イギリスがEU離脱の国民投票をした日は為替が大きく動いたのは皆さん御存知の通り。それも数分の中で動いたという不思議な動き(USD/JPYの場合)。
この変な動きがなぜ起きたのかは別にして、こういう時にFXでちゃんと利益を出した主婦がニュースにでていました。金曜日には544万円。週明けでは33万円を稼いだとのこと。
このニュースはその主婦に焦点をあてているわけではなくて、EU離脱がどういう影響を日本に与えたのかというレポート。その主婦が出てくるのは中のホンの一部。こういう人もいたという内容。
英・EU離脱 ショック余波で早くも暮らしに「変化」(フジテレビ系(FNN)) – Yahoo!ニュース
もし自分も同じように利益を出したいと思った場合、こういうニュースをただ見るだけじゃ駄目なんですね。この主婦ってどんなやり方をしているのか、話の中、映像、画像から推測するべきだと思うんです。(彼女が本当に利益を出しているのかどうかを疑うべきじゃない)
話の中では「日本円」に関して話していますので、日本円ペアのFXをやっているのはほぼ間違いがない。ではドル円なのかポンド円なのか、その辺はわからない。
ただ彼女はかなりの多くのチャートを表示させている。これを見て、彼女が何を表示して見ているのかが我々もパッとわかるようにならないとトレーダーとしては失格じゃないですかね。そして興味が出たら「彼女の使っているチャートを自分で再現して見てみる」のが重要かと。これをやり続けて初めて自分に合うものと出会うことが出来るんですね。
そして個々のチャートではどんなインジケータを表示させているのか。わかります?
これを見ると彼女の手法もなんとなく見えてくるでしょ?ただ、オシレータ系は一切ないのでオシレータオタクの私としては「何でタイミングを取っているのか」がわからず不思議だなぁと思うんですが。
そして彼女は当日に544万の利益を出したという。もし彼女がUSD/JPYを売買しているとしたら、それだけの額をどこで儲けたか。これはチャートを見て想像するわけです。
彼女は「離脱する」という前提があったそうですから、大きな下落が始まる前から「円を買っていた」はず。ところが相場の動きは数分の中で動いたわけですから(USD/JPYの場合)、彼女は一分足を表示しているわけでもないのに(ただ他の場面で違うチャートを使っているのもわかる)、あの急激な動きの中で大きな利幅を取るのは簡単じゃないんですね。どこまで円が上がるかわかりませんから、動きが予想通りだとしても「ここで売り抜ける」と最初から決めるのは難しい。
でも決めておかないとあの速さの動きについていくのはスマホからのトレードじゃ不可能じゃないですかね。でも値を決めたら「大きくは取れない」あるいは「その値まで届かない」ことが起きるわけで、そこに疑問が残ります。
そして彼女はスマホを使って売買指示を出しているのがわかる。つまりデイトレーダーなのは想像できても、数秒、数十秒の単位で「ここだ!」というような注文を出しているのではないことも想像できる。
その辺をいろいろ考えると、なぜ544万円という利益を出せるのかちょっと不思議に感じるのですが、彼女は週明けも夕方までに33万円の利益を出したと。ここで週明けのチャートも見てみますが、大きく動いたわけでもないのに「どうしてそれだけの利益を出せたのか」を考えながら見てみます。
これは週明け27日のUSD/JPY。5分足。夕方までのチャート。
チャートの横線一升が5PIPSです。つまり100万ドルで500ドル。他の通貨ペアもトレードしているにしても、この動きで33万円の利益を出すにはどこでどうしたのか、想像するわけです。
彼女は子育てもしていますし、家事をしながらのトレード。ですからこの動きで彼女が利益を出したのはどのへんなのか想像はつきますが、金曜日の動きも考えると、彼女がトレードする単位はきっと最低でも100万ドル単位であることが想像できる。ただこれは一発勝負ってことではなくて、50万ドルX4かもしれない。どちらにしてもそのくらいのロットは動かしているのはわかる。(利益を上げるには利幅を増やすのではない、ってことがここではっきりわかるはず)(利益を伸ばすには「自分が確実に取れる値幅Xロット」しかない)(100万ドルロットにビビっちゃ駄目なのはこういうこと)(だからビビらないように小幅でも自信を持って取れるような手法を持たないかぎり駄目だってこと)
多分彼女の投入資金は2000-2500万円程度であろうこと(デイトレだけの場合)もここから想像できるんですね。レバレッジは10倍以内で抑えているはず。そうじゃなければ金曜日の動きで500万以上を狙うのはギャンブルになるし、またそれ以上の資金を投入しても効率は悪くなる。
デイトレだとしても頻繁に売買する方法ではなく、オシレータもつかっていませんから細かく利益を取るのではなくて大きな流れを取る方法なのはわかりますが、ピボットも多用してブレイクを見ているのだろうことも想像できる。私みたいなオタクには彼女のインジケータの少なさにびっくりしていますが・・。
結果的に重要なポイントってのはこの映像からはわからないし、またそれがわかるような場面は彼女は隠すはずですが、どんな感じでトレードしているのかの大雑把なのはわかりますよね。
こういう他人様の手の内を知るのは非常に大事で、「なるほど・・」って思うことがあるし、「それで勝てるのかよ?」と思うこともある。そして重要なのは、「これでも勝てるなら自分のXXも足したらもっと見やすくなるかもしれない」という次の手を考えることじゃないでしょうか(私の手法はそうやって育った。他人の真似が原点)。この女性が本当にどれだけ稼いでいるのかはわからないにしろ、「このやり方で利益を出している」というのは非常に大事で、「チャートのウンチク」のこういう映像を見ても何の役にも立たないんですね(私のチャートも同じ 笑)。
また彼女の問題点、不得手なことも見えてくるはずなんですね。私に言わせますとスマホでトレードなんて速い動きに追いつけませんから、手法は限られてくると思うし、ラップトップを見ながらスマホという環境は非常に危険なのにも関わらず、100万~200万ドル程度のロットは動かしている点。もしこれが自分だとしたらどれほどのリスクがあるのかもわかるわけで、これから自分が持っているはずのリスクにも思いをはべらして、他人の欠点から自分の欠点も洗い出すことが出来る。
チャート分析やトレードを教えるような映像、教材っていくらでもありますが、そういうのは「基礎を勉強する」のには良くても、それで実戦は強くならないんですね。全てが「後講釈」ですから、「ああすべき、こうすべき」「この動きがポイント」なんてのも「全部嘘」と思っても良いくらい。だから実戦でどう使っているのかを見ないと勉強にはならない。
前に書いたことがありますが、日本で「カリスマトレーダー」と言われるトレーダーがいて、証券会社が主催する座談会に出てきたり「成功物語」をあちこちでしゃべっていた。でも彼の実戦はどうなのかわからない。ところがですね、ネットの中で「実戦対決」みたいなのがあったんですよ。それを見てびっくり。初心者丸出しで、彼はダウントレンド中に「この辺で反発する」という読みで逆張りをして「買いから入った」んです。それがまぁ、大外れで、どんどん下がる。彼はナンピン買いをする。下がる。ナンピン買いをする。こういうとんでもないことを繰り返し、最後は投げました。
バカじゃん、と思いました。その対決では自費でトレードしていて、彼はその時に200万ぐらい損したのかな。これもやらせかどうかわかりませんが、とにかく「大恥」をかいた。
だいたいこの手のものが世の中に氾濫していてセミナーも同じなんですね。後講釈で「こういう時にはこうすれば良い」というのがほとんど。書籍も同じ。これはこれで大事で、「教科書通りに動く時」があるわけですし、その基本的な見方もわからないでチャートを見ていても全く意味がありませんから。でも「後講釈」だというのを忘れて、「この手法は凄い・・」なんて思っちゃうことも結構ある。
その手法をチャート分析ソフトに入力できるタイプのものなら、過去データで検証すれば一発でどれほどのものかわかるわけですが、私も過去に自動運転で儲けるのはトレーダーの夢ですので、それなりに入れ込んだ時期がありました。でも自分の手法をPCで再現することは出来ませんでした。私の場合は「パターン」を重視しますのでそれをどう数値で表すのかがわかりませんでしたし、XXの指標が0ラインを抜けたら・・とかストキャスがオーバーボートから下がってきて80のラインを割ったら売りだとか、そんなバカみたいに単純なルールをいくつ組み合わせても駄目だというの私の結論でした。でもちょっとしたアプローチの方法、考え方を変えるだけで良い成績が出せるものもあるのかもしれませんが、世の中で売られている自動売買ソフト、アルゴリズムでユーザーがどれほど利益を出しているのかは疑問。そもそも私が開発者だったら「絶対に公表しない」「売らない」ですし。
でも自動売買のルールを使って売買するのではないにしろ、「売りのサインを出している時には買わない」とかそういう使い方もありますし、サインを出す場所をチャート上にプロットすると何が問題なのかはすぐわかるんですね。結果ばかり気になる人はそれもしないみたいですが、その売買ポイントを見ていると、「これにXXを足せば使える」ってのも見えてくるわけですよ。この作業が大事で結果は忘れたほうが良い。全部が全部でないのは当たり前ですが、「これは使えそうだ」というのは間違いなくある。でもそれはそのアルゴリズム+自分の手法で出来るものであって、スイッチを入れれば儲かるなんて夢みたいなことは無いし、逆に「あんなので勝てると思うやつはバカだ」というのも違うと思っています。逆に自動売買システムを見ていて、「おおおーーー、ここでこんなサインを出すのか~~」なんて感激することもあります。だから「その通りにする」のではなくて「そのサインの中から自分流に選別」すれば良いというのがわかることもある。
だから他人様が実際にトレードしている環境を見ることが出来たら、それこそが一番の勉強になるってことなんですね。そして自動売買アルゴリズムも「当てにしてはならない、だけど参考にはする」という考え方必要だと思います。
今日、紹介したこの主婦の手法は、結局この映像からはわかりませんが、「こんなんで利益を出している主婦がいるんだ」というのを覗き見ることが出来ただけでも私は良かったと思います。「なるほど~~」って思うことはありませんでしたが、そういうのが見える時もあるから、こういうのを素通りしては駄目だと思います。ましてや「こんなのは嘘だろ」なんて思ったら自分で自分が伸びるチャンスを消しているのも同じだし、もし嘘だろと思うとしたら、どこがどうだからそう思うのか。でももし嘘じゃないとしたらどうしてこれで利益が出るのだろうと考え続けるのが自分の肥やしになるんじゃないですかね。
そういう意味で、この映像は私の肥やしになったとは思いませんが(笑)、普通の主婦がどんなチャートでどんな手法で、どんな環境でやっているのかを知る、想像するのは面白いと思います。
ただ、これは駄目だろうと思った点が一つあります。彼女は「イギリスは離脱する」という前提でトレードしていたってこと。これを「読み」だと思ってはいけないと私は考えていて、これは「思い込み」「先入観」であって、負けるのはまさにこれがあるからなんですね。だからきっとこの主婦は利益も大きいけれど損するときも大きいような気がします。もしかしたら「単なる博打好き」かもしれないと映像に出たチャートを見て思いました。
ただですね、彼女は素人が見てもしょうがないような数のチャートを表示させていますよね。あの小ささでは個別の動きは把握できませんが、彼女は「女性特有の勘がするどい」のかもしれないと思いました。全体を見渡していて、そこに流れる「雰囲気」を感じる取るのが上手いかもしれない。どこかで出来た動きが他の通貨、市場にも伝播していく様、スピードを見ていて、その動きの重大さとかピピっと来るのかもしれない。だから「勝負どころがわかる」ということもあるのかもしれない。
彼女を「主婦」と思ったら大間違いで、独身時代はやり手のトレーダーだったりね。(笑)
どちらにしても個人の癖、性格、能力によってアプローチの方法が皆違うわけで、それを無視した手法って駄目だし、自分に合うものに巡り合わないかぎりどうにもならないんでしょう。だから、XXXが良い、XXXは駄目という議論には意味が無いんですね。「こんなこともわからないでやっているのか」ってびっくりすることがありますが、それは逆に相手はこちらを「こんなこともわからないのか」って思ってるんですね。こういうことも考えずに、「王道」があると信じて何十年勉強してもどうにもならない。
理論を語らせたら凄いけれど、勝てない人って世の中にはわんさといるわけで、その理屈を聞いて凄いなんて思っちゃ駄目だし、自画自賛しているようじゃ一生うだつは上がらない。「勝てない奴ほど理論武装に励む」という真理を念頭に置いて、自分をチェックするのも大事でしょう。評論家になるとか企業で働くなら話は別ですが。
自分を知ることがスタートなのかもしれませんね。
「青い鳥はいない」って気がついたことが「青い鳥の発見」かもしれない。