海外在住者の滞納許さぬ、国税が豪と8億円徴収【ニュース】

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「日本への納税」をしていなかった海外在住者が【オーストラリア当局によって財産を差し押さえられた】というニュース。

海外在住者の滞納許さぬ、国税が豪と8億円徴収

このニュースは「オーストラリア」という国名を「マレーシア」と考えて読めば、マレーシア在住の我々には全く関係がないニュースとは思えず、気になるニュースだと思いました。

このオーストラリア在住者は【(日本に収めるべき)贈与税の8億円】を滞納していたということですが、どういう贈与が行われたかの詳細はニュースには書いていません。

オーストラリアの税制には「贈与・相続」の概念がなく、贈与・相続税は課されませんがそれを利用した「それなりに巧妙な贈与計画」が実行されたのだろうと私は想像していて、オーストラリアでは贈与税はかからないから、日本の親の財産を贈与しても大丈夫だよね、みたいな何も知らないアホの贈与計画だっとは思えません。

また贈与された額は「数十億円」となっていますが、数十億円で贈与税が8億円というのも随分おかしな計算だと思ったり。

基礎控除とか控除がありますが、単純に言えば、「4500万円を超えると税率は55%」となるはずで、贈与は10数億円だったんですかね。あるいは手の混んだ計画で、数十億円という規模でもそれが事業会社であったり、それも借入金があったり、あるいはかつての「武富士の巨額贈与」みたいに海外の事業会社の資産として贈与が行われたとか、贈与税がかからない部分があったのかもしれないと思ったり。

ああああ、一部は日本ですでに徴収されているんですね。「同国税局は日本にあった男性の預金を差し押さえる形で一部を徴収したが、延滞税などを含めた約8億円が未納のまま」だったと書いてある。

ま、単純に親が数十億円のキャッシュをオーストラリアの子供の銀行口座に入金し、それをそのままにしておいた、なんて簡単な内容だとは思えず。

どちらにしてもこのニュースの特殊なところは「差し押さえをしたのは日本の当局ではなくて、オーストラリア当局である」という点でしょう。

昔から海外を利用したいろいろと合法的な節税ではない贈与・相続は行われてきたわけですが、よく言われることは「そのお金を日本に戻すと足がつく」ということ。「海外にその資産を出しっぱなしにしておけば大丈夫」という意味。

でも今回は、海外の税務当局が日本の国税局の代わりに差し押さえをしたわけですから、マレーシア在住の我々からすると「日本の当局にはわかりはしないだろうとたかを括っていて、でもそれがバレても知らん顔。そうしたらマレーシアの税務当局に差し押さえられた」のと同じ。

またこのニュースからは、どうしてこの「日本への無申告(あるいは過少申告、虚偽の申告)」がわかったのかも書かれていませんが、少なくとも言えることは「オーストラリア在住の贈与を受けた子供」は「オーストラリアの居住者」であったことは間違いがないと思うんですよ。巨額の贈与を行うのに、それを受ける方は「間違いのないオーストラリアの居住者」としてのステイタスは確保していたであろうことは疑う余地はないと思います。

つまり、オーストラリアの永住権を持ち、きっと仕事もして納税もし、家も持ち家族もいて、普通のオーストラリア人、永住者と同じ生活をしていたであろうことは想像できる。永住権もなく、仕事もせず、資産らしい資産も持たず、日本と行ったり来たりしているような「長期旅行者」みたいな生活をしつつ、巨額の贈与を実行するなんてあり得ないと思います。

ですから、オーストラリア国内の普通の贈与であるなら、多分問題はない体裁は取っていただろうと思うんですよ。

でも問題は贈与をした「父」は日本在住者であったんじゃないかと。あるいは父も子も、そして資産も日本国外に出していて、今は10年になりましたが、この贈与が行われた時には10年ではなくて5年の縛りだったはずで、「海外に出て5年以内は、日本国内と同様の申告義務がある」というところに引っかかったのか。

でもねぇ、これも贈与計画を練る方としてはわかりきっているはずで、一体どこに問題があったんですかね。

これは想像でしかありませんが、私は「父はどこの居住者か」という点で問題があったんじゃないかなと想像しています。

よくあるパターンですが、子供は海外に出して、そこできっちり生活をして「日本の非居住者」としてのステータスを確保する。そして「父」も同じようにオーストラリアの永住権を持ち、自宅も仕事もあったのかもしれませんね。それだけの資産家ですから。

でも日本にも資産があり、そしてその親は日本から完全に離れることはできずに日本にも生活の基盤があり、行ったり来たりを繰り返し、「日本の居住者」として認定されたのかもしれない。

ま、この辺は想像でしかありませんし、この事件の詳細はどこかで調べればわかるかもしれませんが、とにかく日本の当局と海外であるオーストラリア税務当局が協力して、資産の差し押さえをしたという点がキモ。

「海外の非居住者の銀行口座等の情報交換」が各国で進められていますが、各国が協力しあって「差し押さえもする」という点で今までとは違うというのを世界に知らしめた一つの出来事ですね。

でもそもそも、多くの人が「二重課税防止のための条約」だと思っている「租税条約」も、その目的には「脱税及び租税回避等への対応」も入っているのが普通で、情報交換は昔から行われていた。

でも海外の税務当局が差し押さえもするという、新しい時代に入った。「日本の国税当局が海外当局の協力で億単位の税金を徴収したのは初めて」ですと。

こういう事件は真面目にやっている方からすると「関係ない」みたいに思いますが、とばっちりを受けるのがとんでもないと思います。

会社の命を受けて海外に出た人達と違って、自分の意志で海外に出た場合は「一体何が目的で海外に出たのか」ははっきりわからないわけで、「なにか企んでいるんじゃない?」なんて痛くもない腹を探られることもあるかもしれない。

でも日本の法体系って私は「性善説」の上に成り立っていると思っているんですが、そこが悪さをする連中にとっては狙い目で、世の中が性悪説で動き来出すのが良いとは思わないけれど、しょうがないんじゃないですかね。

日本の健康保険なんか良い例で、「保険加入者を増やしたい」という自治体の思惑があって「外国人にも入ってもらう」なんてことにしたら、それを悪用されて「日本に行って、日本の保険で治療を受けよう」というのがブームになってしまった。

これから日本も外国人がどんどん増えて、世の中が性悪説で動くようになってくるんですかね。

この親子も日本人であるとは限らないわけで、日本でごっそり儲けた金を海外に出して、それを無税で子供に譲って・・なんてのが何の問題もなくできちゃうほうがおかしいと私は思う。

---------(後記)-----------

どうもこのオーストラリア在住の男性ってオーストラリア人みたいですね。ということは日本にいる親もオーストラリア人の「日本居住者」なのかな。

だとすると贈与税は支払わなくても良いと考えてしまうことも考えられますね。

贈与をする前に親も「日本の居住者」から離れてオーストラリアへ帰ればよかったのにねぇ。もしかしたら贈与した資産は、「かつてオーストラリアから日本に持ち込んだもの」かもしれませんね。だとしたら悲惨だなぁ。その資産が日本じゃなくてオーストラリア、その他の国にあっても課税対象だし。

「日本に住む親(オーストラリア人)が【俺はもう歳だし今後も日本で余生を過ごしたいから、オーストラリアに住むお前に財産を譲るわ】」なんてことが起きたのかも。そしてその財産は日本だけじゃなくてオーストラリアの資産も含む。この場合、オーストラリアの資産に対する贈与税も日本に収めないとならない。これじゃ可愛そうですねぇ。

また、日本にワーキングホリデーで来た若者が地方都市で「英語の教師」か何かやっている間に、「オーストラリアの親が死亡して相続が発生」した場合も同じで、彼はオーストラリアにある資産に対する贈与税も日本で納税しないとならない。

あれれ?この場合も10年縛り(当時は5年)が適用されるのかな?でしょうねぇ。

ということは、オーストラリアの若者が日本でちょっと働いて(日本の居住者となる)、その後、オーストラリアに帰って10年以内にオーストラリアで相続が起きたら日本に納税するってこと?10年縛りには「国籍は関係ない」はず。

またその男性は元日本人でオーストラリアの市民権を取ったのかもしれない。あるいは中華系とか在日とか。

どちらにしても、日本の当局とオーストラリア当局が協力しあって、「オーストラリア当局が差し押さえをした」というところがキモですね。

---------(後記)その2-----------

読者から「外国人の場合」に若干法律が変わったことを教えていただきました。

「国外財産に対する相続税等の納税義務の範囲の見直し」ですが、「短期滞在の外国人」の場合は「国内財産のみに課税」とのこと。ここでいう短期滞在とは「過去15年以内において国内に住所を有していた期間の合計が10年以下の者」とのこと。つまり、贈与者・非相続人が10年以上滞在してる場合は、子供がどこに住んでいようと全世界財産に課税。ただし、受贈者・相続人が日本に短期滞在し、親(贈与者・非相続人)が海外に住む外国人の場合は、日本国内の財産にのみ課税。(国税局のPDFはここをクリック)

 
 
 

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