前にもちょっと書きましたが、オーストラリアの場合、自宅に関しては「キャピタルゲイン課税」がないんです。1千万の家が1億で売れても不動産所得税は掛からない。
これを多くの人が利用するんですね。
我が家の両隣もそれ。
我が家の左隣の家って大した家じゃなかったんですよ。ところがある日そこに若い家族連れが引っ越してきました。子供はまだ幼い子供。車はBMWだベンツだと持っていましたから、どこかの金持の子供ぐらいだろうと思っていたんですわ。
引っ越しが済んでからすぐに家の改装が始まりました。これがちょっと手直しなんてもんじゃないんですよ。大改装。毎日毎日業者が入ってそれはそれは大掛かりにやっていました。どのくらいのお金を掛けたのか知りませんが、時間的には1年近くいじり続けていました。またウォーターフロントの家ですから必ず桟橋が付いているんですね。その桟橋も付け替えまして、最新式の高価なもの。ボートは22フィートぐらいの大きさで決して大型ではないけれど、そこそこのボートを持ち、それを係留するのではなくて、電動で持ち上げて保持するタイプの桟橋。これだと船が傷まないんですね。ウォーターフロントに住みながら、ボートは預けている人って結構いるんですよ。専門の所で陸揚げ保存するんですね。で、乗る時だけ水に下ろすわけです。でも金持は自分の桟橋にそういう施設を作ってしまう。
まぁ、隣は若い夫婦なのに凄いなぁって思っていたわけですよ。でもそのうち、私たちは自宅を空き家にして売ろうと思って今のコンドに引っ越したわけ。もちろん何年も住むつもりなんかなくて、家をさっさと売ってマレーシアに行こうと思っていたわけです。それが5年前。(笑)
そうこうしているうちにゴールドコーストの不動産市場が上向きになってきたという情報がちらほら入るようになってきたので、本格的に売ろうと我々は動き出したのですが、その時に、近所はいくらぐらいで売買されているかの資料を取り寄せたんです。これはネットで有償で見られるようになっていて(スマホでも見れる)、不動産業者は当然それを見ているわけですが、どの家の今のオーナーはいついくらで買ったのか、現在の土地の価値、現在の建物を含む価値とかわかるわけです。これは実際の価格とは違うってことはなくて、現在の目安がわかる数字。
で、隣の家を見たところ、もう2年前に売れていたんですよ。それも我が家のエリアでは前代未聞の高額で、びっくりしましたよ~。前の家はいくらぐらいなのかは検討は付いていましたが、改装後はとんでもない高値で売れていたんです。
それを見て、結局あの若夫婦もそういう仕事で食っていた人たちだったとわかった。自分たちの快適な生活のために改装していたわけじゃない。奥さんも旦那も勤め人には見えなかったし、不思議に思っていたんですよ。隣の家の改装って半端じゃなくて、一軒丸ごと建てるような大掛かりなものでしたが、そうやって現代風にして、なおかつ内装にも金をかけ、電化製品はドイツのBoschだMilieとか入れたんでしょう。良い家にはMilieの家電品ってお約束で電子レンジが3千ドルみたいなもの。冷蔵庫も当然1万ドル以上のもの。
そういう現代風のバリバリの家にして、もっと不動産が高いシドニーとかから来た金持に売るんですね。あとは中国人。
この中国人も凄くて、買主本人は見にも来ないで代理人が全て決めるんだそうです。で、彼らが買う物件はまともな物件のみで、ほんのちょっとでも修理が必要な箇所のある家には見向きもしないと聞いています。この動きはシドニーメルボルンでは凄いことになっているというのは日本のメディアでも言われていましたし、やっとその動きがゴールドコーストにも来たようです。
ですから、我が家はボロ屋でこんな家を買う人がいるのか?と思っていましたが、実は逆で、ボロ屋だから価値があるんですね。改装して転売するプロたちはボロ屋を叩いて買わなくては儲けも少ないってことなんですね。良い家を買ってそれにまたお金をかけてもっと高く売るって難しいはず。だからボロ屋を叩いて買うほうが良いってこと。
そういう意味で最近のゴールドコーストを見てみると、我が家がある地域もそうですが、ボロ屋ってあまり見かけなくなりました。もうすでにそういう家は改装中、もしくは改装済みで高値で売っているってことね。ましてや我が家はボロ屋ですがロケーションは抜群なんですよ。ウォーターフロントでもいろいろあって、川の本流沿いなのか支流沿いなのかでは全く価値が違うんですね。また目の前の川の広さとか向きももちろん関係ある。そしてビューが非常に大事。そういう意味で我が家はバッチリで、隣の家が我が家を買いたいと言い出したこと、そして仲介するはずの不動産業者が自分で買うことになったというのも、こういう儲けるチャンスが我がボロ屋にはあって、そういうボロ屋はもう少なくなってきているってことなんですね。
そういう商売をする人たちも最初は小さな安い家から始めると聞きました。そういえば日本人でも「住みながら家の価値を上げて高値で売る」人がいましたっけ。つまり、自宅じゃないんですね。あくまで商売のネタであって、でもそこにとりあえず住むみたいな感じ。だから綺麗に大事に住み、また改装をして価値を高めるのに一生懸命。
これって、そういうことをする人もいるというより、そうするのが当たり前なのかもしれないと思うくらい。今まで行ったことのあるオージーの家って本当にきれいなんですよ。新築のまま維持しているようにピッカピカ。いつでも高く売れる状態を保ってチャンスがあれば(カモがいれば 笑)売り抜けるんでしょう。
今改装中の隣の家のご主人の本業は電気関係の職人さんだし、私の家を買ったのは不動産屋さんですし、今まで私が知っていた近所の人達とはちょっと違う感じなんですよ。隣の家の「前のオーナー」はよく知っていて、元はシドニーでIT関連の会社を経営していた老夫婦。事業は子供に譲って自分たちは温かいゴールドコーストへ来たという夫婦。でも彼が言っていたことを思い出します。「ゴールドコーストの不動産は、大都市とか海外から来た金持に高く売りつけることで成り立っている」と。
ま、産業らしい産業もないリゾートですからそれが当たり前で、コンドミニアムだって良い所は投資用で、夜には電気が付いていない、誰も住んでいないようなところは昔からありましたもの。私のインド人の友人が不動産投資をしていたのですが、今のマレーシアと全く同じで、建築計画の時点で買うんですね。で、完成したら売り抜けるなんてことをやっていました。
結局、住宅地の住宅も似たようなもので、リゾートに飽きて帰る人、私みたいなドジなやつから叩いて買うんですね。そして綺麗に衣替えして高値で売る。これの繰り返しってことじゃないでしょうか。
もちろん現地の人が住むのが基本の住宅地もあるわけですが、外人や大都市から来た人が好むような場所、物件ってかなりあるんですね。で、そこでは儲けるつもりで買って転売する人たちがかなりいるってことなんでしょう。
私のロスにいる叔母も友人と似たようなアルバイトをしていました。友人同士で資金を出し合って、40年ぐらい前の話ですが、1500万ぐらいの小さな普通の「しかし小汚い家」を買うんですよ。で、毎日毎日主婦どうして集まってペンキを塗り替え、壁紙を張り替え、あるいはタイルを張り替え、プロじゃなければ出来ないところはプロに任せ、こじんまりした綺麗な家に作り変えちゃうんですね。で、1800万とかで売り抜けるなんてことをやっていました。
日本の場合、不動産っていうと土地と考えがちですし、マンションは買う時が一番高くてその後は値落ちするみたいな感覚がありますから、そういう商売が成り立たない、思いつかない、割にあわないのかもしれませんが、不動産の価値とは「建物の価値」だとするといろいろ出来るってことですよね。
隣の家みたいに自分は電気工事のプロで、そりゃ仕事の仲間には水道屋から何から全部いるわけで、そういう仲間同士でそれぞれの自宅をいじっていれば面白いことになりますよね。工期がはっきり決まっているわけでもなくて、暇な時に手を掛けていじっていれば1年も掛けたら良い家になるんでしょう。
でもねぇ、こちらも所得格差というか資産格差が大きくて、そういう職人さん達が資金をたっぷり持っているわけじゃないんですね。当然、銀行から融資を受けてやっているわけです。だから不動産業界に異変が起きると簡単に飛んじゃうってこともあるんじゃないですかね。
実は我が家も元々はそういう家だったんですよ。後で気がついたことですが、我が家は新築だと思っていたのが実は改装した家だというのがわかった。そういえば売り主はビルダー、建築業でした。でも家族でそこに住んでいたのね。(後に彼は倒産した)
つまり、我が家は当時築1年ぐらいの家だと思っていたのですが、その前にあった家に被せるように大工事をして建てた家なんですね。
普通、日本ですと古い家があった場合、それは壊して真っ皿にして新築すると考えがちですが、こちらではそれをすると税金の関係だったか、損するみたいなんですわ(理由は忘れた)。だから大工事をするにしてもあくまで「改装」という範疇に収まるようにすると聞いたことがあります。この辺の詳しいことは知らないのですが、元々あった小さな3BRぐらいの家の土台や柱は残して、それに覆いかぶせるようにして6BRの大きな家にするとかじゃないでしょうか。平屋の家に二階を付けるなんてのは自分でやっちゃうようなオージーはいくらでもいるし。
我が家のそれがどうしてわかったのかというと、かなり前ですが水道管が地面の下で水漏れを起こしていたんです。まずはその場所を特定するだけでも大騒ぎだったのですが、運良く、ガレージへ続くドライブウェイの横の土のある場所の下でした。ですから土を掘り起こす小型のユンボみたいなので掘り起こして修理をしたのですが、水道屋が「ここでよかった、ここでよかった」と何度も言うんですよ。
なんか変だと思って聞いてみたところ、もしこの地面の下では無かった場合、その水道管が通っている経路通りにドライブウェイのタイルなりコンクリなり剥がして、なおかつ家に引きこまれている場所まで全部掘り返すという大変な工事になると。その時に、その経路や家の中に引きこまれている水道管の位置が変なところにあると教えてもらったのです。
「なぜ?」と聞いた所、「前に建っていた家の水道管をそのまま使っているから」というとんでもない恐ろしい答えが返ってきたんですよ。
え?前の家?なにそれ?うそでしょ?と聞いたのですが、彼は笑うばかり。
つまり、我が家の前には古い家が建っていて、今の家の外を走る水道管はその時代のものであって、その家がいつ建てられたのかはわからない。恐ろしいでしょ?もちろん市役所に行けば詳しいことはわかるわけですが、こちらではそういう家の建て方をすることがよくあるということ。だから新しい住宅地じゃないと、古くからある住宅地の家なんて恐ろしくて買えないってことかもですね。(笑)
まぁ、新築の家を見ていても感じることですが、地震が無いってこともあるんでしょう。これ、竹ひご細工か?みたいな家の骨格です。また雨が少ない土地ですから、瓦の下に防水用のシートも敷かずに、屋根の骨組みに瓦を乗せるだけみたいな家もある。これは我が家の並びの家もそれで、ある日ある時それなりの大きな家の瓦を全部外していたんですよ。何の工事なのかなぁ・・と思って毎日見ていたのですが、全ての瓦を下ろした後にシートを張り、また外した瓦を並べだしたのね。
何やってるんだ?と思いましたが、まさかその前は瓦の下にシートがなかったなんて想像もしませんし、その確認はしていませんが、多分そうだったのだろうと。
でもま、新しい家の雰囲気を作り出すのは流石ですわ。本当に凄くて雑誌に紹介されるような家がいくらでもある。ところが壁の中身、地面を掘ったらどうなっているかは全く別の話。
リゾート地ってそうやって外部から来てボーッとしていたり、頭に血が上ってチョウチョも飛んでる人たちから儲けるという構図があるんでしょうね。
もちろんそれを否定しようなんて思っていませんし、そういう幸せなお客がくる場所なら儲けるチャンスをミスミス逃すほうがバカってことじゃないでしょうか。これは詐欺でもなんでも無くて、法律に違反する部分はまるでなくて、脳天気な外部からのお客様に夢を与える大事な仕事なんでしょう。
そういう意味ではリゾートで短期滞在、ロングステイなんてのは本当に良いお客様なんでしょうね。それとリゾートに物件を持ちたい、儲かるかもなんて誰に吹きこまれたかわからない情報を信じて投資する人たちも同じ。そもそも素人が、そして現地の情報も知らないで買うなんて、「買うときは高く、売るときは安い」「貸そうと思ったら借り手がいない」「貸すためには当初言われていた家賃よりかなり安くしないと駄目」とかそういう世界の決まり通りになるのが普通だと私は思っています。
現地に住んでいるのなら、不動産で儲けるあの手この手があるってのは面白いですよね。プロじゃなくても普通の家庭の人でも大きく儲ける、資産を増やすチャンスがあるんですから。
ただ買う側からみると怖いことばかり。そもそも不動産屋さんてどちらの味方?
当然、手数料で儲ける仕事なら売れれば良いわけで、物件が高かろうと安かろうと売れないかぎり一銭にもなりませんから、我々が想像できないことを企む人たちもいるんでしょう。ですから不動産業ほど信用が大事かもしれませんね。海外からの客はその土地の事情なんてさっぱりわからないんですから、悪いやつに捕まったら赤子の手をひねられるようなもんでしょう。ましてや舞い上がって「買うつもり」で客は寄ってくるんですから。飛んで火に入る夏の虫。
これは売る側も同じで、「その価格設定じゃ無理かもしれません」なんて言われれば考えちゃうじゃないですか。でも業者は「売れれば良い」「売れなければ一銭も入らない」仕事だということ。そういう意味では私の面倒を見てもらっている業者さんは20年以上の付き合いがある友人で1000%信用しています。彼が「やるべき」ということは全部やっていますし、「やる必要が無い」ということは私がやるべきだと気になってもやりません。売値に関しても全て任せました。それによってどういう結果になろうと全て受け入れるつもり。
そういえばペナン在住でMM2Hの申請代行業をしているリカさんのブログに面白いことが書いてありましたね。日本人が日系不動産屋を通してコンドを買って、全てその業者に丸投げしたら上手いようにやられちゃったみたいな話し。
私はさもありなんと思いました。なんでその不動産屋を信用して丸投げできるのか?ここが私には全く理解の外です。
リカさんのブログ。その件に関して書いてある日記。
内装どころじゃない・・・。: ロングステイ & MM2H イン トロピカルマレーシア
海外の商習慣って日本では考えられないようなことが多々ありますし、品質やサービスに関しては問題があることが多い。だからこそ客は不動産にかぎらず日系の業者に頼むことが多いのでしょうが、業者はそれに応えるべきで、「この国はこんなもんなんですよ」みたいな言い訳は通用しませんよね。
もし客の要望に答えられないならその仕事は止めるべき、あるいは多くの要望を出す日本人客は取らないようにするべきだと思います。これって善意の問題だけじゃなくて、クレームや裁判沙汰をいくつも抱えるようになったら会社が成り立ちませんから。
私はゴールドコーストで電話関係の仕事をしていた時期がありますが、ある時、クレーマーと言っても良い日本人が多すぎるので日本人客は一切取らないことに決めたことがあります。客数は多いのですが、ああしろこうしろ、なんだかんだで採算割れも出てきたから。海外に出ても日本流、日本のサービスを含む「質」を求める日本人は多くいるし、それはそもそも無理なこともあるわけで、でもそのギャップを埋めることができない部分があるのならそれははっきり客に明示するべきですよね。客のためにも自分が生き残るためにも。
ギャップを埋めるのが日系企業の役目だし、それが利益に繋がるわけですが、無理なことってやっぱりあるし、中には「この国はこんなもんです」と出来ることもせずに言い訳を並べて利益追求をする業者も少なくないんでしょうね。
日本人をカモるのは実は日本人だという世界中どこにでもある図式を忘れてはならないんでしょうね。でも良い業者も間違いなく存在する。
さて、どうやって見分けるのか? (笑)
一番危ないのは「日本流のサービスをします」と豪語する業者。たいしたこともしないのに「やってるつもりの自己陶酔型」もいますから判断は簡単じゃないですね。
全ては自己責任だと考えられる人じゃないと海外って厳しい所かもしれませんね。