Ninjatraderを使っていますが、長男と一緒にやっていてよく話題に出るのが「我々の手法のストラテジーがはっきりしていない」ってこと。
基本中の基本は「トレンドフォロー型」なわけですが、
◯ 何をもってトレンド発生とみなすか
◯ 押し目、戻しからの反転で出撃する場合、何でそれを決めるか
特にトレンドの発生をどう見るかが難しいわけですが、トレンドと言ってもいろいろなんですね。それこそ一直線に動くようなトレンドもあえば、大きなウネリを伴ったものもあって、そして「トレンドの強さ」もまちまちなものを一つのインジケータで判定するのは不可能。
ですからトレンドを見るインジケータを私はいくつも使っているわけですが、使い慣れていると「どの場面でどれを重視するか」ってのが自分の中に出来てくるんですね。これって企業の経営会議みたいなもので、参加者は皆エキスパートではあるものの完璧なメンバーはおらず、合議制を取るしか無い。でもそれぞれの場面で誰の言うことを重視するかってのは「経験則」のなかで見えてくる。
ところがそれってかなりいい加減であるし、その見方を他人に伝えることは不可能なんですね。初心者の息子にしてみればどのインジケータを重視するべきかがわからない。
でも私はこれを厳密に決める必要もないと思っていて、「トレンドとみなす」のは「自分の中の決め事」であっても良いと思うんです。その中で「やるべきことをやる」のが重要であって、結果的に「違うものを重視すれば良かった」なんてのは日常茶飯事ですがそれはそれで構わないと思うんです。重要なのは「どれを使っても負けない」ってことで、「こうすれば、ああすれば、もっと大きな値幅を抜けた」ってのは結果論でしか無い。
大事なことは「負けないこと」であって、「勝つことを優先すると負ける」という不思議な事が起きる。
でも効率を良くするために「何をどう使うべきか」は永遠のテーマであって、「これをこう使えば良い」なんて簡単な答えはないんですね。
またトレンド方向に向けて出撃する時に使うものですが、これは基本的にはパラメータの短いオシレータを主体的に使っていますが、これも自分が使いやすいと思うものを使うだけ。
結局、「これが正解」ってのは存在しなくて、またその選び方はトレーダーの癖も大きく影響するわけで、我々親子と言えども「同じことはできない」のがわかってきました。またそんな長男に付き合って彼の疑問やサジェスチョンを聞いていると私も何がなんだかわからなくなるということが起きています。(笑)
二人で統一したやり方を作る必要はないのですが、自分自身の中でも「システムトレード」の部分をもっと前面に出したほうが良いと思うようになってきました。私の手法は「裁量型」に分類されるはずですが、私自身は「システムトレードと裁量の融合が重要」だと考えていて、基本的には「撤退はルール通り」だけれど「出撃はそのサインを取るか取らないかは裁量で決める」という感じでしょうか。でももちろん「サインが出ていないところで出撃することはありえない」わけです。
でも今はこれをもっと「システムトレード」に近づける方向性で考え出しています。
勝率が非常に大事なのはいつも書いているとおりですが(そうじゃないとロットを増やせない)、決まったルールだけでやると「出撃場所が極端に減る」んです。「その時」が来るのを待つのって非常に難しいわけで、下手をしたら6時間モニターを見続けていても「その時は来ない」かもしれない。
でももし「自動運転」が出来るのならばコンピューターに勝手にやらせておけば良いわけで、幾つかのマーケット、幾つかの時間軸を見張っていれば「その時」が出てくるチャンスは劇的に増えるのでそれもよいのではないかと。
私としては「自動運転を考えるのはまだ先のこと」と思っていましたが、やっぱり若い息子としては考え方が欧米的、論理的で、「きっちり決まったルールで売買する」方向が重要だと言う。そしてそれがはっきりしていればPCに売買させることは可能となります。
これは一理も二理もあるわけで、私自身も頭はパーに近づいていますし、目も悪く長時間モニターを見続けるのは不可能。そしてスナイパーが銃を構えて、引き金に指をかけた状態でチャンスを待ち続けるようなことがどんどん難しくなるんですね。緊張感を維持できません。またこれって「命を削っている」と言っても良いくらい疲れるし、年寄りがやることじゃないのは間違いない。(笑)
ところがですねぇ、売買決定のアルゴリズムは脳内にあってもそれをどう自動売買のプログラムにするのかってのが難しいんですね。移動平均の交差で出撃~~~なんて単純じゃないわけで、幾つものインジケータの動きを重ねて見るわけで、そして大事なのは「どうやってサインを出すか」というより「どうやって駄目なサインを消すか」なんですね。これって自動売買プログラムをいじったことがある人はすぐに分かるはずなんですが、「こんな場所でサインを出すなよ~、馬鹿~~」って思うことはよくある。って私だって自動売買は夢ですから過去に何度かトライしたものの、「自分の頭のなかにあるものをプログラム化できない」んですね。
ところがですね、さすがNinjatraderで面白いサードパーティのソフトがあるのがわかりました。Ninjatrader自体が自動運転ができるようになっていますが、そのアルゴリズムを組むのは簡単ではなくて単純なものしか(私には)できない。コードを自分で書くなんてことも出来ない。
でもあるソフトを使えば簡単にできるのがわかった。それを紹介します。
この会社は2つのソフトを出しています。
◯ BloodHound
これは「出撃サイン」を作るソフトですが、一般的に7-10ぐらいのインジケータの動きや条件を「脳内で判断してサインを作る」わけですが、それをプログラム化するのはかなり面倒ですよね。でもこのソフトを使えば、簡単(でもないか)に作れる。それもIf~Thenとかor, andを記述することなくです。インターフェースはビジュアルになっていて、一つ一つの条件を作ってそれを組み合わせるのが非常に簡単。
こんな感じ。
これで生成されたサインはチャート上に表示されますので、目でチェックしながら条件を変えたり付け加えて、「ほぼ自分が欲しいサインを作れる」ところが凄いと思います。
もちろん、そのサインと「過去データ」を使ってどんなパフォーマンスが出るのか検証も可能。
このサインを元に「手動入力」でも良いし、Ninjatraderならすぐに「自動売買」で使える。
◯ BlackBird
出撃は良いにしても利確、損切りはどうするのか。これを決めるのがこのソフトですが、単純にXXティックで利確(損切り)、トレーリングストップなどの簡単なものは当然ながら、ATRやSAR、DonchanやSuperTrend、移動平均を使ったり、あるいは他のインジケータのサインを利確(損切り)ポイントと設定することが可能。常時、値は動いているわけで、それに合わせて利確(損切り)ポイントも臨機応変に動かすことが可能。
また自動売買を前提に作られていますから、売買する時間帯の管理も出来ますし、目標利益、一定の損失に達したら自動運転を止めるとか、また出撃、撤退に関しても「複数のロットを管理」できます。つまり「買い増し」とか、利益が出ていれば出撃ロットの一部は「Runner」として利益を追い続けさせたり。大体、やりたいことは全て簡単な設定できる。この手の機能もNinjatraderに実装されていますが、内容の濃さがまるで違います。
なおかつ、出撃ルール、撤退ルールを「今の値動き」で見た場合、「リスクリワードレシオ」が低すぎたら「出撃を見送る」とか、あるいは「口座の残高」から計算して出撃ロットを決めたり自由自在。
世の中には「自動売買プログラム」なるものが売られていますが、自分でかなり複雑なものを作れますし、対象マーケットや時間軸によって条件やパラメータを変えたものを複数、同時に動かすことも可能。それぞれのマーケット(売買対象)には個性がありますし、時間帯にもよって違う。ですから対象マーケットや時間帯によってパラメータを変えたりするわけですが、それをこのソフトで自動で作ることは出来ませんが、「稼働時間の設定」は出来ますので、あるいは(例えば)ATRを使って一定の数値以上でなければ「全ての出撃サインは無視する」こともできますし、それぞれの対象マーケット、時間帯ごとに特化したものを作って、並行して動かすことも可能。
先物だろうがFXだろうが、株式だろうが、データさえ入ってきてNinjatraderを接続できるブローカーであれば、自動運転は可能ということ。
面白いと思います。
ただし英語がわからないとどうにもならないはず。Ninjatraderそのものに関しても、あるいはこの手のソフトに関する情報は「日本には無いのも同じ」状態で、そもそもトレードに関する情報の量、濃さは日本は全くお話にならない状況です。日本にあるのは(あまりにも簡単な)初心者用のもの、非論理的なもの、(私のような)素人のわけわからないものしかない(笑)と言っても良くて、欧米のようにプロやハイアマが情報交換をしているような場所もなければ、そういう人たちが力を合わせて「何かを作る文化」も日本にはないと思います。
今回紹介したソフトはかなりのスグレモノですが、それを拡張するシステムを提供する別の会社や、「こんなのはいかが?」とストラテジーを売る会社もある。
トレードに真剣に向き合うには「英語の情報無くしては無理」と私は思っているくらいです。英語に弱い方は腰が引けると思いますが、こういう世界は「業界用語のみ」と言ってもよくて、難しくてわけの分からない用語が次々に出てくるなんてことはありませんので、是非トライしてみたら良いと思います。
こういうソフトがあれば、巷で言われている「アルゴリズムや戦略」を自分のチャートで動かして検証することも簡単ですし、面白いのがあればそれに自分の得意な考え方をプラスしてもっと洗練されたものを作るのも可能。
BloodHoundを使ってとりあえず簡単な例を使った、BloodHoundとはどういうソフトなのかがわかる紹介動画があります。とりあえず見てみてください。結構とっつきにくい感じがするはずですが、これを使う使わないは別にしても、こんな程度で脱落しませんように・・・。
ただし、こういうソフトを使えば「完璧なサインが出る」なんてことはありえないわけで、でも自分が持っている様々な引き出しの中の一つでもこれで表現できればそれだけで凄いことだと思うんです。自分なら10回出撃するチャンスがあると思っても、これでサインを出させると1つ出るか出ないかなんてことも起こりうる。でもそのたった一つのサインを磨き上げることができればそこそこの年収は稼げますし、それを2つ、3つと増やしていく楽しみがあるんじゃないでしょうか。
こういうソフトを使う利点はいくつかあると思います。
◯ 自動運転で楽ができる。(笑)
これは横に置いといて、本当に大事なのは
◯ 自分が「脳内」で考えるルールが本当に有効なのか検証することによってはっきりわかる。
◯ 「脳内ルール」をこのソフトで再現できなければ、実は「ルールという名の【勘】でしかない」のがはっきりわかる。
ここは重要で、私みたいに「裁量」をそれなりに重要視するトレーダーでも、その「ルールに従わない理由」があるはずなんですね。自分ではそれを「ヒラメキ」でしかないと思っていてもそのヒラメキが出てくる理由があるはず。それを論理的に分析することは重要で、そのヒラメキに変わる「インジケータの組み合わせや設定」があるのかもしれない。これって有り得ることだと私は思っていて、多くのインジケータを自分は使っていますが、所詮インジケータというのは「プライスの焼き直し」でしかないんですね。つまりプライスの動き、出来高以外に「脳」に入ってくる情報はないわけですから、自分のチャートに使っていない「なんらかの判断ができる」インジケータが存在する可能性はあるはずなんです。自分が思う「雰囲気」とか「なんとなく」はどこから来ているのか。それを解明するのは非常に大事じゃないでしょうか。
私が裁量を捨てきれないのは、「俺の頭のほうがコンピュータより優秀だ」と思ってるからで(笑)、値動きと出来高しか情報がなくても、そしてチャート上には表示させていないけれど、「なんらかのインジケータが【脳内】に存在」しているのかもしれない。私はそれを見つけて、既存のインジケータで同じ結果を出せるようにするべきだと思うし、そしてそれを磨いて発展させることができたら面白いことが起きるんじゃないかと思っているわけです。
これって冗談じゃなくて、カラオケ、ダンスをする人はわかるはず。「歌い出すところ」「感情を込めるところ」「強く、あるいは弱くするべきところ」「わざとタイミングを外したほうがよいところ」とかこれって「理由はわからないけれど【わかる】」じゃないですか。これって本当に不思議でそれと同じことをコンピュータに「ハイ、ここです」と表示させることは不可能とは言いませんがかなり難しいと思うんですよ。我々の脳って半端じゃない情報を並列処理しているわけで、そう簡単にコンピュータには出来ないことが多々ある。
チャート分析って私は「アート」だと思っていて、単に数値だけではなくて「様々な種類のインジケータ、違うパラメータのラインが織りなすパターン」が重要だと考えています。それを「脳」はしっかり見ているはずですが、それをPCにやらすことができるのかどうか。
そこが私にはわからないのですが、でもどうにか「その元になるもの」を探したいと思っています。そしてそれはこういうソフトを使って、自分が考えるものとNinjatrader上にサインで出るものの「違い」を突き詰めていけば結構分かるのかもしれない。
ちなみに、私がなぜ移動平均線の(マイナーな)HMA(Hull Moving Average)を使うかですが、このソフトを使っていてその理由が見えてきました。脳が感じる「ここだ!」というのをHMAがきっちり表してくれる。それがわかればそれを積極的に使えるわけでサインとして表示することが可能となる。こういう自分では説明がつかない「ここで出撃しても良いはずだ」というのをインジケータでサインとして出せるようになったのは収穫だと思います。
こういうのが積み重ねれば、様々な「脳の判断」をチャート上のサインとして出せるようになる。
あるいは「ああ、俺ってサイコロを転がすのと同じように【運】に頼っていただけなんだ」なんてのがわかるだけかもしれない。(笑)
でも世の中では「運も腕の内」と言われますし、「運のよさ」はどこから来ているのか、そんなことを真剣に考えるのも重要なような気がします。あるいは逆に「運が悪い理由」も存在しているんでしょう。
これって実はチャート分析をしている人は誰しも経験があると思うんですが、「サインが出た。出撃した。負けた」という出来事を省みた時に、「あれれ、なんで俺はここで出撃したんだ?出撃サインなんか出ていないじゃないか」とわけがわからないことも実際に、それも頻繁に起きているんですね。つまりチャートを見ているようで見ていないってことなんですが、こういうことってやっぱり「欲望と不安」が奥の方から出てきて悪さをしているからだと思うのですが、そういう自分から脱却するためにも、こういうソフトを使うことが重要だと思うわけです。
最後にいつもと同じことを書きますが、利益を大きくするには「ロットを大きくする」しかないとはっきり決めて自覚することが重要だと思います(欧米ではそれが常識化している)。でも実際にはこれは簡単ではなくて、「出撃回数を増やそう」とか「もっと長い時間トレードしよう」とか「値幅をもっと大きく取ろうとか(これが一番、馬鹿げている考え方)」、「多くの資金を投入しよう」とか考えてはならないんですね。1万円を安定して勝てない人には100万円も、1000万円も、そしてもっとその先の金額をも掴める日は来ないんですね。そこで無理をすると「ギャンブル」になってしまい、いつか泣きを見るというのが古今東西、普通に起きていることのはず。