います。ですからその場合も「設定温度」「時間」「芯温」に注意しないと遊んでいるのと同じになっちゃいます。

水量と素材量との関係もありますが、最初に「100度近いお湯を使う」のもローストビーフやローストポークには効果的ですね。でも鶏の場合はそれはやらないほうが良いのも実験をしているうちにわかるようになるはず。鶏の場合は80度ぐらいが良いと思っていますが、水量が多い場合には「当然、火が入りすぎる」ことも考えないとなりませんね。

低温調理は「時間が長すぎる場合のデメリットはない」ぐらい極端に考えるのが良いと思います。でも短い場合には問題だらけになる。(笑)

ローストビーフなら5時間~10時間でもOK。55度でホールドすると「1時間で二日間熟成(エイジング効果)させる効果がある」というプロの報告もありました。

 

 
    

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