【備忘録】「生卵を生で食べるのが怖い」のだったら自分で殺菌消毒をすれば良い

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海外で卵を生で食べるのって怖いですよね。まず食あたりにはかなり強い耐性を持っている私でもそう思う。

でも生卵であたったという人には、海外生活30年の中で一度も会ったことも聞いたこともないし、私自身、オーストラリアでもマレーシアでも「普通の卵」を生で食べてもあたったこともなければ危険を感じたこともない。

でもそれって「運がいいだけ」なんだろうなとも思う。あの日本でさえ、全国的に見れば「生卵で食あたり」はあるんだから。

生食を前提に考えていない海外で、生で食べても大丈夫なんですかね。

こればかりは結論の出しようがないと思うんですよ。卵の場合は「サルモネラ菌」が怖いわけですが、基本的には「卵の中が汚染されいることは非常に稀である」というのは世界共通の様で、【卵の殻が危ない】んですよね。だから生で食べなくても、卵を手で持ったり、まな板や布巾の上に置いたりすると、そこからが危ない

もし卵の扱いでそういうことに気を使ったことがないのに、食あたりになったことがなければ、「意外にその卵は安全」かもしれない。

でも中身が汚染されていたらやっぱり危ない。

世間には「生で食べられます」とか、「生でも大丈夫だろう」と言われる卵が売られている。これのトップバッターは「Pasteurized Egg」でマレーシアでも売られている。スーパーの冷蔵庫に入ってるあれ。

じゃ、Pasteurized Eggってなにかといえば、「消毒済み」ってことなのね。

普通、卵の外側は「消毒、洗浄」はされていても、それでは「中身の消毒は不可能」なわけで怖い。でもPasteurized Eggは「低温殺菌」されているから中の菌も死ぬ。

私としては、平気で卵を生食しますが、「大丈夫であろう卵」は【Pasteurized Eggだけ】だと思っています。その他の「生食オッケイ」というのは私は一切信用していません。これは鶏卵農家がどれほど気を使っていようが、有名店で買おうが、同じだと思っています。というのはそれだけのサルモネラ菌、カンピロバクター菌の汚染を防ぐことは難しい」(だから鶏肉の生食を勧める人はいない)から。もしそれが可能なら、日本でも卵を「消毒、洗浄」はしないはずでしょ。

ましてや海外の、卵の生食文化がない国で、「生食を前提にした衛生基準」も無いところの「この卵は安全です」という自己申告を私は全く信用できません。ましてや日本みたいに、食中毒を出したらメディアにも乗り、社会的制裁を受けることもない国だったら?

でも我が家のヨメさんの様に、理屈は全く無視して「あの店で買えば安心」とかそういう基準を大事にする人もいる。あるいは友人の評価、意見を大事にしたり。「それで本当に大丈夫なの?」という質問は愚問で、喧嘩になるだけ。(笑)

でもま、そんな程度の選び方で食あたりになっていないってことは、「その卵が安全」というより、「全般的に意外に危険はない」のではないかと私は想像しています。でも卵も全て一律で同じってことはなくて、同じパックに入っている同じロットの卵でも危険なものが紛れ込んでいる可能性がある。

それと私は「機能性食品」みたいに、「卵に何が入っている」というのも一切無視します。オメガ3だか6だか、あるいはアスタキサンチンもそうで、それが必要ならサプリメントを摂るべきだし、まず「含有量」を知ることも必要で、「食物繊維入りドリンク」にしても含有量は非常に少ないのが普通。また卵の黄身の色も私は無視します。料理屋なら意味があるとは思いますが、黄身の色は餌で変わるし、意図的に着色するのも可能で、「ちょっと化粧をしたり、おまけも付けたら客は喜ぶのではないか」という考え方が好きではない。食べ物なんですから、私としては「無印良品」みたいな考え方を応援したいくらい。

ただ餌に有用な成分が入っている鶏だとすれば、卵を食べる我々より「その親鶏の健康を保てるのかもしれない」なんて考えます。そうだとすれば大いに結構。(笑)

また賞味期限も大事で、マレーシアという高温多湿の場所は「雑菌が大喜びで運動会をする環境」なわけで、常温で長い間放置された卵はどうしたって危ないと思う。気になる人はちょっと検索するだけで、気温30度で放置すると「何時間で何倍に増えるか」なんてのもわかる。だから出荷時点では「菌の量が問題ない微量」だとしても、流通に乗る間に爆発的に増えている可能性も無視は出来ない。

でも卵はそもそもそう簡単に駄目になることもなく、長い日数が経っても食べられるんでしょう。そうじゃなければ世界の鳥類は簡単に絶滅する。ニュージーランドの田舎町のスーパーで、3ヶ月前の鶏卵が売られているのには驚いたけれど。

要は生卵を食べないのが一番なわけで、我慢できるならそれでオッケイ。

ところが、生卵がなければ生きていけないと思うくらいの生卵好きもいるわけで(笑)、そういう場合はどうすればよいのか。

そりゃ一番安全なのは、スーパーでも冷蔵庫に入っている「Pasteurized Egg」じゃないですかね。低温殺菌されているし、少なくとも「当社の卵は安全です」という自己申告よりは良いと私は思う。

でも世の中には「あのPasteurized Eggより【美味しい卵】が存在する」のね。困りましたね~~。またPasteurized Eggは価格も高い。そして【火を通すとイマイチ美味しくない】のね。

私みたいなオタクは、「そもそもPasteurized Eggってどうやって殺菌しているのか」が気になるわけで、それを調べてみると「なんだぁ、簡単じゃないか」ってのがわかる。またそれの基礎になっているのはアメリカのUSDA(アメリカ合衆国農務省)の指針でしょう(注2)。摂氏60度で3.5分の加熱。

欧米人は、生卵をそのまま飲んじゃうのはロッキーぐらいなもんで(笑)、普通は生卵を飲んだり、卵かけご飯も食べない。しかし彼らも「火が通り過ぎていない【黄身(york)】は好きなわけで、ポーチドエッグや朝食に半熟卵を食べる。また目玉焼きにしても「焼きすぎないようにする」人は多い。

そこで、どこまで火が入れば安全で、どのくらい生だと危ないのかという基準があるわけなのね。マレーシアや各国で売られている「Pasteurized Egg」もそれを参考にしているはず。

これの細かいところは興味がある人は検索してもらうとして、ざっくり言うと「摂氏60度で5分かそれ以上」って感じ。

これはサルモネラ菌もカンピロバクターも同様で、私みたいに「低温調理が趣味」の人の多くは知っていること。だから鶏肉の低温調理は牛肉と違って60度以下はまず考えない。

でも60度で5分だと、「見た目は殆ど変わらない」のね。だから「これで本当に大丈夫かよ」って思うのが普通。温度設定に関しては(注1)を参照。

60度で5分。こんな感じ。これでも一応、ゆで卵。そして「Pasteurized Egg」でもある。

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崩してみます。生卵との違いは全くわかりません。

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でもこれで安心だと思います?

理屈ではわかっても感覚的にはやっぱり微妙な感じがしますよね。ということで、もうちょっと「安全な温度」で「安心な時間」茹でてみます。

あ、そうそう、これの基準になるのはこの表です。これはカンピロバクターですが、サルモネラも同じ様なものだそうで、「温度には弱い菌」とのこと。

参照 「暮らしの健康」

O157も熱には弱いらしく、こういう実験結果があります。これは東京都福祉保健局のデータです。

参照 東京都福祉保健局 食品衛生の窓

安全を重視して、温度も時間も増やしてみます。

62度。30分。温度と時間的には完璧でしょうが、見た目は温泉卵。これじゃ生卵じゃないですね。

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黄身を割ってみるとこんな感じ。生と同じ。

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混ぜてみます。こうなると生卵とほとんど変わりはなく、食べてみたところ、ズルっとした白身の感触はほとんど無くて、黄身は濃厚でこの方が美味しいと思うくらい。

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つまり「62度で30分」加熱すると「安全」なだけじゃなくて「美味しくなる」ということでもある。ここは重要だと思います。

この温度を超えて、また時間も長いと「温泉卵」に近づいて来るわけですが、私みたいなオタクは「温度と時間」にこだわりますが、「安全な卵を【生食に近い状態】で食べる」場合、62度で10分を目安にするだけで「幸せな生活」になるんじゃないですかね。

低温調理器がなくても温度計があれば十分。

低温調理機なんかなくても温度計があれば十分温度を調節できるわけで、誰にでもやろうと思えばできるはず。ただ殺菌には「59度は必要」とも言われていて、アバウトで60度前後と考えると危ないかもしれない。でも時間を伸ばせば危険も減るわけで、62度で10分というのは妥協点として良さそうだと思います。

生卵を食べるのは怖い怖いと不安にかられるだけで諦めている人も少なくないのは、海外住まいの日本人には結構多く見られる現象。でも日本では全く危険を考えずに生食するというのも、私は何かおかしくない?と思うわけです。

一体何が危なくて、どうすればよいのかという科学的データはあるわけで、生卵にちょっと手を加えるだけで「幸せな食生活」が手に入るわけですから、是非、やってみることをお勧めしたいです。

コロナだって同じじゃないですか。怖い怖いと不安ばかり考えて家を出ないなんてことはしないはずで、「付き合い方」を考えれば危険は大幅に減るんじゃないでしょうか。

卵って本当に面白い食材で、マレーシアでは美味しい卵を見つけるのはかなり難しいですが、ちょっと手を加えるだけで満足を得ることができる。

実は我が家では「温泉卵」は常備品で、普通の食事、うどん、そば、ラーメンでも使います。ヨメさんが温泉卵大好き人間で、前は私が作っていたのですが、今年に入ってからはヨメさんが自分で低温調理器を使って作るようになってきました。

ただヨメさんが好きな温泉卵は「68度で30分」なんですよ。これって平均的な温泉卵なんですが、私にしてみると「黄身が硬すぎる」「白身がズルっとして気持ち悪い」状態なのね。

こんな感じ。

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最近は美味しいと思うどころか、ヨメさんがこれを食事時に出してくれても、私は苦痛を感じるようになったんですよ。我慢の限界。(笑)

でも女帝であり総料理長でもあるヨメさんに何が言えるわけでもないのですが、先日、「今までとは違う感じの温泉卵を作ってみようと思うんだ」と控えめに言ってみたんですよ。

すると敵は「好きに作ってみれば?私は今までのを作って食べるから」ですと。ったくよ~~。(笑)

でも了解済みですからまた実験を再開しようと準備中。

準備って?って思うかもしれませんが、低温調理で作る温泉卵って温度と時間を管理して作る工業製品みたいなもので、「どんな感じにするのか」「どうやったらそうなるのか」をきっちり考えないと駄目なのね。温泉卵って「黄身と白身が固まる温度の違い」を利用するわけですが、私の好きな黄身の柔らかさを維持すると、白身はもっとズルズルになってしまう。

だから今までの「温度」と「時間」の組わせだけでは作るのは難しくて、「二段階方式」を考えています。「沸騰しているとこで3分」「その後は63度か64度のお湯に入れて30分」みたいな。温泉卵って1度温度が違うと全く違う出来上がりになりますので、難しいと言えば難しいですが、「自分の理想を追うことができる」という意味でもあるのね。

また最近、ポーチドエッグを自分が好きなことにも気がついて、ポーチドエッグを低温調理で作る事も考えています。75度で12~13分。この場合、黄身や白身が固まる温度より高いので時間に気を使わないとまるで違うものになるのね。あるいは75度の15分程度で、私が狙う温泉卵になるかもしれない。

凝り性だなと思うでしょうが、今の時代は、レストランでは普通にやっていることなのね。そして低温調理器もいろいろ出てきていますし、プロがやっていることと同じことが家庭でもできるって凄いことだと思うんですよ。

温泉卵だろうがステーキ、蒸し鶏、あるいはローストビーフが500グラムの塊でも2キロの塊でも、形がいびつでも「必ず狙った通りの物ができる」って凄いことで、プロみたいな技術がないド素人だからこそ、低温調理って重要だと思うわけです。「ちゃんとできたかな?」とか「失敗しないといいな」とかそういう心配事が皆無になる。いつでも、だれでも、何度やっても「狙ったものが作れる」わけですから。

注1: 私が文中に書いた温度設定は「私の(低温調理器の)温度計」での温度で、もし貴方が同じ温度でやっても「違う結果」になる可能性大。それほど温度計の誤差って大きいのね。だからキャリブレーションは必ずやるべきですが、「他人が言う温度」は「多分誤差がある」と考えるべき。

注2: Pasteurized Eggの製造法に関する詳細は「INTERNATIONAL EGG PASTEURIZATION MANUAL」をチェック。アメリカのUnited States Department of Agriculture(アメリカ合衆国農務省)と全米卵協会のお墨付き。60度で3.5分ですと。

 

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