低温調理トンカツのリベンジ大成功

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昨日のトンカツは火が入りすぎて硬くて美味しくないトンカツでしたので、結構考えさせられました。

そもそもトンカツの前処理に低温調理するなんて発想がおかしいのかと。そんなことをする人はネット広しといえども聞いたことがありませんから。ただし、直接聞いたわけではないものの、トンカツ屋で低温調理をしているケースがあるというのはどこかで読んだことがありますし、低温調理の理屈を考えれば、やらないほうがおかしいと私は思うぐらいです。

またステーキなどは大型店舗、ホテルなどでは「湯煎をする低温調理器」で低温調理をしているのが「かなり多い」と聞いておりますし、ユーチューブで情報を拾うとそういう例がたくさん出てきます。アメリカの場合ですが。そしてそれが一般の間にも広まっている。情報量としては日本の場合は殆ど無いと言っても良いくらい少なく、せいぜい炊飯器の保温を使うとか、私が以前やっていたように鍋と温度計を使う(笑)ぐらい。また低温調理の理論、温度や時間に関して細かい考察、調理結果を書いているサイトは皆無(英語情報は結構存在する)。

ですから自分としては方向は決して間違えていないとは思うものの、日本人の中では孤軍奮闘しているような気がするし、仲間のいない寂しさみたいなものを感じています。そもそも、日本には「まともな」低温調理器が存在しないってのは不思議でしょうがありません。あるのはプロ用機器のみ。

でも今日は正直な所、気分が良いです。やった~~~という満足感があります。

使った豚肉は普通のスーパーで売っている普通のロインと呼ばれる部位。図に書くとわかりやすいのですが、部位としては(人間で言えば)腰より上の背中の部分。でも肋骨がある辺りで、肋骨がないへその後ろ辺りより上の肉。

この写真の下の「背脂」が結構付いている肉です。結構厚くて20ミリ以上あります。
 
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これの骨を外すときに切り分けることになってしまいましたが、その時に「筋切り」をし「叩く」ことをしています。でも伸ばすほどには叩いていません。我が家には秘密兵器がありまして(笑)、ミートテンダライザー(肉を柔らかくする器具)があります。Jaccardという会社の製品で(この手の機械では有名)小さな刃が48本付いていまして、これでグサグサ肉を刺して柔らかくする機械。こういうのも日本の一般家庭では普通使いませんが、プロはこれの大型のものを使うところは結構ある様子。日本製ではありませんが、日本では安いので楽天で買って取り寄せました。(楽天の海外送料割引キャンペーンを使った)

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でも今回これは使用していません。でもこれがかなり効果的なのは実験済みで、私の大好きな鶏の手羽ですが、手羽元は結構硬くなるんですよね。でもこれを使うと大変身します。これは牛でも豚でも同じ。硬い肉をグサグサやって、なおかつ肉が柔らかくなる処理(酒、ワイン、酢、玉ねぎ、キーウィ、パイナップル、ヨーグルト、そして重曹、ベイキングパウダーなどを使う)とこれまた大変身するのは確認済み。

なんでこんなことを書くかというと、こういうのを持っているぞという自慢話じゃないんです。低温調理にしてもそうですが、興味のある方がこのブログに飛んできた時に、情報として「これも良いんじゃない?」というのを書いておきたいのです。私もそういう人たちの書き込みによって、知ることが出来たわけですから。良いものは広げたいと思うのです。是非、誤解しないで頂きたい。

低温調理に関してもそうで、私みたいにダラダラ書かれると読む方は大変ですが(笑)、こういう情報を発信する人って本当に少ないんですよ。特に日本は低温調理に関しては遅れています。もし私が低温調理に興味をもった時に、私みたいな「低温調理オタク」がいたらかなり助かったはずだと思いますもの。でもそういう人はいませんから、アメリカの情報を得たり(でもアメリカ人の食べるものはちょっと違和感がある)、自分で試行錯誤をするしか無いわけです。どこに注意するべきかのヒントさえわからないんですから。だから私が発見したことはこうやって書き続けるってこと。

いつものように長い前置きはおいておきまして、話はトンカツに戻します。

真空パックして55度のお湯の中に入れます。時間は2時間を考えていましたが、やり始めた時間が中途半端で結果的には5時間放置。(笑)

低温調理の良い所は、普通に茹でるのと違って「狙った温度そのもので茹でる」わけですから、絶対に「狙った温度以上」にはならないんですね。これがオーブンや普通に茹でるのとの大きな違いです。「芯温」が大事ですが、その芯温で調理するわけですからその温度以上になって「火が入りすぎる」ことはあり得ません。

そして「その芯温に達すればそれでOK」そして「その温度を長く保っては駄目」という調理の場合はかなり面倒なことになりますが、「その温度を長く保っていてもOK」の場合、または「長く保ったほうが良い」場合には最適なわけです。牛肉の熟成もそうで、55度で1時間ホールドするとそれは普通のエイジングの2日間と同じ効果があると言われているわけですから、それが簡単に誰にでもできるって凄いことだと思うのです。

ただ豚の場合のエイジングの詳細に関しては私は無知で、全くわかりませんが、豚もエイジングをしたほうが良いのはわかっていまして、マレーシアはクアラルンプールにある「まめとん」というトンカツ店ではレジの横においた冷蔵庫で豚肉をウェットエージングしているのがわかりました。

ま、そんなこともありまして、牛と同じように55度のホールディングには意味があるだろうと「想像」しました。ですから当初は2時間で良いと思ったものの、結果的には5時間になってしまったのは、「良い効果」こそあれ「悪いことではない」とこれまた「想像」しています。でもプロの世界でそれをどう考えているのかに関しては、私は全く知りません。それに関する記述を探しても見つかりません。

で、5時間後に取り出して水気を取ったのがこれ。

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見た目は決して美しくはないですが(笑)、火が入っているのは見てわかるし、触ってみるとブヨンブヨンでまるで硬くなっていません。肉汁もほとんど出ていませんでした。55度ってそういう温度なんですね。

で、これを揚げるのですが、195~200度というかなりの高温で一気に揚げました。すぐに衣に色がつきますが、それでOKという感じで、時間的には1分少々で長くても1分30秒ぐらいだったろうと思います。

それを10分程度寝かして、落ち着かせます。

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そして切ってみました。私としては理想の火の入り方で\(^o^)/です。肉汁が十分にあるのが写真でわかりますでしょうか?

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美味しかった~~~~~。ほぼ完璧に近いと思いました。でも肉は決して「柔らかい」という感じではありません。これは元々のオーストラリアの肉がそういう肉ですから、それをこの「柔らかさ」で仕上げられたのは上出来だと思います。

そして細かく言うと、その「柔らかさ」もまさに「エージングの柔らかさ」なんですね。これって生肉の柔らかさでもないし、煮込んだ時の柔らかさでもないし、言葉では表現のしようがありませんが、「柔らかくしっかりした歯ごたえ」という感じでしょうか。でも普通に焼いたり煮たり揚げたりしてもこの感触は出ないと思っています。というか私には出来ません。

私としてはこれで十分なのですが、プロの世界では「お話にならないレベル」かもしれません。プロが何にこだわってどういう物を「最高のもの」とするのかがそもそも私にはわかりませんが、多分、「これとは違う」だろうとは想像しています。

でもプロが狙うものを我々素人が作ろうと思っても無理だという大前提を私は持っているわけで、「プロとは違う方法」でどうにか「簡単」に「素人なりの満足を得る」にはどうしようかというスタンスです。

低温調理は、

○ 誰でも
○ 食材の量が変わっても
○ 形がいびつでも
○ いつでも
○ 簡単に
○ 同じものが作れる

これが最大の特徴だと思います。だからこそ忙しいプロの世界で流行っているわけで、我々素人でも、私みたいに「分厚いトンカツを食べたい」という好き者が10人集まってパーティをしようということになっても、「全く問題なく作れる」ってことなんですね。皆で厚さ5センチのトンカツに挑戦しよう!なんてバカな事もできる。ただかなり大きなお鍋なり湯槽が必要ですが。(笑)

これはローストビーフでも同じで、いつも家で作るのはどうにかうまく出来ていても、明日のパーティには20人来るなんてことになったらお手上げですよね。あるいは買ってきた肉がいびつだったら、まずオーブンを使って焼くなんて絶対に無理。

でも低温調理なら5キロの肉の塊だろうが、ピラミッドみたいな形の肉でも全く問題なく、事前の練習も、ネットで情報を探すことも、プロに聞く必要さえないわけです。58度なら58度に設定したお湯の中に真空パック、あるいはジップロックなどの袋で密封して放り込んでおけば良いわけです。問題は低温なだけに「芯温」がその温度に達するまでにはかなり時間がかかるということ。

ですから失敗するとしたら「時間不足」で「生状態」になることだと思っています。この「結構時間がかかる」というのに気がついていないで低温調理をしている人がネットの中に散見できます。例えば「ローストビーフは70度のお湯で2時間」なんて書いてあって、写真を見ると大きな塊で、肉の色は結構赤が強いロゼだったりみたいなものをいくつか見たことがあります。

でもこれは失敗じゃないんですね。「70度なんてとんでもなく高すぎる温度」なのに、「中途半端な時間」だけ調理したから「結果オーライ」ってこと。私が「炊飯器の保温」を使う調理をすぐやめたのはこれが原因です(いや、本当はヨメさんにご飯が炊けないと怒られたから。そこからスロークッカーに興味をもったのですが、スロークッカーは温度調節が出来ないということに気がつくまでかなり時間がかかりました)。炊飯器の保温の温度って機種によっていろいろあるようですが、一般的には高すぎるんですね。だからうまくいくとはあってもいつか「必ず」失敗する。また量が変わった場合はどうにもならないわけです。

これで成功だと思っていると、いつか「必ず」失敗するのは明らかでしょ?パーティーをするから大きな肉にしようとか、そんな時に3時間でいいねなんてことをしたらみんなで「生肉を食べる」事になりますし、逆に6時間ぐらいやってみよう、なんて余計なことを思いついたら「ウェルダンか?」みたいなローストビーフになる。

ですから低温調理をするときには、そもそも肉って何度でどうなるのかを正確に知る必要があると思います。これはちゃんとした人たちが書いているのを読まないと駄目で、素人が「タンパク質が固くなるのは70度だから・・・」なんて書いてあるのを信じたら大変なことになります。また「熱変性(固くなる)温度」と「分水作用(水分を放出する)温度」は10度位の違いがあります。また肉の繊維はコラーゲンで結束されていますが、そのコラーゲンが溶け出すと肉は柔らかくなる。ではその温度は?脂を落としたいけれど、脂が溶ける温度は?

基本的には絶対に覚えないとならないのはタンパク質の性質ですが、温泉卵を考えればすぐわかるように、タンパク質っていろいろあるんですね。で、それぞれが熱変性で固くなる温度が違うわけです。それが顕著なのは私は鶏だと思っていて、胸肉ですと(牛では高すぎる)60~62度辺りが良いと思っていますが、腿肉でこの温度だと「これ、やばくね?」みたいな出来上がりになります。

なんだか気が遠くなりそうですが、これをきっちりやらないと美味しいものは出来ないし、偶然任せにしたら駄目だと思うんです。

ですから、やればやるほど奥が深いのがわかってきますが、でもオーブンとか煮たり焼いたりしてその調節をすることを考えたら、いかに低温調理が簡単なのかがわかるはずなんですね。

低温調理\(^o^)/  (笑)

しかし、日本の美味しい豚を使ってこの方法でトンカツを揚げてみたいです。美味しいだろうなぁ・・・・

 

 
    

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