マレーシアの新規陽性者も死亡者も全く減りませんね。
そのくせ、将来的な「新規陽性者数は発表しない」なんて計画も言い出している。
私にしてみれば、それを言うこと自体、時期尚早だと思います。
世界はその方向で・・・というけれど、世界の動きとマレーシアと全くシンクロしていないじゃないですか。
「まだワクチンの接種率が低いから」なんて声もありますが、では他の国々がまだワクチンが行き届いていない時と、今のマレーシアを比べてみたら良いと思うんですよ。特にシンガポールと比較するなんてのは愚の骨頂で、シンガポールで起きていたことって、マレーシアに比べると「まるで別世界」に感じます。これはイギリスやアメリカも同じで、それらの国々とまるっきり違うマレーシアが、同じ道を歩けると思っているんだろうか。
ちょっとグラフを見てみましょう。
死亡者のグラフ。100万人あたりの死亡者の7日平均。期間は4月1日から8月7日。マレーシアは世界のトップクラスを走っている。(1位という意味ではない)
ワクチン接種率のグラフ。7日平均。期間は4月1日から8月7日。
このグラフを見ると、「マレーシアも接種率が上がれば、他国のように死亡者も減ってくるだろう」と考えたくなる。
ではまだ世界のワクチン接種率が高くない4月1日の「接種率、死亡者」を比べてみたらどう見えるのか。
グラフが見やすいように、表示する国の数を減らしてみます。
今のマレーシアのワクチン接種率と同じ頃の他国の「死亡者数」を見てください。
まずは接種率。
マレーシアの今の接種率と同じぐらいの時期の、他国の「死亡者」を見ると、これほどの違いがある。シンガポールは「死亡者はほぼゼロ」の様にも見える。
私はこのグラフを見ると、「ワクチン接種率は関係ない」ぐらいに思えてきます。
さてこの違いってなんなのか。私にはわかるはずもありませんが、「コロナ株の違い」なんでしょうか。それとも医療体制?
私としては「マレーシアには根本的な大きな問題があるのかもしれない」と考えるのが順当だと思っていて、それがなんだかわかりませんが、それの解決なくして、「他国の政策の変化を追う」のが良いのか悪いのかは疑問。
これは「新規陽性者数」のグラフを見ても同じで、なぜ「ワクチン接種率が同じ時期の他国に比べて、新規陽性者数が多いのか」そして、「そもそもマレーシアで新規陽性者が増えている理由はなんなのか」が全くわからない。
私は「これはデルタ株のせい」と決めつけるのは間違いかも知れないと思うんですよ。他国ではマレーシアより早くデルタ株が蔓延したのに、「今のマレーシアのように新規陽性者数は増えていない」んですから。
ただし、「ワクチン接種の開始が早かった」のが効いているという見方も正しいと思うんです。スタートがちょっと遅れるだけでこれだけの差があるのかも知れない。ただし、ワクチン接種が始まる時点で、マレーシアより新規陽性者も死亡者も多い国々があるわけで、これをどう説明するのか?あの当時、「世界は大騒ぎしているけれど、マレーシアはよく抑えているよね」、と誰でもが思ったはず。
だから私としては「ワクチン接種を急ぐ前にやるべきことがある」んじゃないかと思っています。このままワクチン接種率が上がれば、他国のように死亡者も新規陽性者も減ってくると考えるのは、「大事なところを無視した考え方」かもしれない。
これは想像でしかありませんが、前にも何度か書いている「マレーシアの事情」が絡んでいるんじゃないかと思っています。タブーとでも言うべきか、「政治と経済の繋がりが特殊」なのかもしれない。
それを改善することが出来ないから、「ワクチン、ワクチン」とそちらに国民の目を向けさせているけれど、私にはそれで解決するとは思えないのは上に出したグラフからも見えてくる。
マレーシアの感染状況を見ていていつも不思議に思うことは「クラスターの内容」なんですよ。
たとえば、8月8日のレポートにはこういう風に出ている。(KPKプレスステートメント2021年8月8日-マレーシアにおけるコロナウイルス感染2019(COVID-19)の現状)
そのレポートの中の「クラスター」の部分。Googleの自動日本語訳を転載します。
8月8日に「新たにわかったクラスター」。
いいえ | クラスター名 | カテゴリー 集まる | 州 | 範囲 | 総ケース | TOTAL D ISARING |
1 | セレニア安全道路建設現場 | 職場 | セランゴール | ペタリンとセパン | 36 | 141 |
2 | Jalan Kelicap 42B | 職場 | セランゴール | クラン | 29 | 60 |
3 | アウェイアウェイ業界 | 職場 | セランゴール | ペタリン | 26 | 58 |
4 | テクノクラート道路建設現場 | 職場 | セランゴール | セパン | 16 | 183 |
5 | クチャイマジュ道路建設現場 | 職場 | WPクアラルンプール | コースタルバレー | 118 | 168 |
6 | ディアロード2 | 職場 | WPクアラルンプール | Cheras | 28 | 158 |
7 | U-Thant道路建設現場2 | 職場 | WPクアラルンプール | ティティワンサ | 15 | 125 |
8 | ブキットバクリムアル | 職場 | ジョホール | ムアル | 33 | 42 |
9 | 鉄鋼業11 | 職場 | ジョホール | ジョホールバル | 27 | 322 |
10 | MIELゲベン産業 | 職場 | パハン | クアンタン | 33 | 224 |
11 | Gebeng Industry 2/1 | 職場 | パハン | クアンタン | 24 | 191 |
12 | Jalan Ding Lik Kwong Two | 職場 | サラワク | シブ | 15 | 30 |
13 | ジャラン・ブアン | 職場 | サラワク | カウント | 12 | 21 |
14 | ブキットテンガ2 | 職場 | トレンガヌ | ダンガン、ケママン、クアラトレンガヌ | 126 | 1,055 |
15 | Dah Dua Industri Sungai Petani | 職場 | ケダ | クアラムダ | 33 | 102 |
16 | ペルシャランS2 | 職場 | ヌグリ・スンビラン | スレンバン | 15 | 233 |
17 | ジャランパサールブキッムルタジャム2 | 職場 | ペナン | セベランペライテンガとセベランペライセラタン | 12 | 97 |
18 | セクション20Jalan Darul Naim | 職場 | クランタン | コタバルとパシルマス | 7 | 11 |
19 | シティサンドビレッジ | コミュニティ | クランタン | コタバル | 20 | 28 |
20 | Kampung Gok Kapor | コミュニティ | クランタン | コタバル | 19 | 27 |
21 | カンポンチェンデロンバトゥティムール | コミュニティ | クランタン | トゥンパト | 18 | 26 |
22 | Kampung Tok Pah | コミュニティ | クランタン | コタバル | 13 | 20 |
23 | ジャラン・クアラ・ベサール | コミュニティ | クランタン | コタバル | 10 | 17 |
24 | ケタパンダウンストリームウィーク | コミュニティ | パハン | 週 | 38 | 75 |
25 | セロハ地方 | コミュニティ | パハン | マラン | 34 | 60 |
26 | カンポンテルスン | コミュニティ | パハン | リピス | 15 | 308 |
27 | オールドフェリーロード | コミュニティ | パハン | ロンピン | 14 | 34 |
28 | 死んだ象のジェラントゥート | コミュニティ | パハン | ジェラントゥート | 13 | 95 |
29 | タマン・マリハ | コミュニティ | サラワク | クチン | 40 | 176 |
30 | プロウウル村 | コミュニティ | サラワク | クチン | 23 | 119 |
31 | 新しい警備員 | コミュニティ | トレンガヌ | クアラトレンガヌ | 87 | 763 |
32 | 16の村 | コミュニティ | セランゴール | サバクベルナム | 16 | 30 |
33 | ダーカンポンサワ | コミュニティ | ケダ | ペンダン | 40 | 166 |
34 | レモングラスチャート柵 | 拘置所 | ペラ | ケリアン | 50 | 78 |
35 | ペナーウォール | 拘置所 | パハン | クアンタン | 30 | 55 |
36 | 新しいシュトゥトン通り | 高リスクグループ | サラワク | クチン | 22 | 115 |
37 | ペルシャランレマック | 高リスクグループ | WPクアラルンプール | Cheras | 14 | 19 |
38 | Dah Kampung Derang | 宗教的 | ケダ | コタセタール | 38 | 80 |
39 | Jalan Kampung Demit | 高等教育 | クランタン | コタバル | 13 | 20 |
これは8月8日に報告された「新しいクラスター」ですが、私は毎日のこれを見ていると「なんら対処していない場所もある」と感じるんですよ。なんで今でもこんなことをやっているのかとも思う。
そしてですね、こういうクラスターが発見されても、その現場の責任者なり経営母体、あるいは管理する立場の自治体の責任者が出てきて説明することもないし、今後どうするつもりか話すこともない。
ここに大きな違和感を感じるんですよ。
日本と比べることに意味はありませんが、もしこれが日本だとすれば、その現場に報道陣が集まり、写真や映像は撮られるわ、インタビューされるわ、かなり大きく取り上げられるんじゃないですかね。そして「責任追及が行われる」。
いつもクラスターとして出てきますが、「拘置所」なんてのはクラスターが発生しやすいのはわかりきっているわけで、私の常識では「一体、今まで何をしていたのか」と【世間が大騒ぎする】と思うんですよ。
職場も同じで、「管理能力が問題視される」はず。
日本だと「社員の歓送迎会に出席した10人の内、7人が感染した」なんてニュースになるくらい。当然、「どうして歓送迎会なんかしたのか」とか、どういう場所で何をしたのかまで問題になる。
これって企業なり事業体の「信用問題」になりますから、みんな真剣に対処しているんじゃないですかね。でも「そこから漏れる行動をする」ことによって感染が広がる例が多いのでしょう。日本では「家庭内での感染」が率としては一番多いですが、問題は「どこからお土産をもらってきたのか」であって、その火元の特定は重要だと思っています。
マレーシアの場合、労働者の生活環境の悪さがあるんでしょう。多くの人がタコ部屋に住んでいる。もしそれを「しょうがない」とするのであれば、「感染を抑えることは不可能」じゃないですか。現場としては「止めるわけにはいかない」「労働者を休ませるわけにはいかない」、また「労働者も休めない」事情があるのはわかりますが、それを認めたら感染なんか収まるわけがない。
私にはどうしても「そういう環境を改善するのは無理」という前提で政府が動いているように感じるんですよ。そして国民も「そうだよね。しょうがないよね」と考えているのだろうと思う。
そういう労働者ももちろん買い物にも行けば、仕事とは関係ない人と合うこともあるんでしょう。そして「食事処」も同じ。
そういうところから感染が広がり、それが一般家庭にも入ってきているのだろうと想像できるし、もし一般家庭で「防御が完璧」だとしても、「発生源を放置」するようなことをしていたらいつになっても火は消えない。
ワクチンに望みを託しても、私はそれは「甘い」と感じます。
ましてや「家庭内で完璧な防御する」なんてことは普通「ありえない」わけで、それは我が家もそうだし、もし家族の誰かがどこかで感染してくれば簡単に家庭内で広がってしまう。
私はマレーシアの感染が収まらない理由は「これ」だと思っていて、ワクチン接種率が上がってもそこに改善がない限り、大きな変化はないと思っています。
国々の特徴を見る時に、「労働集約型の経済かどうか」というのも大きなポイントだと思います。マレーシアは世界の生産拠点としての位置づけがあるわけですが、それが悪い方向に作用している可能性も高いと思う。
ましてや、ワクチン接種をしてもそこから感染が広がるのはわかっていますし、変異種や亜種が出てきたら【大元の防御態勢が出来ていない】とすれば【簡単に突破される】んじゃないですかね。
だから、もし【今】、陽性者が減ろうと、死亡者が減ろうと、根本的な問題が解決されない限り、マレーシアの将来は暗いと思っています。もうすでに世界では「ラムダ株」「カッパ株」の話題が広がっていて、「今まで通りにはいかないかもしれない」という不安は大きい。
巷では「日本に帰ったほうが良いかどうか」悩む人も多いみたいですが、その人達は「日本も酷いしなぁ」と言う。
それって本当ですか?
それって「単なる印象」じゃないですか?
上のグラフを今一度見てください。「日本はさざ波」なのは間違いがないじゃないですか。ニュースを見ると大騒ぎしていますが、それでもマレーシアに比べたらさざ波でしかない。
ただ問題は「医療体制にある」わけですが、病床が日本では足りないにしても、「治療そのもの」を考えた時に、私は「日本のほうがマシかも知れない」と考えています。
つまりですね、マレーシアに留まる必要がないのにマレーシアに固執するのは「間違い」だと私は思うってことです。そして「ワクチンは期待するほど有効ではないかもしれない」のがデータからも見えるわけですから。
それが私の本音です。
でも残念ながら、我が家はマレーシア国外に出られる環境ではありませんし、このままマレーシアに留まるしかありません。
そしてマレーシアに留まるのであれば、「完璧ではないにしろ、将来の後遺症は未知であるとしても、ワクチンを摂取するのは必須」と言ってもよいのかもしれない。
イベルメクチンの摂取を考えるのも良いと思っています。
「ワクチン+イベルメクチン最強説」は成り立つと思っている私。
それでも我が家は「接種の先送り」することを決めています。その理由はワクチンを信用できないとかではなくて、「我が家の事情」があるから。