しかし新MM2Hってなんなんだと思いますよね。
条件が上がっただけで、私達には新たに追加されたメリットはなにもないし、こんな条件で多くの申請者が出てくるとは思えないし、それどころか申請者は激減するのは目に見えていて、マレーシアにもメリットがあるとは思えない。
でもやるからには「理由」があるはずで、ただの思いつきなはずもない。
そんな風に思っていたところ、「こういう裏事情がある」という読者の方からコメントが有りました。もちろんそれは定かではなくて、「想像の域を出ない」のだろうとは思いますが、なるほどと思うところがあるので、紹介します。
その読者とは、あの有名なSNSのY氏です。知っている人は多いはず。彼はマレーシアの永住権も持ち、滞在歴も長く、彼以上にマレーシアを知っている日本人はいないのではないかと思うような人。
まず彼のコメントをそのまま転載します。
MM2H条件改正はただ単に馬鹿か? あくまでプレプリントですが。。
1. 馬鹿であったなならば、これからの交渉がほぼ成功します。
2. 馬鹿でなければ何が?
簡単に言うと、西のMM2H-Pro、東のMM2H-Liteを作りたいんです。
昨日MM2Hが正式にイミグレーション管轄になりましたよね。内務省には2つのイミグレーションの部署が全然違う所にあります。1つは国民登録と横並びの部署。ここでは永住権(恐らくレジデンスパスも)を扱います。
もう一つは私達が普通に考えるイミグレです。これは主に半島のイミグレです。ここにMM2Hが所属します。
つまり、半島(+サバのお手伝い)のMM2Hになったわけです。マレーシアのイミグレーションは半島、サバ、サラワクで独立していて、お互いの行き来に関してはマレーシア建国の初期の頃に結ばれた半島に不利な不平等条約があります。東は西に住めるが、西は東で住めない。
だから、MM2Hを東と西に分けて、東にLiteバージョンを作り、西にProバージョンを作ると、今までの条件+α程度で継続が可能となります。
マレーシアのメリットとしては、ProからLiteにダウンバージョンして今までのMM2Herをキープできるということと、1年に2週間の参勤交代で、東をプロモーションできるということです。
選挙対策にもいいですよね?「誰がこんなプロポーサルを出したか顔を見てみたい」とおっしゃられていましたが、この改正原案を出したのは観光省です。(その後内閣で大幅変更されたかもしれませんが。。)
大臣はサラワクの方です。ここまで言えば状況はお分かりいただけると思います。
この流れから行くと、サバMM2Hが今後できるはずです。
これでなるほどと思う方もいらっしゃるとは思いますが、脳みそが溶け出している私は全然、わけがわからず。ということで、もう少し説明をして欲しいとお願いしたところ、こういう返事が来ました。
サラワクに1年間で訪れる人は、ざっくり外国人200万、半島から200万、サバから200万人です。
今のMM2Herが3万5千人として、それがサラワクMM2Hに2万人流れたとすると、1年間に外国人が3〜4万人(配偶者入れて)が2週間の旅行にやってきます。これは外国人の訪問者が2%ほど増えることになります。メリット小さすぎますか?もう一つ、今のサラワクMM2Hは10年以上やっていても1300人程度しか集められませんでした。
そこに万単位の参加者が来ます。サラワクの銀行に定期預金入れて、2週間の旅行してくれるだけでもすごくなると思います。
半分ずつサバと分け合ってもいいと思います。半島はどうかと言うと、物件を買っている人はRM100万ぐらいの物件を持っていると思いますので、新条件のRM100万のデポジットを定期預金と物件を合わせたものとしてしまえばいいし、レンタルとしている人はそのままレンタルして、お金を落としていけばいいです。
それに、MM2H持っていなくても半島の物件は買えますよね?S-MM2H使って183日以上滞在すればTax Residentになります。
半島が困るのは、MM2Herが帰ってしまうことで、帰らなければNo issueではないでしょうか?更に2週間の参勤交代も1人RM5,000ぐらいのジャーニーパフォーム払えばやらないでいいということも可能です。
なんか名義貸し役員みたいですが。。。
いかがでしょうか。理解できました?
まとめるとこういうことだと思います。
1 マレーシアは新MM2Hの多くの申請者を期待しているわけではない。
2 サラワク州としてはどうにかして州に利益誘導をしたい。
3 サラワクMM2Hが増えること、従来のMM2Hから切り替える人が増えるのは良いこと。
4 それによって「半島が損することはない」。
もっと端的に言えば、新MM2Hは、サラワクMM2Hを増やすための道具でしかない。だから新MM2Hの条件が低く、取得しやすかったら意味がない。
かつてMM2Hを所管していたのは観光省。それが今回内務省(イミグレ)に変わった。
私は前に「観光省vsイミグレの【確執】があった」ように聞いていて、それが頭に残りすぎていたようです。主導権を取った内務省が、今まで温めていた彼らの本音をここに来て押し出したのだろうと思っていたわけですが、ところがどっこい。この新MM2Hを提案したのは観光省ですと。( ̄口 ̄∥)
そして大臣はサラワク出身。
わかります?この図式。
もっと平たくいうと、【俺にも儲けをよこせ】とサラワクが言い出して、その案に乗っても【誰が困ることもない】のだから、これで行こうぜとサラワク出身の大臣が押し通したという図式。
サラワクがサラワクのMM2Hを増やすのが目的だから、新MM2Hの条件は「皆が驚くほどのインパクトがなければ意味がない」ということになる。
私はこれが事実かどうかはわかりませんが、なるほど、そういう筋書きもあるのかと思ったし、そうじゃなければあんなメチャクチャな新MM2Hの条件になるわけがないと思ったわけです。
こういう思惑があるとするなら、「新MM2Hなんか申請するもんか!バカヤロー!」と思う外国人が多ければ多いほど良いことになる。
でもねぇ、これもまた「取らぬ狸の皮算用」だと私は思うんですよ。私達、MM2Hホルダーの気持ちがわかっていない。
今回の新MM2Hの発表により、「マレーシアに対する見方が変わった」という人もいる。これははっきり言えば「信用できないと思うようになった」という非常に重大な変化を起こしてしまったことになる。これは「契約」に対する考え方が日本人とは違う外国人は強く感じた可能性がある。
そしてこれをキッカケに「もう母国に帰っても良いか」と考える人も増える。
これをキッカケに「タイかぁ・・・、真剣に考えてみようか?」なんて人も出てくる。(面白いのは最近、タイのエリートビザの広告が増えている)
つまりですね、「サラワクの思惑通りにサラワクの利益となるか?」ってこと。意外に試算したほどの多くのサラワクMM2Hは集まらないかも知れない。
でもここで一つだけ確実なのは、「さほどサラワクMM2Hが増えないとしても、【今より増えるのは確実だろう】ってこと」が言えるんじゃないですかね。
だからサラワクも損するわけじゃない。
とはいうものの、ここにマレーシアの誤算があるような気がします。
いつ終わるかわからないコロナのこともあるし、これをキッカケにMM2Hそのものが「海の潮が引くように減少していく」可能性ってあるんじゃないですかね。
私としては、「コロナがあるからこそマレーシアを第二の家と考えてください。新たな優遇策を発表します。皆様を歓迎します」となれば、さすがマレーシアってことになるんだろうにと思ったり。今の時期ってコロナのこともあって「MM2Hが本国に引き上げてしまわないように引き止める方策」が大事じゃないんですかね。
ま、海外から外国人を引き寄せるにはそれなりの約束事、ノウハウがあるはずで、てめぇのことばかり考えているのがミエミエな国に魅力を感じ、無条件の親愛の気持ちを持ち続けるほど私達はお人好しじゃないと思う。
今回の件で、「マレーシアで骨を埋めてもいいな」と思っていた人は危険を感じるだろうし、ビジネスにしてもいつ何時、どんな突然の変更があるかもわからないと用心する人は増えると思う。
今回のことで「マレーシアが失うもの」があるとすれば、それは一番大事な【信用】じゃないかってこと。
ここでそれなりの政治家が出てきて、「これは中止すべき。私達は何よりも大事な信用を失ってしまう」なんて言い出したら拍手喝采なんだけどね~~。マハティールさん、どうですかね。そんな暇はないか・・・。
ああ、それとサラワクMM2Hですが、私はこの条件を知りません。
旧MM2Hビザホルダーがそれに乗り換える場合は、当然、新規の申請となるわけですよね。本来の【更新】であるならば「収入条件はない」わけですが、サラワクMM2Hの新規申請となれば、当然、クリアしないとならない収入条件が付くんでしょう。かつては「勤め人だった頃の収入でMM2Hを申請した場合」、今は「年金生活者で収入条件をクリアできない」人も多いんじゃないですかね。国民年金+アルファで金利も低くなってしまったとか。