カレーを久しぶりに食べたいねという話になりました。いや、カレーはヨメさんがいろいろ作ってくれるのですが(なぜかグリーンカレーが激ウマ)、あの「日本のカレー」を食べたいと。
よーし、作ってみようかと思ったものの、今までいわゆる「子供でも出来るカレー」しか私は作ったことがなくて、近年凝りだした「調理実験」としてカレーは作ったことがないのに気が付きました。ということで、今回のカレーは私が生まれて初めて作ると言っても良いようなカレー。
どうしよ・・・と悩んだのですが、いつも凝って作る「ビーフシチュー」の延長で作ってみようと。
息子の友人も遊びに来るとのことで、ヨメさん曰く「たっぷり作ってね」ですと。ということで大鍋に目一杯作ることに。
まず用意したのが基本のスープを作るための牛骨です。これもいろいろあって、骨髄があるマローボーン(牛の大腿骨)、牛の首の骨、そして脂も肉も付いてる肋骨。さてどれを使うべきか。私としてはビーフシチューにはマローボーンが一番適していると勝手に想像しているのですが、スーパーには肋骨しかありませんでした。この骨から作るスープは出汁もきっちり出てあっさり系の韓国料理には適当にパンチが効いてばっちりだと思うのですが、ビーフシチューではシツコイような気がします。でもそれしかないのでしょうがない。
これを流水で綺麗に洗い、一度茹でこぼして、取り除ける脂は取り除き、茹でます。水から茹でます。この時には一切調味料も酒も何も入れません。
今回は時間が十分に無いので、出来ることなら使いたくない圧力鍋でやることにしました。
これに炒め焼きしたミレポア(玉ねぎ、ニンジン、セロリ)を入れるのですが、ここでも悩みました。しっかり飴色に炒めた玉ねぎを入れた方が良いのではないかということ。多分スープとしてはそれが正解なんでしょうが、カレーという濃い味にする場合には、普通にキャラメライズ(焼き目をつける)で入れたほうがよいかと。
この肋骨とミレポアを入れただけのものを圧力鍋で15分、圧をかけます。
その間、ビーフシチューらしい味を出すには抜群の「牛の頬肉」を用意します。これもまたオーブンでしっかり焼き目をつけます。洋食ではこの焼き目が大事な「味」になりますから。
これを大きめのぶつ切りにします。この頬肉は溶けるように柔らかくなりますので、それなりの大きさがあったほうがインパクトがありますから。
でもこれを見ているともう少し焼きたいと思うようになり、フライパンで焼きます。そしてオマジナイで赤ワインを入れて煽って終了。
15分、圧をかけたスープは流水で温度を下げて、その中に牛の頬肉を入れます。なぜ最初から入れないかというと、肋骨は時間を掛けないとならず、同じ時間を頬肉に掛けると溶けて無くなってしまうから。
圧力鍋の中を見ますとたった15分ですが、かなり出汁が出ているのがわかります。浮いている脂も凄いのですが、これは出来る限り取り除きます。
これに焼いた頬肉を入れて、再び20分、圧をかけます。この時に、ガーリッククローブ、ベイリーフ、黒胡椒を入れます。
また流水で温度を下げて開けてみますと、肋骨からは良い出汁が出て、頬肉もフルンフルンで良い感じ。スープの味は濃厚なんてもんじゃありません。
これに味付けをすればかなり美味しい「ビーフシチュー」になるはずですが、最終的にはカレーが目的ですから、まだまだこれから先があります。
最初に入れたミレポアは全て捨てます。また肋骨も骨を取り出して、一度スープを綺麗にしないとなりません。肋骨って不思議で、また特に圧力鍋で茹でますと骨が溶けるというか、かなり細かな骨粉みたいなのが出るんですね。また骨の組成って良くわかりませんが、いわゆる骨、そして軟骨とは別に、筋と骨の中間みたいな骨があるんですね。これが長時間煮込んだり圧力鍋を使うとザラザラとして骨みたいな感触のある筋みたいになります。これもプルンプルンしていて筋好きには良いような感じがしますが、食べるとジャリジャリして食べられない。ですからそのジャリジャリがスープに出てしまうと台無しになりますので、骨を捨てるだけではなくてスープを濾さないと駄目なんですね。
頬肉は頬肉で取り出します。多少のくっついた野菜は無視。
肋骨と野菜、そして筋のように見えるわけのわからない骨も捨てます。廃棄物の量もかなりのもの。
細かい網目の漉し器とキッチンペイパーを使ってしっかり濾したスープに頬肉を戻し、カレー用の野菜を入れます。この時は、玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモのみ。
これまた圧力をかけて、ほんの数分したら火を消して放置。
それから「日本の」カレールーを入れ、他の野菜、マシュルーム、煮詰めた赤ワイン、黒胡椒などのスパイスを入れて味付けを決めてまた火に掛けるのですが、味が全くきまりません。そもそも日本のカレールーも家には在庫がなくていつもは買わない昔のカレールーを韓国食材店で買ってきまして、多分それが理由かもしれませんが、なんだか全く美味しくないんです。また私もバカで、スープがかなり煮詰まっていて良い味はするもののヨメさんの「たっぷり作ってね」という言葉を思い出し、そのスープを「お湯」で薄めてしまったことにも原因があると思います。
とにかくあの手この手を使ってもうまくいかず、こりゃもう諦めてこれはこれで放置して、次の日にでもヨメさんに救ってもらうしか無いということで、終了。orz
あまりにも落ち込んで、この時点での写真を撮る気も起こらず、この調理実験はブログには書かずにおこうか・・・と思いました。
可哀想なのは息子の友人。特別なカレーが出来上がるのを待っていたのに、なんだかわけのわからないカレーを食べさせられたんですから。いつもなら「美味しいっす」という彼も今回は無言。(笑)
私としては一生懸命作ってこんな結果ですから結構落ち込みました。でも息子の「明日になればおいしくなっているかもしれないよ」という気休めの言葉は嬉しかった。
そして、今日。朝になって息子の「オヤジ~~、おいしくなってるよ~~~」の言葉で俄然やる気が出てきました。\(^o^)/
味見をしてみると昨日とは全くの別物。ヨメさんに「何か足したの?」と聞いた所、「なにもしていない」との答え。
本当に料理って不思議で、そこそこ美味しい物が次の日にもっと美味しくなることはあっても、駄目なものが美味しくなるとは思えず、本当にわけわからず。
でも昨日とは全く違って美味しくなっていたので、予定通り完成させることに。
用意したのはこれ。スーパーで買ったリブアイステーキ。1キロ2500円ぐらいだったかな?
これに塩コショウしてフライパンで焼きます。もちろん私の場合はレアかミディアムレア。最後は赤ワインでフランベ。
それをカレーライスに添えて食べます。
完成~~。
カレー自体もビーフカレーとして完成していて、頬肉はトロットロの柔らかさでゼラチンが効いていてなんとも言えない美味しさ。そして肉は肉としてのステーキがある。
長男が、「こんなカレーライスは食べたことがないかも」ですと。
こういう言葉が私には嬉しい。それが楽しくて調理実験を続けているようなもんですから(笑)。普通のものを作るつもりは全く無し。
ご馳走様~~~~~、美味しかった~~~~~。
しかし、昨日のあの味にまとまりがなくて美味しくなかったのはなんだったんだろう・・・・・。不思議だ・・・・・。
今、ヨメさんが私の横に来て言った一言。
「あのカレー、家庭のカレーを超えすぎている」
「どういう意味さ」
「ウマすぎ」ですとさ。\(^o^)/
ちなみにヨメさんが食べたカレーはステーキ無し。(笑)
キッチンでゴソゴソやっているヨメさんを見たら、冷えたカレーを一人前ずつ大事にパッキングして冷凍庫に入れていました。いつもなら、「残ったものは早く食べちゃわないと悪くなるわよっ!」なんて言うだけのに、今回のカレーはお世辞じゃなくて本当に美味しかった様子。
でもなぜ大きなタッパにいれずに一人前ずつパッキングするかわかります?
それはヨメさんが小腹がすいた時に自分で食べるつもりだから。(笑)