麻婆豆腐って美味しいですよね。私は子供の頃から好きでした。
私の調理実験でも、もしかしたら麻婆豆腐を作ることが一番多かったかもしれません。
かなり研究もしたし、初めて行く店に麻婆豆腐があると必ずそれを注文しました。でも食べたいからというより「自分が作る麻婆豆腐をもっと美味しくしたいから」と言っても良くて、【アイデアが欲しかった】のね。
マレーシアに来てからも10箇所ぐらいで食べたかなぁ。でも「これだ!」と思うのは一つだけで、他の麻婆豆腐より私の作るほうが美味しいと思いました。これって自画自賛じゃなくて、【自分が自分の趣向に合わせて作るから一番美味しいのは当たり前】なんですね。だから一般的には美味しくないとか、他人が食べたら「なにこれ?」なんて思う麻婆豆腐かもしれない。
でもヨメさんも息子も私の麻婆豆腐は外で食べるより美味しいと言ってくれるし、私としてはもっと頑張ろうと思っていたわけです。
基本的には「本場四川料理としての麻婆豆腐とは違う」と思っていて、でも日本人好みでもなくて、その中間ぐらいですかね。最初の頃は「ホンモノの味を出したい」なんて思ってガチガチの四川料理店で食べ歩きをしましたが、本場の麻婆豆腐って「全く違う食べ物」みたいに感じました。
やっぱり私も「日本的に作られた麻婆豆腐」が基本にありましたし、あの日本に麻婆豆腐を紹介した陳建民氏の息子の陳建一氏が作る麻婆豆腐に近いのだろうと思っています。
私が大事にしたいのはやっぱり「麻」としての【痺れ】であり、「辣」としての【辛さ】ですかね。だから「麻辣豆腐」というのが正解かもしれない。
全体的な作り方に大きな変化はなくて、花椒(ホアジャオ)に凝ったり、豆板醤、豆鼓(豆鼓醤)、唐辛子にも凝りました。こういう調味料って大事で、それだけで出来上がりが変わるのね。
結構、花椒には苦労してマレーシアでは美味しいのを見つけることが出来ずに、日本からGABANの花椒を取り寄せたり。これはこれで良いのですが、ハーブあるあるで「すぐに風味が落ちる、変わってしまう」のね。だから花椒オイル(青赤2種類。Shopeeで入手可)を足すようにしたり、プロが作る動画を見てそこに出てくる郫県豆瓣醤(ピーシェン豆瓣醤)を手に入れたり、また必ず入れる豆鼓も良いのが見つからず、乾燥豆状のものではなくて豆鼓醤も違う銘柄をいろいろ試したり。そして追加の辛味で入れる「唐辛子」は韓国産のものを使ったら美味しくなったり。
あ、そうそう。マレーシアで甜麺醤を手に入れるのにも苦労しました。いろいろな醤は売っているのに、甜麺醤はないのね。おかしなもんでスーパーの日本食品売り場や伊勢丹に「日本のユーキの甜麺醤」が売っていたり。今ではワンモントキアラのビレッジグローサー(ノンハラルコーナー)で常時扱ってくれるようにお願いし手に入りますが、聞いてみるとマレーシア人は甜麺醤を使わないらしいですね。甜麺醤を使うのは「台湾人が多い」とビレッジグローサーで聞きました。
私が何年もやってきた、迷路に迷い込んだような「麻婆豆腐探しの旅」はそれなりに面白かったし、ちゃんと成果もでたのね。
「よし、これだ」なんていうのがどうにか出来上がって、それを作り続けてきましたが、やっぱり「飽きる」んですよ。感動が無くなるのね。「いつもの定食」みたいな感じになってくる。
自分の趣向に合わせて好きに作るわけだから食べる前にどんな麻婆豆腐なのかもわかるし、「食べたときの満足感も想像できてしまう」わけで、面白みがなくなってくるんですね。ヨメさんに「麻婆豆腐を作ってね」なんて頼まれるとその気にはなるんですが、素材や調味料のことを考えている内に、もう私の中では「食べ終わった」感覚になって、作るのが面白くないんですよ。
フト思い出すのは、偶然入ったパブリカにある中華料理+西洋料理というわけのわからない店で食べた麻婆豆腐が衝撃を受けるほど美味しかったこと。後日、ベロの性能が私より格段に上のヨメさんと一緒にいって、「どんな調味料を使っているのか」の多少でもヒントがわかれば良いなと思ったのですが、その時にはそのシェフは辞めていなかった。
がっかりしつつ気の利くウェイトレスと話をしたのですが、彼女も「あのシェフは凄かった。辞めたのは残念だ」なんていうし、そのシェフは日本を含む各国を渡り歩いて「独自の麻婆豆腐を開発した」と言っていました。そして調味料は十数種類使っているはずだと。
あの麻婆豆腐を彼はクアラルールのどこかで作っているはずですが、私にはどうすることも出来ず。
素材や調味料のヒントだけでも欲しいと思うのですが、これもまたどうにもならず。そもそもプロの料理人なら「何と何を足せばどうなるのか」は想像できるのだろうと思うけれど、私みたいなど素人は経験値が低すぎて、その出来上がりのイメージさえ湧いてこないのね。だから何を足せば良いのかなんてさっぱりわからないから、実際に実験するしか無い。
今回、行き詰まった現状を打開するために、いろいろ試しに入れてみたんですよ。
そして使う絹ごし豆腐はどれも柔らかすぎてすぐに崩れてしまうので、いつもの豆腐と厚揚げを入れてみたり。
そしてどうにか出来たのがこれ。真っ赤ですが、見ての通り激辛です。(笑)
なんだか見た目も悪いなぁと思いつつ、食べてみたのですが・・・・。
なんじゃこれ?
みたいな・・・・。(┰_┰)
美味しくなるどころか、今までの失敗作の中でもトップレベルのダメさ。
今まで使ったことも無いけれど、これなら良いかもしれないと思った「醤」を二種類もいれてしまっているし、もうどうにも変更はできず、これを食べるしか無い。orz
でも今回の食事として救われたのは、スープと、どこでも安く売っている冷凍シシャモで作った南蛮漬けが結構美味しかったこと。
冷凍シシャモで作った南蛮漬けは大当たりと言ってもよいかもしれない。
魚の南蛮漬けを食べたいと思っていたものの、それに合う魚が見つかりませんでしたが、「冷凍シシャモで良いんじゃない?」というヨメさんのサジェスチョンは大当たり。冷凍シシャモ(実は偽物で、カペリンという魚)は息子の大好物でいつも冷凍庫には入っていますが、これで南蛮漬けというのは気が付きませんでした。
ヨメさんに「今日の麻婆豆腐はどう?」と聞いたら、「美味しいわよ」という返事。嘘つけ~~~~。
でもそれは私に対する優しさだと思うことに・・・。
いつもなら「次の日に食べようと思ったらもうすでに残っていない」のが普通なのに、今回は冷蔵庫の中に大量に余ってる。
これが真実を物語っていますね~~。
私も本当にがっかりで、もう食べる気も作る気もしません。
もし作るとしたら、何年も前の「初心」に戻って基本的な作り方から始めるしかないと思う。
これが独学の悲しさですね。
プロが近くにいたら「XXXを入れてみたら?」とか「YYYはダメだと思う」なんてサジェスチョンをもらえるのだろうけれど、そんな人もいない。
私はいつもレシピはユーチューブ動画で勉強するんですが、今まで麻婆豆腐のレシピは何十も見てきたものの【全ては基本形、あるいは簡略系、日本の家庭風】ばかりで、もう今さら見ても参考にならず。
だから有名店のシェフが作るのを中心に見るのですが、それも「私が家で作る場合は・・・」なんて注釈付きだったりして、店でどんなふうに作っているかのポイントはわからない。
ま、当たり前ですよね~。ユーチュブに大事なキモを載せるわけがない。
多くのユーチューブ料理系番組の中で「中華」に関しては良いと思っている【中華一筋】を見て、また勉強し直しますかね。
プロの中華料理人が話をしながら進めているし、調味料にもかなりこだわっているので面白いです。