ヤフーニュースに新MM2H関係のニュースがありました。
既存のMM2Hの条件ではハードルが低すぎて「中国人が大量にやってくる」からですと。
そんなもんですかね。
これを書いたジャーナリストはイギリス在住の人みたいだけれど、いくつかの事実を繋げて書き、マレーシア在住のMM2Hホルダーに意見を聞いただけで、深堀りが出来ていないと思いましたわ。
中国人が大量に押し寄せて不動産を買い漁ってマハティールさんが怒っていたのは事実。でもそれってマレーシアの一面でしか無くて、中国人に狙いを定めて不動産開発をやってきたのがマレーシア。やっぱりここではマハティールさんと違う意見を持つ重鎮の意見を聞くべきでしたね。ジョホールの王様にしても、中国人を当てにしているのは見えるじゃないですか。
また私が知らなかったこととして、在マレーシアの中国大使が「MM2Hビザの発給を早く復活して欲しい」と要請していたという話。これって本当ですかね。普通、他国の大使が他国の移民政策に口を出すことはあり得ない。これを「主権侵害」という。それも国家間の問題として大きな問題でもないMM2Hに関して。でもそれが事実だとすれば、多くの中国人、MM2H関係者から在マレーシア中国大使館がかなりの陳情を受けていたであろうことは想像できる。そもそも「他国への移住」を習近平政権が奨励するわけがない。海外に金を持ち出すのを規制しているのに。
つまり、多くの中国人がマレーシアに来たがっている状態なのは、マレーシア政府も把握していたわけで、さて、そこで何を考えるか。
私だったら「儲けるチャンス」と考えます。だって中国人は他の国と違って「金持ちはごっそりいる」のがわかっているんですから。なおかつ中国の内情、香港、台湾の情勢を考えれば、「多くの中国人が動く環境は整っている」と見るのが普通で、20年間も放置していた低いハードルを維持し続ける意味もない。金持ちが押し寄せてくるのに、昔のまま「安売りを続けるお店」ってありますかね。ここのところは新MM2Hの条件に驚いている我々も考えないとならないところで、日本人は長い間のデフレの中にいたからわからないけれど、この20年間に世界はどんどん金持ちになってきた。そしてそのトップが中国人で、MM2H参加者も中国人がトップ。
私にしてみれば、古くて低いハードルを維持しようと考えるほうがおかしいと思います。
世の中は大きく変化している中で、当然、マレーシアもいろいろ策を練るのが当たり前で、「この大きなチャンスを見逃すべきではない」という考え方があってもおかしくないどころか、そう考えるのが当たり前じゃないですか。
でもそれじゃ「既存のMM2Hビザホルダーは困る」のは確か。
内務省大臣は7000人のMM2Hホルダーがマレーシアに住んでいないと大げさに言っていたけれど、これってそれでもオッケイのビザなんだからどの国でも「ビザだけ持っておこう」と考える人がごっそり出てくるのは当たり前。そんな当たり前のことを「問題だ」みたいに言うこと自体、ハードルを上げるための「無理なこじつけ、言い訳」にしか思えない。
これに関しては聞き取り調査をするなんてこれまた大げさなことを言っているけれど、新MM2Hに移行するなら、「今後はこうなります」とアナウンスすればよいだけのことじゃないですかね。そもそも「ビザは住みたい人に発行する」のが世界の基本の基本であって、「住もうと思わない人にも発行した」のはマレーシアの読みが浅かったからでしょう。というのも実は違っていて、「金だけ出してくれば、住まなくても構わない」という考え方があったと断定しても良いと思うくらい。
このブログには何度も書いていることですが、マレーシアは外国人を利用するのが非常にうまい国で、でも永住権の取得はほぼ不可能に近い国。これだけで、私はマレーシアの外国人に対する考え方がわかると思っています。MM2Hにしても「温情で住まわせているわけじゃない」し、金儲けが根本にあったのは間違いがないと思います。
でも世の中も代わり、それに合わせて変更もなかったMM2Hビザもおかしいと言えばおかしいし、ここへ来て、「大幅リニューアルです」というのは私には理解できます。すでに住んでいる人たちに対しては「総入れ替えの時期が来た」とは言えないにしても、優先するべきことは自国の利益。
といいつつ、条件の緩和は最初から考えていた可能性もあるんじゃないかと思っています。海外に出て買い物をすると、「札値がそもそも吹っかけた値段」で、「そこから交渉するのが常識」という国は多いですよね。マレーシアもチャイナタウンに買い物に行けばそれが常識なのは誰しも知っていること。でもその感覚って、日本人には良くわからない。
今回の新MM2Hにも「値引きを前提に考えていた」としても全く不思議じゃないんじゃないですかね。とりあえず大きな変化を公表して様子を見るのも良い手でしょう。
当然、新MM2Hの条件では大騒ぎになるであろうことは予測できるわけで、「では皆様の声も積極的に聞いて見直しましょう」なんて言えば、MM2Hは歓喜しちゃうじゃないですか。「ありがとう~~~~~~」なんてお礼まで言いたくなる。
これと同じことが「買い物の場で毎日起きている」ことで、大きく値引いてもらった客は大喜び。そしてそれでもしっかり儲けたお店は「これじゃ潰れる。生きていけない」と言いつつ、大儲け。
こんな図式が見えるような気がしています。
もし大量の中国人が入ってくるのが問題であるならば、どの移民国でもやっているように「国別の割当」を設定すればそれで済んでしまうこと。
中国人を減らすために新MM2Hのハードルを上げたら、それで困るのは「中国人みたいにお金を持っていない他国の人たち」で、結果は逆になるじゃないですか。
だから中国人を減らしたいなら、国別の割当を設定すればいいだけのこと。でも私はマレーシアはそれをしないと思っています。その理由は簡単で、「金持ち中国人からがっぽり儲ける算段を最初からしている」と思うから。中国人がマレーシアの不動産を買い漁っているのは大問題というマハティールさんの言うこととは逆なのがマレーシアの本音じゃないんですかね。マハティールさんがそう怒った態度を見せたのも「中国べったりの政治家に対する牽制」と見るほうが当たっていて、国民を味方につけようとしたパフォーマンスだと考えるのが順当。
ま、これらのことは想像の域を出ませんが、ヤフーのニュースに出ていたように、そんな単純な話じゃないでしょう。このマレーシアという国は「外国企業、外国人を引き寄せて、そして産業も大きくして、儲けている国」だというのを忘れちゃうまくないんじゃないですかね。そして常に中国は金づる。でもたまに国民の鬱憤のガス抜きをしないとならないから、それなりに中国に反発するようなことも言う。
でも私はそれは政治家にとっては朝飯前のポーズにしか見えず。
古くからマレーシアに住むMM2Hホルダーは「裏切られたような気がする」とは思うけれど、「貴方も十分に楽しみ、夢も見られたんじゃないですか?」と聞かれれば、それも事実として認めるしか無いんじゃないかと。
20年間も条件が変わっていないところを私達は重視する必要があると思っています。本来はそれに感謝すべきであって、新MM2Hの条件に腹をたてるのは筋違いかもね。
でも今まで変更しなかったのも、7000人のMM2Hがマレーシアに住んでいないことも、それはマレーシアに原因と責任があるわけで、私達はマレーシアが決めたことを受け入れる以外に出来ることはないにしても、マレーシアが本来やるべきことをしなかったのは間違いがなくて、そのしわ寄せを現在のMM2Hに押し付けるのはやっぱり横暴としか思えず。
私の考え方は「新しいビザは新しいビザ」「古いビザは古いビザ(新規発行はしない)」で、そのまま重複して存在させるべき(そうする国は多い)で、銅の卵しか産まないガチョウもそのうちいなくなるのは間違いがないのだから、性急に変化を押し付ける場合の国のイメージダウンも考慮するべきですよねぇ。
私は前に、「これだけの大きな変更をするということは、それでも問題がないという算段があるはずだ」と書きましたが、このヤフーのニュースを見て、「やっぱり中国人から儲けるつもりなんだ・・・」と思うようになりました。
金の切れ目は縁の切れ目。こればかりは古今東西、変わらぬ真理なんでしょう。
とは言いつつ、銅の卵しか産まないガチョウが歓喜するような案も実は温めているんじゃないかと想像しています。我々は「大きな値引き」があると、そもそも「札値は吹っかけた値段だ」というのを忘れて歓喜し、お礼まで言うようになるし、内務省はそれを見越しているような気がしてなりません。多分、新MM2Hの条件はそれなりにハードルを高くして、現行のビザを持っている人たちには適用しないとなるんじゃないかと想像しています。それなら困る人はいないから。
でも新条件をそのまま使うのは、「新しい恋人が出来たから別れてくれ」と古女房にいうのと同じで、ハイそうですかってわけにもいかないし、マレーシアにとってもデメリットの方が大きいと思います。新規に中国から金持ちが流れてくるとしても、今までのMM2Hホルダーが築いたものを切り捨てるわけには行かないはず。
もちろん、これから申請する人、その準備をしていた人にとっては真っ青ですが、「条件が変わるかも知れないから、早く取得するべき」というのは何年も前から言われていたことでもあるし、「不動産が値上がって、もう買えないじゃないか」みたいな考え方は、「早いもの勝ち」は世の中の常でチャンスがなかったものとして諦めるしかないと思います。電車に乗り遅れたのを電車のせいにするわけにはいかない。