いつも息子と並んで、ああでもないこうでもないと言いながらトレードしたり、チャートをリファインしていますが、こういうやり取りが大事なんだというのを強く感じます。
「わかったつもり」ってのが常に自分の足をひっぱるわけで、「常に自分を疑う」のが大事なのはわかっているつもりでも、ではどこがどう悪いのかってのを自分で探すのは難しいのね。また自分の欠点に薄っすら気がついたとしても、そういう欠点がある「理由」ってのがあって、それが自分の性格とか思考パターンに根ざしたものだとしたらそれを改善するのは本当に難しい。不可能と言っても良いくらいかもしれない。
でも誰かと常にお互いをチェックしながらやっていると、大声で言い合いになったり喧嘩もしょっちゅうなんですが(笑)、それが改善に結びつくのは間違いがないようです。
これをせずに、自分一人で自分を変えるのは不可能かもしれない。あるいは簡単なことなのにその「悪癖」を治すためだけに何十年も掛かったり。
もしも「大工」だとして、何も知らずに「カンナとのこぎり」を持って、自分ひとりで大工になろうとしても半端じゃない難しさがあるのと同じ。料理もなんでも同じなんでしょうね~。
特に相場みたいに「正解のない世界」ってどこに進むべきかさえもわからず、「勝てればそれで良いんだよ」なんて軽く考えていると、ある日ある時、大損して撤退を余儀なくされるってのが現実なんだろうと思います。それは起きないにしても、思ったように利益が出ない、大きくなれないなんてのが普通。
どんなアホでも何年もやっていればそれなりに「身勝手流」でそこそこどうにかなるのが普通で、何年経っても負けっぱなしなんてことは無いはず。
でもやっぱりそれで常に目の前に出てくるハードルを飛び越えて前に進むのは簡単ではない。
「これだけ覚えればどうにかなる」なんてのがあるんですかね。
でも相場で言えば、「トレンドを重視すること」「損切りをなんなく出来るようになること」さえ覚えれば、多分、「覚えるべきことの50%はクリア」と言って良いんじゃないですかね。
でもその後が難しいのね。そしてその後が「どこまで大きくなれるか」の大事なポイントで、そして終わりがない勉強、理解、訓練が必要になる。最初の頃は「とりあえず勝てるようになりたい」って思うはずですが、それと「大きくなるためにはどうしたら良いのか」ってのは別なのね。でも最初はそこまで気が回らないから、大きくなるために大事なことを無視して進んでしまう。
野球にしてもゴルフにしても「そこそこ楽しむレベル」になるのもけっこう大変だけれど、プロになる、そしてその中で勝つレベルになるには半端じゃない努力が必要。
相場も同じなんだと思います。
だからやっぱり「勉強会」は必要で、そして「ちゃんとしたメンター」がいないと駄目なんだろうと思います。
さて私と息子の二人行脚ですが、私がメンターとしてどれほどの力があるかというとまだまだ駄目で、息子との話の中でも学ぶことが多く、師弟関係なんてなくて、「二人の迷える子羊」でしかないというのが現実なんでしょう。
でも息子はすでに初心者レベルを超えたと思うし、そこは私としては嬉しいのですが、まだまだこれからが本番。
私は私で迷うことはいくらでもあって、昔みたいに「時間を掛けて利益を出す」のは体力的にもう無理で(かつては一日18時間以上没頭していた)、効率を上げない限り「昔の自分にも勝てない」のがはっきり見えています。
でもまだ「昔の自分を乗り越えた」とは思えず。でも数歩は進んでいるのは間違いがないものの、この世界に戻ってきて新たに掲げた目標点に達するのはまだまだ先の話。それも可能かどうか見えず。
親子ともども「坂の上の雲」を見ながら一歩一歩進んではいるものの、まだ地べたを這いずり回っているのがわかる。(笑)
でも二人行脚である良さは間違いがなくて、そこそこのトレーダーになることを目指す人はしっかり「学ぶ」必要があると思います。
でも自己流では何十年掛かるかわからず、また書籍やセミナーをどれだけ受講しても「自分を評価するのが自分である限り駄目」だと思うんですよ。自分の悪癖や良い癖がどこにあるのか自分でわかるような人なら違うでしょうが、「自分のことは自分にはわからない」のが普通ですから、「独学には限界がある」と考えたほうが良いはず。ここで大事なのは基本を理解しているかどうかであって、「勝った負けた」「いくら儲けた」で判断しては駄目ってことなのね。ここは非常に重要で、多くの人は勝ち負けでしか判断しないからうまくならない。
今日は面白いことがありました。
基本的なトレード手法、考え方は私も息子も同じなのですが、チャートのセッティングがまるで違うんです。私には彼のセッティングが良いとは思えないものの、では自分のが間違いなく良いかと言うとそれは「わからない」わけで、そして息子流が息子なりに突き詰めて面白いものになれば、それは二人にとってプラスになることですから、「俺と同じセッティングにして、同じ様なトレードをしろ」とは言わないようにしています。
どうも「俺は天才かもしれない。トレードは簡単だ」と思っているフシがある息子ですが(笑)、今日はやることなすこと裏目に出てかなり落ち込んでいました。彼は為替に興味があるようで(FXではなくて先物)、各通貨ペアのチャートを並べて「相関」を見つつ、そして30分足で大きな流れを見つつ、練行足の短いパラメータのチャートをメインにしてタイミングを取る手法です。そして値動きの「発散と収斂」に重きをおいていて、発散時を捉えて出撃するという方法。
ま、考え方としては全く問題がないんですが、思ったように行くときもあれば、うまくいかない時もある。そしてやることなすこと裏目に出るなんてこともある。
それは当たり前で、常時ピッタリ動きが読めることなんてありえませんが、なぜ失敗したかの分析が何よりも大事なんですね。
出撃する時にいろいろ考えますが、もっと時間を掛けて「反省会」をすることが大事で、息子が失敗した箇所を、息子のチャート、私のチャートで「一体何を読み違えたのか」「どうするべきだったのか」の反省会を延々とやってみました。
そこで面白いことがわかったんですよ。
息子はメインのチャートに「平均足を掛けていない」ってこと。それが大きな原因だというのがわかりました。
平均足って見やすいですが、値動きを平均しているから見やすいだけの話で、実際の動きより「遅れる」んですね。ですから「ピンポイントの転換点が見えない」のね。
これが面白くないと息子は考えたようで、平均足を掛けずに細かな値動きを見て「大きな流れ、うねりを見る」ことをしていたんです。
それで細かい動きが見えるのは良いのですが、「細かい動きに翻弄される」ことも起きる。これが息子に起きたことなのがわかりました。
つまり「待って様子を見るべき所」で「彼は行動に移した」ってことなのね。
私のチャートで見れば、なんてことのない動きで決して難しくない動きなんですが・・・。
EUR/USDのマレーシア時間で16:30から17:15ぐらいの45分ぐらいの話。
もし1日の目標が20ティックだとしたら、この時間だけで十分「ノルマはクリア」できないと困る動きなんですが、彼は利益を出せなかった。
「トレンドに忠実であること」を彼は十分理解していますが、上に書いたように彼は「発散と収斂」に重きを置いているんですよ。
だから「発散」をしだしたところで出撃をしたのは良いのだけれど、「大きな時間軸で見た発散は【まだ続くはず】」と読んだのね。だから私のチャートで見ると「上げ止まり」のところでも保持を続け、(平均足を掛けていない)細かい動きが見えるセッティングで「陰転の後の陽転」で買い増ししたんですわ。ところがトレンドは続かずすぐに陰転。撤退。
利は乗っているんですが、同じことを数度繰り返しまして結果的にマイナスになってしまった。でもこれは平均足を重視していたら起きなかったこと。
そして彼は私がいつも言う「一つの波動で完結する」ことを無視して、「トレンドは続くはずだ」という読みの上で「買い増し」をしたんです。だからその読みがはずれたら損は膨らむ。また彼は「発散」を重視したわけですが、大きなトレンド、動きを見るチャートでは「大きなトレンド」はまるで見えておらず、「これから大きなトレンドが出るであろう」という勝手な期待をコントロールできなかったんですね。
私が大きな動きを見ている1500ティック足ですが、この場所で上昇を示唆しているのはHMAだけで一目改では下げトレンド継続中、Donchianは上下に往来する場所で、トレンドがない(まだ出来ていない)のは明らか(本来なら出撃不可の場所)。それなのに「発散を初めた」というたった一つのエビデンスだけで「上げトレンドが始まる」と【決めてしまった】ってこと。
つまりいくつか並べたチャートを見ていない、いくつものインジケータが何のためにあるのかも忘れて「思い込みでトレードをした」ということ。そしてなおかつ、見方が近視眼的になって小さな小さな値動きで「トレンド方向への新たな動き」を重視してしまった。
また「平均足はうねりを見やすいようにするために使うのであって」「動きの遅れを補佐するために敏感なMFI、QQE、Traders Dynamics Indexをつかう」ことを忘れていたのね。
また私が「絶対に必要だ」と言い続けていたTDI(Traders Dynamics Index)を使わずにRSIだけを表示していたんですよ。
つまりそれってすでに細かい反転がわかるMFI、QQEがあるのに、それと同じ様なものを増やしただけで、「出撃撤退ポイントが見えるTDIを見ていなかった」ってこと。「反転場所が大事なのに、反転そのものだけ見た」「その反転も小さな小さな動きで、平均足には表示さえされない」ってこと。
そして彼は「時間軸の長いチャートで【発散と収斂】を見ていた」わけですから、どうしたって目の前の動きには追いつけないのね。
面白いでしょ。
同じ考え方でやっているのに、チャートの設定、それの見方一つでまるで違う行動になるんですから。
でも今回のこれですが、長男の「一番駄目なところ」ってわかりますかね。
それは「将来を予想した」ってことなんです。まだ出来てない上昇トレンドを「来るはず」という期待・予想を持ったってことなのね。トレードには予想は禁物と私はこのブログにも何度も書いていますし、将来のことは神の領域で「予想をしても無駄」なんですよ。絶対に誰にもわからない。だから「過去、現在起きている事実だけを重視し、その流れに乗る」だけで良いんですね。
結局、今回の彼の過ちは「ビットコインは年内中に爆上げするだろう」「XXXXの株価は必ず上がる」という巷の競馬の予想屋と同じことをしてしまったってことなのね。著名な評論家、アナリストが「これから上がる、下がる」というのも同じこと。それが当たるなら、彼らはとっくのとうに世界一の金持ちになっていないとおかしいでしょう。
ここの問題点は「予想をすればするほど【勝てなくなる】という現実」なんですよ。
面白いのは彼も「予想をしてはいけない」というのは理解しているんですよ。でもやっちゃう。こここそが何よりも大事なポイント。自分でもわかっているのにやってしまう。人間って予想するのが大好きですし、それが当たった時の喜びって半端じゃないんですね。でもそれを乗り越えない限り、相場で勝つことは不可能だと私は断言します。
小さな日頃のトレードでもこういうことが起きるし、こういうことに自分は囚われているのを発見し、自覚し、善処しないとならないわけで、どれほど「反省会」が大事なのかおわかりになると思います。それも「自分に甘いことは言わない他人」がそれに参加していないと意味がないのね。自分だけだと言い訳を必ず考えますから。
そして反省会で「どうやっても勝てない」と思う動きも結構あるわけで、いかに勝てない動きを見抜くかってのも重要なんですね。上に書いたように「トレンド方向がどっちにでも取れるようなとき」って本来なら何もすべきじゃないし、たとえ勝てても「勝ったのは運だった」なんてのは将来の自分のためには無いほうが良いんですね。勝てば良いと思っていたら大間違いで、負けるかもしれないけれど「出撃すべき場所」もあるわけで、そういうところを学ぶことのほうが大事だと私は思う。
話は変わりますが、実は今、読者の中で「どうしてもダボ流でやってみたい」という方が2名いらっしゃって、私と似たようなチャートセッティングでトレードをしようと頑張っています。
でも、それぞれのインジケータが何のためにあるのか、どう使うのかがわからないと、「同じ設定でも難しい」ことが起きるのは間違いがないんです。
今回、息子は私のチャートより「自分で考えたチャートの方がわかりやすい」とアレンジしたものを使っていたので、読み方も私とは変わってしまうわけですが、「インジケータをどう使うか」「どうしてこの組み合わせなのか」がわからなければ多分、同じことが起きると思うんです。
ここが一番大事な所なのだけれど、それを伝えるにはどうしたら良いのか。
私はそのお二方に「とにかくたくさん悩んでください」としか言えないのだけれど、どこをどう悩んだらどうなるのか。
これって実際に値が動いている時に、同じチャートを見ながら、「どう見るのか」を細かく話し合わないと「自分で使い方を覚えるのは難しい」だろうと、今日の息子とのやり取りで思ったわけです。
大工になろうとする人が「カンナとのこぎり」を手に入れればどうにかなるのか?って話と同じなのね。
お一人の方から「ダボさんの息子さんが羨ましいです」というメールを頂戴しましたが、私としては今後この方たちとどう向き合うべきか悩んでいます。
自己流で、独学でうまくなることが出来ることって世の中に存在するんだろうか・・・。
そんなことを考えています。
チャートはただの道具でしかない。
でも今の私には余裕がありませんが、こうやってブログにトレードのことを書き出したのは「誰でもやろうと思えば出来る」という信念があるからで、それに呼応した方が出てきて頑張るのであれば、時間はかかろうとも結果が出るようにどうにかお手伝いしたいと私は考えています。私だって今があるのは私を見捨てなかった人がいるからですし。(笑)
ただ私の手法はもしかしたらややこしすぎるかもしれず、また手法はいろいろあってトレーダーに合う合わないもありますから、もし真剣に勉強したい、勝てるようになりたいという方がいらっしゃったら、「それなりのサービスをするプロバイダ」は存在しますから、ちゃんとセミナーを受けたら良いんじゃないでしょうか。でもそれは一方通行の書籍を読むようなものじゃ駄目だし、講師が「ほら、ここではこう考えるんですよ」なんてのをいくら聞いても駄目で、みなさん自身の「考え方」「読み方」をメンターが理解した上で、「どう読むのか」を個別に教えてくれるようじゃないと全く意味がないと思います。
また私は超短期売買をしますが、そうじゃないと利益が出ないってわけじゃなくて、その方が簡単に大きくなれるからでしか無くて、もっと大きな時間軸を見たトレードもやることは同じなのね。掛ける時間が違うだけの話。
でも中長期売買は「楽」だけれど、欠点も大いにあるということ。これを無視すると痛い目に合いますから注意が必要で、相場の世界でも実業の世界でも「想定外」のことが起きた時にどう生き残るかが大事なんじゃないですかね。
でもま、超短期売買をするにはモニターに張り付く時間が長くなりますから、物理的にそれは出来ない人は間違いなく居る。だったら時間軸を長くすれば、そして要所要所でアラートが出るように設定しておけば、そのときだけチャートを見て「売買するかどうか判断する」なんて方法もあるのは前に書いた通り。
例えば、大きくなるためにはドイツのBundが良いと何度も何度も書いていますが、これを細かく取るのではなくて長い時間軸で考えてトレードすることも可能なんですわ。そしてBundってのはドイツ国債ですが、株式指標みたいにあっちだこっちだという動きじゃないんですよ。トレンドに乗りやすいのね。
これはBundの1500ティックチャートですが、私はこれで「大きな流れ」を見ています。そしてこのチャートが示す方向性を重視して、短期間で勝負するわけです。
でもこういうチャートでトレンドそのものを取る方法も十分可能。
使い方は時間軸が違っても同じで、このチャートでは大きなトレンドを3つのインジケータで見ていますが、どれを重視してもそのトレンドに沿って「売買タイミングはオシレータで見る」方法を取れば面白いのがわかるはず。
極論を言えばチャートも基本的な機能だけあればどうにかなるわけで、前に紹介したWEB上のチャートであるTradingview(クリック)でもUSD/JPYの売買を日足を見ながらすることだって可能。
問題はチャート、インジケータじゃなくて「いかに勝つか」のノウハウでしか無いのね。それなくして道具に拘っても全く意味がない。
そしていかに勝つかを知るにはそれなりの努力と運が必要なんでしょう。チャートを見て「なるほど」なんて思ってもそれは勝ちには結びつかない。
でも私がなぜチャートに拘るのかと言えば、「切れない包丁でも料理は出来る。でも包丁は切れたほうが良い」と思うのと同じ理由。それだけのこと。