【低温調理】ローストビーフ&既成ブロック肉使用時の注意

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ステーキを食べたいとヨメさんが珍しいことを言い出しました。先日の(失敗した)「オニオンスープ」でソースを作ったら良いんじゃない?という考え方らしい。

これは私も考えていたことですんなりステーキに決定。

ところが肉を買いに行ったのですが、どうも気に入る肉が見つかりませんでした。ヨメさんは「ヒレ肉」が食べたいと言っておりまして、それは見つけたのですが、豚にしても牛にしても(鶏肉でも)ヒレ肉が好きではない私は美味しそうなリブアイを見つけられず。ということでローストビーフにしようと。

このローストビーフも肉の塊にしてもいろいろあるんですね。部位もいろいろですし、ローストビーフ用に加工されたブロックもある。私はこの加工されたブロック肉って嫌いじゃなくて、味付けがなされているものですがいろいろありますし、安いし(笑)、結構これを使うことが多い。

こんなやつ。オニオン&ガーリック、赤ワイン風味とのこと。1キロ15ドル49でメチャ安です。ステーキ肉は30ドル以上が当たり前ですし、ヨメさんのヒレ肉はキロ単価40ドルですから。

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どうしてこんなに安いのか?あれじゃこれじゃと手が掛かっているのに、普通の肉の半額です。この部位はどの部位だかわかりませんが、この様に手が加えられていない素のままの肉は売られていません。不思議ですよね。

これってハムと似ていて、どうして手が掛かっているのにこんなに安いのか。

このローストビーフブロックの場合は、もし素のままだとしたら硬くて美味しくない肉なんじゃないですかね。ステーキ用にはならないし、売るとしたらローストビーフ用だろうし、それなら手を加えたほうが売りやすいってことなんでしょう。

で、一体どのような手が加えられているのか?ここが問題ですよね。

肉の裏に「内容物」が書いてあるのでそれを見てみます。拡大しましたが見えますかね。

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一番最初に気がつくのは「Australian beef(81%)」となっていること。肉が81%しかない?ということは他に何が入っているかというと、まず「Water」です。この表示義務は日本にはないそうですが、オーストラリアの場合は表示しなければならない。ではどうして水?ってことになりますが、これはいわゆる「ブライン液」(漬けダレ)ってことですね。では何が含まれているのか。これがズラ~っと書いてあります。

塩じゃハーブ、スパイス類は良いとして、酸度調整剤(?)とかカノラオイル、粘度増強剤、抗酸化剤、着色剤などそれはそれは様々なものが入っています。つまり、周りに塩やスパイスが塗ったくってあるってだけじゃないんですね。ハムのように「ブライン液に浸けてある状態」のブロックだということ。

でもブライン液に漬けるなんてまだるっこしいことはしないんですね。ではどうしているかというと、これでしょう。

ええーーと思うかもしれませんが、普通の肉でもこのような処理がされているものが多く出回っていて(日本も同じ)、それは鶏肉さえも同じ。そしてなんと近年は魚にもやっているとのこと。丸々と太って脂も乗って味もしっかりして美味しいねぇ~、なんていうのがどこまで本物なのか。現代はこういう食品の中で我々は生きているのが実情なんでしょう。これの副作用は間違いなくあるはずで、牛でも鶏でも安くて良いね、なんてのは、特に鶏の場合は普通3ヶ月掛かるのを45-60日で、しかもギュウギュウ詰めの檻の中で育ちの早いブロイラーを育て、手がかからないように抗生物質を含む薬品漬けになっているのが普通とのこと。

我々は家畜がどういう環境で何を食べて育ち、どんな薬が投与され、そしてどのように殺され、解体され、そして肉にどのようなインチキとも言えるような手が加えられているのかも知らずに食べているんですね。そんなのは嫌だ~なんて思うと、2倍の価格は受け入れないとならないし、そういう肉ももちろん売っている。

近年は「菜食主義者」から一歩進んで「ベーガン」と呼ばれる人たちが増えていますよね。動物由来のものは食べないどころか、身の回りにも置かない、使わない。つまり、革製品も排除するという徹底した人たち。これは健康のためでもあるし、また非情な家畜の取り扱いに対する抵抗でもあるんでしょう。

ま、こういうことを考えると食べたくなくなりますが、では何も考えないで良いのかというとそんなこともなくて、やっぱりしっかり考えないとならないことでもあると思うのです。

でも私としては気になる程度で、ではそういうものを排除しようとまでは思いません。でも知らん顔もしません。

と、前書きが長かったですが、今回の肉はそういう肉であるということ。またこちらのスーパーで売っているようなロースト用のブロックには殆どがこの手の肉です。それが嫌なら、高級肉屋でちゃんとした肉を手に入れるしか無い。

私は安い鶏であるブロイラーも食べますし、こういう肉も食べます。

料理する上でこういう肉はどこが違うのかですが、いわゆるブライン液に漬けてあるのと同じ、つまり「塩蔵」してあるわけですが(注射針で溶液を注入すると早く均等に出来る)、これの特徴として、「赤みが強く残る」んですね。また内容物に「ピンクソルト」と欧米では一般的に呼ばれる「硝酸塩」「亜硝酸塩」が入っているのが多い。ハムの多くにはこれが入っているのが普通。これは歴史的に見て人類は岩塩を使っていたわけですが、そもそも岩塩にはこれが微量に含まれている。だからこそ、人類はボツリヌス菌を抑えこんでハムとか燻製とか作れるようになったとのこと。ボツリヌス菌の名前は「ソーセージ」が語源だそうです。人類はボツリヌス菌と戦い続けてきたんですね。

でもこの硝酸塩、亜硝酸塩のおかげでそれを乗り越えることが出来た。ただこれは日本では「着色料」と言われていますが、本来の目的は着色ではなくて、殺菌にある。そしてなおかつ、これが入っていると美味しくなるとのこと。そして抗酸化作用があるので色が綺麗に出る。

つまり、塩蔵してある肉は「赤く仕上がる」と考えても間違いがないと思っています。

私はこれに気がつくのに1年以上かかりまして(笑)、どうして同じ温度で低温調理をしても出来上がりの色が違うのかと結構悩んでいました。

でもこれの理由がわかれば簡単で、そしてこの手の肉の場合は温度を上げないとならないんですね。

例えば普通の肉であれば大体55度でレア。57度でミディアムレアという感じでしょうが、これに1-2度足さないと、真っ赤っ赤な仕上がりになることが多いです。

ですから、今回は本来なら55度で低温調理するのに、57度で調理しました。調理時間は(時間が無かったので)2時間ちょっと程度です。

切り口はこんな感じ。

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作り方としてはブロックを密封してお湯の中に投入にします。今回は57度。普通の肉に比べると我が家の標準では2度高い温度。

これが出来上がりですが、この状態では「茹で肉」と同じ。

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これにしっかり焼き目を付けます。かなり熱くしたフライパンを使い、なおかつバーナーを我が家では使います。もしかしたら熱々のオーブンに入れる、ブロイル(Broil)直火で焼くのも良いはず。結構時間を掛けても中まで火が通ってしまうことはまずありませんし、逆に長く時間を掛けることによって、ローストビーフらしい「火の通り方がグラデュエーションとなる」んですね。そうじゃないと真ん中は調度よくて、外周だけちょっと焼けているといういかにも低温調理で作りましたという色になってしまう。

意味がわかりますかね?この上の写真に出したように、火が通ってよく焼けている部分が薄いですよね。本来ローストビーフはこういう火の入り方はしないんですね。いや、これが良いのだという人もいますが、私は火の通り方がグラデュエーションになっているものが好きです。

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例えばこんな感じ。私はもう少し生の方が好きなんですが、赤いと「生だ~~~~」と騒ぐ人が我が家には一名いますので、ちょっと多目に火を通しましたが、火の通り方がグラデュエーションになっていますよね。外側に向って段々と火が入っている。私はやっぱりこれがローストビーフだと思うんですよ。それぞれの場所の味が違いますし楽しみが多い。でも低温調理で周りをちょっと焼いただけだとその面白さがないんですね。見た目も不自然ですし。

今回の焼き上がりはこんな感じ。これでも10分以上時間を掛けてかなり熱いフライパンで焼きました。そしてなおかつバーナーで焼いています。

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そしてこれを適当に切り、皿によそって、先日の失敗したオニオンスープに炒めたマシュルームを入れ煮込んだソースを掛けました。

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美味しかった~~~と言いたいところですが、私はローストビーフは下手にグレービーは掛けずに、マスタードだけとか、醤油+ワサビで食べるのが美味しいと思う。(笑)

ま、そんなこんなで、余ったオニオンスープは無事、有効利用が出来ましたし、久しぶりにそこそこ美味しいローストビーフを食べることが出来ました。

ああ、ヨメさんだけはヒレ肉を焼いて食べたのですが、久しぶりに美味しい肉だったと喜んでいました。彼女はヒレ肉好き。私はリブアイが好き。トンカツもそうなんですよ。ヨメさんはヒレカツ。私はロースカツじゃなければ絶対に食べません。女帝と下男の違いでしょうか。(笑)

 
 
 

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